家を売る時のことを考えよう
今から憧れのマイホームを建てる!
という人たちが想像している暮らしは確実に夢いっぱい、希望に満ちあふれみんなが笑顔の最高の生活だと思います。
が、しかし。
世の中は何が起きるか分かりません。
たとえば家を建てた当時5歳だったかわいいボクちゃんがその30年後に激太り35歳無職引きこもりでオンラインカジノに手を染めて親の知らない間に多額の借金……
え?
言いたいことは分かるからそういう具体的な悲しい話はするなって?
了解!
ていうかべつにネガティブな状況じゃなくても家って売りますよね。普通に。
今のこんな核家族の暮らしでさ、自分自身が先祖となって子孫に代々継いでいってもらう……みたいな状況って無いよね実際。
だからいくらこだわって最高の家をつくっても、みんな30年やそこらで売るんですよどう考えても。
ね。
ということで、実は「家をつくる」=「家を売る」のがセットだと思うんです。
でもみんなマンションじゃあるまいし、新築でもリノベでも、今まさにその家をつくっていこうとしている時に「売ること」なんて考えてないでしょう。
僕だって大枚はたいてオーダースーツを作る時に自分がその後10kgも太るなんて夢にも思わなかったし、10kg太ったあとで大枚はたいてオーダースーツを作り直した時に自分がその後15kgも太るなんて夢にも……
え?
それはお前が痩せろって?
了解!
最近のおすすめはチョコバットとバニラヨーグルトです!
そういうお前はどうなんだと言われれば、そりゃー最初から売る気まんまんですよ。
だって180坪もある土地なんか僕がおじいちゃんになった時に管理できるかつったら無理でしょう。
売るっていうか、継いでもらうって感じですけど。
僕の子供が住むっていうならもちろん普通に譲りますけど(ローンの残債付き)、子供がたとえば東京に就職するとか、自分の家を建てたいとか言うんであればどうぞどうぞと。
で、残った僕たち老夫婦は、自分が世話できるまではここに住んで、ヨボヨボになってきたらここを誰かに譲って中古の駅近マンションでも買うでしょうね。
僕はわりと最初からこのプランです。
人生で住む家はコロコロ変わっていいし、その時々でベストな暮らしをすればよいのだ。
これは我ながら新築と古民家のいいとこ取りをする僕っぽい考え方だと思います。
でね、
これが本題なんですが、売る時にこの家はどういう状態なんだということですよ。
たとえば70歳で売るとしたらあと約20年ですよね。
は?
あと20年でおれ70になるの????
え?間違ってない?
えええええぇ!!!???
~しばらくお待ちください~
はい。
なんかもう家を売るとか建てるとかもはやどうでもよくなりましたが、途中まで書いたので話を続けます。
20年といえばちょうど木造の新築の価値がゼロになる年数ですね。
あ、知ってますか?
この国ではどんなメーカーで家を建てようが木造住宅の価値って20年でゼロなんですよ。
笑うよね。
なので20年後に当時大金をかけて建てた自慢の家に値段をつけようとしても不動産屋さんが「はは…」と苦笑いすると思います。
びっくりするよね。
つまり今ハウスメーカーなどで新築した現代住宅は、基本的には、20年後に売却する時にはほぼ価値を失っている状態になっているんですね。
これって事実に即していないように思いますが、経年劣化する新建材だらけで作られた家というものは、新築の直後が100点で一番きれいな状態です。それから年数を経るごとにあちこちが劣化して、みすぼらしくなって、魅力が無くなっていきます。
いいやそんなことはない!
こんなにも美しい我が家はきっと20年後も魅力を放っているに違いない!
って思う人は自分の手元にある自転車とか炊飯器とか見てみてください。
それが新品の時って美しく輝いてませんでした?
今ってどうです?
輝いてます?
つまりそういうことですよ。
現代の住宅って炊飯器みたいな感じで工場でつくられるものなので、キッチンやユニットバスはもちろん、ドアにしてもサッシにしてもクロス壁にしても、普通に劣化して、みすぼらしくなっていくのです。
なので20年後の炊飯器を誰も欲しがらないように、20年後の家も、あんまり欲しがる人いないです。
でね、20年後の未来、僕が住んでいるこの古民家がどうなっているかというと!
たぶん何も変わってないです。
まじで。
今だってリノベして10年経ちますけど、僕が15kg太っただけで、それ以外はまじで何も変わんないです。
だって100年経ってる家がさ、115年になろうが120年になろうが変わらんやん。
というのが一つと、
リノベしたところも自然素材ばかり使ってるから、自然素材は劣化せずにただ変化していく、しかも味わいが深くなっていい感じに変化していくということ、
そして最後に、古民家はもともと流行なんか関係ない素晴らしいデザイン、素晴らしい素材で作られた、この国の伝統的な芸術品なんだということ。
この三つの理由により、古民家は「みすぼらしさ、古さ」から解放されているのですよ。
ということは、
僕が20年後にこの家を売却しようとした時には、「家の値段」がつけられるということなのだ!!
つまりリセールバリューってやつですね。
もちろん水回りだけは劣化してるけど、イチからリノベすることを思えば、これをこのまま欲しい人いるんじゃないかしら。
その時にいくらで売れるのかは知りませんが、まあ少なくとも「ゼロ円」なんてことはないでしょう。
それは僕の家に限らず、他の古民家を直して住まわれている方も同様ではないかと思います。
まとめると、土地2,000万円+新築4,000万円で建てても20年後30年後に家の価値ゼロ、古家付き土地、解体費500万を引いて1,500万円で売りに出す、みたいな道を選ぶか、
4,000万円かけて古民家をリノベして20年後に土地2,000万円+古民家3,000万円の5,000万円で売りに出すか、という選択肢のどっちを選びますかという話です。
土地+完璧リノベ済み古民家、水回りだけ替えてね、の5,000万円は欲しい人いると思うんですよね。
だから僕なんかいつも、古民家はお金の面から考えてもめちゃくちゃ有利だと説明してます。
本当に良いものは残るし、いつまでも価値を持ち続ける。
考えてみれば当然のことです。
20年では古民家は何も変わらない。
そして20年あれば人は別人になる(51kg→76kg)。
今回はこの二つの事実を心に刻んでいただければと思います。
おわり。



