古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

続・民家サミット2023に参加してきました

前回までのあらすじ:タコヤキ

はい。今回は引き続き民家サミットのレポートです。
前回はカタコトのおっさんが部屋の隅っこで立ち尽くして泣く、というところまでを報告させて頂きましたが、そんな負け犬の心情など皆さんは1mmも興味ないと思いますので、今回はサミットの具体的なイベントについて紹介していきますね。

とは言うものの、イベント内容すらあんまり分かってなくて、というか追い切れなくて、僕はただ一番最初に車で送ることになった方々となんとなく打ち解けて、その人たちが行く方向にふらふらついていったらまた別の方となんとなく打ち解けて、またその別の人が行くところについていったら…みたいなジプシー的な動きをしてましたので、僕がここで体験したことは、ほんとにいろんなイベントがある中のほんの一部だと思って頂ければ幸いです。
でもそういうのってめっちゃ久しぶりで。
知らない人たちの中で友達つくって、別のところに流されて…みたいな。
まさに旅。
若いころは日本や海外でそんな体験をしたことが何度もありますが、中年のおっさんにはそういう機会がほとんどないじゃないですか。
周りには上司と部下と取引先(全員おっさん)しかいないじゃないですか。
僕は会社勤めじゃないからさらに状況は悪化してて毎日ほぼ家族としか喋らないしなんなら日中は誰もいないから完全に無言で時々パソコンの前でドライアイの眼球を押さえて「うー」って呻く時しか声帯使わないじゃないですか。
そんな人が突然大量の外国人の中に混ざって、しかも全員古民家好きで、フレンドリーだから、
だからオジサン、言葉もわかんないのに大はしゃぎしちゃったよ。
大はしゃぎしちゃって今こんなブログ書いてるんだよ。

ごめんなさい。
大はしゃぎするオジサンの心情なんか1mmも興味ないですよね。
僕すぐ話脱線するからね。すいませんね。
じゃあ取りあえず写真紹介しまーす。

かふぇ このはずく

二日目の朝、なんか複数のバスツアーがあるということで、目の前のバスにフラフラと乗ったところ案内されたのがこの「かふぇ このはずく」さんでした。
白川郷から移築したという合掌造りの建物は圧巻で、ちょうどお店がオープンするというタイミングで、山伏さんたちによる法螺貝のイベントがあったりして、外国人大喜び。
でもそこはただの観光客と違うところで、ハワイ出身の方がこのお店ののれんを見て「これは〇〇の家紋と似ているけど何か関係があるのか?」という超マニアックなご質問をされていたり、僕も街道を歩きながら隣の人に「あの白い塗料の素材は何か?」と聞かれたりして、ほんと皆さんガチ勢ですごかったです。

その後昼食タイムになって、僕は前日に仲良くなっていた日本人のSさんと会場を抜け出して新城市のイタリアン「セント・トーマス」さんでパスタをいただいたんですが、いや、そこが死ぬほどうまかった。

セント・トーマス

明太子のクリームパスタ。
一口食たべた瞬間、え、何コレ? うますぎん? 何入ってんのこれ?
とハテナマークが頭の中をぐるぐるめぐり、気付いたら食べ終わってました。
実は僕ここ来るの2回目で、1回目は昨日という。
2日続けて来ちゃったくらいおいしかったです。
何を隠そう僕はパスタ道25年、正直自宅から半径30km内のパスタ屋には全部勝つ(自称)というくらいのパスタオタクであり、一口食べると瞬時に……
え?
ちょっと待てって?
これ古民家ブログちゃうんかって?
なんで時間削って古民家の情報を探し回ってる時にお前の喰った明太子クリームパスタの写真見せられやんとあかんねんって?
すいません。そうでした。これ古民家ブログでした。
はしゃいでるのよ。ごめんね。

さて気を取り直して午後の話。
午後はいくつかのパネルセッションがありました。持続可能な古民家再生への取り組みだとか、民家の見つけ方だとか、責任ある古民家の保存についてとか、アレックス・カー氏による特別講演とか、そういうガチな内容で、ガチな内容ゆえにまったく聞き取れなかったので、そこは全部割愛させて頂きますが、特筆すべきはその日の夜にふらっと寄った新城市の「旭屋」さんのフライ定食!!

旭屋

もうびっくりするくらいカキフライが大きくて、めちゃくちゃボリュームがあって、僕は人生で初めて「エビフライを残す」という経験を…
え?
お前マジでふざけんなって?
肝心なパネルディスカッションの話しろやって?
だって聞き取れなかったんだから食い物の話するしかねえだろうがよおおおおおおおお!!!!!!!

僕と日本人のSさんとドイツ人のDさん。三人でパシャリ。
これは一番最初にたまたま僕が車で送ることになり、道に迷い、仲良くなった三人です。
ちなみに僕の顔にもぼかしがかかっていますがこれは体重増加と広角レンズの歪みによりgoogleにセンシティブ判定を食らうのを避けるためです。ご了承ください。
Sさんはサンフランシスコに住んでて、Dさんはサンフランシスコ経由のシンガポール在住で日本語も話せて、二人とも英語の方が明らかに話しやすいはずなのに、僕のウンコイングリッシュがアレなので気を遣って日本語で会話をして頂きました。
正直針のむしろでしたがありがたかったです。
お話を聞いていると、お二人とも日本で古民家を手に入れたり古民家を探していたりで、その情報を得るためにサミットに参加されたようです。
日本在住の日本人でも古民家に住むのってけっこうハードルがあるじゃないですか。ましてや海外の方なんてほぼ不可能なんじゃ…
ってお思いの皆さん、それがそうでもないんですよね。
だって古民家の情報を求めて飛行機乗ってサンフランシスコやシンガポールから新城市にやってくるような方々ですよ。
もうね、話聞いてるとなんかもう全然違うのよ。世界が。
世界ってか、視野が。
ああ、忘れてたこの感じ…
「大原さんもどこか海外で働けば? 今は円も弱いし。ちょうどいい制度あるから後でリンク送るよ」みたいなこの感じ。
僕たぶん今回それに一番衝撃を受けたっす。
僕も若い頃はあちこち飛び回って、時給640円という当時違法ギリギリ低賃金の無印のバイトで60万貯めてイギリスに短期語学留学行って、そこで出会った国籍も言語もこだわらずに生きる自由すぎる人々にショックを受けて、それで世界が180度変わったんですよね。
僕あの時イギリスに行ってなかったら間違いなく古民家に住めてないっす。
ようするにあの時僕は地球の裏側で「人は自分の人生を選択できる」ということを学んだんですよ。
民家サミットに来ていた方々はほぼ全員がそんな「自分の道を選択した」人たちでした。
だってさ、古民家買って日本に住むって、僕らからすれば「モスク買ってトルコに住む」みたいな話じゃないですか。お前正気か、みたいな。
そのレベルの判断と行動ができる人たちって、海外在住だろうが何だろうが古民家に住めちゃうんだろうなって思います。

話ずれますけど、だからこの国で古民家が潰されていったり、それに誰も反対しないっていうこの消極的な感じって、やっぱり日本人の国民性も関係してるのかなって思います。
この国は全体の調和を美徳とするので、それがいいところもありますが、悪い側面もありますよね。
みんながやってないから自分もやめとこう…とか、みんながそうしてるから自分もそうしよう…とか、そういう消極性+広告宣伝(大きな声)に乗せられやすい体質が古民家の解体につながっている気がします。
だから僕みたいな全体に調和しない人間が、こうして古民家の情報と独自の考え方を発信し続けることは、古民家と古民家に住みたいこの国の人にとってはいくらか意味があるのだと思っていますよ。

よし、明太子クリームパスタとカキフライからなんとか話を盛り返したぞ。
というところで、また続きます。
すみません。

category:古民家リノベーションブログ,随筆  |  tags:, ,   |  2023.05.15

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