古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

株式会社 作田建築設計

全国古民家再生協会宮崎第二支部・支部長 作田 耕一朗

対応エリア宮崎県日南市、宮崎市、都城市ほか宮崎県全域

宮崎第二支部の対応エリア宮崎県全域

徹底した設計、妥協しない現場。

古民家アイコン

宮崎県日南市の作田建築設計。代表の作田さんは現場仕事と設計、その両方を深く知る一級建築士さんです。木材、断熱、庭木と風の話……様々な知識を持つ作田さんから感じるのは、家づくりにおけるストイックな姿勢です。楽をせず、妥協もせず、徹底的にお客さんにヒアリングを行って正解を探る。そんな作田さんが語る古民家の話、ぜひお楽しみください。

インタビュー

旅をすると風景が変わった

──
今回改めてGoogleマップで確認したんですが、宮崎県ってでっかいんですね。
作田
縦長なんですよ。他府県3県にまたがって、すごい縦長。
──
僕、今までサイズ感を勘違いしてて。近畿に当てはめてみたら、これ和歌山から滋賀まであるやんって(笑)。
作田
そうなんです。
──
県内の移動も大変ですよね。
作田
まあでも私、車に乗るのが好きで。だから東京で仕事してた時も、宮崎まで何度も車で帰ってました。
──
え、まじですか? すごっ!
作田
片道20時間くらいかかりましたけど。
──
えー! すごいっすねえ。そういう人なかなかいないですよ(笑)。
作田
(笑)
──
でも車で旅すると、その土地の風景とか、雰囲気とかが分かるから面白いですよね。
作田
そうなんですよ。それが楽しみだったんです。ほら、昔は風景が変わったじゃないですか。建物が違うから。
──
ああ、なるほど。
作田
各県で建物が変わっていく。それが楽しみで車旅行してたんです。
──
はいはいはい。
作田
それが今は、北海道から沖縄までほぼ同じ家だから、つまらなくなってしまった。
──
それはありますね。特に古民家って地域の特徴が出ますよね。前に島根に行った時も、瓦が全部赤くなって…
作田
そうですそうです。広島辺りはだんだん赤くなっていくんです。陶器瓦になって。
──
あ、そうなんですね。ほー。
作田
そういうことで言うと、北海道なんかは、日本のつくりとは違うんです。日本の古民家っていうのは夏を涼しく過ごすためにつくってるんですが、北海道は違う。
──
たしかに。夏はどうでもよくて、冬に暖かい家が必要ですもんね。
作田
そうです。一方で、沖縄、宮崎は台風に強い家をつくるんです。
──
あ、宮崎も台風なんですか。
作田
はい。昔は「台風銀座」って言われたくらい台風がしょっちゅう通ってたんです。
──
じゃあ台風に耐えるための工夫とかがあるんですか。
作田
木材が違います。各県で育ってる木はいろんな特色があるんですが、たとえば宮崎の杉は飫肥杉(おびすぎ)っていう代表的なものがあるんですけど、これが日本の杉の価格を決めているんです。生産量日本一ですから。
──
そうなんですか。全然知らんかった。
作田
飫肥杉はちょっと黒いんです。四国の杉はちょっと黄色っぽくて、京都あたりの北山杉になるとまた少し違うし、秋田杉は赤身部分がピンク色。
──
そんなに違いがあるんですね。
作田
それで、宮崎の飫肥杉はシロアリに強いんです。ヒノキがシロアリに強いって言われるんですが、それと同じくらいの樹脂分が含まれているんです。
──
はー。その飫肥杉って、台風に対してどんな強みがあるんですか?
作田
過去に大きな台風に襲われた時に、山の杉の木がだいぶ倒れたんですね。その時に宮崎の飫肥杉は根元から倒れてるんですよ。粘り強いんで、竹と同じようにしなるんですね。
──
あー、なるほど。
作田
それが大分や熊本に行くと、途中から折れてる。
──
そうなんやー。
作田
江戸末期の千石船とか、ああいうのはほとんど飫肥杉で作られてるんです。曲がるし、水にも強い。
──
へぇー。
作田
だから日南の飫肥藩は年貢を米じゃなくて飫肥杉で納めてたんです。
──
そうなんですねぇ。いやあ、全然知りませんでした。

インタビュー

激減した和風住宅

──
てことは、そんな風に曲がって粘る杉だから、古民家にもよく使われてるんですね。
作田
いや、それがそうでもないんです。
──
え、違うんですか。
作田
あの、日南地区の飫肥の城下町に行くとですね、柱材、化粧材はどちらかというと吉野杉とか、北山しぼり丸太などの杉を持ってきてる場合も多いんです。
──
あ、そうなんですね。
作田
江戸末期から昭和初期にかけて、日南っていうのは結構裕福だったんですね。その時に、京都から大工さんたちを連れてきて武家屋敷をつくったりとか色々やってたんです。
──
ああー。
作田
だから古民家でも数寄屋造りだったり、そういう建物も結構多くて、柱梁が細く小さい。
──
なるほど。その人たちが吉野杉を好んで使ったんですね。
作田
そうです。私が東京から日南に帰ってきた35、6年前は、化粧材は吉野杉でした。「下り物」って言うんですけど。
──
それって何ですかね、性質で選んでるというより、ブランドみたいな感じですか。
作田
見た目です。
──
あー。綺麗なんですね。
作田
目が細かくて締まってるんです。
──
そういうことか。今でもそういう風潮なんですかね。
作田
今はそもそも柱を見せる建物がほとんど無くなったから…
──
ああ、そっか(笑)。
作田
和室のある建物っていうのが無いですよね。その吉野杉の化粧材なんか、ここ20年くらいで見たことないです。
──
うわー、そんな感じなんですね。もう一気にガラッと変わっちゃったんですね。たった2、30年で。
作田
はい。
──
確かに和室、真壁の家なんか無いですもんね。
作田
私自身も新築では6年前に数寄屋風の家をつくったきりです。
──
えー! もったいないですねぇ。つくれるのに注文が少ないって。いや僕ホームページ見させて頂いたら、結構和風の施工例を載せてらっしゃったんで、うわいいなあって思ってたんですけど。
作田
もうほんとにここ15~20年くらいで、和風の住宅というのは本当に減りました。
──
そうなんですねえ。せめて一部屋、二部屋だけでも作っておいたらいいのに。お客さんはソファとかでいいと思うんですけど、だらけてる、気が緩んでる時って、畳でごろんってなる状態が一番いいなって思いますけどね。
作田
そうなんです。10年くらい前に、うちに高校生のフランス人がホームステイしてたんですね。
──
へぇーっ。
作田
その時に、ベッドを用意したんですよ。そしたらダメって。畳に布団を敷いて寝る方が気持ちいいと。
──
(笑)せやなー。
作田
なぜ日本人は畳があるのに、わざわざベッドなんかに寝るんだって。高校生が。
──
高校生が(笑)。いやでもそうなんですよね。僕らが当たり前だと思ってることが、外から見れば価値のあるもので。
作田
古民家もそうなんですよ。
──
はいはいはい。
作田
ここからちょっと離れたところに、オーストラリア人の方が古民家を買ってDIYしてます。
──
おおー。そういう方のDIYってレベルがすごくないですか。
作田
すごいです。だから私、お金はいらないから手伝わせてくれって言って、通ってるんです。
──
へぇーっ。なんかそういう海外の方から教わることって多いですよね。僕も古民家を選んだのってきっと海外でいろんな国を見たから、この国特有のものに気付けたのかなって思います。クロニカの読者さんも海外在住の方とか、元々海外にいた方とかがすごく多くて。まずはそういう方々によって、古民家が残されていくのかなって思います。
作田
そもそも、建築基準法がおかしいんですよ。
──
ああ、そうですね。
作田
日本の古き良きものを無くしていってる。
──
でもそのことも皆さん知らないですからね。
作田
いや、ほんっとに知らないんですよ。テレビとか、メディアに洗脳されてますよね。
──
だから僕も、この現代のマイホームづくりの価値観に真っ向から反発するのって、けっこう勇気がいりましたよ。周りの知り合いで古民家住んでる人なんか誰もおらんし。
作田
(笑)
──
でも元々はみんな古民家に住んでたんですよね。それがたかだか30年40年で、なんでこっちが変わり者みたいになるんかなって。
作田
ほんとにそうですね。

インタビュー

宝物になった東京の修業時代

──
お話の中で、ちょこちょこ「東京」というワードが出てきてますけど…
作田
ああ、東京の建設会社にいたんです。高校が工業高校で、そこから東京の会社に入らせて頂いて、4年間学ばせてもらって、地元に帰ってきたと。
──
なるほど。その時期の経験って、結構貴重なんじゃないですか。
作田
これがもう、一番の宝ですね。
──
ああー。そうなんですね。
作田
元々地元に就職する予定だったんですけど、高校の担任が、お前はどうしてもこの会社に行けって親を説得して。
──
へぇー。
作田
その時の約束が、4年間我慢して、資格を取って帰ってくるっていう約束だったんです。
──
その先生はどうしてその会社にこだわったんですか。
作田
私が通っていた高校が、私が建築の五期生なんですね。だからまだ建築科が新しかったんです。それでたまたま私が野球で国体に出てたんですよ。で、その会社が、野球ができる人間が欲しいと言われていたようで。それでこれまで四期はみんな落ちてたけど、お前なら通るんじゃないかと。
──
はー、すごいですねぇ。ちなみにその会社ではどういうお仕事をされてたんですか?
作田
現場監督です。
──
あ、そうなんですね。設計じゃなく。
作田
最初入った時は、左官屋さんと一緒に面格子してました。
──
はー。
作田
入社したのは大卒が100名、高卒が5名だったんですよ。
──
すごいですね。
作田
社員が1,600名いる大きな会社でした。そこで大卒も高卒も同じ現場に配属されて現場監督をやってたんですが、高卒の私は職人さんたちといろんなことをやって、それがものすごい勉強になりました。職人さんたちが、こういうやり方はおかしいとか、これはダメだとか、いろんなこと教えてくれるんですよ。
──
はいはい。
作田
職人さんたちからものすごい教えてもらって、ものすごい勉強して、2年半くらい経った時に、上司に「ずいぶん変わったねお前」って言ってもらえて。
──
そっかー。
作田
それで最初の約束通り、4年経って戻ってきたんですけど、当時の先輩や同期とは今でもずっと付き合いがあるんです。
──
ああー。やっぱり若い頃の4年って濃密ですよねえ。
作田
私にとってはその4年が大学生活のような感覚です。そこで今の仕事の基礎を学んだという感じですね。

インタビュー

設計だけで半年はかける

──
建物としてはどんなものを建ててたんですか。
作田
鉄筋コンクリート造、鉄骨造の建物などです。それで木造が学びたくて、戻ってきてからこの地域で一番木造をやってる会社に就職したんです。
──
なんか、僕のイメージでは設計士さんって数年だけ実地やって、試験に合格したら事務所を構えるみたいな流れかなと思ってるんですけど。
作田
設計事務所のパターンとしては、大学出て設計事務所に勤めて、数年経ったら独立っていう形が多いですね。
──
働きながら試験受けるんですね。
作田
そうですね。
──
そういう意味では作田さんって全然ルートが違いますよね。
作田
そうです。私は自分がきっちりやりたいんですよ。その思いが強いから、自分がきっちり管理もして、やっていきたいんです。
──
なるほどー。それを誰かに任せるんじゃなくて、ってことですよね。上から指示出すだけのタイプじゃなくて、作田さんは現場に入って、現場を見たいってことですね。
作田
はい。中には設計事務所を構えてても、構造のこととか、木造のことを分からないまま、デザインだけで設計している方がすごく多いです。
──
あー。多いんですかー。よくテレビとかで巨匠に頼んだら欠陥住宅だったみたいなやつやってますけど(笑)。
作田
有名建築家の家は雨漏りして当たり前、っていう。
──
そうなんや!
作田
奇抜なデザインだからです。
──
へぇーっ。そのかわりデザインを取るってことですね。ほんと一口に設計士さんって言ってもいろんなタイプの方がいますね。
作田
はい。うちは巨匠じゃないですけど、たくさん請けて数をこなすという感じではないので、時にはお断りするんですよ。
──
ああ、そうなんですか。
作田
お客さんが、11月頃に土地が見つかりましたと。それで3月には引っ越して子供らを新しい学校に通わせたいから何とかしてくださいって来られたんですけど、いや、うちはできませんと。
──
ああー。
作田
うちは設計だけで半年はかけます。早くても四ヶ月はかかります。
──
へぇーっ!
作田
でもその方がすごいのは、4年後に戻ってきたんですよ。
──
えっ。
作田
「作田さんから家づくりの話を聞いて、考え方が変わって、それから4年間じっくり考えました。土地も再考して選び直しました。これでお願いできますか」って。
──
すごーい!
作田
私も妥協したくないんですよ。だって35年も住宅ローン払うんですよ。それで30年後に住めない家になってしまってたらどうしようもないですよ。
──
それなら賃貸と同じですよね。
作田
そうです。ハウスメーカーが30年保証しますって言うじゃないですか。それはつまり30年しか保たないってことです。
──
僕が古民家を選んだ理由の一つに、寿命というのがあって。家が保つとか保たないっていうのは、結局飽きるというか、嫌になるというか。新建材ですから。だからそういう意味では古民家っていつまでも飽きないし、保つし。
作田
古民家って、梁のいろんなところに穴が空いてたりするんですよ。使い回しをしているので。だからそれはつまり、昔の大工さんだったら簡単にできる、つくれる建物だという意味ですよ。
──
ああー。逆に。
作田
柱と梁しか無い建物なんです。間仕切りは障子や襖。だからいくらでも形を変えられるし、家族の変遷にも対応できる。それが古民家なんです。
──
いや、仰る通りですね。
作田
夏は全部開けっ放すとクーラーいらないじゃないですか。私は究極はそれを目指しているんです。だから今の新築住宅のように窓が小さい家は作りたくないんです。
──
おおー。
作田
新築だと、古民家のつくりを今の住宅に応用して家づくりをしたい。これはずっと以前からの私の思いです。

インタビュー

木々を抜けてくる風は冷たい

──
たとえば今や「古民家再生できます」ってノボリ立ててるところも多いですけど、「どう直すか」が大事じゃないですか。それが会社によってぜんっぜん違うんですよね。
作田
はい。
──
僕もひどい例をいっぱい見ましたから。こんなん古民家の皮をかぶったマンションやん…って。
作田
(笑)うちは夏にクーラーのいらない家を目指してるんです。私が住んでる家も、夏場のクーラーは一週間から10日くらいしか使わないです。
──
はーっ、そうなんですか。それって風通しとか、断熱とかでコントロールしてるんですか?
作田
そうです。夏場は風通しを考えて窓を配置して、そよ風が吹いているように涼しく感じられるようにしています。私が今話している場所は自宅のダイニングなんですが、四畳半のダイニング、四畳半のキッチン、十畳のリビング、それに吹き抜けの階段があるんですけど、反対に冬場の暖房はだるまストーブ一つだけでOKです。
──
そうなんですか! それは断熱が効いてるってことですよね。
作田
そうです。でもガラスはベアガラスじゃないですよ。
──
へぇーっ。でも吹き抜けがあるから熱は上に行くじゃないですか。それを空調で下ろしてくるとかじゃないんですか。
作田
それはしてないです。その代わり、床板に30ミリの杉板を張ってます。だから冬場でも靴下は履きません。
──
すごっ! 30ミリってそんな感じになるんですか。
作田
はい。で、事務所はログハウスみたいな感じで、壁、床、天井、全部杉板なんです。そうすると冬場は朝にガスストーブを1時間半だけ入れて、それだけで夜まで何もいりません。
──
え、すごいな。でも僕のイメージでは、断熱されまくった家って真夏は空調を付けっぱなし、みたいに思ってるんですけど、そんなことないんですか。
作田
そんなことないですよ。私は、家には必ず樹木を植えなさいって言うんです。これで黄瀬兎ごとの日当たりの調節とかいろんなことができるんです。
──
なるほどー。
作田
木々の間を抜けてくる風っていうのは、冷たいんですよ。
──
ああ、そっか!
作田
隙間風っていうのは冷たいでしょ。家と家の間の、路地の風も冷たい。そういう風を利用するといいんです。
──
なるほどなー。
作田
あと古民家には必ず縁側がありますが、それは夏の太陽を家の中まで入れないようにする工夫ですね。外と軒下で1℃違うんです。それから室内に入るとさらに1℃違う。合計2℃の差が生まれるんです。そこにさっき話したように風が通り抜けることによって、もっと体感温度が変わってくる。
──
なるほどー。確かに、森から降りてくる風は冷たいですね。
作田
森の裾野の家なんかは、その風を使いますね。
──
いやー僕、正直、古民家再生に設計士さんっていらないんじゃない? って思ってたんですよ。もう造りは決まってるし、大工さんだけいればいいと。でもこんな話聞くと…
作田
(笑)
──
設計って大事ですねえ。
作田
あ、ちょっとうちの中を見せましょうか?
──
あ、ぜひぜひ。

インタビュー

作田
これがリビングです。真壁で、天井が杉板です。
──
おー。これが階段ですね。

インタビュー

作田
この窓が真東で、夏になると陽射しが入ってくるので、庭木を伸ばしてるんです。
──
いいなあ。キッチンに東向きの窓、憧れます。
作田
それで冬は切るんです。そうすると朝の太陽の光がずっと部屋の奥まで入ってくるんです。
──
うわーめっちゃええなあ! くっそー羨ましい!
作田
(笑)これは落葉樹なんで、夏は茂って、冬は葉を落とします。
──
僕、キッチンに東向きの窓をつけたかったんですよ。でも僕は設計士じゃないから、つけられなかったんですよ(笑)。
作田
(笑)だから細かいところでも色々考えて、工夫してます。
──
家づくりって、みんな設備とか、間取りとか、金額とか、わかりやすい項目に意識が向きますけど、こんな東向きの光とか、気持ちよさとか、そういう感覚ってプロじゃないと分からないし、そこに根ざした提案をしてくれるってすごくありがたいですよね。
作田
私はほんと、お施主さんと何度も話をするんです。たとえば最初にプランを出すじゃないですか。お客さんが「これでいいです」って言っても、いや、夫婦でしっかり話してケンカしてくださいって言って、返すんです。
──
そうなんですね。
作田
その繰り返しです。そうやって考えて、ようやくお客さんが「これだったらいい」って思えてから、はじめて本設計に入ります。
──
へぇーっ。素晴らしいな。作田さんのお客さんの満足度、すごい高いんじゃないですか。
作田
お客さんにけっこう言われるのが「もう図面が頭の中に入りました」と。
──
はー。
作田
それくらいしつこく、この部屋のどこにどういうものを置いて、どういう風に生活しますか、というのを各部屋ごとに聞くんです。持ち物リストも作ってもらう。それによってコンセントの数や位置など、設計が全部変わってくるので。
──
すごいなあ。それこそ注文住宅の醍醐味ですよね。
作田
はい。だから坪単価いくらですか、って聞かれたら、分かりません、って答えるんです。逆に、いくらまでだったら家にお金をかけられるんですかっていうところから始まるんです。仮に総費用が2000~2500万円だったら、分かりましたと。じゃあ2500万円から登記費用、火災保険など色々引いて、たとえば純粋に家にかけられる金額は2000万円ですと。だったら2000万円で作れる家を考えていきましょう、という感じです。
──
なるほどなあ。いやー、ほんとはみんなそうするべきですね。僕は設計士さんも入ってないし、工務店の親方もお金のことに無頓着で、結局、最初に借りたローンが全然足りなくなって。
作田
(笑)うちは、お客さんが銀行に借入に行くのは、家が最終的に決まってからです。
──
ああー。
作田
仮審査だけ受けてもらって、本審査は図面がちゃんと出来上がって、金額が確定してから行くんですよ。だから銀行に行くのは一回だけです。
──
はー。
作田
ハウスメーカーさんとかは3回、4回なんですけど。うちは最初の1回と、あとは減額に行くかどうかです。増額じゃなくて減額。
──
すごいなー! 僕と真逆ですね。僕ずっと「思ったより請求来たぞ」って言われ続けてたんで(笑)。
作田
だから特に新築の場合、図面はかなりの枚数になるんです。平面詳細、部分詳細、建具、家具、電気、給排水、全部きっちり作ります。

インタビュー

日南地区で一番厳しい設計事務所

──
そういうのって、さっき仰ってた、作田さんが現場で職人と一緒になって、全部管理したいということですよね。
作田
はい。27歳で設計事務所を始めたんですけど、最初の頃は大工さんたちを途中で帰してました。
──
え、それはどういうことですか。
作田
こんなレベルの低い仕事をされたらお客さんに引き渡せないから、あなたはもう帰ってくれって。
──
うわすごっ!
作田
大工さんたちからだいぶ嫌われました(笑)。「この日南地区で一番厳しい設計事務所はお前だ」って。
──
いやでも大工さんに厳しく注文をつけるっていうのは、大工さんの仕事を分かってないとできないと思うんですよ。それは東京で修行された作田さんならではのことですよね。
作田
はい。4年間は木造の勉強をやってましたので、うちの図面は木材の継手まで書いてますよ。
──
えっ、そうなんですか! 普通そんなところまで図面に無いですよね。大工さん任せで。
作田
無いです無いです。いや、昔はそんなことしなくても良かったんです。大工さんたちが素晴らしかったから。
──
あー。そういうことか。
作田
今はなんちゃって大工さんが多くなってきてますから。うちはなるべくプレカットじゃなくて手刻みでやりますし、材料も私が山で丸太を買ったりして、それを自然乾燥させて使うので、できない人には細かい指示が必要なんです。
──
はあー。すごいなー。何でしょうね、ほんまに全然違いますよね。作田さんを「設計士さん」って一括りにしたら絶対あかん感じが…
作田
(笑)
──
その話だけ聞くと「ゴリゴリの工務店さん」って感じがしますよ(笑)。でも同時に、時間をかけてきっちり設計して、という。どっちの面もお持ちだっていうのは凄いことだと思います。なかなか無いですよ。
作田
いやでも、繰り返しますけど、昔の大工さんだったら任せてますよ。デザイン力だってありますから。
──
ああ、そっかー。
作田
そもそも、図面が無かったですからね。図板が一枚あるだけ。あとは勘でつくってましたから、随所に遊び心があるんです。
──
はいはいはい。
作田
床の間だけでも、大工さんによって全然違う。
──
たしかに、それを図面に起こさないといけないってなると、遊び心が全滅しますよね。今のモダンでスタイリッシュな家は遊び心の入る余地がない。
作田
そうですね。ボックスというか、四角い箱の中に住んでるようなものですからね。
──
いやーちょっともう、だいぶお時間が……いくらでも面白い話が出てくるもんで……
作田
(笑)
──
ずっと喋っときたいんですけど(笑)。
作田
(笑)家の話は止まらないです。
──
いやーおもしろかったです、ほんと。ありがとうございました。

おわり

施工例







株式会社作田建築設計

※直接お問い合わせの際は「クロニカを見た」とお伝え頂くと
何かしら良いことがある気がします。

会社名 株式会社作田建築設計
代表者・責任者名 作田 耕一朗
郵便番号 〒887-0034
住所 宮崎県日南市風田3999番地1
事業内容 一般住宅、公共建物、店舗、公共施設などの設計・監理
伝統的建築物を保存するための改修工事設計・監理
許認可番号 一級建築士事務所 宮崎県知事 第5765
2006年 宮崎県木造建築物設計コンクール 優秀賞
電話番号 0987-23-8786
FAX番号 0987-22-4810
公式サイト https://www.sakuta.biz
営業時間 8:00~20:00
定休・店休日 日曜日(尚、日曜は転送電話となります)
サービス提供可能地域 全国
設立年月 1990年1月1日
2009年7月1日 組織変更
従業員数 3名
取引先銀行 宮崎銀行 油津支店
宮崎太陽銀行 油津支店
南郷信用金庫 油津支店
株式会社作田建築設計 /
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