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福田工務店

全国古民家再生協会長崎第一支部・支部長 福田 敏幸

対応エリア長崎県北(佐世保市、平戸市、松浦市、佐々町、波佐見町、川棚町) その他応相談

長崎第一支部の対応エリア長崎県全域

大工の家系に生まれて。

古民家アイコン

長崎県北松浦郡、福田工務店の福田さんは代々大工の家系に生まれました。もちろん実家は古民家。幼い頃から木に親しみ、内弟子さんたちに囲まれ、「古民家に育てられたようなもの」と仰います。そんな福田さんは今、全国古民家再生協会の支部長として、地域の古民家と大工の伝統技術を守るため、日々奔走されています。

インタビュー

總社神社の再生工事

──
ホームページの施工例を拝見したんですけど、この神社の再生工事…これなんて読むですか?
福田
總社(そうしゃ)神社ですね。
──
總社神社。すごいですねこれ。
福田
すごいですよ。建ててから大がかりな改修工事を700~800年くらいやってないって。
──
えーっ!
福田
ちょこちょこ修理はやってるんでしょうけど。
──
すごいな!
福田
だから解体した時に、昔のまんまだなって。「釿(ちょうな)」って分かります?
──
はい。手で振り下ろす鉋(かんな)みたいなやつですよね。
福田
そうです。板に釿の跡があって。釿で表面を仕上げてるんですね。
──
へぇー。昔って削る道具がそれしかなかったんですよね。
福田
鉋が無かったですからね。
──
すごい技術だと思います。
福田
でも今回の改修工事で残せたのは丸い柱だけ。あとはほとんど使えなかったですね。
──
そうなんですかー。これ皆さんあんまりご存じないと思うんですけど、寺社仏閣を触れるというのは腕があるってことなんで、寺社仏閣の施工例が載ってたらまあそこは技術的に大丈夫だろうという基準になると思ってるんですが。
福田
(笑)皆さん、寺社仏閣は宮大工しかできないって思ってらっしゃるんですね。
──
ああー。
福田
普通の大工さんと宮大工さんを完全に切り離してらっしゃるんですけど、実はそんなことはなくて。技術は一緒だと思ってるんですよ。
──
ほー。
福田
住宅をやる大工は、宮大工に対して「家大工(やだいく)」ってよく言うんですよ。でも実際、宮大工さんでも住宅を兼業でされてる人も多いですし。
──
へぇー。古民家に限って言えば、使う技は似てると思うので、寺社仏閣の技術は古民家をリノベーションする時にはかなり活躍するんじゃないですか。
福田
そうですね。

インタビュー

今のこだわりと5年先のこだわりは違う

──
あともう一例見させて頂いたんですけど、これは古材を使った新築ですかね。
福田
ああ、そうですね。
──
なんか100年後に古民家になりそうな家ですね。
福田
このお宅はこれまでまったく改修工事をされてなくて、昔のままだったんです。玄関も木戸で、土間も三和土のままで、サッシも使ってなくて。だから隙間風があるんですけど、「慣れてるから気にならない」って仰ってましたね。
──
僕の家もあちこち木戸のままなんですけど、確かに何回か冬を越したら、案外慣れてきました(笑)。あれっ、冬ってもっと寒くなかった? って思いましたね。
福田
たぶん人間ってそうなってるんでしょうね。慣れるんですよ。いつも新築住宅の時にお客さんに言うんですけど、あんまり今の考えでこだわると後で大変ですよって言うんですよ。
──
はいはいはい。
福田
1~2年住めば慣れますので、こだわってもそんなに変わらないかもしれないですよって。だって今のこだわりと、5年先のこだわりって違うじゃないですか。
──
そう! そうなんですよ。
福田
30歳でこだわった家が、35歳の自分、40歳の自分とぴったりマッチするのかという。
──
そういうことを言ってくれる工務店さんって、施主にとってはすごいありがたいですよ。
福田
大体はお客さんの今のこだわりに100%応えようとするんだと思います。それもそれで満足度が高くなるんでしょうけど、でも何年か後のことを考えたら、それでいいのかなって…
──
やっぱり何社か回られてるお客さんって、金額も大事ですけど、その時点で思い描いている家をどこまで実現してくれるか、っていうところを一番重視すると思うんですよ。だから福田さんの仰ったようなことって「何言ってんの?」って思われがちですよね。
福田
(笑)そうかも知れませんね。
──
だって「慣れる」っていう事実は一度経験しないと分かんないですからね。
福田
そういうことを伝えて、その上で「今にこだわりたい」って仰るのであれば、もちろんそのお気持ちを優先しますけど。
──
でも実際、僕も「どうしてもここが嫌だ、許せない、お金をかけてでも直したい」って思ってた部分があるんですけど、今になってみたら全然どうでもよくなってて…
福田
(笑)
──
「数年前の俺、なんであんなところにこだわってたんやろ…」って(笑)。100万円くらいかかる予定だったんですけど、やらんでよかった~って。
福田
そうなりますよね(笑)。今って皆さん、何か買うにしても色々調べるじゃないですか。ところが、家についてはあんまり調べないんですよね。そういう「慣れ」についても本当は事前に知っておいた方がいいんですけど。
──
そうですね。
福田
だからやっぱり「住教育」というのが大事なんです。それはつくづく思いますね。工務店である我々が言っても、商売で言ってるという風にしか受け取ってもらえないんで、難しいですが。
──
確かに、どっかの工務店がワークショップやってますって言っても、行ったらどうせ住所書かされてDM送られてくるんやろうなって思いますもんね(笑)。
福田
(笑)でも知識はあった方がいいですし。今は以前よりは、皆さん家について勉強しなきゃって、少しずつ思われつつあるのかなって思います。

インタビュー

兄ちゃんがいっぱいいる

──
そういう話で言うと、福田さんは代々大工さんの家系ということで、家のことは身体に染みついてるんじゃないかなと思うんです。
福田
そうですね。私のひいじいちゃんの作ったタンスがまだ残ってるんですが、それを10年くらい前に直して、さらにまだ数十年使えるようにしました。そういう感覚ですね。
──
すごいなー。
福田
かつては10人近くお弟子さんがいて。一番多い時で、自宅に5人くらいお弟子さんがいましたね。
──
すごい。住み込みの内弟子さんですね。
福田
毎日もう戦争みたいな感じで、お袋が大変だったと思いますね。食事も2回に分けて作ってました。
──
へぇー。
福田
私が小学校の頃のお弟子さんって、10歳くらい離れてるんです。弟子に入る人はだいたい中学上がりで入ってきて、20歳くらいで弟子上がりするので、15~20歳くらいまで私の家にいるんです。だからちょうど、歳の離れた兄ちゃんなんですよ。
──
ああー。
福田
私は長男なんですが、そんなふうに兄ちゃんがいっぱいいるんです。その兄ちゃんの中には、いじわるだったり、悪かったり…隠れてお酒飲んだりする兄ちゃんもいるんです。
──
なるほど。
福田
「絶対おやじに言うなよ」って(笑)。
──
(笑)
福田
それと、昔は休みもほとんどなかったですね。月に2回あればいい方で。
──
はーっ。
福田
だから私も子供の頃、親にどこかに連れて行ってもらった記憶はまったく無いんです。
──
そうなんですかー。
福田
どこかに行く時はじいちゃんばあちゃん。じいちゃんとはよく製材所とか、木材屋さんとかに連れていってもらってましたんで、製材所に行くとじいちゃんを思い出しますね。
──
やっぱり大工になりたいという感じは昔からあったんですか。
福田
なりたいというか、なるんだろうなという感じです。高校卒業した時に、大工のこともさることながら、設計も勉強しないといけないと思って、専門学校に行ったんです。
──
卒業後は戻られたんですか。
福田
そうです。ちょうど就職難の時代で、一度外に出ようかなと思ったんですが、戻ってきまして、当時の弟子さんの下に入りまして。親父から直接技術を学んだというより、そのお弟子さんから学びましたね。
──
なるほど。当時の仕事はもう在来の新築という感じですか。
福田
いや、当時はまだまだ古民家が多くて、新築より古民家のリフォームの方が多かったですね。昭和51年卒業なんですが、それくらいだとこっちはまだ古民家は多かったです。
──
それくらいって、大阪はもうニュータウンの開発が始まってて。
福田
ああ、でしょうね。
──
千里ニュータウン、泉北ニュータウンがそれくらいです。その頃を境に風景が変わっていったと思うんですが、長崎って今もわりと古民家が残ってるんですか?
福田
もうだいぶ減りましたけど、残ってると思いますよ。ただ、私は古民家にパッと目がいくので…
──
(笑)わかります。
福田
普通の方の感覚からすれば「古民家って無いよね」って言われますけど(笑)。

インタビュー

本当に潰さないといけないのか

──
じゃあお問い合わせとか、工務店としてのお仕事は新築が多いですか。
福田
そうですね、自分のところに問い合わせがくる場合は、新築でも梁を見せた家、という雰囲気がお好きな方が多いですね。
──
施工例でも真壁が多いですよね。
福田
そうですね。これはまだ載せてないんですけど、福岡の糸島っていうところに平屋の新築を建てさせてもらったんですけど、そこも梁を見せたいということで、着色してつくりました。
──
ほー。
福田
あと協会としては、生月っていう島があるんですけど、そこからお話が来て、納屋のような古民家の解体費用の問い合わせがあって、見に行ってみたら解体するのはもったいないほどの建物だったんです。それで、これ、利活用しましょうっていうお話をしましたら、そうなんですね、じゃあそっちの方も計画した方がいいですねってなりました。
──
なるほど。うちも元々は解体予定だったらしいです。たまたま僕が問い合わせをしたので残ったんですが。基本的に潰すしかないってみんな思ってますもんね。
福田
だから不動産屋さんももう少し勉強しなきゃいけないのかなって思いますね。本当に潰さないといけないのかって。
──
仰る通りですね。でも島っていい状態の古民家がたくさん残ってるんじゃないですか。なんかそんなイメージですけど。
福田
そうですね。長崎に高島っていう島があるんですけど、こないだもそこに結構古民家があるから何か利活用できないかっていう相談がありました。
──
はいはい。
福田
島には残ってるんですよ。でもなぜ残ってるかというと、人が出ていくからです。
──
あー。そうですよねえ。
福田
だから利活用といっても簡単にはいかないですよね。呼び戻すにしても何かの材料がないと。
──
でも、モノとしても、ロケーションにしても、都市部の人間からすれば最高の環境ですよ。
福田
そうですね、今テレワークが盛んになってきてますから、セカンドハウスとして使ってもらうとか、使い道はあると思いますね。

インタビュー

仕口と継ぎ手をよく見ろ

──
やっぱり、状態のいい古民家が解体されるのはしのびないですよ。
福田
解体といえば、昔は解体も大工さんが自分たちでやってたんですよ。そうするとその時に「仕口と継ぎ手をよく見ろ」って言われたんです。
──
あー。勉強しろってことですか。
福田
もう、ものすごく勉強になりますね。
──
へぇー。
福田
処分したら無くなっちゃうんで、その前にしっかり見ておけと。
──
やっぱり昔の人の仕事ってすごいんですか。
福田
すごいですよ。やっぱり。だから、そんなすごい仕事を見ることで、自分たちもしっかりしなきゃいけないなって思えるんです。
──
そっかー。そういうのって結構特殊かも知れないですよね。職人の世界で、先人の仕事の過程を勉強できるというのは。たとえば陶芸とかだったらできないじゃないですか。
福田
ああー。過程が分かんないですね。
──
完成品は見れますけど、それをどうやってつくったかっていうのは。だからそれってすごい素敵な循環だなと思います。
福田
まあ私にとってはそうですけど、大工さんも色々いますからね。技術をひたすら追求する人もいれば、技術はそこそこでいいという人もいるし。うちにいた弟子さんも人それぞれでした。
──
ふんふん。
福田
一般的に、職人さんだったら何でも得意だっていうイメージがあると思うんですけど、それは違うんですよ。
──
僕も最初はまさにそんなふうに思ってました。でも実際こうしていろんな方にお話を聞いていると、好き嫌いや、得意不得意、性格、もちろん皆さん色々あるんですよ。言われてみたら、そらそうやろと思うんですけど(笑)、なんか素人考えで、プロは何でもできる! ってフワッと思っちゃうんですよね。そりゃ何でも素人よりは一通り上手にできるでしょうけど、専門分野、得意分野ってありますよね。
福田
はい。地元では大工さんの組合っていうのがあるんですよ。
──
はい。
福田
その中で大工さんがいっぱいいるけど、じゃあ自分と同じような考え方を持った大工さんがたくさんいるのかというと、全然そんなことはないんです。それに、自分たちの手の内を見せるような組織でもないし。
──
なるほどなー(笑)。
福田
でもこの古民家再生協会の場合は、伝統構法に特化してるじゃないですか。石場建てで技術がある大工さん、興味がある大工さん、同じ気持ちを共有してるので…
──
そうですね。
福田
話がスムーズに通ったり、分からないことを気軽に聞けるんですよね。だから一般的な組織と全然違うなって。
──
それはすごい思いますね。やっぱりどなたに聞いても、古民家が好きっていう部分は動かないんで。じゃあどうやって残していったらいいのかっていうアプローチの仕方はそれぞれ得意不得意があるしやり方も違いますけど、根っこは思いっきり同じなんで。
福田
ですよね。私の従兄弟が名古屋にいて、雨漏りやら色々な修繕をしようと近くの住宅会社に見積をしてもらったんですけど、それがどうも納得できず、金額も高いと。それで私に相談があって、話を聞いたら確かにちょっと高すぎるんじゃないかって。でも名古屋に信頼できる業者さんがいないって言うんで、名古屋だったらじゃあ戸田さんに電話しようって。それで連絡したら、いい職人さんを紹介してもらったんですよ。そしたら最初の見積の半額になりまして。
──
おおっ(笑)。
福田
それでしっかりした修繕ができましたんで、良かったねって。
──
そんなことが。
福田
ちょうど今も、私の知り合いの奥さんの実家が鹿児島なんですね。そこの家をリフォームしたいんだけど、知ってる工務店さんがいないというんで、自分は鹿児島まで行けないんで、じゃあ鹿児島の西さんに言ってみるよって連絡したら、これまた気持ち良く対応して頂いて。やっぱり協会の仲間って信頼できるんですよ。技術のある方、意識のある方が協会に入ってると思うので。
──
僕もいろんな方をインタビューさせて頂いて、仰る通りだなと思います。安心感がありますよね。お金のことにしても、これで楽して儲けてやろうなんて人、こんな協会に入んないですから(笑)。
福田
(笑)無理ですからね。赤字になっても頑張ってやろうっていう人はいてもね。
──
そういうことでいうと、福田さんが、ご自身でどういうタイプの職人であり、工務店さんなのかというのを、教えて頂ければと思います。自分でも言うのも難しいと思うんですが…
福田
うーん、私はやっぱり、お客さんとしっかりお話をして、お客さんの思い描くものをどうにか引き出して、形にしてあげたいと思ってます。迷いながら、悩みながらですけど。
──
ふんふん。
福田
どこまで心を通わせることができるかなって、そこを一番大事に思っています。
──
なるほど。
福田
あと、このご縁がずっと続いてくれればいいなと。いつまでも、そうやって建てた建物を継いでもらって、いつまでもお付き合いができれば最高かなと思います。
──
建物って、僕、すごい偉大やなって思うんです。そんな長いスパンで、特に自然素材を使った家って寿命が長くて、100年200年と残せるじゃないですか。
福田
そうですね。
──
それがほんとに、家づくりの素晴らしいところやなと思います。
福田
私たち職人からすると、先祖がつくった家が残っているというのが自慢なんです。私のじいちゃんが建てた家もまだまだ残ってるんで。
──
あー。すごいっすねえ。
福田
だから自分の建てた家が、同じように誰かに長く受け継いでもらえれば最高かなって。
──
そういうの、正直羨ましいですね。今日はどうもありがとうございました。

おわり

施工例







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福田工務店

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代表 福田 敏幸
設立 昭和49年
事業内容 建築工事業・一般住宅、古民家再生工事・店舗・その他工事
住所 〒857-0361 長崎県北松浦郡佐々町小浦免67-3
TEL. 0956-63-3770
FAX. 0956-63-5826
許可番号 長崎県知事許可(般-2)第13284号
公式サイト http://www.fukuda-koumuten.com/

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