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古民家リノベーション体験談70 屋根材を決めましょう

【前回までのあらすじ】「壁がまるごと鏡」は実際ちょっとやってみたい

70話目にして遂に始まった古民家リノベーション工事。
まず語らなければならないのは「屋根工事」でしょう。
構造的にも、金額的にも、圧倒的なボリュームを誇る屋根工事。
その古民家の屋根が葺き替えられているかどうかで、おそろしいほどのお金が浮き、その浮いた分でイタリアで半年間豪遊できることは過去記事に書きましたが、
今回はもう少し詳しく説明していきます。

まずは古い瓦の見分け方。
先の過去記事ではGoogleマップを使った方法をご紹介しましたが、簡単に言うと「瓦がまだらになってたら古いよ!」ということです。
瓦の寿命は90年、100年というレベルなので、まだらになってたら即アウトというわけではないんですが、ほんとに古い屋根はあちこち割れてたり、ずれてたり、苔むしてたりして、素人目にも「なんかボロない?」というニュアンスで結構分かります。
うちの場合、葺き替え前はこんな状態でした。

古い瓦屋根

ご覧ください。まだらになってる屋根とそうでない屋根です。
めっちゃ分かりやすいでしょ。
まだらになっていない右下半分の瓦は30年ほど前の増築部分。それ以外は90年経過した瓦。
で、この写真で改めて感じるのが屋根瓦の耐久性。
現代のほとんどの住宅に使われているスレート屋根が10年で要メンテナンス、寿命自体が20年程度と言われているのに対して、瓦はご覧の通り30年でもほぼノーダメージです。
すごくない?
なのでこの軒の部分はそのままにして、母屋と土間の部分だけを葺き替えることにしました。
まあ90年の瓦も特に割れている部分はなくて、雨漏りもありませんでしたけど、次の90年はさすがにもたないだろうということで。

では次に、葺き替える・葺き替えないのジャッジをどう考えればよいのかということですが、
僕の場合は、瓦がもうそろそろ寿命だということと、瓦の下に敷かれてある土を捨てて屋根を軽くしたかったのと、屋根工事はスケルトンにする今のタイミングでやっておくのがベストだという理由で葺き替えることにしたのでした。
屋根の重量についてどう考えるかは諸説あるので、ここで明言するとプチ炎上するのでやめておきますが、僕は僕の考えで、土は下ろしたかったんですよ。

で、葺き替えるとして、どんな屋根材を選べばいいのか。
メジャーな屋根材はスレート、ガルバリウム鋼板、瓦の3つですが、これらのどの素材で葺き替えるか、というところもたいそう悩んだのですよ。
スレートは無いにしても、ガルバリウム鋼板で葺けば、材料費が半額くらいで済みましたからね。
どれくらいかというとイタリアで2ヶ月豪遊できる金額です。
屋根を葺き替えると決めた時点でかなり無理してるのに、イタリアで豪遊してる場合じゃありません。
それまで何の迷いもなく当然のように瓦屋根にすると決めていたんですが、見積金額を見て、瓦やめようかなと思いました。
それはすなわち昼飯に絶対ラーメン食べようと思ってラーメン屋に入ったけど値段見てラーメン食べずに店を出るくらいの苦渋の選択。
お金に余裕があれば良かったんですが、その時既にもうカッツカツだったのです。

そんな時、親方が「ガルバリウムで葺いた古民家が近所にある」と教えてくれました。
僕は速攻で車を飛ばして見に行きました。
なぜなら、僕はどうしても想像できなかったからです。
入母屋を金属の板でどうやって表現するんやろかと。
そんなことしたら夏休みの工作で作るダンボールのロボットみたいにカクカクした屋根になるんちゃうんかと。
そして半信半疑で現場に到着した僕を迎えてくれたのは、夏休みの工作で作るダンボールのロボットみたいな古民家の屋根でした。
ですよね!!
と僕は心の中で叫びました。
あの感じを何と言えばいいでしょう。
なんか、古民家のような形をした、何か別の物というか。
ただ今思えば、それはガルバが悪いんじゃなく葺き方が悪かったんです。
実はその数年後にカッコ良くガルバで葺かれた古民家に出会うんですが、当時の僕はその屋根のダサさに激しいショックを受け、そして決めました。
瓦葺きにすることを。

まーそんな感じでなかば運命的に瓦になったんですが、今振り返れば、瓦にしておいて良かったと思います。ビジュアルはもちろん大満足だし、この先死ぬまですごい安心感があるし、施主ゾーンで頭おかしなってた時にしかできなかったし。
それにガルバリウム鋼板でかっこよく葺き替えられる職人またはデザイナーという激レアな人材にその時に運良く出会えてたかというとそんなことはないし、その家は在来工法に変えたから屋根を軽くしてたんですが、うちのように伝統構法のまま屋根を軽くしすぎても良くないはずなのです。
ということで、うちの場合の正解は瓦。と思います。

で、瓦に決めたら決めたで、今度はどんな瓦を、誰に頼んで、どう葺くか、という話になっていくわけです。
ああ、めんどくさい。
屋根の話は一筋縄じゃいきません。

ということで、次回に続きます。

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