古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

水嶋建設株式会社

住教育推進機構愛知支部・支部長 水嶋 淳

対応エリア愛知県豊田市、岡崎市、知立市、刈谷市、名古屋市、日進市、東郷町、長久手市、瀬戸市

愛知支部の対応エリア愛知県全域

住む人の健康を害さない家。

古民家アイコン

愛知県豊田市。生まれも育ちも豊田という水嶋建設株式会社代表の水嶋さんに、材料のこと、地震のこと、健康と断熱のことなど、古民家にまつわるたくさんの大切なことを教えていただきました。

インタビュー

古民家は文化の集大成

──
早速ですが、古民家について何かお話があればお伺いしたいんですが。
水嶋
うちは古民家もよくやりますけど、なかなか伝統工法の解析が難しくて。
──
はい。
水嶋
私が建築士会で耐震診断やってた頃はまだ解析ができなかったんです。それができるようになってからは、筋交い入れなくていいじゃん、ってだんだんなってきて。これは免震だよっていうのが分かってきて。
──
あ、解析できるんですね。
水嶋
ええ、時間とお金はかかるんですけど。判定できるとこが関東と関西にしか無いとか、複雑なんですが、できるのはできます。補助金も出ますし。
──
そうなんですね。
水嶋
でもあんまりオファーがないですね。ほとんど建て替わっちゃって。
──
そこですよね。
水嶋
近くに足助町っていうところがあるんですけど、宿場町があって、街並み保存条例で守られているので、そこには古民家が山ほどあります。私の知り合いで、役所の職員さんなんですけど、そこの老舗の料理旅館を買って、コツコツ直してるんです。
──
へぇー。
水嶋
古民家は数十軒あるんです。でも持ち主が困ってないんで、貸すこともなく、売りもせず、空き家にしてる。
──
はいはい。
水嶋
その方は10年くらいそこで頑張っているので、徐々に理解頂けて…やっと賃貸なり、売却なり、街づくりの方向が見えてきたところです。
──
なるほどー。10年でやっとなんですねぇ。

インタビュー

──
今日一時間くらい早く着いちゃったので、この辺をちょっとぐるぐる回ってみたんですけど、案外古民家が残ってないですね。
水嶋
そうなんです。ありそうで無いでしょう。
──
そう、ありそうなんですけど。
水嶋
昔は草屋葺きの屋根とか、子供の頃は山ほどあったんですけど、残念ながら建て替えられてしまって。
──
そうなんですね。
水嶋
ここのすぐ裏でも築100年の古民家があったんですけど、建て替えでした。そういう時は大抵、新築か、リフォームもアリですよって、二本立てでいくんですよ。でも同じような使い勝手を求めると、伝統工法の改修とてお金がかかるんです。
──
ですよね。
水嶋
例えば建て替えると3000万、リフォームだと2500万ですって言うと、大抵は建て替えを選ばれます。
──
新築にも古民家にも住んでる僕の体験から言うと、かけたお金に対して貰えたものっていうことを考えれば、圧倒的に古民家の方が満足度が高いですけども。
水嶋
まず何より、玄関に入った時の香りとかね。
──
そうですね。
水嶋
息を吸った時に、一切化学物質が含まれない、石油製品的なものも無いんで。
──
居心地がいいんです。
水嶋
実はうちの家づくりは、新築でもリフォームでもそういうコンセプトなんです。お施主さんに健康になって頂きたいんで。
──
なるほど。
水嶋
根本的なところでそう考えてます。例えば古民家の耐震や断熱性能は弱いんですが、これは方法はいくらでもある。
──
はい。
水嶋
そんなことより、古民家に住んだことのない、ちょっと立ち寄った人まで「癒される」って感じるじゃないですか。我々はそういう家で育ったんで、太い梁なんか見ると懐かしい、心地がいい感じがするんですけど、何も古民家を知らない人も似たような感想を抱くというのがすごい。
──
そう、そうなんですよ。先日、東京から隠岐の島の古民家に「親子島留学」した知人一家を取材したんですけど、そこの奥さんが同じことを仰ってて。遊びに来る人来る人、みんな「おばあちゃんの家みたいで居心地がいい」って。でもそういう人たちのおばあちゃんの家は実際マンションだったりする。それなのに、なぜか共通イメージがあって、心地がいいと感じてしまう。これって何なんでしょうね?
水嶋
いろんな情報からの刷り込みはあったりするでしょうけど、やっぱり日本人のDNAじゃないですかね。
──
やっぱりそうですよね。その奥さんとも、そうじゃないかなって喋ってて。
水嶋
たぶんこれは世界共通だと思うんですけど、「その地域の材料でつくる、その地域に適した文化」というものの集大成が、家なんですよ。
──
あー、なるほど!
水嶋
子供を育てたり、家族が寝起きをする、そういう日常生活の場として、やっぱりレンガの国はレンガだし、石の国は石だし、土と木の国もある。
──
そっかー。
水嶋
これほど狭い島国で、北海道から九州まで、家はほぼ同じ作り方じゃないですか。あの技術って、あんな情報のない時代にどうやって全国に正確に広まったのか。
──
ほんとですね。
水嶋
それってみんなが賛同したからだと思うんですよね。多少の違いはあっても、基本のところでみんな「これがいい」って。
──
きっとそうですね。すごいなあ。
水嶋
それがどこから発生したかって、たぶん都からなんでしょうけど。
──
京から同一半径上にある地域の言語が似ていると指摘した、柳田国男の「蝸牛考」っていうのがありまして。今のお話はその建築版だと思うんですけど、建築ってそれを超えてますよね。方言ほどの違いが無いですもんね。
水嶋
カンナ、差し金、墨壺、みんな同じ形で、やってることも同じですからね。

インタビュー

布団をかぶって寝るのが一番気持ちいい

──
やっぱり現地の材料を使うというのは重要なんですね。
水嶋
はい。絶対ですね。その土地で育った木は、DNA的にその地に一番適してるはずなんです。余所から来た木とかは安いかも知れないですけど。
──
そうなると集成材とか乾燥材なんかは…
水嶋
そういう材は「健康を害さない」という側面からも問題があります。新築の家に入って、新築の匂いがしちゃダメなんですよ。木と土の匂いがしないと。人工の材は基準をクリアしてるはずなのに、やっぱりビニールとか溶剤の臭いがするんです。
──
そういうのはスペックには出てこないですよね。僕も色々行きましたけど、入った瞬間の臭いでもうダメだ、というところがたくさんありました。
水嶋
しかも暖房かけたりしたら目がチカチカしますから。何のアレルギーも持ってない私ですらそう感じるんだから、ちょっと敏感な人は大変じゃないかなと思います。
──
そう、なんか、痛いですよね。痛みを感じます。あれ何なんですかね?
水嶋
何なんですかね?(笑)
──
(笑)
水嶋
こういう自然の家の環境に慣れてると、何か拒否反応を起こすんじゃないですかね。
──
僕も古民家に住むようになって、ホテルで寝るのがダメになっちゃったんです。今まで何も気にならなかったのに、最近は何か息苦しくて、むりやり窓開けて寝ます。
水嶋
住宅でも、気密の数値が法的に決まってるので、ビニールやウレタンで密封するしかないんですよ。それを機械的に換気して、その中で生きていくっていうのは、家というより「検査室」みたいな感じですね。
──
そうですね。
水嶋
どこの国でもそうですけど、皆さん寒い夜に布団かぶって寝るじゃないですか。でも布団って気密性ないですよね。でもあったかいし、誰もそこには不満を持ってない。けれどなぜか家になると、気密性を求めるんです。
──
確かに。
水嶋
だったらビニール着て、ポンプで換気しながら寝ればいいのにって(笑)。

インタビュー

──
ほんとですね(笑)。
水嶋
でもそんなの気持ち悪くて眠れないですよ。家も同じです。布団をかぶって寝るのが一番気持ちいいのに、なんで断熱してビニールで包まないといけないんだと。
──
なるほど。
水嶋
こういう説明すると、お客さんは納得して頂けます。
──
難しいのは、皮膚感覚とか、気持ちの良さをスペックとして数値化できないし、元々古民家に住んでる人はそれが当たり前だからその良さにも気付いていない。うちの村なんか、みんな高気密の家に憧れてますから。
水嶋
教育がなされてないですからね。
──
どこかで切れたんですよね。
水嶋
それに高度成長期の時に、大量生産、大量供給、ということで今のような家しか供給できなかったんですよ。
──
ああー。
水嶋
人口は増える、所得は増える、需要が膨れ上がる、という流れの中で、当時の供給側である工務店のキャパは超えてたと思います。
──
そうか、そういう面もあったのか。
水嶋
それは国の発展には必要だったので、悪いことではないんです。ただ、地域の材料、地域の職人でつくる家というのも守っていくべきで、我々はその使命を負っていると思っています。
──
今後は人口が減ってきますから、逆にそういう方向に戻していけるんじゃないかと思います。
水嶋
そうですね。世の中もそんな流れになりつつあると感じています。

インタビュー

水嶋
木造ってね、大工さんがつくった建物って、ほんとにどうにでもなるんですよ。
──
(笑)そうですよね。でも僕たち一般人はそういうことを知りませんよ。僕もずっと不安で不安で、イメージはあるんですけど、ほんとにその通りになるのか全然自信を持てなくて。
水嶋
腐った柱も金輪接ぎすればいいんですから。築100年なんてまだまだですよ。松材ならまだヤニが出てますよ。
──
そうなんです。だから家の寿命って何なのかって、前にブログにも書いたんですけど。
水嶋
例えば近所に傾いてる家があって、虫も食ってて、雨漏りもしてる、でもそういう家って、それからも結構ずっと立ってますよね(笑)。
──
確かに(笑)。
水嶋
あの家いつ倒れるんだろうって(笑)。
──
ほんとですね。

インタビュー

地震についての考え方

水嶋
あと地震についても、これまでいろんな大学の先生なんかとやってきましたが、結論は「分かんない」ということになるんです。
──
ああ、やっぱそうなんですね。
水嶋
分かんないんです。これがおそらく正しい答えです。ひょっとすると、何があっても倒れないかもしれないし、少しの揺れで倒れるかもしれない。こういうことです。
──
すごいなー。
水嶋
なぜかというと、例えば明日地震が発生します、震源地はどこで、どういう揺れがどういうタイミングで来るか、ということが分かれば対策はできるんです。でもそういった条件がすべて分からないので、この家が地震に強いとか弱いとかなんて正確に言えないんです。
──
なるほど。
水嶋
この地域は「明日来るかも」って言われ続けて数十年なんですけど、毎日五分五分の可能性で暮らしているんですよ。
──
阪神淡路大震災の時も、発生確率は全国的に見て低い方だったそうですよね。
水嶋
そうなんですよ。で、我々は何をすべきかというと、とにかく「命を守る」ということですよ。建物にどんなダメージが来るのか分からないけど、とにかくパタッと倒れないようにする。
──
あー。
水嶋
肉まんを割った時、どんな裂け目がどこにできるか予測できないですよね。活断層ってそういうことなんです。だからそれは考えてもしょうがない。
──
そっかー。
水嶋
建物というのはそれぞれの揺れ方の固有周期というのがあるんですが、それに加えて、どんな揺れ方がどう来るのか、その時、建物がどう耐えてくれるのかが分からない。ところが、一般的に耐震性を判断する時は、単純にX方向Y方向にエネルギーを入れるだけなんです。
──
そうなんですか。
水嶋
だからその辺のことは無視されてるんですね。こういうのは高層ビルでも同じことです。
──
へー!
水嶋
あと構造計算に下からのエネルギーが考えられてなかったりとか。
──
知らなかったですねえ。

インタビュー

──
さっきの話に戻りますけど、そういう点でいうと古民家って、この地震大国において全地域が採用した建て方なんで、たぶんそれが当時のベストな解なんじゃないかって思うんですけど。
水嶋
そうですね。地震に対しては古民家はけっこう行き着いてますよ。
──
あと耐候とか、災害とかに対しても。日本におけるベースとしてはこれなんじゃないかと。
水嶋
最北や最南端は別として、たとえば本州の真ん中あたりだったら、家の中でTシャツ短パンでクーラーがちょっと入れば充分じゃないかなと、冬は一枚余分に着てコタツに入ってればいいんじゃないかと、別に真冬にTシャツで過ごさなくても…ということは思いますね。この考え方もお客さんには共感して頂けてます。
──
それは素晴らしいですね。
水嶋
それが健康というか、人らしいというか。もちろん我慢はしなくていいんですけど、ある程度は四季を感じながら暮らすのがこの国の家だと思います。
──
海外の寒い国って高気密・高断熱でトリプルサッシ、真冬にTシャツでセントラルヒーティングじゃないですか。でも日本人はそっちを選ばなかった。行こうと思えば行けたと思うし、北海道は行ってると思いますが、でも本州の気候は生きていけないほどの極寒ではない。じゃあ自然をどれくらいまで許容して、どこからは戦って、というバランスの感覚を形にしたのが古民家だと思うんです。
水嶋
そうですね。真夏は涼しいし、真冬はコタツとストーブで大丈夫。汗もかかないとだめですし。だからうちの新築は古民家を作ってる感じですね。
──
なるほど。

インタビュー

健康になってほしい

──
最後に沿革というか、水嶋さんの個人史でもいいんですけど、これまでの道のりを教えてください。
水嶋
えっと、私は二代目なんです。先代は大工の棟梁です。
──
そうなんですか。
水嶋
中学くらいまで、住み込みのお弟子さんがいて、多い時は七人いましたが、彼らのタコ部屋が楽しくていつもそこで寝起きしてました。朝ごはん一緒に食べて、夜も一緒に食べるという。
──
へぇー。
水嶋
私、大工になるつもりだったんです。ところが世の流れで建築士になったんですけど。先代が棟梁として家づくりを請け負いを始めてからは、今年で64年目になるのかな。
──
ほおー。
水嶋
法人化して今47年目、残念ながら先代は7年目に亡くなったんですけど。
──
ああ、そうなんですか。
水嶋
なので元々、古民家、「本屋普請」と呼ばれるような家をつくってたんです。一時、いろんな建物をやりたくなってあれこれ挑戦したんですけど、「何でも屋」は良くないと気付いて、十数年前から住宅に絞って、当時は輸入物だったセルロースファイバーを採用して、今ではほとんどの製紙会社さんは作ってくれますし、専門の職人さんもいますけど、試行錯誤しながらやってきて、今に至ります。
──
セルロースファイバーというのは、断熱材でしたっけ。
水嶋
断熱材です。健康を害さない「紙」ですね。新聞紙をものすごく細かく繊維状にして、ホウ砂で攪拌すると、燃えなくなっちゃうんですよ。
──
へえー。
水嶋
さらに撥水性もあって。いいものを見つけたんですよ。
──
確かに良さそうですね。
水嶋
当時これ以上いいものはないなと思って、実際、いまだに無いんです。当時欧米ではかなりシェアがあったんですけど。それ以来ずっと使ってます。
──
うちの新築、グラスウールがパンパンに詰まってます(笑)。
水嶋
グラスウールも悪くないんですよ。でもうちのコンセプトとして、石油製品、化学製品は止めるって決めちゃったんで、使えないんですよ(笑)。

インタビュー

──
(笑)すごいですねそれ。
水嶋
まあそういう家を作ってきて、今に至ります。先代の時代の大工さんも現役で棟梁として頑張ってくれています。今棟梁は7人、最近独り立ちした若い大工さんが2人、数年目の大工さんが2人、合計11人です。
──
すごいですねえ。水嶋さんのサイト拝見した時に、今風の施工例が並んでる中、なんかチラッと「金輪接ぎ」とかいう単語が見えたりして(笑)、これってどういう会社さんなのかなと思ってたんですが、よく分かりました。
水嶋
うちのデザインはバラバラなんです。でもコンセプトはみんな同じ。桧の柱、塗り壁、無垢の床。
──
おー。
水嶋
デザインはお施主さんの好きなようにして頂いていいんですよ。
──
なるほどー。
水嶋
繰り返しになりますが、健康を害さないこと。そして、地域の材と地域の職人でつくること。それだけです。住む人に、健康になって頂きたいんです。
──
たぶんそれがこれまでの日本人がやってきたことで、それが正解なんでしょうね。
水嶋
古い考えの先代には楯突いてきましたけど、今は近付いている気がしますね(笑)。

おわり

古民家リノベーション施工例







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商号 水嶋建設株式会社
代表者 代表取締役社長 水嶋 淳
所在地 〒470-0374 愛知県豊田市伊保町西浦30
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FAX:0565-45-5376
資本金 20,000,000円
業務内容 自然素材による注文住宅の設計・建築工事・請負、リフォームの請負工事
許可登録 建設業許可/愛知県知事許可(特-28)第46736号
一級建築士事務所/愛知県知事(い-27)第9853号
宅地建物取引業 / 愛知県知事(5)第18302号
加盟団体等 社団法人愛知建築士会、社団法人愛知県建築士事務所協会、社団法人愛知県宅地建物取引業協会
愛知県建築技術研究会、豊田建設業協同組合、豊田都市整備研究会
完成保証システム導入、第三者機関検査導入
取引銀行 豊田信用金庫、岡崎信用金庫、名古屋銀行、十六銀行、日本政策金融公庫
公式サイト http://www.mizushimanoie.jp/
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