古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

僕はどうやって古民家をリノベしたか・その6「古民家を買ったあとの動き方」

過去にたぶん書いたことあるけど膨大なアーカイブに埋もれて自分でも見つけられなくなってるのでもう一度書くよシリーズ、今回は「古民家を買ったあと」のことを語ろうと思います。
前回の記事はこちら。

理想の古民家に出会い、数々のチェックポイントもクリアし、ローンもどうにか通って、購入!!!
した後にどう動くかという話ですが、
まず、購入!!!した直後、僕のように円形脱毛症が始まると思いますが、それは古民家と同じくいつか治るので大丈夫です。
いや、そこまでじゃないにしても、たぶんね、すっごい不安に襲われますよ。
たとえばローン組む時になんかよく分からん大人たちがやって来て、なんとか士さんとか、銀行のなんとかさんとかに囲まれて、銀行の入ったことのない個室に通されて、押したことのない太めのハンコで調印して、ああ……何か分からんけどこれ取り返しのつかんやつや……終わった……
とフラフラになって銀行から出てきて、購入した古民家に戻ってみればごみの山、雑草だらけの庭、雨漏り跡、雨戸を閉め切ったカビくさい室内、大量のまっくろくろすけ、泥だらけの畳で走り回る座敷わらし……
もうその場で髪の毛が数本抜けますよね。
わかる。
でも断言できるのは、人生それくらいのリスクを抱えたら、確実にそれを上回るリターンが来るってことですよ。
ほんと信じられないですからね、今の僕の暮らしが。
みんながうらやむような僕のこの家が、リノベ前はみんなが眉をひそめるような家だったことは、もはや僕しか知らない事実です。
古民家はリノベしたらめちゃくちゃ良くなるよ。
プロは誰でもそのことを知ってるから、逆に当たり前すぎて言ってないんだよ。
そして素人の人たちはそのことを何も知らないから、めちゃくちゃ不安になるけど、大丈夫。
どんな古民家でも直るから。
「古民家を買って失敗しました」は基本的には無い。
そういうこと言って騒いでるのはインプ稼ぎが目的か、あるいはその人がそう思いたいだけ。
このメーカーのパソコンを買って失敗しました、
大手に就職して失敗しました、
この人と付き合って人生失敗しました、
そういうことを言うやつはそういうことを言い続ける人生というだけなので、古民家には関係ないです。
だから買った人はまずそこは安心して欲しい。
10年前の僕が誰かに言って欲しかったことを今、僕は自信を持って皆さんに言います。
大丈夫です。

それで具体的な動き方の話なんですが。
これはまあ人それぞれ、その人たちの状況にも大きく左右されると思うので、あくまで僕の思う理想の動き方、考え方として読んでくださいね。
やっぱりね、これが一番難しいと思うんですが、そこに1年住んだ方がいいです。
僕は工務店が見つからない、お金の都合が付かない、という理由で1年間カビ臭やダニといった劣悪環境の中で住むことになってしまったんですが、それが結果として、すごく良かった。
なぜかというと、1年を、厳密に言うと、真夏と真冬を経験したからである。
そこを「直す前」に経験しておくというのは、リノベプランを考えるにあたり非常に有利に働きます。
真夏にどの部屋がどこまで暑くなるのか。
真冬にどの部屋がどこまで寒くなるのか。
春秋の陽射しがどんな場所にどう入るのか。
自分はこの家のどんなところが好きなのか。またはどこが気に入らないのか。
嫌だと思っているところが我慢できそうかどうか。
そういった無数の「実感」を、1年を通じて得ることができる。
リノベプランにあたり、こういった実感に基づくプランニングは、おそらく数百万円、ともすれば1000万円以上というレベルでお金を削減してくれることでしょう。
ようするに無駄なことをしなくてもよくなるんですよね。

リノベって基本的に「嫌なところを好きなように直す」という作業ですよね。
それは物理的に傷んでいるところから、メンタル的に嫌いなところまで様々ですが、そういうのってパッと見てパッと住んだだけでは全然見えてきません。
僕自身、内覧時にものすごく嫌だと思っていた南の縁側のアルミサッシが、10年間そのままで、べつに平気で暮らしてます。当時そこを木製との二重サッシにするのに100万円かかると言われて迷っていたんですが、それだけでも余裕で100万円浮きました。
なぜそこを直さなくても済んだのかというと、僕が1年間住んで、そのビジュアルに慣れちゃったからです。
もちろんなんでも慣れるというものではありませんが、少なくともそのアルミサッシは僕が慣れることができたという隠れポイントだったんですね。
1年間の暮らしは、嫌なところだけではなく、良いと思ったプランが正しいかどうかを判断する猶予期間にもなります。
こんなこともありました。
僕は最初から離れを増築することを考えていて、リビングや仕事部屋やキッチンなどを、本宅である古民家と、新築の離れにどう配分するかを考えてました。
僕は自然光が好きなので、離れの南側ならキッチンを置けると思いつき、離れ東南向きキッチンプランをしばらく推してました。
そのキッチンには出窓をつけて、フレッシュな朝の光を感じたい♪と思ってたんですが、
ある日気付いたのです。
その出窓のすぐ先に、お隣さんの汲み取り式トイレの臭突(くさい煙突)があるということに……

ね?
住む時間って大事でしょ。
まじであのままプラン固めてたら今頃は朝の光どころかフレッシュなう〇この臭いを感じられる窓になってましたからね。
なので1年とはいかずとも、できれば真夏か真冬を含む数ヶ月をその古民家に住むなり、まめに通うなりして、土地や建物、その空間をじっくりと体験していただければ、間違いは減るかなと思います。

以上、今回は古民家を買った直後、のお話でした。
また次回!

pagetop