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有限会社ピュアホーム

日本伝統再築士会岐阜支部・支部長 堀 行夫

対応エリア岐阜県養老町、垂井町、関ヶ原町、海津市、大垣市、池田町、揖斐川町、大野町

岐阜支部の対応エリア岐阜全域

「思い」と「知恵」を後世に残したい。

古民家アイコン

岐阜県養老町に生まれ育ち、養老の活性化に意欲的に取り組む堀さん。1300年の歴史ある養老にはたくさんの古民家が残されていますが、今はその財産を有効活用できているとは言えない状態だそうです。由緒ある老舗旅館「千歳楼」の修復工事を皮切りに、大きな問題へ一歩ずつ取り組んでいくその思いを語って頂きました。

インタビュー

古民家が理解されていない

──
堀さんは「日本伝統再築士会」の岐阜支部の支部長をされているということですが、この「日本伝統再築士会」っていうのはどういう団体なんですか?
伝統再築士会っていうのは、ようは建築士会の逆の存在なんです。
──
ほー。
昭和25年に建築基準法によって在来工法の家がつくられるようになったんですが、その建築基準法以降の建物については既存の建築士会、建築事務所協会というのが管理する。ようするに現行法にのっとった建物を扱うのがそういう団体なんですね。
──
はい。
私も一級建築士の資格を持ってますので建築士会の世界も承知していますけど、伝統再築士会というのは、それに対して建築基準法以前の建物、つまり「古民家」に特化してそれを扱おうとする団体です。
──
ああ、そういうことですね。
建築士の方は我々のことを知らない方もまだ大勢いらっしゃると思うんですが、国交省からも応援を頂いている団体で、私は岐阜県を担当させて頂いているという形です。
──
なるほど。あの、普通の建築士の方で、古民家の構造をきちんと理解されてる方って、感覚的にどれくらいいらっしゃる感じですか?
まあ、ほとんど、古民家再生協会会員以外の方は、知らないと思います。
──
え、そうなんですか。
私も建築士会にも行きましたし、皆さんの前で古民家の構造なんかをお話しさせて頂くんですけど、皆さん技術的なことより「そんなので儲かるの?」「やってけるの?」と。
──
はいはいはい。
まあそこは口で反論してもしょうがないところですけど。私、伝木(伝統的構法による木造建築物状況調査技術者講習)の講師もやってまして、毎月講演をやるんですけど、たまに建築士さんがいらっしゃった時に古民家のお話をさせて頂くと、「そうなんですか、知らなかった」って喜ばれたりします。
──
へぇー。
でもそういうのはまれで、結局ほとんどのケースで、昭和25年以前の建物についても同じように現行法に合わせて下に基礎を作って、耐力壁を増やして…ってなるんですが、そんなことしなくてもいいんですよと、我々は国交省認定の団体で、こういう理論があるのでこうすればいいんですよって言っても、なかなか信用してもらえないんですね。
──
あー。僕も施主の立場ですけど、古民家に住むって言ったら全員に反対されましたね。設計士さんにも反対されました。だからそういう根深い先入観がまずあるんですよね。
そうです。
──
でもそれって、単に知らないだけなんですよね。
そうそう。
──
古民家のこともちゃんと知った上で、比較検討して、というのではなく。
最初から「ダメだ」と思ってるんですよ。だって「既存不適格建築物」ですから(笑)。
──
そうそう(笑)。
その名前で呼ばれた瞬間、この建物はダメですというレッテルを貼られてるようなもんですよ。
──
あの名前がほんとよくないですよね。
それでまたね、素晴らしい建物があったらあったで、これは別格やと。
──
あー。確かに。
有名な建物、素晴らしい建物、これは貴重なもんだから大事にしなさいと。でも民家はそこらじゅうにあるんだから、こんなもんはどうでもいいと。
──
めっちゃ分かります(笑)。
それは私の上の世代、今のトップの方々がそう思ってるんですよ。だから私のこういう話も聞いてもらえない。
──
なるほど。
何か自分たちの仕事を取る連中なんじゃないかとか、仕事が減る、って言われたこともあります。
──
なんか根っこが損得勘定だったら、話が最初から噛み合いませんよね。まず最初に古民家が好きだ、残したいっていう気持ちが根っこにあって、その上でビジネスにもなればいいなって思ってるのが再生協会の皆さんだと思うんですけど。でも普通はビジネスが第一ですよね。
好きというか、もったいない、技術がすごい、そういうところを見てしまうと…簡単に壊すわけにいかないんですよね。
──
はい。
岐阜県、近所にもいっぱいいい建物が残ってるんですよ。今回やらせてもらった「千歳楼」もそうですけど、でもみんなお金の話になると「しょうがないじゃん」って言うんです。でも、そこをどうにか諦めずに考えていかないといけないんです。
インタビュー

「千歳楼」の修復工事

──
今ちょっと出ました「千歳楼」ですけど、これはクラウドファウンディングで資金を集められたんですよね。
ええ、クラウドファウンディングやらせて頂いて、おかげさまで250年前に造られた「薬湯風呂」の修復ができまして、完成披露の開湯式というのをやらせて頂いたんです。
──
へぇーっ。
メディアにも取り上げて頂きましたし、いろんな方がいらっしゃったんですけど、ほんとにね、皇族の方、文人などもお見えになった築140年の素晴らしい建物です。そうして今はお風呂がきれいになった。でもお部屋やトイレは古いままです。そういう古さの価値を分かって頂ける方には、かなりのポテンシャルを秘めた建物なんですよ。
──
なるほどー。
またこれからも補修は続くんですけど、地域活性化という意味も含めて、またみんなで盛り上げて、その魅力をひろく発信していきたいですね。またこれをモデルケースに、別の空き店舗、空き旅館のオーナーの方々を救うことができればいいなと思います。
──
いや、素晴らしいですね。僕も旅行先でそういう建物によく立ち寄るんですけど、建物は素晴らしいのにだいたい老朽化してて、直す体力がないのかなと、これたぶん10年20年後に潰されるだろうなって思うんですけど、じゃあ自分が何かできるのかって何もできないですから。誰も何も言えないんですよ。
言えないですね。行政も言えないです。
──
そこに切り込んでいって、実際本当にお風呂をきれいにするって、もう限られた人にしかできないですよ。
これはもう、なんというか、使命感というか。やらざるを得ないというかね。それに周囲の方々のご理解と、多大なるご協力がありましたから。
──
ああ。
そこにありがたいことにちゃんとお金がついてきて、行政にも理解・応援頂いて、それで実現したんです。
──
なるほどー。
浄化槽ひとつにしても、排水をどうするのかって、町にも県にもご協力頂きましたから。
──
へぇー。
周りも木が生い茂って、樋が詰まったり雨漏りの原因になったりして大変だったんですけど、国有地なんで、勝手に木が切れないんですよ。
──
えっ、そうだったんですか。
それでこれまで放置されてたんですけど、今回いろんな方面からお願いしたら、もう一気に切ってくれましたから。何十人も来て、レッカーも3日来て、それでタダですから。
──
(笑)
でも千歳楼を良くするということは、養老町の観光資源を増やすことになりますし。養老公園ってできて140年なんです。千歳楼も築140年。同時にオープンしたんですよ。
──
ほーっ。
千歳楼は250年の歴史があるんですが、140年前に養老公園のオープンに合わせて移築されたんです。
──
そうなんですね。へー。
その140年の間に伊勢湾台風、濃尾地震があったんですが、それに耐えた建物ですから。ぜひともお越し頂きたいですね。たぶんびっくりすると思います(笑)。
インタビュー

1300年の歴史を誇る養老町

──
養老町って歴史のある土地だと思うんですけど、古民家は残ってるんですか?
文化財とか、名所的な古民家はあまり無いですね。住宅としては残ってますけど。養老町って、1300年ほど前に、養老っていう年号があったんです。
──
ほー。
で、養老っていう地名はその前からあるんですよ。飛鳥時代後半の717年が養老元年なんですけど、奈良から天皇が養老にお越しになって、それでここは素晴らしいと。その後奈良に帰って、年号を「養老」に変えるぞっていうことになったんです。
──
まじですか。すごいな。
養老の滝も当時あったと思いますし、人はいっぱい住んでたんです。だから代々続いている家は多い、すなわち古い家も多いですよね。
──
なるほどー。
そういう歴史とかをご存じない方も多いです。「養老の滝」って言うと「居酒屋ですか?」と。
──
(笑)
まあそっちの方が有名ですから。
──
そんなことはないですよ(笑)。
他にも色々見所があるし、中部地区の方々はそういうことを知ってるんですけど、区外の方に知名度が低いんですよね。皆さん来られてもほとんどが日帰りなんです。
──
あー、そうかもしれない。
泊まらないというか、泊まるところもないんですよね。でも素晴らしい古民家がたくさんあるんで、それを民泊に活用できるって思ってるんです。
──
なるほど。
他にも100年以上の歴史のある養老鉄道というのもありますし。歴史がすごいんですよ。千歳楼だって、大正天皇、明治天皇がお越しになってますし。
──
え、すごいな! でもそういうレベルの建物が老朽化で壊されつつあるんですね。
そうなんです。ところがその事実を地元の若い方がまったくご存じない。教育がなされてないんです。そういうことも学校でちゃんと教えるべきだと思いますね。我々が住んでいる土地は1300年続いてるんですよと。奈良時代より前ですよって。
──
そうですよねえ。
今は高速のICもできたし、交通の便も良くなってるんでね。ぜひお越し頂きたいと思います。でも、泊まるところないんですよ(笑)。
──
(笑)
インタビュー

10年通い続けた京都

──
堀さんは、生まれも育ちも養老なんですか?
はい。養老です。うちの親父が大工だったんです。
──
へぇー。
もうずっと古民家ばっかりやっていた大工です。手刻みの仕事だけをやってきた、プレカットはやったことがないという。
──
はいはい。
やっぱりそれをずっと見てきたから、私も影響を受けたんだと思うんです。そういう世界が好きだし、この木がどうとかこうとか、やっぱり私も言いたくなるタイプなんで(笑)。
──
(笑)
子供ながらに昔から職人さんの仕事を見ていましたし。それで神社仏閣も好きなんです。私が設計事務所に入った時にたまたま神社仏閣の工務店が近くにあって、そこが有名で、京都の仕事をやってたんですね。
──
え、すごいじゃないですか。
知恩院、智積院とか、そういう大きいところから小さいところまで、10年くらい設計やらさせて頂いて。
──
そうなんですか!
やらせて頂いたっていうか、棟梁に教えてもらいながらですよ。当時何も知らない若者でしたから。それで10年間、京都に通ったんです。
──
へぇーっ。
あとは数寄屋建築も好きで、色々見させて頂いて。だからそういう知識を活かせる仕事がしたいと思ってたんです。そういう時にたまたま全国古民家再生協会と出会って。
──
そうだったんですね。
そういうベースがあるから、こんなことやってると思うんですよね。私、今どきの高気密高断熱の家も建ててるんですけど、それとは全く違う正反対の家もやりたいんです。
──
はい。
究極的な理想は、古い建物なんですけど、目に見えないところで高気密・高断熱を実現した家をつくりたいんですね。見た目は古民家で、実際はすごい省エネの家。そういうリフォームをやりたいんです。
──
はいはいはい。
やっぱり昔ながらの家でも、冬が寒すぎるとか、夏が暑すぎるとかはいかんと思うんです。単に昔のまま再現すればいいというわけではなく。
──
僕自身は小さい新築を建てたんで、いいとこ取りしてるんですけど、その快適さのポイントって人によって色々ですよね。でも古民家ってガチガチに断熱もできるし、いろんな人の好みに合わせられるのがいいなと思います。
今の若い方はアウトドア好き、バーベキューしたいという方も多いと思いますけど、土間をそういう風に使って、住居スペースはちゃんと断熱してあげるとかね。
──
そうですね。うちもそんな感じです。
あとキャンプといえば養老はキャンプ場が多いんです。オートキャンプとか。
──
あー、なるほど。
景色もいいし、環境もいいですし。なのでそういう自然志向の方が古民家に住まわれて、休日は外で自然を楽しむという生活も提案したいですね。
インタビュー

思いが込められた家

──
最後にちょっとご質問なんですけど、堀さんにとっての「古民家の好きなところ」をお伺いしたいなと。
やっぱり、家に歴史があるところですね。おじいさんが、これを建てるんだと、先祖代々に残していくんだと、そういう思いを柱一本、梁、間取りとかに込めるんですよね。
──
ああー。
そういう思いがいっぱい詰まってると思うと、そういうところに携わってることのありがたさと、いい加減な仕事はできないという使命感を感じます。
──
はい。
木は100年、1000年保ちますんで。そういう風に建てた人の思いを、後世の若い人たちがちゃんと汲んであげることができれば、いい循環が生まれると思うんですよ。
──
そうですねえ。
よく梁に名前が書いてたりするじゃないですか。あれこそ地域と一体となってつくった証拠ですよ。今の家みたいに勝手に建てたんじゃなくて、みんながお手伝いにきて一緒に建てていたんですね。商売というわけじゃなくて、その家のためにみんなで作り上げたものなんですよね。
──
ええ。
新築だったらそこから歴史がスタートするわけです。私がお仕事させて頂いた中でも「この家を新築するために50年お金を貯めてきました」っていうおじいさんがいらっしゃったんです。
──
はーっ。
孫のために、若い頃からぜいたくをせず、苦労して、節約して貯めてきたんだ、これを建てたら私は死んでもいいんだと、金額でいうと4000万円だったんですけど、現金で頂きました。
──
すごいなー!
それで建てたんですけどほんとに喜んでもらって、これでうちの家も孫の代まで100年は大丈夫だと。現金だからローンの心配もないと。簡単にローン組んで簡単に建てた家じゃなくて、たくさんの思い、願いが込められた家なんですよね。だから私は古民家でも新築でも、そういうところに関わらせて頂きたいし、喜んで頂きたいなと思ってます。
──
なるほどー。
ご質問の答えとずれましたけど(笑)。
──
いやいや、すごいお話を聞かせて頂いて。
これが古民家になるとさらに多くの人の思いが込められてますからね。そんな価値あるものを残していきたいです。それに、昔の人の技術はすごいんですよ。
──
やっぱりすごいんですか。
だって今でこそレッカーとか足場とかありますけど、当時こんなもんどうやって上げたの? と。
──
(笑)
昔の人の方が我々より絶対頭いいですよ。
──
あー。
これ考えた人ほんとすごいなって思うんですけど、実際それは一人の仕事じゃなくて、伝承されるたびにどんどん改良されていってるんですね。そういう知恵の結晶を、後世に残したいんですよ。
──
そうですねぇ。
そういう気持ちを、行動に移せる場を提供して頂いて、協会には感謝してますね。
──
堀さんのお気持ち、伝わりました。どうもありがとうございました。

おわり

施工例

日本伝統再築士会岐阜支部プロモーション映像

一般社団法人日本伝統再築士会岐阜支部
https://gifu.dentosaichikushikai.org/

有限会社ピュアホーム

代表取締役 堀 行夫
設立 2005年5月10日
資本金 300万円
従業員数 2人
住所 〒503-1304 岐阜県養老郡養老町飯田796-1
TEL 0584-32-4416
FAX 0584-32-4426
許認可・加盟 建設業 岐阜県知事許可(般-28)第200640号
有資格者情報 一級建築士
古民家鑑定士一級
古民家ツーリズムまちづくりプランナー
空き家課題トータルコンサルタント
伝統構法による木造建築物状況調査技術者
主な事業内容 住宅建築(新築・リフォーム)
設計監理
古民家・中古住宅のインスペクション調査
古民家再生・フルリノベーション
空き家の利活用相談
公式サイト https://www.purehome.jp/
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