古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

有限会社 西建設

全国古民家再生協会鹿児島第一支部・支部長 西 浩隆

対応エリア鹿児島県内(離島を除く)

鹿児島第一支部の対応エリア鹿児島県全域

古民家の悩みの総合窓口。

古民家アイコン

鹿児島県鹿児島市の西建築代表、西さん。一級建築士として、地域の工務店として、また古民家の相談窓口役として今切実に考えるのが空き家問題。その解決のためにはとにかく「住教育」が大切だという信念を持ち、西さんは古民家に隠されたストーリーを丁寧に拾い上げ、古民家のこと、その家の歴史を住人の方々に伝えていきます。

インタビュー

勉強しなくていいから家を手伝え

──
僕、鹿児島は行ったことがないんですが、古民家って残ってるんですか?
西
わりと残ってますよ。ただ、もうほったらかしにされてる家が多いですね。
──
あー。
西
あと5年早く相談してくれればよかったのに、と思うことも多いです。
──
もったいないですよね。
西
だからうちは今は空き家対策と、住教育に力を入れてます。古民家再生協会として動く時はチームで動きますから、自分は空き家のご相談や教育を担当して、古民家の悩みの窓口になることが多いですね。古民家のことなら西建設に言えばいい、という感じになってます。
──
なるほど。
西
鹿児島支部は人材が揃っていて、それぞれの専門家がいるので、チームでやるのがいいんです。
──
西さんの請け負う工事の割合で、古民家ってどれくらいですか。
西
そうですね。自分の会社の仕事としてはリフォームが多いんですけど、そのうち古民家が2割くらいかな。
──
あ、結構ありますね。
西
自分から探してるわけじゃなくて、ご相談があって、行ってみたら古民家だった、という感じです。
──
これエリアによっても違うと思うんですけど、古民家の価値を分かってらっしゃる人って施主さんの割合でいうとどれくらいですか。
西
少ないですよ。20人に1人か2人くらいですね。
──
あー、そんなに少ないですか。
西
しかもその1人が外国の方だったりします。
──
あ、わかります。クロニカにご相談頂く方でも外国の方の割合が高いです。古い家の価値を知ってるんですよね。
西
そう。ほとんどの方は、1000万円くらいはかかりますっていうと、そんなにかかるんならやめときますっていうんです。でも価値を知ってる人は、えっ、それくらいでできるんだ、となる。
──
価値を知ってるかどうかで、高い安いの感覚って全然変わりますよね。
西
変わりますね。
──
僕もよく「新築くらいかかったでしょ」って言われるんですけど、それって「新築くらいかかるんだったら新築の方がいいのに」っていうニュアンスがあるじゃないですか。でも僕としては、新築と古民家再生が同じ価格なんだったら、絶対に古民家の方がいいに決まってるのにって思うんですけど。
西
そうそう。だって今の材は80年、90年もすれば駄目になるけど、古民家は200年300年もちますからね。断熱だってやりたければ完璧にできるし。
──
だから、単純に価値を知らないんですよね。
西
親が教えてないんですよ。親御さんがお子さんに家のことを教える、そういう場を作ってあげないといけないと思います。それで私たちは「住教育」をほんとに最優先でやってます。
──
なるほどー。
西
よく「家の手伝いはいいから勉強しな」って言うじゃないですか。あれ逆だったんですよね。「勉強しなくていいから家手伝え」っていうのがほんとだったんですね。だって「勉強しろ」ったってどうせしないわけですから(笑)。
──
(笑)
西
それでそのまま大学行っちゃって、向こうで就職しちゃって、お家のことは何一つ知らないってのが今の現状です。
──
はいはいはい。

インタビュー

「縁起でもない話」をしていくべき

西
古民家のご相談と関連して空き家の問題がよく出てきますけど、それは相続の問題でもあるんですよ。
──
はい。
西
相続は認知(症)が入ったら、その段階で法的に何も効力もなくなるんです。
──
へぇー。
西
だからお元気なうちに財産目録を作りましょうとか色々言ってるんですけど、ようするに認知症になる前ですからね、って言ってるんです。今、弁護士と不動産屋と私と金融の4人でミニセミナーをやってるんですね。個別に相続のご相談をされても、それぞれの業種間でたらい回しにされちゃうんで、ワンストップで解決できるチームを作ろうと。もう数年やってますけど、相当な数の方が相続の問題で悩んでいらっしゃる。
──
やっぱり本来、地域社会とか大きなシステムがあったからこそ、問題にならなかった部分が今全部切り離されて、家庭内ですらそんな話をしなくなって。家を大事にするということは、この家をどう守っていくか、どう継いでいけるか、ということを日常的に考える暮らしやったと思うんですよ。
西
そうですね。
──
でもそれがなくなったんで、ほったらかしで、そうしてお尻に火がついてから慌てて…
西
(笑)みんなもし誰かが死んだらっていう話をすると「縁起でもない話はやめようよ」って言うんですけど、違うんですよ。そういう話を日常的にしていかないといけないんですね。
──
あの、西さんが空き家の問題に取り組むことになったきっかけって何ですか?
西
やっぱり古民家って放置されがちで……古民家鑑定させて頂いても、解体する場合、直す場合はこれくらいお金がかかりますよとお話させて頂いた後「わかりました」って仰るんですけど、でもそのまま放置されるんです。
──
ああー。
西
それはいかんだろうと。仮に周りに迷惑がかからない状態であっても、ゆくゆく子供、孫、と負の財産として必ず残っていくんですよね。必ずツケが来るってことを、ご相談で目の当たりに見てきたんで、これはちゃんと伝えてあげないといかんと。
──
そうなんですね。そういう時に、古民家は長持ちしますよ、300年くらいは保ちますよっていうお話はされるんですか?
西
しますします。極端な話、屋根が落ちて家の中に木が生えたりしてても、使える木は残ってるんです。それを古材として次の世代にお渡しすることも可能ですよって、そういうこともお伝えするんですが、いくらかかるんですかっていうと、たとえばここは道がふさがってますから道から作ると200万円くらいかかりますねって言うと、あー、無理ですね、と。
──
ああ。
西
でもいずれにせよ、いつか何とかしないと、お子さん、お孫さんにツケが回ってきますよと。
──
たぶん古民家の価値って、それまでそういう風に思ってなかった人に言葉で伝えるのは難しいですよね。
西
私は、たとえばここは増築されてるけど元々は土間ですね、じゃあ昔はここでお食事してたはずですね。ほら、この天井の燻した跡は囲炉裏ですね、というストーリーをお伝えするんです。
──
なるほどー。
西
そうすると施主さんが小さい頃の記憶を思い出したりとか。
──
それは素晴らしいですね。家から読み解けますもんね。
西
そうです。古民家鑑定士としてそういうご相談を日常的に受けてると、何度も現場で場数を踏みますので、支部会員もそういうことを教えてあげられるんです。
──
それで何が変わるかっていうと、たぶん家が「モノ」じゃなくなるんですよね。
西
はいはい。
──
家は消耗品で、古くなったら壊して捨てればいいやって思ってたところに、そういうことを体験すると、歴史あるこの家の解体を一個人が軽々しく決めていいのかっていう感覚が、ストーリーを通じて伝わりますよね。
西
そうなんです。本来ならそのストーリーも、お父さんお母さんが子供や孫たちに聞かせてあげなきゃいけないんですよね。戦後にそれいけどんどんで家を建てて、核家族化が進んで、日本の古き良き習慣がそこで1回途絶えちゃったんで、こんなふうに空き家が大量に発生してるんです。
──
そうですね。
西
じゃあそれをどうしたらいいかっていうと、もう教育しかない。食育基本法と住生活基本法って1年違いなんですよ。ほぼ同じ頃にできてる。食育は今やみんな産地を気にするようになったりして浸透しているけど、住宅、家についてはまったく進んでないですね。
──
はいはいはい。
西
だからやっぱりそこの教育を進めていかないと、空き家発生は止まらんぞと思っています。

インタビュー

建築も土木もできる

──
西さんはどういう経緯で古民家の方に舵を切られたんですか。
西
元から古民家の改修はやってましたけど、やっぱり好きだったのかな。自分でも勉強して、伝統構法の構造と技術も学んで、揺れる構造だっていうのも理解して、まあ間違ったことはしないようにと努力して、今に至ります。
──
そもそも建設業を選ばれたところもお聞きしたいです。
西
私、二代目なんですよ。
──
あ、そうなんですか。
西
父親が法人化して40年以上ですけど、気がついたら親父と同じことやってるなと。親父は建築屋さんで、私は土木屋さんだったんです。道路掘ったり下水道作ったりするのが専門でした。
──
へぇー。
西
それでそろそろ地元に帰ろうと思って帰ってきた時に、自分の会社に入ったんですけど、その時に建築士にチャレンジしたんですね。それまで建築のことあまり知らなかったんです。でも運良く一発で合格して。
──
え、すごいですね! 1級に一発で。
西
だから逆なんですよ。それから自分は建築士なんだから納まりも知らなきゃいけないって、必死に図面とか勉強して、大工さんに色々教えてもらって。そしたら土木より建築の方が楽しくて、そこから建築の方に傾倒していきましたね。
──
そうなんですねぇ。そういう経歴の方ってなかなかいらっしゃらないんじゃないですか。
西
そうかも知れませんね。うちは零細ですけど、そのおかげで建築も土木もできるんです。
──
確かに。
西
たとえばお家の高さって非常に大事なんですけど、前面道路の高さからこれくらいに設定しないと、将来道路は上がっていくから、近隣50mの高さを見ながら決めないといけないとか。段差がないように段差がないようにって思うんだけど、でもある程度高くしておかないと…
──
えっ、どういうことですか? 道路の高さが上がるんですか?
西
えっと、30年40年すると道路って上がっていくんですよ。なんで上がるかっていうと、道路は周りの住宅の地盤の高さを見ながら加減でやっていくんですけど、下がることは絶対にないんです。
──
そうなんですか!
西
はい。国道なんかまさにそうですね。国道は全部上がっていって、周りのお家が20cm、30cmと相対的に下がっていく。
──
えー! 知らんかった!
西
なので敷地をつくる時は周りの様子を見て、ここまでは行政は道路を上げてくるだろうなと思ったら、それより少し上にくるくらいに地盤を設定します。
──
すごいなあ。
西
あとは河川が近くにあった時に、これもまた同じく周りの様子を見て、床上浸水しないように設定するとか。
──
へぇー。なんか建築の世界ってほんとに、いろんな要素が絡み合って…僕は建築をやる人間ってもうそれだけで尊敬するんですよ。たとえば天候や災害とも戦わないといけないし、躯体として構造があって、最終的に人の生活のデザインまで作っていくじゃないですか。タイル割りとか、そんな細かいところもやるし。なんかもうすごいなって。
西
(笑)でも楽しいですよ。タイル割りなんか思うようにできたらすごく楽しい。タイル割り考えたら躯体の方を変えていかないといけなかったり。必死こいて考えます。
──
すごいな! そんなことされるんですか。
西
やりますよ。
──
ぼく昔TVで巨匠がそういうことやってるの見たことがあって。タイルに合わせて部屋のサイズを変えるみたいな。そこまですんの? と思ってびっくりしたんですけど。それをされるんですね(笑)。
西
そこまですると「バッチリだねえ!」って喜んで頂けたりして、嬉しいですね。
──
そういうのって設計士さんならではのきめ細かいデザイン、感覚だと思うんですけど。
西
いや、これは設計士というより施工者の感覚ですね。設計士ってそんな細かいタイル割りまで指示しない人も多いですよ。
──
あ、そうなんですね。
西
指示する人はギャラの高い設計士さん。普通の方はそういう細かいところは指示がなくて単純に「お風呂」「トイレ」みたいな。そこに「タイル割りは気をつけてください」という指示があるだけ。
──
へぇー。なんかそういうところってホームページでは全然見えてこない部分ですよねえ。そこまでやってくれる人なのかどうかって。
西
そうですね。ただタイル割りの話は、あくまでこだわりたい人向けですけどね。こだわるんだったらとことんこだわりますよ。その代わり少し時間とコストはかかりますよってお伝えしますけど。とにかく私はどんどん会話をしながら提案していく感じです。なので元々ちょっと時間かかっちゃうんですね。

インタビュー

チームプレイの古民家再生

──
まあでも皆さん、一世一代の買い物ですからね。時間はかけるべきですよね。みんな携帯の機種変は色々調べて時間かけるのに、その500倍以上の金額の買い物に、500倍の時間をかけてるかというと、かけてないですからね。
西
(笑)えらい高い買い物ですからね。
──
まあ逆に高すぎてわけ分からんくなってるのかも知れませんけど。もう無理って。
西
突き詰めれば、あなたの家の木材はこの山から切り出してきたんですよ、って教えてあげてもいいんです。それくらいは知って欲しいですね。
──
ほほー。
西
実際に山にお連れするのは危ないんで、その山の写真を撮ってきてお見せするんです。何か印をつけてね、その木を山から丸太で取ってきて、製材所に行って、最後にそれが現場に運ばれてくると「うわ、ほんとに来たんだ」みたいな。
──
おー、それは嬉しいですね! そういう体験をした施主さんって、絶対自分の子供に言いますよね。それを。
西
そうですね。まあ自分がやってもらったら嬉しいな、楽しいなっていうことを発想するんです。
──
面白がるっていうのは大事ですよね。
西
大事だと思います。
──
普通の新築の現場ってピリピリしてますよね。なんか。でも古民家ってその対極じゃないかってなんとなく思ってまして。だって傷があるとか言えませんからね。元々傷だらけで(笑)。
西
(笑)やっぱり新築はミスしちゃいけない、ミスすると工期が遅れる、そういうことばっかり考えがちで、施主さんが現場にいらっしゃってもみんな固い表情だったりね。
──
そうですね。
西
でもそうじゃなくて、もっと笑って、面白がって家づくりをしたいですね。うちは新築になると毎週土日は必ず打ち合わせなんです。
──
へぇー。
西
着工から毎週一回は必ず打ち合わせ。お客様は3ヶ月、4ヶ月の間はどこにも行けませんからねって(笑)。
──
(笑)まあでも、そらそうですよね。家建ててるんですからね。
西
一生のうちの3ヶ月4ヶ月ですからね。毎週日曜の10時は空けといてくださいと。もちろん特別に今日はダメとかはありますけど、基本的には毎週です。
──
でもそれも、ピリピリしてたらしんどい打ち合わせですけど、お互い楽しんでやってたら打ち合わせも楽しくなりますよね。
西
そうなんですよ。お客様の要望を聞いて、アイデアを出して、お金の話も、工期の話も、どんどん話し合って、そうすることによって最終的な満足度が80が90になり、90が100、120%になっていくんです。
──
なるほどー。古民家も同じような感じですか。
西
古民家はこちら側としては楽しいですね。だって、最初から曲がってる、倒れてる。
──
(笑)
西
これは許せるけどここの歪みは許せないとかね。立ち(垂直方向の歪み)は許せるんだけど、水平は譲らないですね。水平は直します。
──
あ、そうなんですか。僕いつも思うんですけど、立ちってどれくらいから矯正対象になるんですか。
西
鴨居の高さまでで約10mm倒れてたら「傾斜」ってなるんです。でも私は15mmまで許容してます。ただ水平が15mm狂うと補修ができない。
──
そうなんですか。
西
建具がダメなんですよ。
──
あ、そうか。
西
垂直の歪みがあっても建具はまっすぐ立つので調整できるんですが、水平が狂ってると建具がコケるので、その場合はジャッキアップして直します。水平の歪みは部屋の端端で10mmが限界かな。
──
水平の歪みって人間の感覚が慣れないそうですね。ずっと気持ち悪いという。
西
その通りですね。
──
歪みも直せる場合と直せない場合があると聞いたんですけど。
西
ジャッキアップして、水平と一緒に立ちも直しちゃうんですよ。ワイヤーで引っ張るんですけど、物理的に引っ張れない場所もあるし、周りの環境もあるし。
──
壁は取るんですか?
西
引っ張れる状況であれば部分的に壊して引っ張ることもあるし…うちの場合は大体取りますね。
──
あ、やっぱり取るんですね。
西
取らないと動きが見えないんですよね。古民家って引っ張った時に全体で動くんですよ。だから全体を見る必要があるので。
──
なるほど。
西
そのジャッキアップ、家曳きのプロがうちの支部メンバーの大城なんですよ。元々家曳きなんで。
──
そうなんですか! それはもうバッチリですね。
西
彼に任せておけば古民家の沈下なんかもパパパッと解決しますね。
──
やっぱり古民家っていろんな要素があるので、支部としてチームを組めるのは大事ですね。適材適所というか。
西
ですね。施工、耐震、デザイン、教育、それぞれ専門のメンバーでやってますから。その他、空き家の方も別のメンバーが協議会をつくろうと動いてますし。スタッフが揃ってるんで、非常に自信を持って古民家再生ができている状態ですね。
──
なるほどー。
西
あとは空き家問題をコツコツやっていって、皆さんが子供たちに家のことを伝えられるように、そして皆さんが「こういう家に住みたいんだ」ってはっきり意志を持って言えるように、住教育を進めていきたいなと思っております。
──
いや、ほんと教育って大事ですよね。ありがとうございました。

おわり

古民家総合調査の様子







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