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古民家に住んでますvol.2 冬の寒さ対策・建具編

リアルタイムの生活をお届けする「古民家に住んでます」シリーズvol.2。
前回は古民家における冬の寒さ対策と見せかけた「だがそれがいい」的な記事で失礼いたしました。
今回はちゃんと寒さ対策のことを話します。
ちなみに冒頭の写真は中尊寺経蔵です。僕の自宅ではありません。

さて今日は12月29日、ザ・年末です。
折しも寒波到来した本日、年賀状も作ってなければ大掃除もしていない、灯油も切れた、明日友達の親が来る、さっきアホの次男が階段から落ちたっぽい、というこの状況下で、正直古民家の寒さ対策についてブログを書いている場合ではないのですが、約束しましたので、書きます。

僕が思うに、古民家の寒さの原因の80%は「窓」じゃないかと思います。
窓と言っても最近の住宅についてるようなちっさい窓じゃないですよ。古民家についてるのは基本的に普通のドアより大きい「掃き出し窓」と呼ばれるやつです。
これがまあ寒い。
天井も隙間があるし、床下も断熱してないし、というのはありますが、なんせこの木製の建具。こいつらが元凶です。
この図をご覧ください。

古民家の寒さ対策1

これは前回のサーモグラフィ図に「外気に触れる建具の種類」を書き込んだものになります。
赤枠が木製窓。
銀色がアルミまたはスチールサッシです。
これでふんわりお分かり頂けるでしょうか。木製窓だらけの部屋が、すべからく死の世界になっているのです…!!(すべからくの誤用)

それはなぜか。
次の写真をご覧ください。

古民家の寒さ対策2

これは僕がよくインスタで投稿するインスタ映え~な写真ですが、
この写真を撮った季節が真冬だということを想像して、よく見てみてください。
画面中央に何か不穏な空気が漂っていませんか?

古民家の寒さ対策3

寒!!
あいてるよ!
ここあいてるよお父さん!はやく閉めて!
と子供が泣こうが叫ぼうが、お父さんは閉めれません。
なぜならこれ、MAX閉めの状態だからです。

もう一つ例を。新しく作った新築の渡り廊下。

廊下の古建具

こちらもインスタ映え~ですが、寄ってみると…

古民家の寒さ対策4

寒!!

いかがでしょうか。
このように「古い木製窓」というのは元々反ってたり歪んでたり、湿気を含んで膨らんだり縮んだりして、基本的に左右ぴったり閉め切ることができません。
また、それと同じ理由で「窓枠が重なってる部分」にも大きな隙間が生まれています。
下記は木製窓から入り込む冷気を図示したものになります。

古民家の寒さの入口

こんな感じで、「窓枠と窓枠をくっつける部分」と「窓枠と窓枠が重なってる部分」からの冷気の流入がすごい。
どれくらいすごいかというと、部屋を温めてる場合ですね、窓枠と窓枠の重なりからの冷気の強さは、
ドライヤーの「ターボ」レベルの勢いです。
まじで。

ではどうすればいいか?
とりあえず「くっつける部分」はどうしようもないので、「重なってる部分」をどうにかします。
てことで、これ。

古建具に隙間テープ

テッテレー!
隙間テープ~。
これ、あなどれません。うちではマストです。
ありとあらゆる木製建具に装着しております。
ちなみに古民家における隙間テープ選びですが、「スポンジ」タイプではなく「モヘア」タイプを選ぶのがポイント。
なぜかというと、こちらをご覧ください。

古民家の寒さ対策6

これは何かというと、障子と柱の隙間が、下にいくにつれて広がってるんです。
柱が傾いてるんですね。
柱が傾いてる。これは古民家あるあるの一つ。不良物件とかでは全くありません。古民家の柱は基本的に大なり小なり傾いてます。
傾いてる=不安、危険、みたいなイメージはありますが、古民家は耐震ではなく免震構造であり、「総持ち」と呼ばれる組み方で家を支えてますので、べつに問題はありません。
この辺のことはこの記事にめっちゃ詳しく書いてます。
で、
隙間が下につれて広がっていくということは、隙間テープの太さは一番広い部分に合わせる必要があるんですが、その場合スポンジタイプだと隙間が狭くなっていく部分で「ふにゃっ」となってくれないんですね。
てことでモヘア一択です。
これで隙間風はドライヤーの「セット」くらいには落ち着いてくれます。

モヘアの隙間テープ

さて、ここまで読んで頂いた方には、一つの疑念が生じていることでしょう。
「ていうか…なんでこの人、アルミサッシにしないの? アホなの??」と。
Exactly.
仰る通り、アルミサッシに替えると寒さ問題は2秒で解決します。
またさっきのサーモ図のように、重要な生活空間は断熱とコストの面で一部アルミを使っています。
でもな。

古民家の窓をアルミサッシに替えるくらいだったら新築建てるっす…

ということです。
古民家=おしゃれな建具、くらいに思っている僕は、何よりそれが憧れでした。
かっこいい、かわいいデザインの木製のガラス窓に囲まれて、ゆらゆらガラスに映る木漏れ日を眺めながらうっとり暮らすのが夢だったのです。
だから僕は、工夫とアイデアでそれを両立させました。
おかげで毎日うっとりしてます。

木製の古建具

以上、過去最大の写真枚数でお届けした古民家の寒さ対策ですが、恐るべきことに、こんなもん、寒さ対策のごく一部に過ぎません。
だって隙間テープ貼ったくらいじゃまだ寒いんだもの。
ということで、次回はさらにつっこんだ寒さ対策をご紹介します!
こういう説明系の記事は書くのが超大変なので、B型の僕は既にもう限界に近いのですが、需要があることを信じて!
つづきます。

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