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古民家リノベーション体験談20 古民家を直せる工務店の探し方

納屋

【前回までのあらすじ】古民家はみんなが思ってるほど地震に弱くないってば

前回まで二回に分けて耐震性の話をお送りしましたが、やっとその重圧から解放され、今回から気楽な自分の話に戻ります。
自分の話なんで、べつに間違ったこと言おうが後ろ指をさされようがクラスでちょっといいなと思ってる女子に引かれようが関係ありません。
あ~楽ちん。

さて皆さんもう完全に記憶が飛んでると思いますが、何の話をしているのかというと、これは僕の古民家リノベーションブログなわけです。
どこかのメーカーの宣伝でも、激しい主張を行う団体でも、承認欲求強めの自慢ブログでもありません。
すなわち。
リノベーションブログである以上、リノベーションを行う必要があります。
皆さんもうお気づきでしょう。
このブログ、これまで35回も記事を書いておきながら、着工すらしておりません。
北野武『キッズ・リターン』における「バカヤロー、まだ始まっちゃいねぇよ」です。

ということで、やっとリノベーションプランが固まったところまで話が進んだ今、さっさと工事の話に入りたいんですが、古民家の場合はそうもいきません。
なぜか。
工務店が見つからないためです。
え?なんで? と思うでしょ。工務店なんかそこら中にあるやんと。毎週日曜日にいくらでもビラ入ってるやんと。
僕もそういう日曜日のビラ系の工務店を2社選んで、見積を取るために家に呼びましたよ。
で、担当者が家の中をざっと軽くチェックして、「じゃあ見積ご用意しますね~」と言うわけです。
そして見積が届くのを待つわけです。
見積、来ないわけです。
いくら待っても来ないわけです。
電話したら「担当は出張中でして…」とか言われて、そこで初めて「あ、逃げられた」と勘付くわけです。

なんで逃げるの??
と最初は思いました。
意味分からん。この不景気の時代に!
当時は、仕事を選べるほど儲かってるんかなあ、うちはリノベーションやし、新築ばっかりやりたいんかなあ、などと考えてましたが、それは間違いでした。
今からわりと衝撃的な事実をお伝えします。
いや、知ってる人は普通に知ってるんですけどね。
これは僕のように、通学路に工務店さんがあって、毎日カンナがけしてる大工さんを見ながら育った昭和世代のおっさんにとっては、衝撃的な事実です。
今の大多数の現場では、カンナやノミを使いません。
うそーん!
って思うでしょう。でも事実です。
え、じゃあ今の大工さんって何やってるの? と言うと、工場であらかじめカットされた木材を、指示通りに組んでいくだけのお仕事をしています。

なんでそんなことになっちゃったのかというと、理由はいろいろありますが、
まず家が「商品」である以上、メーカーは1円でも得をして、お客に対しては1円でも安くして、たくさん売りたいわけです。
同時にお客さんは相見積もりをして、1円でも安い方に、1つでもスペックが高い方に流れます。
となると、規格化・短納期化・高利益化へむけての効率化が必須となります。
となると、大工さんが家の構造と木の状態を見て、ねじりはちまきで煙草吸いながら数日考えて、ヨシ! と膝を打って仕事に取りかかる、みたいな世界はあり得ません。
ようするにiPhone作る工場と一緒ですよ。低賃金で労働者を雇って、エラーが出ないように完全にマニュアル化して、手仕事以外は限界まで機械化して、ひたすら生産し続ける。それが「売れるメーカー」の秘訣であり、同時にそれが今の日本の住宅の姿です。
だって「商品」ですから。

話を戻します。
そんな背景があるため、適当に工務店を選んで声をかけても、古民家を見たとたんに逃げられるわけです。
現場で判断して木を刻む、昔は当たり前だった大工さんの仕事が、今は「特殊な仕事」となっているためです。
さー困った。
やっと物件を見つけて、やっとプランが決まったと思ったら、今度は工務店が見つからねぇ。
ヘタなRPGよりロールプレイングしてます。
僕はドラクエの主人公のように、ヒントを求めていろんな街の人に話しかけました。
するとどうでしょう。
まさにドラクエのように、偶然出会ったある村人がとんでもないヒントをくれたのです!
そのヒントとは…

安っぽいヒキで、つづきます。

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