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有限会社 大森大工

全国古民家再生協会滋賀第一支部・支部長 大森 敏昭

対応エリア滋賀県長浜市、米原市、彦根市

滋賀第一支部の対応エリア滋賀県全域

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古民家アイコン

24で一人前の棟梁として独立後、伝統工法の家を数多く手がけてきた大森大工代表の大森さん。立派な古民家が建ち並ぶここ滋賀県長浜市で鍛え上げられた、いわば古民家のスペシャリストです。そんな大森さんにたっぷりと語って頂きました。

インタビュー

丁稚奉公、そして独立

──
今日はよろしくお願いします。まず、大森さんの、今に至るまでの道というか、沿革みたいなものをお聞かせください。
大森
わしらの時代は中学生が140人おって、100人は進学したんよ。
──
はい。
大森
残り40人は訓練所に行くか、就職したんです。そんでわしは15の時に丁稚奉公に行った。
──
へぇー。
大森
それで8年は親方のところにいて、それから独立した。24の時かな。
──
24で独立ですか。早いですよね。
大森
いや、丁稚奉公の5年目くらいで、墨付けして自分で刻んで、一軒建てられるようになってたんよ。
──
えー!
大森
ところが自分で建てて、施主さんが喜ばはっても、建てた棟梁の名前は、そことは別の仕事をしてた親方の名前になる。俺の名前なんか一つも出てこない。
──
ああ、ありそうですね。
大森
建前でも、建前したその晩にはみんなでお祝いするんやけど、床柱から上から下向いて一番ど真ん中に座るのもうちの親方。で、その同級生とか、連れとか、「結い」の世界で助け合ってた親方同士が年功序列でずらっと座るんやけど、俺が一番下の席なんよ(笑)。わしが建てた家やのにおかしいと思って、そういうのもあって独立した。
──
旧社会のしきたりですね。
大森
で、その時に借金して、200万円借りて、土地買って工場建てた。それをたまたま前に仕事させてもらった施主さんが知って、うちの家を建ててくれんか?と。
──
おー。
大森
俺の仕事をじーっと見てはったんやろうな、「お前に惚れたから」と。それが25くらいの頃です。初めて棟梁として、棟上げさせてもらった時のこと。
──
はあー。
大森
その頃は朝から晩まで働きましたよ。弁当2個持ってたよ。昼飯食って、夕方にまた食って、8時9時まで。現場で寝たこともあるし。カンナくずの中で(笑)。
──
すごいなー。

インタビュー

奥様との二人三脚

大森
その頃にね、ちょうどうちの嫁さんが子育て終わって、手伝いましょかと。
──
おお。
大森
最初はゴミ掃除担当やったんやけど、そのうち色々上手になってきよって。
──
(笑)
大森
下地は全部彼女がやってくれてた。
──
え! そうなんですか。
大森
この辺でちょっと有名やったよ。女大工で。
──
すごいなあ。
大森
でも、田舎やからね。床の間にも下地をやってもらうんやけど、施主さんから「女が床の間に乗るな!」と怒られた。
──
えぇ…すごいっすね…
大森
まあそんな差別もあったんやけど、二人でがんばって、冬は現場にコタツ持ってってな、二人で弁当食べてな。何年もそんなことやっとった。
──
なるほど。
大森
そうしてるうちに山下(お弟子さん)が来て、後を継いでやるって言いよるから、じゃあ会社にしようと。それから山下が色々資格も取ってくれて、設計から宅建から。おかげで今うちは全部やれます。

インタビュー

守り続けた伝統工法

大森
まあそういう流れで今に至ってるんやけど。でもうちが良かったのは、伝統工法をやり続けたのが良かったんやと思う。
──
そうですよね。ほとんどがプレカットになって、伝統の技を捨てていく中で。
大森
一時、世間全般で仕事が全部止まった時期があって、もう下請けしようと思ったもん。
──
ああ、そうなんですね。
大森
それで大手の下請け募集に応募したんやけど、資本金やら何やらで落とされた。でもそれで正解やったね(笑)。
──
(笑) でもそこって運命の別れ道ですよね。僕の実家の隣にねじり鉢巻きしてる大工さんが住んでて、工場もあって、僕もその人が毎日カンナがけしてる姿を見て育ったんですけど、その息子さん、僕の幼なじみですけど、彼がやっぱり大手の下請けに…
大森
入っちゃったんか。
──
はい。それきり看板下ろして、工場からカンナ屑が消えて。
大森
当時はほとんど全員が下請けしとったなあ。その人たちはもう今はみんな辞めてしまいよった。歳とってきたら、使ってもらわれへんから。
──
ああー。そうなりますよね。
大森
俺はその点良かったな。ずっと歩いてきて、振り返ったら誰も伝統工法できる人間がおらんようになってたから。今は「古民家」が時代に求められつつあるけど、古民家のことやったら何でも喋れるし、何でも分かるし。
──
ですよね。
大森
それにうちの親方は「滋賀県だけではあかん」て言うとった。「北海道に行っても通用する職人になれ」と。
──
ほおー。
大森
全国どこでも仕事ができるようになれって言われてた。そやから、全国どこでも家が建てられるようになったもんな。
──
そうなんですか!
大森
うん。沖縄でもやりまっせ(笑)。
──
すごい。
大森
でも今の若い人はそういうのが少ないな。だから若い子に色々教えとるんよ。
──
やっぱり叩き上げというか…「女を床の間に乗せるな」っていうような人が施主さんなわけじゃないですか。そんな地域で大工やるって、恐ろしいですよね。
大森
そうやね。
──
当時の施主さんのレベルっていうか。そういう人たちを相手に家建ててたっていうのが。
大森
農業してる人が多かったから、仕事終わってから現場来るでしょ。椅子に座って一日じーっと見てはるで(笑)。
──
(笑)
大森
ここらはパチンコにも行かれへんし、遊びもないし。
──
そっかあ。

インタビュー

地元の素材でつくられた家

──
木のことや、大工の技術について教えて欲しいんですけど、僕も大工さんから「木表と木裏」の話から教え込まれて…「木表が分からん」ってすごい笑われたんですよ(笑)。
大森
(笑)
──
だから僕ら施主側が知ってることってほんとに一部で、基本的に木のことなんか全然知らないんやなと痛感したんです。僕もかなり勉強したつもりだったんですけど。
大森
木表は知っとかんとあかんなあ(笑)。木表木裏は反り具合が違うんで、造作にしろ構造にしろそれを見ながらやらんとあかんし。
──
そう言われました。
大森
一番狂わないのは、その土地に生えてる木なんよ。同じ土地で季節を越えてきてるから。これが一番理想。でもそんなわけにいかんので、なるべくその土地に近いものを使う。滋賀で九州の木を使うと割れる。
──
へえー。
大森
だから外国産なんか狂うに決まってるやん。それを接着剤でガチガチに固めてるから保つけども。
──
なるほどなあ。
大森
昔は荒壁でも、自分で田んぼの土を一年間スサ入れて寝かして、二年くらいかかって作ってたんや。それが理にかなってた。瓦も自分とこの近くの土で焼いてた。
──
瓦もですか。
大森
うん。この近くにも瓦屋さんがあったよ。それを余所から安い土を持ってきて作るもんやから、雪が降った時に凍って割れたりする。
──
知らなかったです。
大森
この辺はそうやって全部地元の素材を使って建てられたいい家がたくさんある。
──
そうなんですよ。ここに来るまで車で走りながら、この辺の家すごいなーって思ってました。
大森
お金をすごいかけたというんじゃなくて、いい材料で作られてる。でもそれが今どんどん潰されてるからね。
──
ほんともったいないですね。
大森
庭の前栽なんかもこの地域の型があるんです。そういうのもお伊勢さんとかをみんなが見に行って、それで地元に持って帰ってきて、独自の型を考えはったんやね。料理もそう。建前でよばれる料理も実は、この辺の料理人が京都で修行を積んで、帰ってきて、自分たちが持ってる材料を使って、滋賀県のお膳を作ったんや。
──
なるほどー。
大森
それの大きなものが「家」やね。そういう文化の真ん中にあるものが。
──
あの、絶対そういう方が面白いですよね。建てても住んでても。「地域性」って簡単に言うけど。
大森
簡単に言うけどな。
──
歴史と、人の知恵と。
大森
まあ、昔のことばかりやっててもあかんけど。時代の流れがあるんで。やっぱり床暖はええで。
──
(笑)
大森
やっぱりエアコンもいる!(笑)
──
(笑)
大森
まあそういう良いもんも入れて、昔の良いもんを守っていく、そういう家がええわな。
──
古民家の良さを殺さなかったら、ええとこ取りできますもんね。
大森
よし、あとは現場でしゃべろ!
──
(笑)

インタビュー

(施工中の現場に到着)
──
おおー。これはまた立派なお家ですね…
大森
あの書院、ちょっと上げたんや。
──
え。
大森
基礎から30cmくらい上げて、廊下につなげたんよ。
──
そうなんですか! うわ、ほんまや。
大森
この書院も潰してしまうとこやったけど、直したら使えるから。
──
よく残しましたねえ。あとこの大黒柱もすごいですね。
大森
この辺は川がいっぱいあるから、材を一旦琵琶湖に流して、そこから大きい木をいくらでも舟で運べたんや。そういう文化があった。
──
なるほどー。
大森
隣の新築も見る?
──
ぜひ。

インタビュー

大森
これは元々あった柱を削り直して、継いで使ってる。
──
職人技ですねえ。

インタビュー

大森
これは「割り鴨居」。壁を二つに割るから。これ一本入れることで、全然風格が変わってくる。
──
へぇー。
大森
まあ、そんな昔のええ部分と、今のええ部分が混ざった家やな。
──
なんか純和風の家って、おじゃましま~すって入った瞬間、気持ちいいんですよね。なんでやろ。
大森
それはこの家も田の字やからちゃう? 壁も建具もないから。
──
あ! そうか、ほんまですね。そこですね。いやー、いいお家です。

おわり

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有限会社 大森大工

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所在地 〒526-0102 滋賀県長浜市落合町640番地2
TEL 0749-72-3908
FAX 0749-50-1081
資格・認定 ・建設業許可(般-26)第61343号
・宅建業許可(1)第3480号
・一級建築士事務所 滋賀県知事登録(イ)第2417号
・宅地建物取引士
・一級建築士
・第二種電気工事士
・伝統資財施工士
・古民家鑑定士1級
・古材鑑定士
・古物商許可
・応急危険度判定士認定
・eo光取次店
業務内容 ・一般建築の設計/施工/管理/販売
・土地・建物仲介
・古民家鑑定 古材鑑定
・スカイライトチューブ設計、施工、販売、管理
登記年月日 平成16年1月8日
資本金 900万円
代表者 取締役社長 大森敏昭
公式サイト http://www.oomori-daiku.com
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