古民家に住んでますvol.5 冬の寒さ対策・熱源の話
古民家の冬の寒さ対策、第五回目となる今回はお待ちかね「熱源」のお話です。
このシリーズを継続してお読み頂いている方はご存じの通り、「寒さ対策」と銘打っておきながらマンガ読んだり精神論を語り始めたりとろくなことがない連載記事です。
前回の記事だってあれですよね、今から工事する人しか関係ないもんね。
ということで今回こそは即戦力!
即実践!
即採用!
というお話です。
もちろん読者様の期待ゲージがピクリとも動いていないことは知っています。
自業自得です。
でも今回はたぶん、皆さんが「暖房」についてこれまであんまりちゃんと考えてなかった部分が、明確になるのではないでしょうか。
そして同時に、この言葉をあらかじめ皆さんにお伝えしておこうと思います。
知ってたらゴメン、と。
では早速熱源のお話です!!
僕調べによる2019年ベスト熱源はこちら!!
1位 太陽
2位 薪ストーブ
3位 床暖房
4位 こたつ
5位 石油ストーブ
6位 石油・ガスファンヒーター
7位 エアコン
8位 超極暖ヒートテック
9位 職場恋愛
10位 知らない人からの親切
はい。独断と偏見と経験によってこのようになりました。
説明します。
1位太陽。
もはや説明不要、唯一無二の存在。無いと寒いっていうか地球が滅ぶのでマストです。
自然とともに生きるスタイルの古民家は、もちろんこの太陽と仲良くやっていこうという造りになっています。
それが有名な「古民家の軒の出」。
夏は日射しを遮り、冬は部屋の奥まで日射しを取り込む。
実際この仕組みはよくできてます。古民家は壁が少なくて窓だらけなので、南向きに障害物がない場合は、冬になると驚くほど部屋の中に太陽が射し込んでくれます。
しかも光熱費は完全無料。すばらしい!
ということで、これはデフォルトで装備されているので詳しくは触れません。
次。
2位、薪ストーブ。
これを導入できてる時点でお金持ちなので、そういう方は床暖も断熱も木製サッシのオーダーもサクサクやってると思うので、同じく触れません。
一言だけ言っとくとめっさ暖かいです。
燃えてっから。火が。家の中で。
うちもいつか導入したいものです。
次。
3位、床暖房。
まーこれもお金持ちが導入するやつなのでひがみつつスルーしたいところです。冷気は100パー足元に溜まるので、そこを全面暖かくできる床暖はやっぱり暖かい。
ただこれは僕のすごい主観ですが、なんというか、「足元の方が暖かい」という自然の摂理に反してるところが…
なんというか…居心地が悪いというか。便利すぎてしっくりこないというか。
この家には合ってないな、と思って導入しませんでした。
次。
4位、こたつ。
こたつ買ったら負け。
次。
5位、石油ストーブ。
さーやっとここから本題です。
前置きがめちゃめちゃ長くなりましたが、実は今回、石油ストーブと、6位のファンヒーターと、7位のエアコン、この3者の比較がテーマなのです。
まず、古民家における寒さ対策として、実用に耐えうるのは石油ストーブ、次に石油ファンヒーターであることをお伝えしておきます。
あれ、エアコンは?
と思われるでしょう。分かります。僕もそうでした。エアコンつければいいと思ってました。
で、工事の時に電気屋さんに「暖房もエアコンで」と伝えたんですが、その時に電気屋さんはこう言いました。
「エアコンなんか効くかいなw」
はい?
驚いた僕は周りにいる水道屋さんや大工さんたちを見回しました。なぜかみんな半笑いでした。
「え、ちょ待って、エアコン効かんの?」
電気屋さんは満面の笑みで言いました。
「エアコンは『風送る機械』くらいに思っとけ」
当時の僕は意味が分かりませんでしたが、今なら実感できます。エアコンは単なる「送風システム」であると。
今回、古民家に住まわれていない方を対象に喋っていますが、そんな方々には全くピンとこない話だと思います。
いや、そんなこと言われてもエアコンめっちゃ効くし暖かいんですけど…というのが正常な反応です。
でもそれは「部屋に隙間がない」という大前提があって初めて成り立つお話なのです。
隙間がある家と、隙間がない家。これがエアコンにとってどう作用するかを示した図がこちら。
隙間がない家の場合、普通はこういう熱の流れです。ぬくい風がフオーって出てくるのがエアコンです。
ちなみに座ってる人物が小太りのおっさん風なのは、リアルに描写したからです。すみません。
この部屋は気密性が高いので、ぬくい風はそのまま部屋にこもり…
こんな感じで部屋をまんべんなく暖めてくれます。
これを家全体に行き渡らせたのがいわゆる「全館暖房」という状態です。
どの部屋のどこに行っても暖かいと。
今のお家はこういうのが多いんじゃないでしょうか。
では、古民家の場合はどうなるのかというと、まず壁っていうか窓に隙間があります。
めっちゃあります。
あと謎の穴とかもあります。
絵で示すとこんな感じ。
はい。絵を見ただけで引っ越しを検討するレベルです。
ここに「あったかい風がフオーって出る機械」のスイッチを入れてみると…
凶悪な冷気により、あったかい風が途中で「はふぅ~ん」みたいな感じで消滅するのがお分かり頂けるかと思います。
つまり電気屋さんの言ってることはこういうこと。
次々に部屋の中に侵入してくる冷気とバトルするには、あったかい風みたいな軟弱野郎は「はふぅ~ん」となり、まるで役に立たないのです。
ということで次に登場するのは第6位のファンヒーター。エアコンに比べて、設置場所が床であることと、風の温度が「熱い」レベルであることから、エアコンよりは効果が期待できます。
ではスイッチオーン。
いかがでしょうか。
皆さんファンヒーターの温風ってなんとなく床に沿って吹いてると思ってませんでしたか?
実際サーモ図にすると結構えぐい角度で急上昇してるんですよ。
なので、座る位置は急上昇するちょっと手前にしておけば、最大限に温風の恩恵を得られます。
これがいわゆる「局所暖房」。
古民家の暖房の基本形です。
ようするに、部屋のどこかに熱源があり、その近くに座って暖まる、という形。
囲炉裏や暖炉なんかそうですね。
隙間があり、常に冷気が流入してる古民家はこういう考え方で暖を取ります。
で、
ファンヒーターをつけてしばらく経つと、一応これくらいまでは部屋を暖めることができます。
あ、もちろんファンヒーターだけでいける日もあるし、部屋の広さによっても、地域によっても違いますよ。これはめちゃめちゃざっくりした話だと思って読んでください。
それでファンヒーターですが、エアコンよりマシとは言え、所詮は「暖かい風」です。
暖める方法としてはエアコンの原理と一緒なので、ちょっと力不足を感じます。
そこで第5位、石油ストーブの登場です。
もう最初からテンションが違います。
石油ストーブを付けた瞬間、天板から「熱」としか言いようのない何かが立ちのぼっていきます。
さらに、石油ストーブ本体の周りもポカポカ暖かくなっていきます。
石油ストーブは温風を発生させてるんじゃなくて、単純に中で火を焚いてるわけです。
自然の熱源ってやっぱすごいですよ。
一歩間違えたら死ぬ感じがします。「ごめん、人間の命とかあんまり興味ないわ」みたいな自然界独特の迫力があります。
その自然の神さまの力を借りた結果…
はい。風の神 VS 炎の神、勝者は炎のかみ~。
となりました。
ということで結論。「石油ストーブ買おうぜ☆」
ちなみにこの炎の神さま、アホほどぬくいですが、灯油をアホほどお召し上がりになります。
一日中つけっぱにすると18L灯油ポリタンクが3~4日で空になります。
なのでうちは寒い日の朝晩だけお世話になっております。
それでは最後に、もう一つ重要アイテムのご紹介。
といっても過去に紹介してますが、天井付近に溜まりまくった熱をまぜまぜするため、「サーキュレーター」または「シーリングファン」はあった方がよろしいです。
うちは居間にサーキュレーター、天井の高い土間にはシーリングファンを使っています。
特にこのシーリングファンは暖房効率だけではなく、勝ち組感、来客時のドヤ感、南国リゾート効果などが得られるのでおすすめです。
以上、古民家の冬の寒さ対策・熱源編、いかがでしたでしょうか。
今回も記事作成に手間がかかったわりに「石油ストーブあったかいよ。まじおすすめ」というわずか1行で話が終われたのではないかという不安に襲われていますが、
まあとにかく、冬の古民家でも知識と灯油さえあれば普通に過ごせますよ、ということをお伝えしたかったんでした。
では最後にこの大切な言葉を、気持ちを込めて、皆さんに贈らせて頂きます。
知ってたらゴメン。
おわり。