古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

株式会社やまぐち建設

全国古民家再生協会福岡第三支部・支部長 山口 昇

対応エリア福岡県北九州市、宗像市、直方市、福津市、中間市、宮若市、遠賀郡(芦屋町、遠賀町、岡垣町、水巻町)、鞍手郡(鞍手町、小竹町)

福岡第三支部の対応エリア福岡県全域

お客さんに寄り添うために。

古民家アイコン

福岡県鞍手郡にあるやまぐち建設代表の山口さんは、昔ながらの技で古民家を直せる本物の大工さんです。木に詳しい大工職人でありながら「お客さんに寄り添いたい」と繰り返す、職人の頑固さや気難しさとは正反対の山口さん。無垢材の話、これまでの半生、古民家の直し方など、多岐にわたってその思いを語って頂きました。

インタビュー

何か違うと思った

──
山口さんはもう、古民家ならお任せというような腕利きの大工さんだとお伺いしてるんですけど、ずっと大工をされてるんですか。
山口
いやあ、腕利きかどうか分からないですけど(笑)。私が大工になった頃って、ちょうどバブルの頃で、建売がどんどん建って売れてた時代なんです。
──
はい。
山口
うちは親が建具屋で、親父がハウスメーカーの仕事をしていたんで、職人さんも6~7人いたんです。その頃からちょっと手伝ったりしてたんですが、親父のケガが元で倒産しちゃって。
──
ああー。
山口
その時に自分は土木を2年くらいしていたんですが、それがきっかけで大工の手伝いも行くようになって、当時は建売なんですけど手刻みでしたから、もう狂ったように毎日毎日墨付けをして、刻みをして、1ヶ月くらいで建てて、また次の現場に…
──
へぇー。
山口
教えてもらうとか覚えるとかじゃなくて、とにかくもうやるしかないという感じで。当時は機械がないから、ノミも切れなきゃ仕事にならないし、朝昼晩ずっと研ぎ物をしたりして。そうするうちに自分で全部できるようになったんですが、さらにその後で行った工務店で、改めて一からきちっとした仕事を教えてもらいました。
──
そうなんですね。それってお幾つくらいの時なんですか?
山口
最初18で…大工に戻ったのは25歳くらいですかね。古民家もその頃、扱ってたと思うんですよね。でも当時は古民家という概念もないし、価値があると思われてなかったんで、在来にしちゃったり壊したりしてました。
──
ああ。
山口
でも、うちは田舎が熊本で、じいちゃんばあちゃんの家が茅葺き屋根なんですけど、それを解体した時に「なーんか違うよね」って思って。
──
え、それはどういう感じですか。
山口
自分が赤ちゃんの頃から、盆正月はずっと帰っていた100年くらいの家なんです。だから解体しながら「なんでこれが壊れないといけんのかなあ」って。
──
へぇー。
山口
その時からずっと、こういうのは残していかんといけんのやないかなって。

インタビュー

独立の苦労

山口
考えてみれば、その辺りは田舎なのにハウスメーカーの家も多いんですけど、合わないんですよね。
──
はいはい。
山口
田舎の風景にぽつんと浮かんでるような。日本の風土に合わないというか。まあ、自分一人が思っていてもどうにもならなかったんですけど。
──
その感覚ってだいぶ早くないですか。結構昔の話ですよね。
山口
そうですねえ、20代の頃ですね。
──
それってかなり先進的な感覚ですよね。だって、みんな今からその方向に突き進む時代じゃないですか。
山口
まあ、当時から思ってはいたんですけど、当時は毎日の仕事に追われてまして。資格も取りたくて、昼間は働いて、夜は建築士の学校に行ったりして。
──
そうなんですねぇ。
山口
当時まだバブルだったんで、会社辞めてでも学校に来いみたいな。就職試験受ければ全部通るという時代でしたから。
──
僕、氷河期だったんで…
山口
(笑)
──
世界が違う(笑)。僕らみんな、どうせ就職でけへんわって最初から諦めてましたよ。
山口
大学に行った人たちは、10社受ければ、10社から交通費もらって…
──
ははは(笑)
山口
全部内定もらって。
──
何じゃそれ(笑)。なんかもうそんな時代って、みんな浮き足立つじゃないですか。その時代にたぶん、日本の風景って一気に変わったんじゃないかなって思います。
山口
そうですよ。25で入った工務店も、在来、リフォーム、ハウスメーカーの仕事も何でもするし。
──
それでまたそこから独立されて、現在に至るという感じですか。
山口
自分はその工務店に10年いて、施工管理技士も取って、一式見積から集金から何からやってたんですが、10年やってるし独立させてくれって言ったら「こんなバブルも弾けて仕事も無い時代にめでたいやつだな」って言われて(笑)。
──
(笑)
山口
でもやっぱり区切りだし、35になってたんで、独立させてもらいました。そしたらやっぱり仕事はなかったですよ。身体の悪い親父と二人で軽トラのボロ一台買って、知り合いの仕事をさせてもらったり。
──
はあー。
山口
それでも施工管理の資格があるから、ゼネコンとJVの現場でコンクリート打設の管理をしたりとか。そんなのやったことなかったですけど(笑)。そうして管理を覚えて、その次は市役所の大規模改修工事の監督をしたり。仕事がない間はそういうことをやってました。
──
色々されてるんですねぇ。
山口
独立して一年目って、自分の仕事は年商200万円くらいでしたからね(笑)。
──
はー。
山口
ただ自分は、手間請けをしないって決めてたんですよ。
──
手間請けってなんですか。
山口
手間請けっちゅうのは、ハウスメーカーや工務店から、単純に大工工事の手間(労働力)だけで仕事を請けるってことです。
──
あー、なるほど。
山口
それをすると抜けられなくなるっちゅうか、次々に人の現場で労働力として使われるだけで、自分の仕事ができなくなるんです。応援とか、自分の仕事に役立つような仕事にはぜひ行かせてもらうけど。
──
手間請けだと、選択肢がなくなるんですね。
山口
やっぱり、それやり出すと楽なんです。何も考えなくても次の仕事が来るから。でもそれをせずに自分の仕事にこだわりました。おかげさまで次の年は400万円、次の年は800万円という風になっていって。
──
おー。
山口
4~5年で、年商3000万円くらいになったんですかね。それくらいになると、やっと食べられるんです。

インタビュー

古民家を古民家らしく

──
そういった流れの中で、古民家という要素は強くなっていったんですか。
山口
そうですね。北九州は古民家もわりと残ってるんですけど、古民家の仕事って地域の人と知り合わないとなかなか来ないじゃないですか。古民家には興味がずっとあったんですけど、あまり仕事がなくて、そんな時に7~8年前だったかな、テレビで古民家再生協会の話が流れていて、鑑定士の資格を受けてみようかなと思ったのがきっかけですね。
──
古民家の仕事って、普通は嫌がられますよね。僕も2社に逃げられましたけど。
山口
自信がないんだと思うんです。古民家を適当にリフォームするんだったらわりと誰でもできるんですけど、古民家を古民家らしく直して欲しい、というニーズには応えられないんだろうと思います。
──
でも、新建材で適当にリフォームしてしまった家ってめちゃくちゃ多いですよね。
山口
そうですね。やはり「思い」のある人でないと、そういう直し方になっちゃいますね。私だったらせめて自然の無垢材、そりゃ無節とか言えば高くなっちゃいますけど、節ありだろうが何だろうが本物の木なので、杉の節ありとか、そういうのを使えば高くならないし、せめてそういう材料で直します。
──
なるほど。
山口
まあ構造材が残っていれば残っているで、交換するなら自然乾燥材にするとか。グリーン材っていうんですけど、山から切り出して持ってきて、自然乾燥させたものの方が強制乾燥材よりも値段は安いですし。
──
え、そうなんですか。
山口
はい。ただ、曲がったりバチバチ音がしたりしますけどね。大手さんは、買ったあとに音がしたりするとクレームになるから使いたがりませんけど。でもそういうのは我々がやってる「住教育」で施主側が知っておけばいいことだと思うんですよね。
──
大手さんは「教育」はしないですよね。めんどくさいので。
山口
そうですよ。あまりお客さんが知りすぎると…(笑)
──
(笑)
山口
この協会に入って、こういう活動をしてると、非常に勉強になるんですよ。今まで自分一人で思っていただけのことが…
──
ああ、そうか。
山口
ああ、みんなもそうなんだ、っていうのが分かったりして。自分がかつて建売してた頃の仲間からしたら「なんかあいつ変わったことしてるな」って思われますけど、もう今は古民家と言えば山口くんだよねって、地域の方々に知って頂いてますから。
──
すばらしいですね。
山口
今もちょうど古民家の耐震補強をやってるんですが、伝統構法をそのまま残しながら長期リフォームの補助金を頂いて、瑕疵保険もかけて。
──
へぇー! すごいですね。うち一銭も出ませんでしたよ。全部対象外で。
山口
補助金が出るのは、国交省認定の私たちの団体だけなんです。
──
はー。古民家って全然保証も何もないんで、保険なんかあると安心ですよね。
山口
古民家って実際やってみると、当時建てた大工さんの技量もあるし、その後リフォームした業者さんの仕事もあるし、分かんないんですよ。たとえばシステムキッチンを入れたいという施主さんがいて、我々が現状の部屋を解体してみると、何じゃこれは……っていう現場があるんですよ(笑)。
──
(笑)やっぱあるんですね。
山口
この柱を抜いたらいけんやろ!っていうのがあったり。でも施主さんは邪魔だから抜いてくれとか簡単に言うじゃないですか。瓦葺きの古民家は重量で地面に押さえつけている建物なんで、まあまあどこにも重さがかかってるんです。でもそれを分からん工務店が、リフォームの時に今の在来の感覚でぽんと柱を抜いちゃってると…
──
ああ、それも在来の感覚なんですね。1本くらいええやろと。
山口
隣の柱があればもつけえ、みたいな感じですけど、もたないんですよ。
──
そういう判断ができるのが本物の大工さんなんですよね。だから質問した時にモゴモゴ言う人は怪しい。
山口
私なんか喋りすぎちゃって、もういいって途中で止められるんですけど(笑)。
──
(笑)

インタビュー

ずっと勉強

山口
どんなことも興味があるし、知っておきたいし、新しいことも好きなんですよ。古民家でもやっぱり今の技術を入れた方がいい場合もあるし。床暖房とか、太陽光とか、エコキュートとか、そういうことも聞かれたら何でも答えられるようにしておきたいですね。悪いことでも、なぜそれが悪いのか知っておきたいんです。最終的にお客さんが判断すればいいと思っているんで。
──
なるほど。
山口
だからその判断基準を提案できないとダメだと思います。よく聞かれるのが「オール電化ってどうなんですか?」という、漠然とした質問とか…
──
(笑)
山口
それに対しては、震災前は電力会社が全面的にオール電化を進めてましたけど、震災後はガスにするというお客さんもたくさんいるというお話と、あとは電気代の差だとか、プロパンと都市ガスの違いとかをきっちり伝えてあげるようにしています。
──
ええ。
山口
だからずっと勉強ですよね。RC住宅なんかはほぼ建てないんですけど、基礎とか、車庫とか、家のことになると色々な部分で関わってきますから、電動シャッターとか、スレート屋根の鉄骨の倉庫とか、全部やれないと。
──
施主のイメージとしては、大工さんはプロだから何でも知ってるだろうと思うんですよね。ざっくりしたイメージで。でも僕がこうやっていろんな方にお会いしてお話を聞いていると、そうじゃないんだっていうところに最初に気付いたんです。それぞれの得意分野があるし、苦手分野もあると。
山口
そうですね。
──
だから今お伺いしたお話って、我々施主がふわっと期待していることを本当に実現するには、ずっと努力をし続けないといけないっていうことですよね。
山口
そうです、ずっとですよ。今我々がやってる空き家問題もそうですし、FPや相続問題とかも、じゃあそれは別の人を紹介しますからそっちでやってください、というのはちょっと冷たいじゃないですか。紹介するのはするんですけど、最低限の知識を持って、そんな問題にもちゃんと寄り添っていければなと思ってます。
──
その根本にあるのって、お客さん中心の考え方ですよね。ずっと前に、新築の家づくりを検討していた頃、某メーカーさんの展示場に行ったことがあるんですけど、その時に「無垢の床板」がいいって聞いてたんで、モデルハウスで「この床を無垢の床板にできるんですか?」って聞いたんですよ。そしたら営業の人が「う~~~ん、できますけど、高いですよ」って言うんです。で、ああ、やっぱり「無垢の床板」は高いのか、僕らには無理なんだなって思ったんですけど、今から考えれば「何のこっちゃ」と(笑)。
山口
(笑)
──
あれって、ようするに「選ばせない」ようにしてるんですよね。お客さんっていう存在を大事にしてそうで、実は自分たちが売りたいものを売りたい形で売る、ということに専念しているように感じました。

インタビュー

無垢材の扱い方

山口
もっと言えば、無垢の良さもあるけど、無垢であれば何でもいいかというとそうでもないんですよ。杉なんかは安くできますが、傷はつきますよね。
──
めちゃめちゃ傷つきますね(笑)。
山口
爪楊枝が刺さるみたいなね(笑)。一方でカリンみたいに堅いのがいいかというと、堅木はあまり安いのを買うと原木が小さいんで、どうしても後々ねじれたり、たわんだりするんです。
──
へー、そうなんですか。
山口
もうぐにゃぐにゃに曲がったり。大きい木から取ると、木のやさしいところから取れるのでそんなことにならないんですけど。ただやさしいところから取ると、今度は伸縮が大きいんです。芯の近くで取ると伸縮は少ない。その代わりに暴れる。
──
そうなんや。
山口
木の取り方もあるんですけどね。ナラとかカリンとかは曲がったら直らないです。それと張る時期も、無垢材は冬だと空気が乾燥してるから、そのままパパパッと張っちゃうと、夏になるとボコって浮き上がっちゃうんです。
──
一枚一枚が湿度で膨らむんですね。
山口
そう。私も今の初冬の時期にちょうど栗の木を床板で張ってるんですが、一枚一枚、荷造りのテープを切って、それを板と板の間に挟みながら張ってます。
──
あ、やっぱそうなんですね! 実はうちもチーク材のヘリンボーンの床板を張った時に、うちの大工に頼んだら「張り方知らん」っていうから、みんなでネットで検索(笑)して張ったんですけど、その時に検索してたらそういう写真が出てきて、「ちょっと待って、なんかこれ挟んでない?」って(笑)。
山口
そうそう(笑)。働き(幅)が10cmしかなくて、もうそれをズラーッと挟んでいってます。
──
大変ですねぇ。
山口
杉材なんかも完全に乾燥してればいいんですけど、ちょっと生っぽいものだと、後でがばーっと隙間が出てくるんです。
──
冬の乾燥と、本来の乾燥があるから。
山口
そう、それが両サイドどっちも収縮するから。

インタビュー

全然違う家の寿命

──
生っぽいというのは自然乾燥材ならではですよね。強制乾燥材だと、そういうことはないんですか。
山口
我々がよく言うのは、強制乾燥材というのは、材がもう死んでるから…
──
あ、やっぱ死んでるんですね。
山口
自然乾燥材は年数が経つにつれて強度がどんどん出てくるんですけど、強制乾燥材は出荷時点が一番ベストで、それから下っていくんです。
──
へぇー。
山口
一般的には、まあメンテナンスをすればもっともつと思うんですけど、寿命が30年くらいと言われてます。
──
え!
山口
まあ濡らさずに、きちっと管理すればいいんですけど、やっぱり湿度が高かったり、蒸れるようなところはダメになりますね。
──
え、でも全然違うじゃないですか。寿命が。だって自然乾燥材って何百年でしょ。
山口
そうです。いつも言うのは、たとえば古民家を壊して今の家を建て替えるじゃないですか。古民家をリフォームするとたとえば2000万円かかりますよと。で、壊して建て替えても2000万円ですと。それだったら新しくなるから新しい方がいいやんって皆さん言うんですよね。それでほとんどの人は壊しちゃう。でも考えてみてください、古民家をリフォームしたものは、30年後も全く同じ佇まいでそこにありますよって。
──
そうなんですよ。
山口
「え、どこが変わったと?」って思うくらい。
──
いや、ほんまそうなんですよね。
山口
一方、新築した家は「もうだいぶ古くなったなぁ…」って感じるんですよね。
──
ほんとにそう。
山口
屋根も瓦じゃなくてコロニアルにしたら、最低10年くらいしたら塗らなきゃいけない。外壁もサイディングだと10年くらいするとまず1回目のリフォーム時期が来るじゃないですか。それから10年後もまたリフォーム、さらに10年後もまたリフォーム…
──
あれ、なんでみんな何も思わないんですかね。たとえば10年前に生まれた分譲住宅地って、地元のその辺のどこかにあるはずなんですよ。今の一般的な仕様の家が10年後にどうなってるか、そういうところに見に行けばいいんですよね。僕、そういうところ見つけたらすぐ入っていって観察するんですけど、やっぱり20年も経ったらもう見た目がゴーストタウンみたいになってますね。暗ーい感じがするんですよ。
山口
そうそう。
──
で、頑張ってリフォームかけてる家もちらほらあって、そこだけはパッと明るくなってるんですけど、基本、街並み全体がどよーんってなってる。でも古民家ってきっと100年後も何も変わらないですよね(笑)。
山口
家を建てられる方って40代前後が多いと思うんですけど、自分が小学生の頃に建った家というのが、ちょうど30年くらい経ってるじゃないですか。それを見に行くと、こんなボロだったかな?って思いますね。友達の家が、当時古民家から建て替えて新築してたりするんですよね。
──
はいはい。
山口
私も田舎に住んでたんで、友達の実家がみんな古民家で、その頃に建て替えた家は、きれいな家だったイメージがあるんですけど、今見るとボロになってしまっていて、かたや同じ友達でも、当時から先祖代々の古民家のまま住んでるところは、今行っても印象が何も変わってないんですよ。
──
そうでしょうねえ。僕もそういう旧家の友達がいるんで、よく分かります。よく雨の日の縁側で一緒にジャンプ読んだりしてましたけど、あの縁側って今も同じようにそこにあるんだろうなって。

インタビュー

家は人間の「巣」

山口
やっぱり古民家ってそういう思い入れ、思い出が詰まってるじゃないですか。仕事をするにしても、そこに関われることが楽しいですよ。施主さんと一緒になってやっていくから、何度も施主さんの気持ちになれるじゃないですか。
──
そうかー。
山口
施主さんと打ち解けることができれば、その気持ちを汲めるし、毎回自分の家をつくるような新鮮な気持ちになれますから。
──
その感覚は羨ましいですね。
山口
私は古民家ばっかりやってるわけじゃなく、普通の在来の家もたくさん建ててるんですけど、その気持ちは基本的に変わらないです。やることは同じですね。施主さんに子供さんがいると、10年後はこの部屋を使わなくなるから、じゃあどうしようか、お父さんの部屋はその時にどうなりますか、とか、さっきのいろんな提案もそうですけど、そういう取捨選択を一緒になってやっていく感じですね。
──
僕もクロニカで古民家のことをずっとやってきているんですけど、新築の話もしますし、やっぱりとにかくまずは「知ってもらう」というところがスタートかなと思ってます。
山口
そうですね。その一方で、お客さんの中には「めんどくさいけえ、選んでよ」という方もいらっしゃいますが、それはそれで責任重大なので、また必死に考えますけど。
──
そういうのって、外からは分かんないですよね。工務店さんがどこまで自分のことを考えてくれてるのかって。
山口
分からないでしょうね。でもそれを知ってもらわないと、こちらからも積極的に発信していかないと、って最近ひしひしと感じてますね。
──
そこはぜひクロニカをご活用ください(笑)。
山口
(笑)よく昔からですね、先輩たちからも言われてきたのは、家は3軒4軒建てないと分からないっていう言葉がありまして。
──
ああ、言いますよね。
山口
でも昔の家ってどこでも間取りは一緒だし、奥さんの話なんか一切聞かないし(笑)。
──
そうなんや(笑)。
山口
もう家長の勝手な家なんですよ。でも今はそうじゃなくて、お客さんと雑談でもしながら、充分にお聞きして、限られた予算と工期の中で、できるかぎりのことをしてあげて、それがよほどのことじゃない限り外れないというくらいのお付き合いをしないと、家というのはなかなか満足に建たないですからね。
──
僕、「3軒建てないと分からない」っていうのは、施工側の努力不足でもあるんじゃないかって思うんですよね。だって、そうやってちゃんと考えてあげれば、その時の自分にとって正解に近いものは出せると思うんですよ。
山口
そうですそうです。
──
ぼーっとしてる施主の責任もありますけどね。
山口
そもそも我々は、更地の土の上からものを作り上げていくわけです。頭の中にできあがりを3Dでイメージして、それから逆算していくとよく分かるんです。家一軒の墨付けを、今ではCADとかで自動化されてますけど、以前は材料を眺めながら、この材料はあそこに使おうとか、木の板に一本一本線を引きながら、これはあの材料で、こっちをかけてあっちをかけて、その上にこれを乗せて、という風に頭で完成させていって、つくる時はそれを逆から追いかけていくから、あ、じゃあここは大きいのが来るから下げとかないかん、とか。
──
頭の流れが双方向なんですね。
山口
棟上げの時も、棟梁に聞かんと、どれからスタートしていいか分からんのです。こっちが上でこっちが下とか、何がどう来るとか、全部棟梁の頭の中に入ってる。棟上げする時はもう頭の中で終わっとるんです。
──
ああ、だから現場で臨機応変に色々できると。
山口
そう、だから間違ってるところもすぐにどうすればいいか分かるんです。それは中に入った時もそうです。ドアを入れたら、ドアノブの分があるから開口が狭くなるので、少しこっちを控えとこうとか、カーテンレールがあるからカーテンを挟まないように扉を少し寄せるとか。
──
それでちょっと思い出したんですけど、うちの親父がずっと自分の建てた家に不満を言い続けてまして。若い頃に地元の工務店で新築して、途中で一回設計士を入れてリフォームしたんですけど、いや、これはちょっと頭の中でイメージできてなさすぎるやろ、というところが色々あって。
山口
はい。
──
たとえば、内開きドアの吊り元に部屋の電気のスイッチがあったり。
山口
(笑)
──
めちゃくちゃなんですよ(笑)。吊り元の隙間から指を入れてパチン、みたいな(笑)。だから3回ルールっていうのは、実際は想像力の問題によるところが大きいなと。
山口
たとえばドアとドアがかち合うとか、カーテンをドアで挟んじゃうとか、小さな不満というのが積み重なると毎日が嫌になりますよね。だから事前にそういう部分をできるだけ無くして、やっぱり快適に住んでもらわなきゃ、と思いますね。家は人間の「巣」ですから。
──
「巣」ってすごくしっくりくる表現ですよね。
山口
それが家の本来の姿じゃないかと思いますよ。…あ、時間ですね。こんなお話でよかったんでしょうか。
──
いやー、面白かったです!

おわり

施工例







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取締役等 山口昇(ヤマグチノボル)
一級建築施工管理技士
一級土木施工管理技士
二級建築士
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創業 平成9年
住所  〒807-1312 福岡県鞍手郡鞍手町中山2379-4
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杣弥二級建築士事務所 第2-60516号
保険等 住宅瑕疵担保責任保険加入 (住宅保証機構株式会社)
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