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ヨドコウ迎賓館に行ってきた・その4

順調にアクセス数が減少してきておりますこの人気シリーズも第四回を迎えました。
ここまで続けてこれたのはひとえにコメント欄がなく読者様の罵声があんまりダイレクトに届いてこないこのサイトの仕様のおかげです。
まあ思い起こせば数年前、古民家リノベのブログをはじめるよー!と言っといていきなり新築を建て始めて「は?」と思ってる読者様を置き去りにして新築レポートを半年以上にわたって書き続けたあの頃の空気に比べれば、たった四回くらいどってことないっすよ。
今日も空気を冷え切らせていきましょう!
クールジャパン!!!

さて今回ご紹介するのはクロニカ的ヨドコウ迎賓館の目玉フロアである、この和室。
もうこれは本当に素晴らしい。
写真で順番に見てるだけでは伝わりにくいかもですが、これまでのゴリゴリの洋間空間にいきなり忽然と現れる畳のダイナミズムたるや。
最初何も知らずに見た時は頭が「??!?」てなりましたよ。
そんで反射的に、ハッ、ガイジンさんが日本の和の心を分かんのかヨ? オオ? と思いましたが、

分かられてた。
分かられてた上に、アレンジで上をいかれてた。
この床の間で僕はライトに土下座しました。
明らかにうちの床の間よりカッコよです。
何この窓。というか、何この控えめな光。
陰影礼賛ですやん…

隣室の床の間。
ここにも地袋の隙間に明かり取りの窓が。
壁はペンキのくせに!
陰影が! 礼賛されちゃってる!
くっそー巨匠め!!
と悔しがるのではなく、皆さん、こういうのしっかり写真撮ってマネしましょうね。
古民家リノベの素敵空間はこういう膨大な細部によって成り立っているのです。
僕的には、なんか窓入れられそうな壁あったら窓放り込む、くらいの感じでやってきました。その結果、キッチンと土間の間にはインナーサッシが入り、トイレには窓が3つも入り、5メートル以上ある渡り廊下はあろうことか片面ぜんぶガラス、ということになったのです。
試しに今「ここに窓がある必要はないよね」という窓を数えてみたら10カ所ありました。

トイレの窓

これは職人全員に「上の窓いらんやろ」とツッコまれたことで有名なうちのトイレの窓です。
ちなみにこの左側にも窓があります。
断言しますが、古民家リノベと新築住宅の大きな違いの一つがこの「窓の量」です。これだけでも圧倒的な差があります。
新築はスペックが求められるので、断熱性能や壁量を上げていく、またコストダウンさせるには窓を小さくしていかないといけません。
対して古民家は断熱なにそれおいしいの?だし伝統構法だから壁量あんま関係ないしそもそも構造が窓だらけなので、窓に関してはすっごい自由を手にしているのです。
リノベの際にはぜひこのことを理解し、利用してください。
ヨドコウの窓の多さが生み出す光の周り方、その独特の雰囲気は、古民家であれば自分の家でも再現することができるのです。

さてヨドコウに戻りまして、この欄間見て欄間。
はあ。
こんなんはしゃーない。マネすんの無理。
何じゃこれ…と見上げて、ため息つくだけっすわ。
何これ。
何食って生きてきたら日本の和室の欄間見て「せや!ここにマヤ文明っぽいデザインの金属板はめ込んだろ!」とか思いつくんでしょうね。
しかも違和感ないし。夏の簾戸もシャレオツですな。

そしてこの部屋でもう一つ触れておかないといけないポイントがこれ。
網戸にピン来ちゃってますけど、僕が見せたかったのは床。
これ、座敷の掃き出し窓なんですけど、この窓を開けるとレベル差ほぼゼロで大谷石のポーチに出ることができるんですよ!
めためたかっこよくない??
「和洋折衷」ってね、こういうことなんですよ。
洋風の家に和室がある、とかじゃないんです。
畳と大谷石のポーチをまったく同列で扱うこの感覚。全然出自の異なる二つの素材を平気で隣に並べてしまうこの感覚。
例えるならシチューとおでんのハーフ&ハー……
いや違うそれは失敗例や、じゃなくて、えっと、
そう、
カレー+うどん=カレーうどん!!!
という世界なのです!
ようするにお弁当の中に一品和食が入ってるとかじゃなくて、もう混ざりまくって、もはや全然別の料理を生み出しちゃってませんかと、この建物ではそういうレベルで和洋折衷が行われているんですね。
いやーすごいですね。
世界でもヨドコウ迎賓館をカレーうどんに例えた人間はおそらく僕が初めてでしょう。
おかげでカレーうどん食べたくなってきましたよ。
皆さんも今日どうですかカレーうどん。
ライトもカレーうどん食べたかも知れませんよ。
てかこの記事「フランク・L・ライト カレーうどん」で検索1位になるよね。どうしよう。

うう…
終わらねえ……
俺が余計なことばっか喋ってるからいけないのか…
つづきます……

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