古民家リノベーション体験談21 続・古民家を直せる工務店の探し方
【前回までのあらすじ】工務店が見つからない →あるく → はなす → しらべる → あるく
古民家を直してくれる工務店を求め、まるでドラクエのように足を使った聞き込みを行った結果、僕はある一人の村人から有効な情報を得ました。
その村人とは他でもない、向かいのおっちゃんです。
おっちゃんがここを読んでいないことを願います。
ある日、向かいのおっちゃんとお茶を飲んでいる時に、ふと工務店が見つからない話をしたんです。
するとおっちゃん、
「うちの家建てたとこ、いっぺん呼んだろか?」
と言いました。
それは「俺の知り合いにマンガ詳しいやつおるから聞いとこか?」みたいなノリだったので、僕も軽く
「うん、頼むわ」
と答えてお茶を飲んでました。
するとおっちゃんは携帯を取りだし、その工務店に電話を入れるので、あ、結構本気で紹介してくれるんや、と思ってこっちもスケジュール帳を取り出そうとしたその瞬間。
「毎度!」
と見知らぬ坊主頭のおっちゃんが茶の間に登場しました。
そう、このおっちゃんこそ後にお世話になる工務店の親方その人だったのです!
……いや。
ていうか。
今来るんや。
と僕は思いました。
ていうか、登場早すぎへん?
電話切ってから5分くらいやで?
呆然としている僕を無視して、おっちゃんらは「最近どうや」「全然あかんわ~」とか楽しそうに喋ってます。
後になって知りましたが、親方の店は僕の家の近所なんでした。なるほどセ○ムより速い到着にも納得です。
で、
その場で親方に家を見てもらうことになったのですが、なんせ5分前までおっちゃんとまったりお茶を飲んでたのでテンションが追いつきません。
ていうかこの工務店に関して情報少なすぎやろ! と僕は心の中で叫びました。
出会って1分です。施工例どころか社名すら知りません。
僕の手元にある情報は「親方が坊主頭」だけです。
ところが親方、僕の家を見るなり、衝撃的な発言をしました。
「この家、うちのひいじいさんが建てた家やんか」
え?
えええ!まじか!
なにその運命的なエピソード!
ぜっ、ぜひお願いしますぅ!
と思ったのですが、警戒心の強い僕は、親方に抱きつく前にいくつかの質問をすることにしました。
他の時もそうだったんですが、これまでお話してきましたように僕の中では既にプランができあがっていたので、工務店さんのお見積の際に、そのプランが実際に実現できるのかどうか質問するようにしていたのです。
たとえばこの柱は抜けるのか? とか、カビの臭いはどうすれば? とか。
これまでの工務店さんは、柱を抜けるのか? と聞いても
「ん~、まあ、柱はあまり触らない方がね~」とか
「ん~、まあ、後で考えましょう」とか、
なんとも歯切れの悪い受け答えだったんですが、親方に「この柱は抜ける?」と聞いてみたところ、
「あかん!!」
え、じゃあこっちの柱は?
「いける!!」
マンガみたいですがほんとこんな感じでした。
一通り喋った後、親方は娘さんの名前が書いてるピンクのチャリンコに乗ってふらふらと帰っていきました。
その後ろ姿を見送りながら、なんかもうアイミツとか坪単価とかそういう話じゃないなと思いました。
この人しかないやろと。
決まりやなと。
当時はよく分かっていませんでしたが、今なら分かります。
こういう古い家が建ち並ぶ集落というのは、今は数が減ってしまいましたが、運が良ければ腕のいい大工さんがいるんです。
そしてそういう大工さんというのは、村の建物をほぼ知り尽くしています。
昔は家一軒につき「出入りの大工」がいたという話も聞きました。
地域密着どころじゃないですよ。その家に大工道具置いてたらしいですよ。
そんな大工さんは古民家はもちろんのこと、その地域の特性、たとえば湿気が多いとか台風が通るとか風向きとか、何でも知っています。
古民家は生きている建物なので、そういう生情報がとても大切です。
つまり。
古民家においては、大手よりも地域の工務店さん最強伝説ってことです。
もちろん、地域の工務店すべてに腕のいい大工さんがいるわけではありません。
それぞれの得意分野があるし、考え方の相性もあるでしょう。
だから僕は、全国から古民家を直せる腕を持つ工務店さんの情報を集めて、インタビューを行い、このサイトに集めようと思います。
そうすればもう僕のように足を使った聞き込みをしなくてもいいんです。
近々発表できると思いますので、乞うご期待。
ということで「古民家を直せる工務店の探し方」、いかがでしたでしょうか。
現実世界で探される場合はドラクエ方式で、
ネットで探される場合はうちのサイトで、
ぜひ長い付き合いとなるベストパートナーを見つけてください。
次回はいよいよ、いよいよリノベーション工事の話に入っていきます。
つづきます。