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古民家リノベーション体験談80 もういいんじゃないかトイレ作り

【前回までのあらすじ】アライグマとアナグマとタヌキとハクビシンの見分け方はこちら

えートイレ回まだやんの?
と思った方、すみません。
僕も思ってます。
すみません。
でもこの部屋ってリノベーションのあらゆるポイントが凝縮されてるので、つい長くなってしまうのですよ。
そのサンプルがなぜトイレなのかは謎ですが。

ということで今回もトイレです。
話したいことが多すぎるんですけど、もうダーッといきます。ダーッと。
えっと、まず窓の話。

トイレ全景
トイレの窓

ごらんの通り、うちのトイレには窓が3つあります。
おかげで超明るいです。
なぜトイレに窓が3つもあるのかというと、僕がトイレに窓を3つ付けたい人だったからです。
何を当たり前の話を…とお思いでしょうが、これ、大切なポイントです。
工務店さんにそんなこと言うとね、まあ確実に「窓、そんなにいりませんよ」って言われます。
僕も言われました。
工事前に「は?」って言われて、工事中に「これ絶対いらんすよ」って言われて、工事後にも職人の皆さんに「結局、あのトイレの窓なんなん?」と言われました。
Shut・up!!!
僕は窓がほしいのー!!
明るいトイレが好きなのー!!
というね。
でもそんな自分の主張を、コワモテの工務店の親方に言うのは気が引けると思います。
たとえ相手が大手の超絶笑顔のいい人風の営業マンでも同じですよ。
その場合は「〇〇様、それは必要ないかと思います(笑顔)」って返されるだけです。
ようするにね、家の好みなんか誰も分かっちゃくれないんですよ。
前にも書いたけどそんなもん異性の好みと一緒っすよ。
もし異性の好みが全員一緒だったらクラスメートのみんな片思いの相手がかぶりまくって教室が泥沼ですやんか。
つまりそういうことですよ。
好みは人の数だけあります。だから自分の好みはまず誰にも理解されないという前提で、そしていくら相手がプロだろうが笑顔だろうが、俺様の好みに口出しする権利はねぇ!!!
というくらいの気概を持って、リノベーションにあたって頂ければと思います。
もちろんプロの目から見て「いや、その柱抜いたらやばいやろ」「おい、そんな材使ったら2秒で腐るぞ」みたいなケースも多々あると思いますので、素人が自分の主張をしまくる家づくりもアウトだと思いますが、自分が譲れないポイントは、自信を持って主張すればいいと思いますよ。
実際ぼく、窓3つ付けてトイレが超明るくなってすごいハッピーですもんね。

次。
トイレの窓のうち2つと、トイレのドアは古建具のリサイクルです。ちなみに六角形の窓はなんと同潤会アパートのもの。
僕はリノベーション工事に入るずっと前から建具だけは集めていて、この窓もドアも事前に既に持っていたんですが、やっぱり気になるのは「使えるんかコレ」というところ。
でもほら、使えてますよ。
余裕っすよ。
ということを、この機会に言っときます。
古建具を使えるとか使えないとか言うのは、既にある鴨居と敷居にはめ込む時の話であって、今回のように新しくドア枠や窓枠を作るところには基本何でも入ります。
平安時代の襖だろうがアポロ11号の船室ドアだろうが入ります。
ちなみにこのトイレのドアは地獄のように汚かったんですがペンキ塗ってきれいになりました。

トイレのドアビフォー
ビフォー

トイレのドアアフター
アフター

はい次。
トイレットペーパーホルダーの話。前回の写真で何か違和感ありませんでした?

これ。
説明すると、うちのトイレにはトイレットペーパーホルダーがありません。
なぜかというと、100年前の日本においてトイレットペーパーホルダーが存在しないからです。
たぶん。
そして、この100年前を再現した空間において、新品だろうがアンティーク風だろうが、「トイレットペーパーホルダー」という概念そのものが激しく似合わないからです。
じゃあ100年前の日本の洋風トイレはどうしていたのかというと、僕が見た中ではほとんどが「ちり紙を平置き」という代物でした。
でも近所のスーパーに平置き用のちり紙なんか売ってへんやん。
そんなんいややん。
という理由で、いまだにトイレットペーパーは直置きなのです。
でも人間の慣れってすごいよ。
直置きを何年も続けてるうちに、「直置きのトイレットペーパーを手に巻き付けて切る」という動作がわずか2秒できるようになったので、もうホルダーはいらないんですよね。
もはや熟練の職人の域です。

はい次。これで最後。うちのトイレに手洗いと鏡がある理由。
これはトイレだけに関わらず古民家リノベーション工事において非常に大切な考え方です。ここ絶対テストに出ますよ。いいですか?
あのね、
手洗いと鏡をつけたのは、僕が欲しかったからではありません。
嫁が欲しがったわけでもありません。
それはすべて、お客様のためのものなのです。

皆さん、友達いますか?
何人か友達いますよね?
え、一人もいない?
当たり障りのない会話をする知り合いはいても心を許して何でも話せる友達は誰もいないって?
えっと……それはちょっと……別の話になるので……
じゃあ友達じゃなくても誰でもいいよ!
親でも甥っ子でも不倫相手でもなんでもいいよ!
あなたが古民家を買ったとして!
それって確実にサイズがでかいよね!
人は! でかい家に! 集まりがち!!
という事実があるのですよ。

僕は別にホスト役が好きなわけでは全くないし、心を許して何でも話せる友達もほとんどいないですが、それでも古民家に住むとね、みんななんかうちに来るんですよ。
「大原ぁ~おまえん家さ~~BBQとかできるよなぁ~~」とか
「でも、車が4台停めれるのって大原くんの家しかないやん?」とか
「みんな子連れで来るし、やっぱお前ん家やな」とか。
まあそりゃそうだ。
特に僕のような子育て世代の場合、3家族が集まってその辺で勝手に子供たちが遊び、勝手に寝ても、大人たちは別室で優雅にコーヒーを飲めるという、よくよく考えればお金取れるレベルの優良施設なわけです。
そんな理由で僕は古民家に住んでからというもの完全にホスト側になりました。
で、トイレの話に戻りますが。
何の話かというと、古民家リノベーションする時に、トイレに鏡と蛇口つけた方がお客さんは喜ぶだろうな、とか、ソファは3つくらいあった方がいいよな、とか、最大14人くらいが一緒に食べられる場所がいるよな、とか、そういうことを考えながら作っていくといいですよっていう話です。
いわゆるホスピタリティというやつですよ。
その思想が、このトイレにもちょっと表れているんですね。

以上、駆け足でご紹介しました我が家のトイレ。
ホスピタリティを語っといて換気扇とトイレットペーパーホルダーが無い我が家のトイレ。
いかがでしたでしょうか。
近々換気扇つけます。
すんません。
おわり。

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