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古民家でのびのび子育て、の「のびのび」って何なのかを考えてみる

今回はがっつり育児ネタです。
僕は今までいろんなところで「古民家だと子供がのびのび育つんです~」と言ってきました。
またSNSや各メディアのご感想でも「お子さんがのびのびされていて良いですね」といったコメントをたくさん頂いてきました。
そして今、僕は思う。
「のびのび」って何なのかと。
なんかそういうフワッとした言葉ですべてを言い表せてる感じがするんですが、でも僕は古民家暮らし推進者として、その部分の内訳というか、詳細をきっちり分析するべきではないのかと。
そこをちゃんと分析することで、これから古民家をリノベーションする親御さんたちが、どういうところに気をつけて家づくりをすればいいかが分かるのではないかと。
そういう思いで今回、「のびのび」を考えていくことにしました。

のびのび育つ子供

まずはこちらをご覧ください。
この世のあらゆるしがらみから自由になり、欲望とイマジネーションをすべて解放した彼のこの表情を。
これが「のびのび」を全身で表現した姿です。

のびのび育つ子供 のびのび育つ子供

うちの子はイマジネーションがダダ漏れになってるのでいろんなところでいろんなことをやりがちです。
なぜダダ漏れになるかというと、僕があんまり怒らないというか、彼らの世界に否定的な干渉をしないからです。
これはもう結論ですが、「否定しない」というのが「のびのび」のまず第一の要素だと思います。
育児における否定というのは、大体が「子供を何らかのハコの中に入れるため」に行われます。たとえば「道に飛び出すな!」とか「走り回るな!」とかいうのは「社会」というハコの中に入れるため。「遊ばずに勉強しろ!」というのは「日本の学校教育システム」というハコの中に入れるためです。

で、言葉通り、ハコの中に入れたら「のびのび」はしませんよね。ハコの形に沿って成長するだけです。
まあ社会というハコの中には入ってもらわないと困りますが、親が気付かないうちに何かのハコに入れてしまってる場合も多々あります。
たとえばマンション。
僕は、マンション育ちの子は、マンションの形に育ってると感じています。
もちろんいろんな子がいますけど、大声を出したらダメ、走ってはダメ、大きな音で音楽を聞いたり長い時間楽器を演奏するのはダメ、壁や床を汚してはダメ、叩いてもダメ、散らかしてはダメ、ベランダBBQ禁止、ペット禁止、ボール遊び禁止、危ない遊び禁止、ちょっと考えただけでこれほどの「ダメ」に囲まれて生活していると、やっぱり程度の差はあれど、大体はそういう形の子供に育つんじゃないでしょうか。
そして、その「ダメ」がほとんど無いでっかいハコ、それが古民家だと思うんですよね。

のびのび育つ子供

一応言っておきますがマンションの子がダメで古民家が良いという話ではないです。
これは100%好みの話です。
たとえばうちの子を友達のマンションに連れて行くとそれはもう目を覆うほどの社会不適合っぷりを発揮して周りの皆様に多大なるご迷惑をおかけします。
走り回って爆笑してものを投げ…それはまるで野良犬を捕まえて家の中に放り込んだかのよう。
つまり「のびのび」ってそういうことですよ。
社会に対して子供を1日でも早く適応させたい親御さんは、マジでマンション暮らしをお勧めします。

ということで以下はそういう「好みの話」であることを前提として、それでもお子さんをのびのびさせたい方に向けて話しますね。

「のびのび」によって得られるものは発想力、想像力、思考力といった「力」です。
そしてその力のコントロールと、力の受け皿というものがあります。それはちょうど水道の水圧、蛇口、コップの関係に似ているなと思うんです。
子供が持っている力を水圧とすれば、それを押さえ込むのが蛇口。
コップが小さければ最初から蛇口をかなり絞ってちょろちょろと水を注ぐことになりますが、受けるものがコップじゃなく大きなバケツだったら、蛇口全開でドバジャーっと出せますよね。
子供たちはそれを毎日、毎時、毎分と繰り返すわけですが、そうして繰り返すうちに、小さいコップにちょろちょろの子は、いつの間にか元々の力、つまり水圧がコップに合わせて弱くなっている。
蛇口を全開にしてもちょろちょろとしか出てこない。
こういうことが、大人ではなく成長過程の子供には起きるんじゃないかと思っています。
だから僕は、子供の蛇口を絞るのはだいぶ後の方でいいかなと思うんですよね。
僕は児童教育の専門家ではないので適当なことは言えませんが、そんなイメージを持ってます。

中吊り広告

余談ですがこれは先日東京に行った時に見かけた中吊り広告。(晒してええんかな…)
内容が衝撃的すぎて思わず写真を撮ってしまいました。
広告の写真を見てもどこが「怒られちゃう遊び」なのか分からないんです。
右端で泡ブクブクやってる子がいますがうちなんかちょっと目を離した隙に勝手に洗濯洗剤使われて風呂場が一面雲海みたいになってましたよ。
いやまじかと。
東京では子供たちがこの程度のことをやるために1時間いくらで金を払うのかと。
これはさすがに、子育ての環境が違いすぎるなあと。

のびのび育つ子供

さて、もう一つ「のびのび」について重要なファクターがあります。
イマジネーションをドバジャーと垂れ流すだけではただのお漏らしです。
垂れ流すのが良質なアウトプットだとすれば、それと同じくらい良質なインプットも必要だろうと。
それがこの写真。
古民家暮らしをする上で強制的に関わってくる「家のことを手伝わされるイベント」です。

塀のメンテのお手伝い 庭の草引きのお手伝い

べつにね、僕が意識高く子供たちに色々体験させてるわけじゃないんですよ。
単純に広すぎて手が回らんのですよ。
猫の手でも園児の手でもなんでも借りないと生活が成り立たないんですよ。
でも子供たちはこういう家の仕事を手伝わされながら、触覚、嗅覚、聴覚、いろんな感覚でいろんなものをインプットしてるんですよね。
よく英才教育で2歳からはじめる通信教育とか3歳からはじめる英会話とかあるじゃないですか。
ぼく、ああいうのに懐疑的なんですよ。
あれって習得させようとしてるのが具体的な技術とか知識じゃないですか。
さっきも書きましたが、僕は、それは中学高校くらいからでいいんじゃない? と思うんですよね。
少なくとも未就学児、園児や小学生はもっと他に習得すべきものがあるんじゃないか。
僕は子供たちに写真の通り壁に油を塗らせてますけど、「これで壁のメンテナンス方法を覚えて欲しい」とか1mmも思ってません。
子供たちが本当に習得すべきは、メンテ方法でもメンテ知識でもなく、ローラーのスポンジのふわふわした感触とか、それを油にひたして染み込む感じ、油が染み込んだスポンジの重さや、油でベタベタになった指、いやな臭い、ローラーをぐっと押しつけた時の感触、塗りにくさ、ざらざらした柱の木肌、塀の高さ、押しても動かないどっしりした感じ、そんな多彩な「感覚」じゃないかと思うのです。
さらに感覚だけではなく、ぐっと押しつけたら油が垂れまくって慌てた、角度をつけたら塗りやすかった、どっぷり浸したら油がボトボトこぼれてしまった、じゃあどうしたらよかったのか? などなど、無数の細かい試行錯誤や思考も生まれます。
それは業者があらかじめ子供向けに用意したものではありません。セーフティーネットも何も無い。柱を撫でればささくれが刺さって血が出るし、草を引いていればムカデやヘビが出る。うまくいかなくても答えは無い。やりたいようにやろうと思ったら、その方法を自分で考えるしかない。
「家の手伝い」で発生する感覚〜思考〜実践、このワンセットこそが「良質なインプット」になるのではないかと思っているのです。

あ、ちなみに「良質」=「将来お金になる」ってことじゃないですよ。
お金につなげたいのなら、3歳から英会話を習わせた方がいいと思います。
じゃなくてこれは子供たちがどんだけ五感で世界を感じて、笑ったり感動したりしながら、豊かな感性で生きていけるかって話です。

こういったものは何も僕が用意した特別な体験じゃなく、かつて日本中の子供たちがそうやって家の手伝いをしてきて、自然と身につけていた力なんじゃないかと思いますよ。
僕は家と同様、子供の育成環境も、かつての姿に近づけようとしています。

庭のメンテのお手伝い 庭でのびのび のびのびゲーム 寝転んでマンガ読む

別に自然に触れ合わなくても、マンガでもゲームでも何でもいいんですよ。
いろんな感覚を覚えて、その使い方も覚えて、力を蓄えていってほしい。蓄えた力をいつどのように使っていくのかは彼らの自由ですけど、その力を使って技術や知識といったスキルを習得するのはもっと大きくなってからでいい。
今はただ、いろんなことを好きにやれと。
あんまり羽目外すとしばき倒しますが、人様に迷惑をかけない範囲で何でもやれと。
それが僕の子育ての考え方です。
で、
その実践のために必要なのがサイズ的にも素材的にも包容力のあるハコ。人に迷惑をかけないで済む範囲の広さがあり、汚しても気にならず、壊しても自分で直せそうで、親に怒られずイマジネーション全開でアウトプットできるハコ。
そして強制的に何かの作業を手伝わされ、たくさんのインプットを得られるハコ。
それがすなわち古民家なのです。

庭ランチ

はあ、また長くなってしまった。
僕もこんな長文でご高説ぶっこいてますが、自分の子供たちが将来どんな人になるのかは分かりません。
こんな環境で育っても成人してネトゲにはまって引きこもって40過ぎて無職になるかも知れませんからね。
まあ未来のことは置いといて、とにかく今、僕はそんな考えで古民家を買い、子供たちはのびのび暮らしていますよ、というお話でした。
おわり。

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