古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

株式会社山倉建設

全国古民家再生協会香川第一支部・支部長 山倉康平

対応エリア香川県全域+他県近隣地域

香川第一支部の対応エリア香川県全域

今ある個性を活かす。

古民家アイコン

香川県丸亀市、山倉建設の山倉さんは天然素材を使った本物の家を作り続ける傍ら、コミュニティ施設で地域イベントを企画されたり、ボランティアとして被災地へ通い続けたりと、多彩な活動をされています。そんな山倉さんが語る家の個性と再活用のお話は、幅広い経験から得た一つの答えです。古民家のこと、人の暮らしのこと。多岐にわたってお伺いしました。

インタビュー

香川の古民家物件

──
前、さぬき広島の古民家を案内して頂いたじゃないですか。けっこう廃屋みたいになってて、今から再生するんだって仰ってたお宅。あれってどうなったんですか。
山倉
あれは今ちょうど再生工事に入ってるんです。
──
あ、そうなんですね。
山倉
あのね大原さん、1000坪の土地と家がタダですよ(笑)。
──
あれタダなんですか!
山倉
今日も一件タダの物件が出てきましたよ。
──
まじっすか。
山倉
瓦も葺き替え済みで。100年くらいの古民家なんですけど。そういうのってみんなでシェアハウスにしてもいいんですよね。
──
そうですね。夢が広がります。
山倉
売らないけど家賃がタダのところもありますよ。
──
すごいなー。
山倉
そこは海が見えますよ。あともう一つ、うなるような良い古民家があります。僕も借りたいくらい。屋根も直さなくていいし、船が着いて、海から降りたらすぐに行ける。
──
そんなん、僕なんかがセカンドハウス持とうと思ってネットで調べても、出てこないですよね?
山倉
一般には出ないです。
──
僕のところにも「香川県で古民家探してるんですけど…」みたいな問い合わせがよくあるんですけど、そういう方はこういう山倉さんみたいな人につながらないとダメですよね。古民家って〇ットホームとかで検索しても出てこないですもんね。
山倉
地元の有力者をつかまえとかないと。
──
ああ~。やっぱり。
山倉
物件に関しては情報持ってますよ。今、大阪寄りの、東香川の方でも二軒あります。これも立派な家で…
──
いやあ、大阪の人ら集めてシェアハウス考えよっかな。
山倉
いいと思いますよ。海を渡るだけで非日常ですからね。
──
そうそうそう。
山倉
そんなに距離もないので、大阪から来られる方も多いし、

インタビュー

古民家には個性がある

山倉
香川には島が多くて、本島、広島、牛島、高見島。四年前ですけど、牛島に別荘があったんですよ。プライベートビーチがあって、朝日が拝めて。
──
おおー。
山倉
島らしい島なんですよ。ほんとに小さな島で、車がいらなくて、自転車で充分なんですが、3、4人しか住んでないんです。
──
え! そうなんですか。
山倉
そこの家が売りに出て、値段が80万円だったんです。
──
へぇ~。
山倉
即住めて、海を見ながら風呂に入れて、最高やと。他にもトレーラーハウスを持ってきてそのまま住める土地とか、そういうところがいっぱいあるんですよ。
──
すごいなー。非日常ですね。でもほんと大阪人にとってはここまで来るとそれだけで非日常ですもんね。
山倉
私も大阪に出て行くとそれは非日常ですからね。でも僕が若い頃の大阪の街の、南海劇場とか、食いだおれとか、そういう街の雰囲気が今は変わってきましたよね。
──
変わってきましたね。
山倉
ちょっと馴染めなくなったというか。
──
道頓堀のあたりはそんな変わってないかなと思うんですが、梅田なんかはずいぶん変わりました。人の匂いが消えていってるというか。
山倉
そうですね。それが古民家だと、二つ古民家があればもう、全然違う表情をしていますよね。その古民家に入ると感じることがまったく違う。
──
はいはい。
山倉
以前リノベーションさせて頂いた200年古民家の尾上邸という立派な古民家、そこは廻船問屋ですから、漬物部屋があるんです。
──
どういうことですか?
山倉
長い船旅になるとビタミン不足になるんです。だから漬物を樽ごと積んでいくんです。
──
そうなんや!
山倉
そういうところで当時の生活を垣間見ることができる。庭があって、柿の木があると、昔はそこで落ち葉を集めて焼き芋をしてたんじゃないかなあとか、勝手に想像するんです。
──
分かります。
山倉
たとえば人間は年齢を重ねていくとその人の雰囲気に独特の味わいというのが醸し出される。家にも絶対そういうのがあると思うんです。だから再生工事する時も、その味わいを消さないように気をつけます。
──
ああ~。さすがです。
山倉
とある店舗開発の人が来て、200年古民家の茶室のリノベーションプランの図面を見せてもらったんですが、まったく違う発想なんですよね。言うなれば古民家の中にスターバックスがあるような、そういう感覚で描いてるわけですよ。
──
はいはいはい。
山倉
彼らは完全な新築というようなイメージで、そこで以前にどんな人がどんな暮らしをしとったかというのは気にしないんですね。対して、僕らは「復元」というイメージなんです。
──
そっちの方が面白いですよね。

インタビュー

もう一回再生できるんじゃないか

──
僕はその家の個性、歴史…まあ僕はあんまり歴史を尊重してないんですが、その家を最初に建てた大工さんが喜ぶような直し方をしてあげたかったんです。
山倉
いいですね。大工さんも仕事冥利に尽きるでしょう。以前も築400年の家を解体していたら棟板が出てきて、そこに棟梁の名前があるんですね。
──
ああー。
山倉
どんな人なのか分からないけど、こちらが勝手に想像してしまう。
──
なんか家を買ったんだけど「自分だけのもんじゃない」っていう感じがありますよね。
山倉
だから僕は、簡単に家を壊すのがすごく嫌いなんです。いとも簡単に家を壊す人がいますけど、解体現場に行くとね、ものすごく心が痛むんです。
──
ああ、そうですね。
山倉
ほんとに原木を使った家がね、大きな機械でぐしゃっと折られるでしょ。ほんとになんというか…何か違う、こんなことしとったらいかんやろうって。
──
ああ…
山倉
自分にはどうにもできないんだけど、なんとかしたいっていう気持ちはものすごいありますね。助けてあげてって、もう一回再生できるんじゃないかって。だってその家は当時の職人が丹精込めて、人力で木を曳いてきて、ちょうなで削って、一つの形にしていくという過程がすごく長いんです。
──
そうですよねぇ。
山倉
木というのはそれだけの役目、寿命があるわけでね。それが時代が変わったからといって簡単にへし折って、スクラップにしてもいいものかと。もっと日本の伝統的建築文化を守って欲しいし、良さを分かって欲しいという思いがあるんです。
──
はい。
山倉
何も全部昔の通りにというわけじゃなくて、今風にアレンジすればいいと思うんです。エアコンつけて、夏は涼しく、冬は暖かくすればいい。そうやって新しい時代に対応させて生まれ変わらせてあげると、家がまた生き生きしてくるんですよね。
──
うんうん。
山倉
そういった提案を受け入れてくれるお客さんもけっこういらっしゃって。以前、見たことのないような曲がり方をした梁を見事に使った家があって、それを解体するかどうするかってなった時に、お父さん、これほんとに壊すの? って、もう二度と見られないですよって言ったら、お父さんは僕にニッコリしてね、意を得たりと、僕と意見が合うたんです。それで「これ残しませんか?」って。
──
おおー。
山倉
息子さんも、親父がそういう気持ちやったら、ということで同じ方向に向かった。でもどんでん返しがあってね。若奥さんが「こんな古い家には入りたくない」と。
──
そうなんですか。
山倉
今風にできます、お風呂もキッチンもすべて新品に替えます、システムキッチンとユニットバスです、収納もたくさん作れますよ、って説明したけど、奥さんの表情がずーっと暗かった。
──
うわー。
山倉
結果的に僕は折れました。家は潰して、建て替えるって。
──
ああ…
山倉
たまにそういうのがありますよ。保存状態も良かったんですけど。
──
いやあ、山倉さんは現場で古民家を助けられるけど、同時にそういう場面にも遭遇するじゃないですか。目の前で壊されるという。それは嫌ですよねえ。
山倉
もちろんお客さんの要望が大事ですけど、でもやっぱり、ものすごい嫌です。
──
ねぇ。
山倉
僕の親友が解体屋なんですけど、お前はなんでもかんでも残そうとするって言われて。
──
(笑)
山倉
解体の邪魔をするなと(笑)。
──
僕ちょうどここに来る前に、民俗資料館が山の上にありますよね。そこに偶然立ち寄ったら、もうびっくりしたんですけど、船大工が作ったごっつい木造の船が何艘も展示されてあって。
山倉
ああ。五色台の展望台のところですかね。
──
あ、そうです。いやもう道具とか、すごいのが展示されてるです。で、仰るように、このでかい船を一艘つくるのにどんだけ手間がかかってるんやっていうのがありありと見て取れるわけですよ。あんな巨大な木をちょうなでコツコツ削っていって、組み立てて、っていうのが。使う道具も木造、縄とか、藁とか。「艪(ろ)」っていうんですか、船を漕ぐオールみたいなやつも僕のイメージの五倍くらい大きなもので。だから馬鹿でかい丸太を製材して形にするのにどれだけ手間暇かかってるか、体感として分かってないから簡単に壊しちゃうんだろうなって思ったんです。僕も船大工の仕事は今日はじめて知りましたから。
山倉
そういうことはあるでしょうね。今はもう、日常的に知る機会がありませんからね。

インタビュー

古いものと新しいもの

山倉
船大工さんもそうですけど、やっぱり職人というのはすごいですね。でもそういう技術を受け継ぐ人がいなくなってきてますよ。
──
はいはい。
山倉
左官屋さんにしても、乾式工法(※石膏ボードやサイディングなど工場で生産された部材を使う工法)がほとんどなんで、メシが食えないんですよね。
──
そうなんやー。
山倉
そのうち無形文化財になるんちゃうかなと。
──
うわー、そうか。伝統芸能みたいな。嫌やなー。
山倉
そうなる気がします。
──
うち、お風呂をタイル張りにしたんですよ。タイル好きやから。
山倉
おっ、いいねぇ。
──
その時に左官屋さんが喜んで。もうタイル張りなんて十年以上やってないって言ってウキウキしてはって。「えっそんななんですか!」って僕が逆にびっくりしたんですけど。そんなに減ってるんですか、タイルこんなにかわいいのにって。でもそれは湿式(※水を使いコテや刷毛を使って職人が塗っていく日本古来の工法)だから嫌がられるんですよね。ユニット入れれば簡単やし。
山倉
そうそう。
──
天井も自分で漆喰塗ったんですけど、でも全然そっちの方が表情があるし、豊かなんですよね。僕シャワー浴びながらいつも天井見上げますもん。
山倉
ああー、そうなんや。
──
荒れてる場所あって、あそこしんどかったなーとか、あそこの影がきれいやなーとか、タイルも釉薬のタイルなんで、あの角のあたりの表情が好きやなとか、あるんですよ。古民家の柱もそうですよね。人がたくさん触った部分とそうでない部分って、色味も違うし肌触りも違う。そういう豊かさがありますよね。
山倉
素晴らしい。今日、潰れかけの茶室を再生するのに意見が分かれて。古い建物の瓦をさら(新品)にするという意見が島の人から強く出たんですよ。さらにせんと寿命が短いと。
──
はい。
山倉
ところが、僕は反対やったんですよ。真っ新な帽子に、古い服は合わないですよねと。だからここは古い瓦はそのままで修理だけでいきましょうよと。そうすればコストも抑えられますと。なんとかそこで結論はついたんですけど…
──
分かります。
山倉
分かるでしょ。それを島の人みんなに伝えるのに時間がかかりました。島の人は、さらにすると綺麗じゃと。
──
そうなりますよねぇ。
山倉
大工さんまでそういう認識やからね。そんなこと言わんとおまえ、瓦きれいにしたらいいんじゃが、さらになったらええが、って(笑)。
──
(笑)
山倉
おいおいそう簡単に言うなよって(笑)。
──
あははは(笑)。うちの屋根屋さんはそういうのが分かる人で、僕が古い瓦を使いたいって言ったら「そうか。じゃあ雨漏りに関係ないところだけ使ったるわ」って言ってくれて。それで親方が雨の日も風の日も古い瓦の土を黙々と落としてくれましたよ。
山倉
いいですね。そういう人は今はもう少ないですよ。

インタビュー

古材と新材の試行錯誤

──
僕、新品の角が立った柱も、どうすれば自然に丸みを持たせられるか悩んでました。色味も、塗装すればいいってもんじゃないと思ってて、でもじゃあどうすればいいか分からなくて。
山倉
あのね、塗装もよく見ると、不自然なんですよ。
──
やっぱり。店舗とかで古色塗装はよくされてると思いますけど、自宅の柱は間近で毎日見るんで…
山倉
古民家を一部解体してやり直す時に新しい柱が来るわけですけど、私はホコリを集めて、それを水に浸けて、塗りつけたことがあるんですよ。
──
えーっ! そうなんですか。
山倉
うまくはいかんかったけど、さらのピンピンよりはずっとええわと。ホコリを吸って木は変わっていったんやから、同じようなホコリで経年変化させようと。
──
へぇーっ。
山倉
というのは、そこに塗装をするのが嫌やったんです。
──
はいはいはい。
山倉
自然塗料といっても、やっぱり塗料は塗料。じっと見ると違う。それが嫌やった。
──
いやあ僕、そんなこと言う人、自分しかいないと思ってました(笑)。
山倉
(笑)
──
僕、デザインやってるんで、色にめちゃくちゃうるさくなってると自分で思うんです。
山倉
そうなんや。
──
塗料はフラットになるんですよ。もちろん浸透系で木目は残すんですけど、ようするに柱だったら上から下まで同じ色だというのがおかしい。上は薄くて下は濃いとか、ムラが無いとおかしいんです。
山倉
僕も新しい柱を使わずに古びた柱を使ったこともあるんですが、そうすると今度は柱全体の色味が合わないんですよ。
──
あー、そうか、確かに。
山倉
同じ環境で経年変化した柱じゃないと。だからけっこうあちこち探したりして、苦労してますけどね。
──
いやー、工務店さんでそこまで分かってくれる方がいらっしゃるというのは、施主としてはほんとにありがたいですよ。
山倉
僕は逆に、そういうことをさせてくれるお客さんがおることがものすごくありがたいんです。
──
なるほどー。
山倉
古民家を再生するのと、昭和平成の家を再生する方法は全く違いますよね。
──
そうですね。
山倉
昭和平成の家のリフォームするといったら、現代の工法なんで、新建材のハリボテですよね。でも真壁式であれば自然素材である柱が味わい深く経年変化してますから、それを大事にしていきたいなあと思います。
──
昭和平成の家は、ただ単に劣化するんで、それを直そうと思ったら新品にするしかないんですよね。その感覚を、皆さん、古民家にも適用してしまってるんですよね。
山倉
古民家の材はすべて最後は自然に還っていくというか。土、木、石ですもんね。地中にいつまでも塩ビのナイロンが残っとるとか、そういうことは全くないんでね。人間が動物である限り、自然素材の中でしか暮らせないというのは、本来の人間の本能なんです。
──
なるほどー。そうですねえ。
山倉
変な病気が出始めたのは、ビニールなどの新建材が出始めて、建材が量産されるようになって、コスト重視、見てくれだけの家になってからだと思います。今の家がすべて悪いとは思いませんけどね、仕方ないところはありますけど、家にこんな換気扇ばっか付けて…
──
(笑)
山倉
こんなんは家と違うと。
──
そうですね(笑)。
山倉
なんで窓を開けないんですかと。古民家だと夏は庇があって、光を遮ってくれる、知恵で涼をとるという感覚があったんですが、人間はあまりにもぜいたくになりすぎて、感覚がボケてきてるんちゃうかなと。いつでもエアコン、車乗ってもエアコン、帰ってきてもエアコン、それでは抵抗力が弱くなる気がします。
──
はい。
山倉
それから木や塗り壁は空気中の水分を吸ってくれるじゃないですか。自然塗料の調整があるわけやけど、こういうビニールクロスなんかの新建材は自然と共生しないですよね。だから機械的に換気するわけやないですか。それでいろんな病気が発生する。マンションと戸建て住宅の病気の発生率が違うのも、静岡大学の有名なマウスの実験があって、動物である限り、木の家でないとすくすく育たないという実験結果があるんです。
──
ほー。
山倉
だからもうちょっとね、自然の材を、特に国産材を地産地消でね、なんでもかんでも安いからといって外国産入れるんじゃなくて、日本の木を使って、伝統建築を大事にして欲しいなと思いますね。

インタビュー

高齢化と健康寿命

山倉
最近変わってきたことと言えば、ドアから引き戸の文化になってきましたよね。
──
あ、そうなんですか。
山倉
というのは、高齢化で、ドアは入りにくいんです。トイレなんか特にそうですけど、身体を少し躱さないといけないし。
──
なるほど。
山倉
だから引き戸が新しい形で見直されてきていますね。あとは足腰が弱ってるから畳は減ったんですが、でも実は、床と椅子にしてしまうと、一日の運動量が1,000歩ほど違うんですよね。
──
へぇーっ。減るんですか。
山倉
減ります。畳に座ると、立つのが大変なんです。でもそれが運動になる。あと、昔の家はトイレに行くのもめんどくさいんですよ。冬は掘りごたつに入っているじゃないですか。そしたらね、トイレに行くのを我慢する。それは昔の古民家の欠点なんですが、そういう欠点は直して、家全体を暖かくしてあげて、健康寿命を伸ばすということも大事ですね。
──
我慢しちゃうんですねぇ。
山倉
トイレが寒い、お風呂が寒い、だからお風呂場で亡くなります。香川県は特に。平成27年にはその発生率が日本一だったんですよ。
──
えーっ。それはなんでですか?
山倉
香川は温暖だという認識があるんですが、あったかいのと暑い、冷たいのと寒いのとは違うんです。北海道の家は冷たいんですが、そうじゃなく、ブルブル震えるような寒い家というのが香川なんですよ。
──
ほー。
山倉
気温、室温じゃなくて、体感温度で身体に負担がかかるのは、寒い方なんです。冷たいのはピリッと肌を刺すんですが、意外と元気ですね。それに北海道の家の中はあったかくしてあるし。
──
そっかー。
山倉
昔の北海道は家の中で石炭焚いたり灯油焚いたりするから、病気としては気管支炎系が多かったんですが、香川は脳梗塞や脳溢血、お風呂場で血圧が下がって亡くなるケースが多いんです。だって寒いなかで我慢してやっとお風呂入ると、急激に血圧が下がる、目眩がする、そして気が付いたらお風呂の中でおぼれてたというケースは珍しくないです。
──
なるほどー。
山倉
だからそういうところはちゃんと改善してね。古民家でも健康長寿な家を目指せばいいと思います。木製サッシで隙間風だらけじゃなくてね、外側はアルミサッシ、内側は木製サッシにすればいいんです。それだけじゃ換気が悪くならないんで、換気扇はつけなくてもいいです。
──
はいはい。
山倉
まあ換気扇なんかも日本の役所がね、何か事が起きたら法律が変わるじゃないですか。そしたらこの国は必要以上に神経質になって、これを通さなんだら確認下ろしませんと。ようは民衆からのクレーム対策ですね。
──
そうですなんねぇ。本質的ではないですね。

インタビュー

餅投げのこと

山倉
金倉町というのがありまして、そこのお祭りは各家庭に獅子舞が行くんです。
──
はい。
山倉
その時に、この子はどこの子供やというのが分かってる。だから知らない人がいたら声をかけられる。でも都会でマンション暮らしで隣人の顔も見たことがなければ警戒もできない。
──
そうですね。僕も経験あります。
山倉
何かあったらご近所さんが駆けつけてくれる、それはおせっかいかも知れないけど、日本人のいいところでもありますよね。だから僕なんかは棟上げの時の餅投げを奨励するんですよ。
──
ああー。
山倉
近所の人たちを呼んで、手を打って、「みなさん、ただいまより〇〇邸の上棟式を行いますが、まずはご当主であられる〇〇様がご挨拶を申し上げます」って言って、ここに住む人はこの人ですよって、地域の人たちに顔を覚えてもらう。
──
はいはいはい。そういうのって大事ですね。
山倉
それで最後は私の方で「施工を担当します山倉建設の山倉と申します」「大工さんはこの方が入ります」と。
──
へぇーっ。
山倉
それでは皆さん、お怪我がないように、餅投げに入りたいと思います、といってご当主が餅を投げる。今までこれで盛り上がらなかった上棟式はただの一回もない。だからこれは絶対にいい思い出になるし、絆になるんです。
──
はあー。なるほどー。
山倉
その時に、山倉建設の家というのを皆さんが見るわけですが、だからこそうちの家は一回り大きい骨組みを使います。よそよりもワンサイズ上げてるんです。
──
そうなんですか。
山倉
木が丈夫になるということは、家の強さに関わってきます。基本的に丈夫な家というのは木が太いんですよ。
──
やっぱりそうなんですね。
山倉
ちゃちな家は細い。見てくれも悪い。壁を貼ってしまうと構造材というのは見えなくなるんですが、どことなく、どっしりしています。
──
あー。
山倉
風格があるのはそういう木を使った家です。
──
そっかー。

インタビュー

地震と古民家

──
すいません、最後にこれ聞いていいですか。山倉さん、ボランティアで東北の災害現場にずっと通ってらっしゃるじゃないですか。
山倉
はい。
──
あのね、地震のことなんですけど。現地で家の壊れ方を見てらっしゃると思うんですけど、古民家に住む時に地震についてどう考えればいいのかを教えて欲しいと思って。
山倉
あのですね、昭和46年に伊豆沖地震が起こったんですが、そこで土壁、竹を組んだ壁の家は損傷が少なかったんです。その時に私、初めて伝統構法に興味を持ったんですね。
──
へぇー。
山倉
それから時が流れて、阪神大震災の時、尊い命が失われる、財産が無くなる、そういう悲劇をもろに感じまして、やはり丈夫な家をつくるというのが、一番念頭に置かないといけないと思うようになりました。金額の高い安いは関係ないんですよ。
──
そうですよね。
山倉
阪神大震災の時も、上越地震の時も、東北、熊本にも行きました。それで分かったんですが、地震に対しては基礎が大事なんです。そういうポイントがあって、そこを押さえた家づくりというのを今うちはやってますが、まだまだ未曾有の出来事があるのでどうか分かりません。
──
なるほど。
山倉
あと古い家で壊れているのは、古民家じゃなくて昭和の家、それもメンテをやっていない家ですね。柱の根っこが腐っているとか、そういう家なんです。それもやっぱり外国材なんですよ。
──
ああー。そうなんですか。
山倉
ベイツガといってスプール素材で、白くて柔らかくてシロアリが好きなんです。そういう家は足元から折れたりしてます。
──
へぇーっ。
山倉
一方、昔から建ってる古民家はね、基礎がないんですが地震には強いですよ。東北でも新しい法律で建てられた民家と比べて、僕の記憶にある限りでは、古民家は損傷がそれほどなかったです。
──
おー。
山倉
断層がすぐ近くにあって、玉石(石の基礎)に乗ってる古民家は、揺られて瓦がずれてるけど、本体は損傷がなかったですね。揺られるけど壊れることはない。痛みは激しいですけど。
──
なるほどー。
山倉
古い時代の家って意外と柱が多いんですよ。一間も飛ばしてない。900ごとに入ってますから。それに木が太いし、上でがっちり組み込んでるから、そんな簡単に潰れるもんじゃない。
──
そうなんですね。
山倉
古いお寺は大空間があって柱が無いから潰れるんですよ。
──
ああ、そっかそっか。いや僕、お寺って柱が太いじゃないですか。でも地震の写真でお寺がぺしゃんこになってる絵とか見て、ああやっぱり柱が太くても関係ないのかなって思ってたんですけど。
山倉
頭でっかちでしょ。それに対して柱が少ない。だから屋根がそのまま落ちとるんですよ。
──
そうそう、そうなってます。
山倉
耐震性の高いお寺がどういう構造かっていうと、これは京都の大学が研究していましたが、やっぱりバランス良く柱が入っているお寺ですね。揺れを吸収できるんです。
──
そういうことですね。いやー、いくらでも聞きたいことがでてきますが、かなり長くなっちゃったので(笑)、ひとまずこの辺で。
山倉
はい(笑)。ありがとうございました。
──
ありがとうございました。

おわり

施工例







株式会社山倉建設

※直接お問い合わせの際は「クロニカを見た」とお伝え頂くと
何かしら良いことがある気がします。

設 立 1985年12月18日
資本金 2,500万円
代表者 代表取締役社長 山倉 康平
従業員数 24名(男15名・女9名)
事業内容 総合建築業(新築住宅・店舗の企画・設計・施工)
リフォーム(建替え・増改築・中古物件リノベーション)
不動産(不動産の売買・仲介及び管理)
事業所 【本社】 香川県丸亀市中津町756-5
【多度津事務所】 香川県仲多度郡多度津町大字南鴨4-3
【高松事務所】 香川県高松市林町6-35
【その他施設】
・多度津常設展示場 「和趣の家~れん雅~」
・高松常設展示場 「ふたつやね」 
・コミュニティ施設「どろんこ亭」
資格者数 一級建築士:3名
二級建築士:6名
宅地建物取引士:3名
一級建築施工管理技士:3名
福祉住環境コーディネーター2級:5名
シックハウス診断士補:1名
CASBEE戸建評価員:1名
2級FP技能士:1名
インテリアコーディネーター:5名
連絡先 【多度津事務所】
〒764-0026 香川県仲多度郡多度津町大字南鴨4-3
TEL:0877-32-6600 FAX:0877-32-6636
フリーダイヤル:0120-326-294

【高松事務所】
〒761-0301 香川県高松市林町6-35
フリーダイヤル:0120-326-294

【本社】
〒763-0054 香川県丸亀市中津町756-5

公式サイト https://www.arigato-yamakura.com/

【高松事務所】
株式会社山倉建設 /
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