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ヨドコウ迎賓館に行ってきた・その6

わかってる。
大丈夫。
今回で終わるから。
終わらんくても途中で終わるから。ブツッて。

ということで始まりました人気コンテンツ、ヨドコウ迎賓館レポ!
今回はどんな部屋が見れるのカナ?(*^o^*)
早速いってみよ~~!

部屋じゃなかった。
外です。
ご覧の通り、ヨドコウ迎賓館はやんごとなき大金持ちの邸宅ですので、もちろん高台にあり、我々庶民どもを見下ろす感じになっているわけです。
キーッ!悔しい!
が、
よく考えてみれば我々庶民も山に土地買えばいつでも庶民どもを見下ろせるわけなので、庶民どもを見下ろしたい人はぜひ山の高台を購入してみてくださいね。
土地代クッソ安いかわりに、電気水道のインフラ設置と基礎を斜面対応させるのにお金がかかりますけどね。
え?
なんで詳しいのかって?
それはね、恥ずかしながらぼくの親父が、庶民どもを見下ろそうとして大金ぶっ込んで山の斜面に別荘建てちゃったからなんだよね。
だから僕、親父が死んでも現金もらえずにその頃には絶対に売れなくなってる築40年くらいのめっちゃ不便な場所にある別荘を相続することになるんだよね。
これぞまさに「負」動産!
まあいくら僕が家に詳しくても実際はそんなもんすよ。
どーすんだよあれ…
はあ…

そんなしょうもない話は置いといて、ご覧ください。
さっきの外につながる出入り口です。
ヨドコウ迎賓館は山の斜面に沿うように建っていて、4階建て?になるのかな、なんせ少しずつ斜面に沿って上に階段で上がっていく構造になっているんですが、その一番上がこのようにバルコニーになっていて、気が向いた時にいつでも庶民どもを見下ろせることができます。
僕がとにかく洋風建築に憧れるのはこの「フラット」な感じ。
段差なく外に出れる、これ、実は基礎のある日本の住宅ではほぼ不可能なんですよね。
よく掃き出し窓からウッドデッキに出る、みたいなやつはありますが、ありすぎて、そしてウッドデッキすぎるので、僕はそうじゃなくて普通に外に出入りできる構造をつくりたかったのだ!
ということでうちの土間は普通に段差なく外に出入りできるようになっております。
その辺の経緯はこちらをご覧ください。結構工夫したよ。

一歩引いて見た図。
もうね、見下ろしてください。文句言いませんわ。
こんな家に住んでる人はお空の近くで暮らせばいいんだよ。
そんで執事のじいやに「じい。あそこに見える桃色の建物は何かね」
「は、旦那様、あれはイオンでございます」
「イオン?」
「左様でございます」
「イオンとは何かね」
「イオンとは、大きなスーパーのような施設でございます」
「スーパー……?」
「は、失礼致しました。スーパーとは、食材や生活用品などを販売する店舗のことでございます」
「食材というのは、料理ということかね。つまりレストランなのかね」
「いえ旦那様、庶民はレストランで食事をすることが一般的ではなく、自ら食材を買い、自ら調理を行うのです」
「料理人はいないのかね」
「おりませぬ」
「じい」
「はっ、何でございましょう」
「興味がある。あのイオンとやらを一棟買っておいてくれ」
とか言っとけばいいんだよ!!!

はい。
このタイパの時代にしょうもない話すると嫌われますね。
もうしませんごめん。
えー、さっきの空間がなぜすごいのか、なぜすごいと感じるのか、というところですが、ざっくり言うと全部が行き届いてるから、つまり、「全体が調和してる」からというのが一番の理由です。
調和といっても別に難しい話じゃなくて、一つ一つ、これでいいのか?というジャッジが入ってますかという話なんです。
たとえば画面に写ってないこのテーブルランプ一つとっても100点満点のデザイン、かつ、この空間のコンセプト、テイストにぴったり。
このライトは「TALIESIN(タリアセン)1」と呼ばれ、今は復刻版が10万前後で売られてますが、こういうのがさらっと置かれていて、空間に馴染み、馴染みすぎてスルーされるくらい全体に溶け込んでいます。
この部屋一つとっても、写真をじっくり見れば見るほど細部のすごさが立ち上がってくる、そんな空間になっているんですね。

テーブルランプだけじゃなく、吊り下げのペンダントライトもこういう形で、こういう色で、この高さでないとダメ、というところまで考え尽くされたものになっています。
こういう細かい部分に目がいくようになれば、内覧見学士(今作った)1級合格です。

そしてさっきからチラチラ写り込んでいたこの天井、気付きました?
装飾と採光を兼ねてるんだと思いますが、これをふと見上げたうちの小学生の息子、なんて言ったと思います?
「これ、朝から夕方までずっと光が入るようにしてるんやなー」
ですって!
驚いた僕がアプリで方角確認したら、確かに東、南、西、ってなってましたよ!!
え、天才?
と一瞬思いましたがたぶん天才だと思います。
こうして建物を読み解くのも名建築の楽しさですよね。

で、ちょっとした空間に手洗いと物入れ。
そこにも必ず窓。
絶対に入れてくる窓。
しかも縦長。
正直、古民家リノベの際にあちこちにうっとうしいくらい縦長の窓を入れるだけで何かすんごい空間になると思うんですよね。
誰もしないだけで。
でも、よく考えてみれば、できるよね、って話です。
巨匠だろうが大金持ちだろうが関係なく、僕らは実はいろいろできるんです。
僕がこのシリーズで6回もかけて伝えたかったのはそういうことです。
なのでぜひ皆様、これらの写真を見ながらそういう「拾える細部」を拾いまくってください。

まあこんな階段とかどう考えても拾えないやつもありますけど。
それでもせめてスケール持ってって段差とか幅とか、拾いましょ。

はい!!!
ということでついに終わることができたこのヨドコウ迎賓館レポシリーズ、いかがでしたでしょうか。
これマジで「ヨドコウ迎賓館」でぐぐった時に上位表示されるんちゃうかと思ってびびってますが、まあでも一般の方々にもなんか参考になるかも知れないので、まあいいか。
関西圏にお住まいの皆様はぜひ、それ以外の方も旅行した際にはぜひここにお立ち寄り頂き、歴史に残る近代建築の圧倒的な美しさと格好良さを体験してみてください。
名建築を見学して、その時に得たショックというものは、あなたの古民家リノベにも必ず活かされることと思いますよ。

それでは皆さんごきげんよう。
僕はこれからこの車止めにじいやを呼んで、高級外車で下界の「イオン」とやらを視察してきます。
ではまた!

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