古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

(株)建幸

全国古民家再生協会神奈川第一支部・支部長 石井 則幸

対応エリア神奈川県全域

神奈川第一支部の対応エリア神奈川県全域

古民家は楽しい。

古民家アイコン

神奈川県横浜市、(株)建幸の代表である石井さんは木造、鉄骨、RCなどの経験を積んだ大工さん。幼い頃に職人に憧れ、その当時は既に希少だった大工の墨付け・手刻みの技術を学びました。そんな石井さんが古民家に惹かれていった理由は、一筋縄ではいかない古民家に対する、職人としての楽しさでした。

インタビュー

神奈川の古民家

──
石井さんって、工務店さんですけど、元大工さんでしたっけ?
石井
現役ですよ。
──
え、マジで?
石井
現役、現役。ただ、現場に出るのが少なくなっただけ。
──
そうなんや。それは失礼しました。お仕事としては住宅ですか?
石井
住宅もやるし、今話きてるのが、新規の保育園。
──
へぇー。
石井
で、こっちだと保育園って店舗とか商業施設にあるじゃないですか。
──
? あ、そういうことか。
石井
商業施設の中にあるんですよ。
──
今一瞬何を言われたのか分からなかったけど、そうやわ。はいはい。
石井
で、その躯体がRCだったり鉄骨だったりとかで、その中にC工事、店舗の工事として入っていくんです。
──
すごいな、店舗工事になるんや、保育園とかが。そういうところって園庭とかあるんですか。
石井
ないんです。ほらよく外で、キャリーワゴンみたいなのに子供たちを乗せて押してるの見るでしょ。
──
あ、あれってそういうことか。公園とかに連れてってるんですね。いやー感覚が違いますね。
石井
こっちはあれが当たり前。
──
そっかー。古民家だって地域によって全然違いますもんね。神奈川って古民家残ってますか?
石井
それこそ来年から工事するけど、事務所から歩いて10分くらいのところにありますよ。
──
あ、まじで。
石井
この辺、横浜の人たちで、特に中心に近い横浜の人たちの古民家って地主さんが持ってたりするから、結構駅から近かったりとか、条件がいい。
──
あ、じゃあめっちゃいい古民家が残ってるんですね。
石井
逆にいい古民家が残りますね。それを施設に使ったりもするし。
──
なんか、その辺の感覚は全然こっちと違うなって思います。関東圏ってインテリジェンスが高い。こっちは速攻潰して商業ビル建てるんで(笑)。
石井
いやあ、こっちもそうですよ。
──
うーん、やっぱ一等地の使い方が、これは残さないといけないとか、これは売ったらすごいお金になるんだけど売っちゃいけないよねみたいな、そういう感覚が関東にはある気がしますよ。
石井
それはあるかもしれないですね。今一つ来てる案件で、そこそこ大きい土地があって、平屋で40坪あるんですよ。
──
おー、それはすごい。
石井
神奈川だと結構大きい方なんですね、平屋で40坪だと。で、それを壊さない人にだったら売るっていうオーナーさんがいます。
──
大阪だと4人くらい前に並ばせて、一番高く買うてくれるやつに売るわっていう(笑)。
石井
でもみんな建て替えしたいから壊したいんですよ。こっちは地べたの値段がついちゃうからね。すぐ壊しちゃおうみたいな。みんな発想はそうですよ。
──
まあそうですよね。だから普通の家は逆に残らないっていうか。大阪だったら普通の家が放置されて残るんです。でも神奈川とかだと、よっぽど残すべき家が残る。それに数も多いでしょうね。住人の数が圧倒的に多いので。
石井
そうなんでしょうね。
──
古民家はどんなように活用されることが多いですか?
石井
住宅ですよね。それと貸し施設。あとはコスプレイベントに使われたり、ママ友の集まる場所だったり。
──
人が集まる、近所の人がお茶するくらいの感覚っていいですよね。もともとみんなが集まるような造りになってますよね。古民家って。
石井
来年から着工するところなんかは、もともと踊りもやってた家で、日本舞踊家の有名な方の家で、舞台もあるんですよ。舞台の下にも瓶みたいなのをいっぱい置いて、ちゃんと響くように作られてる。
──
へぇーっ。それってオーナーが変わったんですか。
石井
いや、変わってないです。引き継がれたんですよ。
──
そういう物件って色々できそうで、すごく面白いですね。
石井
踊りをやらなくても、例えば誰か楽器を弾いたり、ライブしてもいいでしょうね。

インタビュー

木、鉄、コンクリート

──
石井さんは今までどういう流れで大工さんになられたんですか? 学校出て、いきなり大工さんとか。
石井
ちょびっとだけ高校に行ったんです。
──
ちょびっと。何年間かは訊かないでおきます(笑)。
石井
ありがとうございます(笑)。それで初め、大工の学校を調べたんですよ。そしたら職業訓練校があって。それが建築の組合に入っているところが運営している学校だったんで、工務店を紹介してもらったって流れですね。
──
じゃあもう大工歴は…
石井
もう35年かな? 今年で50だから。
──
すごいな。
石井
15か16の時ですからね。でも途中で大工じゃない時期もあったんです。
──
あ、そうなんですか。
石井
途中で、大きい商業施設なんかが入ってるALCっていう工事をやってました。
──
なんですかそのALCって。
石井
うーん、一番分かりやすく言うとヘーベルハウス。ヘーベルって、ヘーベルは商品名で、素材はALCパネルって言うんですよね。その工事やってました。
──
へぇー。
石井
だから鉄を扱えるんですよ。大工なんだけど。
──
なるほど。でもあれですよね、鉄とか扱えたら、逆に木のことが分かってきたり。
石井
あ、それはあるかも知れないですね。
──
ちなみに15、6の時ってもうプレカットはありましたよね。
石井
ありましたけど、俺が入ったところはやってないです。
──
おお。じゃあ、手刻みですか。
石井
うん。親方が墨付けして、それを刻んでましたね。
──
じゃあその時代に間に合ったんですね。
石井
そう。ギリギリ。
──
ね。その時代ってほんとギリギリ。別のところに行ってたらプレカットだったでしょうね。
石井
そうかもしれないですよね。

インタビュー

すべてに良さがある

──
僕は石井さんの二歳下なんですけど、前に同窓会やった時に、同級生の大工が「もう大手の下請けしかやってない」って言ってて。おやじさんが手刻みやったんですよね、今思ったら。そいつはもう今は倉庫も持ってないし、手間受けだけでなんかパッと行ってね、プシュプシュやって帰ってきてるみたいなことなんやろうなって。同世代でそれやから、ほんとちょうどその分岐点ぐらいですよね、30~40年前っていうのは。
石井
そうですね。
──
今のお仕事の割合ってどんな感じですか。
石井
リフォームが8割くらいかな? その8割のうち半分以上はマンションかな。
──
マンションリフォームか、今一番そうですね。手刻みを活かせる現場が全くない。
石井
でもこの夏前から一軒小田原で古民家を扱っていて、その時はいろいろやりましたよ。
──
そういうお仕事ってなかなか待ってても来ないと思うんですけど、協会に入られたのってそういうお仕事を増やしたいっていうのもありますか。
石井
なんとなくかな(笑)。
──
そこは「増やしたい」って言ってください(笑)。
石井
それで増えなかったらかっこ悪いでしょ(笑)。
──
いや、増えるでしょ。
石井
増えると思いますよ。相談来ますからね、やっぱり。
──
僕いつも言ってるんですけど、特に石井さんもホームページが無いじゃないですか。てことは、そもそも普通の人が探せないですよね、石井さんを。多分、神奈川で探してらっしゃる人いっぱいいるんだけど、その人たちもどうやって探したらいいかわからないっていう。昔やったら、例えばうちのおじいちゃんがいつも使ってる大工さんとか、そういう紹介は地続きであったんですけど、今もうそういうのが全部切れちゃってて、ずっと使ってた大工さんが引退しちゃうと、もうそこで完全に手がかりがなくなっちゃうんですよね。
石井
そうか。そういうこともあるのね。
──
全然あるっすよ! その次って行けないんですよ。だから、わかんないんですよ。大工さんの間では誰に頼めばいいかっていう情報は持ってるんだけど、お客さんは持ってないから。
石井
そっか。
──
馴染みの大工が腰悪くして引退したって言ったら、じゃあ、もうこの家も直せないから、家を建て替えようってなるんですよ。
石井
そうね。
──
結構僕、そういうケースを間近に見てるから、だから、神奈川やったら僕が直せますよって、うちに頼んでくださいよっていうことを大きく言ってあげないと。っていうのは思うっすね。
石井
いや、もう、そろそろ言わなきゃいけないですよね。
──
ほんとにそうすよ。だって神奈川、めちゃくちゃ需要あると思うんですけど。
石井
あると思いますよ。物件だって小田原の方も結構多いし、横浜でも、ちょっと外れた方に行けばまだまだいっぱい。農家やってる方も多いんで、横浜でも。
──
へぇー。古民家残ってるかどうかって、 Googleマップの航空図で見るんですけど、今ちょうど石井さんの事務所付近を見てるんすけど、いやでもめちゃめちゃ市街地やな。
石井
でもど真ん中にありますよ。でかいのが見えると思います。
──
まじっすか。まあ数自体は鎌倉とか…
石井
あっちの方が多いですね。でも鎌倉の方は借地が多いって聞きますけどね。
──
そうなんですね。いやでもやっぱ都会やな。これは。
石井
同じ横浜でも、例えば戸塚区とか、青葉区、都筑区とか、ちょっと離れると結構あると思いますよ。仕事で走ってても、おお、立派なのあるじゃん、と思いますから。
──
へぇー。
──
もうでもあれですよね、石井さんが最初に墨付けして建てた家とかが、そろそろ古民家扱いされてくる時代ですよね。
石井
(笑)在来工法だけど墨付けて、真壁でやってますからね。
──
そういう家についてどう思われます? やっぱ一番いいんですか。
石井
うーん、うちは木も扱うけど、鉄も扱うしコンクリートも扱うし、だからすべてに良さがあると思ってますよ。
──
ほー。
石井
やっぱりさっき言ったALCとかもALCの良さがあるだろうし。鉄骨は耐震には強いのかもしれないし。
──
そうなんですよ。僕はブログで古民家いいですよって言うんだけど、実際のところ、じゃあマンションが全然ダメなのかって言ったら別にそんなこともないよねっていうのは、一応ちゃんと言ってはいるんですけどね。
石井
そうなんですよね。

インタビュー

古民家は自由

──
石井さんの思う古民家の良さっていうのはどんなところですか。
石井
やっぱり直してたりいじってて楽しいのは楽しいですよね。職人の立ち位置だから。ごめんなさいね、住むというよりも作ってる方、直してる方だから、見方が。
──
そりゃそうすよ。
石井
古民家なら例えばこういう風な方が見栄えがいいよねとか、こっちが丈夫だよねとか、そういうのもやっぱ考えてるから、その一つ一つにおいて自由にやり方を考えられるのが楽しい。
──
発想が自由にできるんですよね。だから誰がやっても一緒、にはならないと思うんです。
石井
それはあるかもしれない。例えばうちみたいな会社やってて、俺が作るのとうちの職人さんが作るのもまた微妙に違ってくると思うし。
──
それって材料の選び方とかですか。
石井
というより、見せ方とか、うーん、例えるのが難しいんだけど、たぶんお互いに思ってると思うんですよ。
──
ほー。
石井
今ね、うちで働いてる職人さんって俺の親方なんですよ。親方に教わった仕事なんだけれども、俺は他のところもいろいろ仕事見てきて、いいものを取り入れようとしてるから、やっぱり親方に頼んでやってもらったものに対して、俺だったらこうするなっていうのはありますもんね。
──
料理人と結構似てるかなって今ちょっと思ったんですけどね。料理人も同じ師匠でもやっぱり自分なりのやり方とか味付け、アレンジとか見せ方とかが変わるじゃないですか。
石井
それは同じかもしれないですね。
──
でもそういうのって表からじゃ分かんないですよね。石井さんの会社名でヒットするサイト見ても「地域に根ざした…」とか書いてるだけで。
石井
それは勝手に書いてくれるんですよ(笑)。
──
そのサイト見た人が、まさかこの会社が手刻みできるなんて思わないですよ。
石井
(笑)
──
そこはね、僕が言ってあげたい。手刻みが資格としてあればうたえるんですけどね。
石井
一応、大工の技能士もあるじゃないですか。今も昔の試験と一緒なのかな。二級が確か椅子を造るんですよね。
──
へぇー。
石井
四方転びっていう、四方向に田の字になったような椅子を作ったはず。二級技能士って。
──
でも椅子作っても、素人からすれば家具やんって。家と結びつかないですよ(笑)。

インタビュー

職人さんをずっと見ていた

石井
今、家具って出たけど、俺が大工になったきっかけが自宅の建築だったんですよ。職人を見て、小学校の時にかっこいいと思ってそれで大工になったんだけども、大人になってよくよく考えてみたら、あれは家具屋さんだった。
──
へぇーっ。
石井
家具職人を見て、かっこいいと思ったんですね。
──
あ、じゃあ親御さんは違う職業なんですか?
石井
税理士。
──
まじか(笑)。よくその道を選べましたね。
石井
まあ自由な生き方をしてきたんで(笑)。
──
でも珍しいですよね。何もないところからそっちに行くっていうのは。
石井
ね。何か惹かれて見てた……ずっーと見てた記憶があるわ、家を作っているの。
──
子供って面白いなあ。何かあるんでしょうね。運命の出会いみたいなのが。なんか出会ってしまったんだなぁ。
石井
たぶん。
──
だから30年以上も続くんですよね。
石井
これしかできないからじゃないの。
──
いやいや、そんなことない。だって中心にめっちゃ好きっていうのが絶対あるじゃないですか。
石井
まあ、そうですね。
──
僕はやっぱそういう人に仕事してもらいたいなっていつも思うんすよ。
石井
俺もよくやってるなと思うもん。親父みたいなデスクワークは嫌だっていうのもあったんだけど、今はもう、デスクワークの方が多いもんね(笑)。
──
今何人か職人さんいらっしゃるんですよね。
石井
今は4人いますね。
──
4人でしょ。4人って結構多いですよね、規模的に。その方々っていうのはどうなんですか、大工としては。
石井
2人は大工さん。1人は親方だし、1人もまあ、半分俺の親方みたいな人。で、あと2人は若いんですよ。1人は20いくつで、もう1人は30ちょっとね。
──
やっぱ手刻みを教えてるんですか。
石井
いやあ、まずは現場を教えないとね。逆に自分も頑張んなきゃいけないなと思って。
──
いいことですよ。
石井
さっきも言ったけど、やっぱりね、うちはRCや鉄骨があるから。木だけじゃなくて軽量とかも必要になってくるから、仕事としては。軽量の工事も教えなきゃいけないなとか。
──
それが石井さんのところに入ったメリットですよね。いろんなことを体験できるっていうのは大事ですよ。
石井
そうね。それで逆に古民家の良さも分かってきますもんね。

インタビュー

直し方に正解は無い

──
今やってる古民家の現場っていうのはどういう工事なんですか。
石井
2階はほぼフルスケルトン状態にしてからのやり替えです。
──
すごいな。築何年くらいですか?
石井
古い部分で何年くらいだっけな。増築増築で結構ぐちゃぐちゃになってるんですよ。よくあるパターンで。
──
増築に対してはどういう考え方ですか?
石井
俺は別にしょうがないのかなと思う。やっぱり使い勝手が年々変わるだろうから。家族が増えればそれなりに部屋も必要になってくるだろうし。
──
僕の少ない経験なんですけど、増築した方が先に傷んでいくっていうイメージなんですけど。
石井
ああ、うん。雨漏りもそうだし、やっぱその古いものと新しいもののつなぎ目、そこらへんは弱いですよね。揺れも変わってくるし。
──
そういう増築に対する石井さんの方針ってありますか。
石井
それは建物によって違うんじゃないですか。これがいいっていう正解はないと思うから。
──
なるほど。
石井
だからさっきの話で、大工は楽しい、古民家は楽しいっていう話になってくると思うんですよ。
──
ああ、そっか。
石井
現場すべてが違うから。そのたびに頭を使わなきゃいけないから。
──
そっかそっか。
石井
それで正解はないと言いつつ、あるとも思ってるし。
──
それってめっちゃ個人プレーでしょ。だから、その人のすごいレベルに左右されますよね。
石井
そうね。その人の技術力の問題も出てくるだろうし。
──
だって、言われたまんまやる人だってもちろんいっぱいいるわけやし。お施主さんがこうしてくれって言ったら、はいわかりましたって言って、それをやるのが一番簡単じゃないですか。
石井
うん。
──
だから建物側に立って考えられる人と、そうでない人に分かれるなと思ってるんですよ。
石井
この建物に関してはこういう方向性がいいだろうって、それを分かってあげられるのも大工の実力ですよね。
──
なんか今日、石井さん真面目ですね。
石井
飲んでないんだもん(笑)。
──
元気無いから、なんかインフルエンザなんかな?とか思いましたよ(笑)。
石井
大原さんとはお酒が入った時しか会ってないからね(笑)。
──
まあそんなこんなで、あっという間に時間です。いろいろお話ありがとうございました!

おわり

施工例







(株)建幸

※直接お問い合わせの際は「クロニカを見た」とお伝え頂くと
何かしら良いことがある気がします。

代表 石井 則幸
住所 〒233-0007 神奈川県横浜市港南区大久保2丁目3-15 アン上大岡B-4
TEL. 045-843-8686
FAX. 045-349-7733
資格 1級建築施工管理技士 2級建築施工管理技士 2級管工事施工管理技士

(株)建幸 /
全国古民家再生協会神奈川第一支部への
お問い合わせはこちら

古民家をお探しの方、直したい方、状態を調査したい方は
このフォームからご連絡ください。

    お名前

    ご住所(任意)

    メール

    電話

    内容

    ※情報はSSLによって暗号化され、安全に通信されます。

    pagetop