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古民家リノベーション体験談107 土間玄関づくり・壁編

【前回までのあらすじ】「【ゆらぎの場】のところ口悪すぎるやろwww」と妻に言われました

ハーイ!
イクラちゃんハーイ!
いつもこの最初の数行のせいで検索エンジンから飛んできた人に「あ、なんか違うわ」と思われて直帰される率56%を誇るクロニカのブログだよ!!
40歳越えたらブログひとつ書くにもハイなテンションがいるんだぜ!!

さて今回は「壁」のお話。
壁と言えばまず思い浮かぶのは安部公房の『壁』ですよね。
みなさん、日本近代文学の屈指の名作、安部公房の『壁』を読まれたことはありますか?
僕はないです。

ということで壁ですが。
前にもちょっとご紹介しましたが、土間はとにかく壁がひどかった。
いろいろひどいけど特に壁が、どうすんだこれって感じでした。
こんなんです。

土間の壁
土間の壁

これを全部剥がして綺麗にして、漆喰を塗るとかボードを張るとか色々考えたんですが、ここはキッチン&風呂場として改造されてたので、よく見ると大事な壁の柱が途中でぶった切られてたり、その下半分がペラいブロック塀になってたりして、水場ゆえにシロアリもわんさかいて、えっこれまともに直したらなんぼかかるん、ジャッキ入れて、壁も柱も全部取り替えたらなんぼかかるんですかと、なんかもうそういう現実を直視するのが辛くて、辛くて、辛くて、
フタしたった。

土間の壁に胴縁を入れる
土間の壁にフタ

というのが、土間の壁の仕様における真相です。
マジで。
でもこれ結構アリですね。アリアリ。シロアリ。
なぜなら前回のブログで書いたように人間は超繊細なセンサーを持ってるけどそのセンサーが繊細すぎて逆にフタをしたらフタに意識が向きすぎてその裏側にあるものをすっかり忘れてしまうからだ!
フタ有効!
フタ最高!
ということです。
これはほんとに実感します。そして、ああ、だからこういう古民家ってちゃんと直さずに上から板張って誤魔化す人が後を絶たないのだな、と思いました。
当時はそんな風にして家を大切に使わない、家に対して敬意のカケラもない人々に憤りを感じてましたが、気付けば自分がそっち側の人になってました。

ただしこの方法は、どうしてもお金がなく、1年以上金策に走り回って、永遠に続くかと思われる工事で身も心もボロボロになって判断能力が極度に低下した人だけが選んでいい方法なのです。
だからこれを読んでいる良い子のみんなは絶対マネしないでね!
普通はちゃんと剥がして、ちゃんと直してくださいね。後々の世代のために。

土壁を掘って胴縁を入れる

そんで具体的にどうフタをしたかというと、このように、胴縁と呼ばれる細い材を、土壁を掘って埋め込むんですね。
そしてその上に板を釘で留めていくと。
僕は大工さんが壁掘ってるの見て愕然としましたよ。壁って掘れるんやっけ…? と。
そうなんです。
土やからね。掘れるんよね。
土壁フレキシブルすぎる。
この理屈で、柱と貫さえなければ、わりとどこにでも窓をつけることができます。
だって掘って穴をあければいいんだもの。

土壁に窓をつける
土壁に窓をつける

ここには元々小さい窓がついてたんですが、それをめっちゃ拡大して、でっかい窓をつけました。
そんで都合の悪いところは木の板を張ってフタをすると。
こんなんでええんか古民家再生。
ええんですよ。
しかもこれ、リアルタイムで現場で考えてましたからね。ここフタする? みたいな。
ガチガチにルールが決まった現代の家づくりと正反対です。
ザ・原始的。
ちょっときれいな竪穴式住居つくってる感じ。

ただし、一点だけご注意を。
このように窓の上から板張りでフタをする時、窓部分はあらかじめ大きな板か何かで塞いでおいた方がいいです。
なぜなら、板が痩せてきて、板張りの板と板の間に隙間ができて、その裏側に埋め込まれた窓から光が射し込み、その結果、なんかここを切ったら三寸ばかりなるかわいい女の子がいるんちゃうかと思わせるほど板張りの隙間から眩しい光が…!!
特に直射日光が射し込む夕暮れ時は最悪です。
土間を見学してたお客さんが、ふと足を止め、なんかここを切ったら三寸ばかりなるかわいい女の子がいるんちゃうかと思うほど光っている板張りの壁をじっと見つめ、「……なんですかこれ」と聞いてくるそのたびに、ぼくはこう答えています。
「なんでもないです」と。

以上今回は壁編でした。
ちょうどテンションを使い切ったので、今からカフェインを補充してきます。
それではまた次回。

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