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福井建築

日本伝統再築士会徳島支部・支部長 福井 政人

対応エリア徳島県全域

徳島支部の対応エリア徳島県全域

個性のある家をつくりたい。

古民家アイコン

徳島県鳴門市、福井建築の福井さんは築100年の古民家に住まわれている一級建築士さんです。福井さんはご自宅を実験台として、いろんな工法、材料を使い、試行錯誤しながら長年家づくりを楽しまれてきました。若い頃から、一軒一軒に違いのある家づくりをしていきたかったと話す福井さんの、貴重な経験と知識のほんの一部分をご紹介します。

インタビュー

徳島県の屋根事情

──
今日はご自宅にお伺いしているんですけど、これが古民家だって全然気付きませんでした。
福井
そうですか。
──
屋根も切妻でシュッとしてるし。
福井
徳島はそうなんですよ。徳島は昔から台風とか、雨風にとても見舞われるので。
──
そうなんですね。屋根で言うと、大阪はゴテゴテしてます。
福井
まあ大阪は周囲に建物がありますので、見かけというか、デザイン重視なんでしょうね。徳島だと周囲に民家が無いから、思い切り雨風が当たるんです。
──
なるほど~。
福井
ひどい時は「雨が下からでも降ってくる」という感じ。
──
へぇーっ。
福井
だから屋根に関してはとにかくシンプルな形で雨漏りがないように、ということで切妻、寄棟型の屋根が多いんです。屋根の素材にはそれほどこだわってないんですけど、雨漏りには気をつけるので、徳島は淡路瓦とか、焼き物の瓦で葺くというのが非常に多いですね。
──
そうなんやー。じゃあ今の新築ってどうなんですか。やっぱりスレートとかガルバリウム鋼板ですか。
福井
最近は耐震耐震と言われるから、瓦は使わなくなってるんですが、やっぱり鉄板でいくと、ここは鳴門ですから、錆びるんですよね。塩分で。
──
あー、そっかそっか。
福井
いくらガルバリウムを使っても、それは錆びにくいだけであって、錆びるんですよ。
──
そうなんや。
福井
だからやっぱり瓦。でもスレート瓦でいくと10年、20年ごとのメンテナンスが発生するので、それを避けたいということで一番多いのは焼き物の瓦ですね。
──
やっぱりそうなんですね。淡路(※)も近いですしね。(※瓦の日本三大産地の一つ)
福井
そうそう。そうです。
──
屋根ひとつ取っても全然違いますねー。南大阪なんか基本全部入母屋ですからね。お金持ちの家なんかはこれ何重に重ねるねんみたいな複雑な屋根をしてて。
福井
その地域の、それぞれの見栄えというか、かっこよさを追求してるんですね。
──
僕、このお家が築100年だって全然気付かなかったんですけど、その理由は屋根を見たからだと思います。なんかパッと見て、築4,50年くらいかなって思ったんですよ。
福井
まあまあ、それくらいに見えるのは、現代の建材を張ってるからですね。ただ、最初からメンテしなくていいように考えてますから、40年間ずっとノーメンテです。
──
え! そうなんですか。
福井
はい。良く保ってると思います。たとえば壁はサイディングなんですけど、塗装する前のサイディング。
──
へぇ~っ。
福井
お金を安くするためにですね。でもそのまま張ると寂しいですから、ちょっと縦に張ってみたり、横に張ってみたり、アレンジしてます。
──
なるほどー。
福井
塗装も一度塗ったきりです。よく外部から営業マンが来て「塗装の塗り替えしませんか?」って来るんですけど…
──
(笑)
福井
だからまあ、それほど古く見えない理由は、あっちを足しこっちを足しやってるからですね。足した部分はその時の材料を使ってますから。

インタビュー

お金をかけないデザイン

──
いや、面白いお家ですよ。今喋らせてもらってるこの空間も元々はガレージだったということで。
福井
はい。元々は鉄筋コンクリートの柱だけだったんです。ピロティですね。
──
え、ピロティだったんですか。
福井
はい。壁も何も無かったわけです。壁はあとで取り付けたんです。
──
おお、言われてみれば。
福井
ボードを張るのも本来は嫌いなんですけど、ここではベニヤを付き合わせて底目にして張ってます。そうするとクロスを巻き込んで、30年経っても剥がれてこないんです。
──
ほほー。さすがっすね。そういう部分って。
福井
いや、ただ単にメンテにお金をかけたくないというだけなんですよ。
──
あの、その人の住んでいるお家ってその人を表していると思うんですけど、設計士さんなんかは特に、その思想が表れると思うんです。
福井
はい。
──
だから僕、こういう有機的な建築というか、その場その場で足していったような建築って大好きで。僕はどっちかって言うと家を飼い慣らしたいというか、家が人間よりも上になるのが嫌だというか、なんかもっとこう、友達感覚で付き合いたいというか。
福井
はい。
──
だから家を綺麗にキープしたまま大事に住むっていうのも、日本の美徳ではありますけど、僕はけっこう、こんなことやっちゃった、みたいな自由な方が好きですね。
福井
(笑)まあこれはお金が無かったりと、あくまで結果的なものですけどね。これも何か天井が寂しいなと思って、あとコンクリートは吸音してくれないので、そういう意味も込めて木材を入れたんですけど。
──
はー。なるほど。

インタビュー

福井
雪見障子もこれ反対なんですよ。

インタビュー

──
あ、これ何やろって思ってたんですけど、そうか、これ上下反対なんか(笑)。
福井
とにかくお金をかけないで工夫しようと(笑)。
──
いやさすがっすね。こんなん思いつきませんもん。これって畳じゃなくて椅子に座ったら目線のレベルが上がって雪見障子が対応できないってことですよね。だから反対にひっくり返して目線レベルを合わせたと。
福井
そうそう。
──
いやー、なんかね、既視感が出てこないんで。見たことないものがたくさんあるので、初見に混乱します(笑)。
福井
倉庫とかもぜひ見て頂きたいんです。「バラッケ」というドイツの倉庫の工法を真似して建ててます。

インタビュー

──
あ、そういうことで言うと、あの屋根の破風の下の、なんか受けてる木みたいなのが見えてますけど、あれ元々あったんですか。
福井
化粧母屋ですね。あれも私が付け足したんです。

インタビュー

──
いや、あれですごい引っかかって。何やろこの家って(笑)。ちょっとヨーロッパの風を感じたんですよね。
福井
(笑)
──
だから築100年の古民家にはとても見えなくて。そういうニュアンスをちょっと入れると、むしろ洋館という感じが出ますよね。
福井
あ、そうそう。そうです。和風の中に洋館の感じはちょっと出したいなって思ったんです。
──
いやー、分かります!

インタビュー

大工と一緒に仕事をする楽しさ

──
福井さんは元々建設会社にお勤めだったということですが。
福井
はい。その時は設計士ではなくて「施工屋」だったんですが。
──
施工屋?
福井
お家を作る側ですね。設計を元に家をつくるという。設計監理じゃなくて施工管理。
──
ああ、施工管理ですか。てことは現場監督的な。
福井
そうですね。作ることが楽しくて、その仕事の合間に我が家もいろんなことを試してみたいなと。で、自分でやってみて良かったら、お客さんにもおすすめしてたんです。
──
なるほど。自宅が実験台ですね。
福井
そうそう。
──
学校を卒業されてからすぐその会社に入られたんですか?
福井
いや、建築士の資格は二級を取らないと一級が取れませんので、まずは設計事務所に行かせて頂いて、そこで一級も取ったんですけど、設計がつまらなくて。贅沢な話ですけど。毎日同じような図面ばかり引いてたんです。
──
はいはい。
福井
で、変わったことをやると、上司がOKを出してくれない。それで自分の自由にさせてくれそうな建設会社に入ったんです。
──
へー。
福井
そこでは住宅で好きなように好きなことをさせてもらって。毎回同じものをつくるとつまらなくなってしまうんですが、毎回違うものをつくると、退屈しない。
──
そうなんですね。それで今は個人事務所を立ち上げられたんですね。
福井
その会社に35年勤めて、定年になって、まあ独立というか、地元で今までつくってきた家々のメンテなり、改修なり、地域に貢献できるような仕事ができればいいなあと思って始めたんですけど、たくさん改修のお仕事があって、大変なんです。
──
ほー。
福井
特に古民家は職人が減っていますから、修理依頼が来たら対応してます。
──
なるほど。地域的にも、古民家の改修って需要がありそうですね。
福井
20年30年前は、職人の皆さんが古民家を嫌がったんですね。現場で墨出しとかね、原寸の型を取るとか、面倒な宮大工のような仕事もあったわけです。ただ、それを現場の倉庫で墨を打ちながら大工さんと一緒に仕事してるのは楽しかったですねえ。
──
じゃあこの築100年の家を選んだのも、楽しいから、みたいな理由なんですか。
福井
そうですね。それもあるし、元々石場建て(基礎を作らずに石の上に建てる工法)だから、横に足したら耐震性が上がるかなとか、興味本位なんです(笑)。
──
なるほどー。
福井
生活はしにくいんですけどね。
──
いやでも、そういう家の方が住んでて楽しいですよ。今の家は利便性ばかりを追求して面白さが少ないように思います。彩りが少ないというか。
福井
そうですね。ここへいらっしゃった時にお気づきになったと思いますけど、木とか花とかが好きなもんですから、周りはぜんぶ木で囲ったんですね。そうすると平屋のこの家も周囲の環境で夏場はエアコンが全然いらないんです。
──
そうなんですか。
福井
でも冬場は寒いんです。
──
冬が寒いのが嫌だ、耐震性が高い家が良い、というのは当然の意見なんですけど、結局それを突き詰めていくと、最終的には窓の無い小さな四角い箱になりますよね。それが最高の住宅なのかっていう(笑)。
福井
うちは窓だらけで、どこからでも入ってこれるというか、開放感がすごいんです。田舎ですからね(笑)。
──
古民家に携わる方ってやっぱりその感覚がないと、「古民家に住みたい」というお客さんとニュアンスが合わないと思うんですよね。
福井
ああ、そうかもしれません。

インタビュー

一つずつ別々の家をつくりたかった

──
今や「古民家再生やってます!」というところは多いですけど。
福井
そうです。古民家が知られてしもたからね。でも私が最初に、もう4,50年も前になってしまうんですけど、その頃に「古民家」って言ったら理由もなく嫌われて、とにかく面倒な家だと。
──
ああー。
福井
毎回毎回違うものをつくらないといけないので、たいそう面倒くさいと。でも私は、毎回違うもの、一つずつつくっていくものに興味を覚えましてね。
──
なるほど。
福井
そもそも大工さんになりたかったんですよ。だから大工さんと一緒に仕事するっていうのが楽しかった。
──
そうなんですね。でも当時ってそういう利便性、合理化の流れにどんどん進んでたんじゃないですか。
福井
そうです。
──
その時代に、福井さんが「古民家」に価値を見出したというのはすごいと思うんですよ。
福井
古民家をやると、必然的に大工仕事の比重が大きくなりますから、それが面白いんですね。
──
でもきっと、住んでる方も面白いですよ。
福井
そう、そうなんです。たまたまお客さんにも恵まれたのでね。その当時、私の感覚を理解してくれる方がいらっしゃったので。
──
そっかー。その当時のそのお客さんも珍しいですよね。
福井
そうですそうです。
──
でもやっぱ家にも個性が欲しいですよね。僕はニュータウンのすぐ近くの生まれで、友達がニュータウンに住んでたりするんですけど、友達の家に自転車で遊びに行くのに、家で見分けが付かないからブロックの数を数えてたんですよ。三つ目の角を曲がって、その手前から二番目の家、みたいな。
福井
ああ、はいはい。
──
それが子供心に、何かちょっと変な感じがしてました。
福井
私がいた前の会社には、そういう同じ家をつくり続けるという方もおいでたんです。でも私は一つずつ別々のものをつくりたかった。なのでそれぞれの担当を分けてました。
──
なるほどー。
福井
こだわりの強いお客さんが来たらスッとこっちに振られるんです(笑)。
──
(笑)

インタビュー

4軒目を頼まれる

福井
でも当時からそういうお客さんの方がやりがいを感じてたので。ですから、ひどかったら1年に1軒、2軒くらいしかできない(笑)。
──
でもお客さんからすればありがたいですよ。
福井
そうやって建てさせて頂いたお客さんは、この30~40年のうちにまたご依頼頂いて、多い方で4軒目を建てさせてもらってたりします。
──
え! すごいな!
福井
事務所建てて、住宅建てて、さらにもっといい家を建てて…みたいに。
──
あの、僕の周りで設計士さん入れて家建てた人が何人かいるんですけど、みんな途中でケンカになって、音信不通になってて。僕もそうなんですけど(笑)。
福井
設計士さんが何かを押しつけたりするとケンカになりますよね。でもお客さんのお話を聞いた上で、できるだけ、自分の思いに近付くようにやっていくと、将来ね、何年か経ったのちに、「設計士の言うことを聞いといて良かった」と。
──
ああー。
福井
「よそとうちは少し違うなあ」と。
──
そうやなー。だってその時にお客さんが分からないこともたくさんありますもんね。
福井
はい。だから流行りのショールーム行ってこれがいい、別のモデルハウス行ってあれがいい、と、いっぱいいろんなものを詰め込んで組み合わせるとチンドン屋みたいな家になってしまうんですが、話は聞きます。その上で、トータルで「こうしませんか?」という提案を、遠回りなんですけど、お客さんが納得するような地点へもっていくと。
──
なるほどなー。でもそれって難しいですよね。僕もそうでしたけど、お客さんはもう憧れで頭がいっぱいになって、他の選択肢が目に入らなくなってるじゃないですか。さらにトータルバランスも考えてないから、ポイントポイントでやってるから…
福井
そうですそうです。見てきたもの、好きなものですね。でも組み合わせが大事なので。
──
そこを考えてくれるのが設計士さんですよね。設計って構造のことだけじゃなくて、全体を管理する人でもありますもんね。
福井
そうですね。
──
それプラス、さっきの雪見障子とか、安くかっこよくするためのアイデアとか、そういうところで助けてもらえる。僕いつも言うんですけど、古民家リノベーションに設計士さんはいらないって思ってたんです。元に戻すだけやんと。でも福井さんのような方にお会いするたびにね、ああ、お願いしたら良かった……と(笑)。
福井
(笑)
──
古民家って、基本的には元に戻せばいいのは間違いないんですが、それは最低限であって、そこに設計士さんが入ると、自分たちがこういう暮らしをしたい、という思いを具体的な図面やアイデアに落とし込んでくれるんだろうなって。
福井
そうですね。さらに言えば、その落とし込んだものを、お客さんが喜んでくれるかどうかですね。つくって良かった、って言って貰えるまでのアプローチが大事だと思います。
──
ああ。僕もデザイン業なんで分かります。デザインの善し悪しなんてお客さんは基本分からないじゃないですか。だから「ここは青色にしてくれ!」って言われてもそれをそのままイエスマンでやっちゃうと僕のいる意味がない。それで戦ったり、少しずつずらしていったり、ウヤムヤにしたり…(笑)
福井
こう上手にくるくる回しながら、元の色に元の色に……と(笑)。
──
(笑)
福井
それとね、やっぱり何軒、何十軒という経験の中では、時間が経ってから分かる失敗もあるんです。だからそれをやりたいと言われた時は「それはやめませんか」とお伝えします。
──
経験則で知っているところはそうですね。なるほど。
福井
あとは「もうとにかく何でもいい、安ければいい」と言う方もおられますが、今までそれで許してくれた試しがない(笑)。
──
(爆笑)いやほんまそうですよね!「もうこれ適当でいいから」ってね(笑)。
福井
適当でいいはずがないんです(笑)。
──
いやー、まあ、そういった30年40年のご経験にお金を払うわけですからね。
福井
でも皆さんのおかげでいっぱい楽しいものをつくらせて頂いたんですから、本来ならこちらがお金を払わんといかんのですが、まあ、生活があるもんですから。

インタビュー

ユニットバスは劣化する

──
そういう意味で言うと、古民家って福井さんが一番やりやすいというか、個性が出しやすい建物ですよね。
福井
そうですね。同じ家はないのでね。ある程度の決まりはあるんですが。徳島で注意しないといけない屋根、雨漏り、それから床下の湿気とシロアリですね。その二点さえ注意していれば家は長持ちしますからね。
──
はいはい。
福井
たとえばユニットバスというのがありますね。いいですよって言うんですけど、10年、15年使うと、全部取り替えしないといかん状態になるんですね。
──
えっ! そうなんですか!
福井
そうなんですよ。
──
うそっ!
福井
あのね、傷むんですよ。
──
うわー、安心してたのに……
福井
(笑)
──
僕、在来工法は湿気がやばいからシロアリでグズグズにされるっていうのを知ってたんで、ハーフユニットにしたんです。
福井
問題が発生するのは「つなぎ目」なんです。結局どこかにつなぎ目があって、そこが切れると、中に湿気が入ってシロアリが発生するんです。
──
ユニットにすれば一生安心だと思ってました…
福井
いや、それはあくまでメンテナンスをやってない場合のお話です。ちゃんとメンテをすればいいんです。換気をする、コーキングをやり直す、と気をつけていれば長持ちします。
──
そうなんですか。
福井
さっきの経験値の話なんですが、ユニットバスは普通に使っていれば20年も経てばもうボロボロですと。それに施工者として気付くまでに10年以上はかかったわけです。
──
そっかー。
福井
ちなみに我が家のお風呂は在来工法なんですよ。タカラのホーローなんですが、50年経っててもまだ使えます。
──
僕、正直、タカラのホーローと迷ったんです(笑)。
福井
タカラさんはユニットバスにタイルも張ってくれますからね。
──
え! そうなんや!
福井
普通のユニットは、たとえば男の子兄弟が何人もいて、暴れて遊んでたりしたら、踏み抜いたりするんですよね。よくその修理にも走りましたけど。
──
そうなんですか!
福井
浴槽に穴が空いたりするんです。だってユニットバスって完全に宙に浮いた状態でしょ。
──
浮いてますね。
福井
だから寒くない代わりに、強度が出ないんですよ。
──
そっか~。じゃあ福井さん的なお風呂のベストな選択肢としては、ホーローの在来工法ですか。
福井
ん~、そうではない。
──
あ、違うんですか。
福井
メーカーで言うとタカラさんはお勧めしますけど、タイル使ってくれる、寸法も自由に決められる、ホーローが選べる、というところですけど、もちろん嫌いな人だっていますし。私も元々ホーローはそんなに好きではなかったんですよ。
──
へぇー。
福井
うちのお風呂をつくったのは親父ですからね。なんでこんなもんを、と最初は思いましたよ。でもよその家は次々に改修工事してるのに、うちだけは無事なので。
──
いやー、ええこと聞きました。僕、新建材はほとんど使ってなくて、唯一使ったのがユニットバスなんです。だから在来でも大丈夫なら絶対そっち選びますよ。次それにしよ(笑)。
福井
(笑)プラスチックは劣化するんですよ。
──
やっぱり劣化するねんなー。いやだって、猫も杓子もみんなユニットバスじゃないですか。だからさすがに、ユニットの樹脂が劣化するってことはないんだろうなって、勝手に信用してました。
福井
樹脂の劣化もそうですけど、さっき言った「つなぎ目」の劣化にも注意した方がいいです。
──
つなぎ目っていうのは、コーキングが切れたところから水が入って、中の木材がやられるってことですか。
福井
そうです。ハーフユニットで腰から上がタイルってことは、タイル表面が結露しますよね。その結露した水は必ず下に行くんやけど、シールが切れたらそこから中に入っていくだろうと。入っていったら中は全部木だから、湿気るんです。なのでとにかくコーキングを打ち直すとかして気をつけていればいいですね。
──
いやあ、いいこと聞いたなあ。メンテって大事ですねぇ。
福井
それを知っているのと知らないのとでは、意識が全然違ってきますからね。
──
僕、毎日ずっと現場に出てたんで、ユニットの据え付けも見てるし、在来のお風呂にシロアリがわいてるのも見てるんですよ。
福井
あれを見るとゲンナリしますよね。
──
そうそうそう。だからもう絶対イヤだと思ってたんですけど、メンテなんですね。
福井
あとは床が冷たいと言って暖房とか入れますけど、あれも結局電気なんで、10年20年すれば故障したり、使わなくなったりして。お湯の循環タイプだったら配管が詰まったり。
──
そうなんですねぇ。じゃあ一番長持ちするのって、やっぱり自然素材ですか。
福井
身体にもいいですからね。
──
…ぼく、福井さんにこんなお風呂の話ばっかりしてええんかなって今思いました(笑)。
福井
(笑)
──
だってあらゆる方向に詳しいのに、お風呂の話だけでインタビュー終わってまう(笑)。
福井
分からないこともたくさんあるんですが、この歳になると、分からないところは人に聞けるんです。若い頃って、自分で勝手に判断して間違うことも多かったですけど。
──
ああー。分かります。なんか、下に見られんようにね。
福井
そうそう。でも今はもういいんです(笑)。
──
いやもう実質だいぶ上にいらっしゃいますよ(笑)。
福井
今はとにかく、お客様のためになるなら、すべてそれで良し、です。

おわり

施工例







日本伝統再築士会徳島支部プロモーション映像

一般社団法人日本伝統再築士会徳島支部
http://tokushima.dentosaichikushikai.org/

福井建築

※直接お問い合わせの際は「クロニカを見た」とお伝え頂くと
何かしら良いことがある気がします。

代表 福井政人
創立 令和2年2月1日
住所 〒779-0225 徳島県鳴門市大麻町檜字東バリ73番地1
TEL. 088-678-3215
FAX. 088-689-3204

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