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古民家リノベーション体験談102 土間玄関づくり・天井編

【前回までのあらすじ】文系のB型ですって仕事相手に言うとだいたい嫌がられる

第二期工事の概要は前回ざっくりとご説明しましたが、今回からついに工事がスタートです。
よーし玄関!!
玄関くれ玄関!!
はやくそこに玄関を!!!
と叫びたいところですが、実際叫んでましたが、工事の段取りというものがありまして。
今回はその下準備について説明していきます。

なぜいきなり玄関ドアが付けられないのかというと、まずはGLとFLをどう設定するか、という問題がありました。
ご存じかも知れませんがGLというのはグッとくるLIXILの略ではなくギリギリロン毛の略でもなく「Ground Level」(地面の高さ)の略称であり、
FLというのはファンタスティックLOVEの略ではなくファイティングロン毛の略でもなく「Floor Level」(床の高さ)の略称です。
すなわち「地面と床の高さをいくらにするかによって玄関ドアの敷居の高さが変わるよ!」ということなのですが、ちょっと専門的なのでここでは割愛。

土間がいい感じの作業場になってもうこのままの方がいいんじゃないかと思ってしまったり

そんでGLとFLが決まったとして、お次はこの1年の間に完全に何かしらの作業場として仕上がった空間のお片付け。
ところがこの空間に親しみすぎて、やっと土間が土間になるぞ~!という施主の喜びよりもむしろ自分の作業場が取り壊されるのをなすすべなく眺める職人の気分でした。
予算が尽きた時はこんな土のままの壁のない家に住むことに絶望しましたが、1年後には今度はその空間が無くなることに絶望したのです。
人間の適応力って怖いね!
んで実際きれいにリノベーションしてみてどうだったかというと、何の不便もないどころか最高です。
当時、こんな便利な作業場を失って俺はこれからどうやっていけばいいんだ…と立ち尽くしていた自分に教えてあげたい。家づくりが一段落したら人はそんなに日常的に丸ノコを使わないのだということを。

土間リノベーション前
土間リノベーション前

これがもともとの状態ですね。
そんで次はこの空間をどう仕上げていくかを考えました。
昔から部屋というものは3つの要素が大切になってきます。
すなわちお袋、給料袋、きんたm…
ではなく、天井、壁、床、ですね。
で、まずは天井をどうにかすっべ、ということなんですが、この天井をぶち抜いた(ぶち抜かれた)広々空間はやっぱりそのまま残したいよねと。
前々から書いている通り、僕はべつに大きな梁を見せたい派でも、天井を抜きたい派でもなかったのですが、既にぶち抜かれていたのでその流れに乗った感じです。
ただ一点気になっていたのは冬の暖房効果。
今は二階吹き抜けリビングが流行りですが、あれは高気密高断熱の住宅だから成立するわけで、それを何の対策もしてない古民家でやろうもんなら即死です。
だって屋根裏の虫籠窓が365日フルオープン。
いくら暖房しても、せっかくの熱がそこから無限に出て行く仕組みなんですよ。
なので、土間の中だけで熱が循環するように、土間のちょうど半分に対して、屋根裏に空気が逃げないようにある程度低いところで塞いだ天井を作ることにしました。

土間の天井づくり

土間の天井づくり

土間の天井づくり

土間の天井づくり

こんな感じ。
このように木で組んだ下地のところに、石膏ボードやバラ板を貼っていくわけですね。
庭側の天井は屋根裏が元々低いのでそのままにしましたが、高い方の玄関側は、このように適当なところで天井をつくり、あんまり天井が高くならないようにしています。
といってもめっちゃ高いですけどね。
さっき測ってみたら天井をつくった玄関側で3.6m。屋根裏がそのまま見える庭側の天井は4mでした。
これだけ広い空間をこれだけ高くするともう普通の暖房器具ではまったく歯が立たません。
なぜならこの空間に立つ人間を暖めようと思ったら少なくとも天井から下に3m以上の熱の層を作り出さないといけないからです。
隙間だらけの古民家でそんなことができるのはおそらく薪ストーブだけでしょう。
しかし僕は天井を高くしました。
薪ストーブつける予算なんかありません。
でもやりました。
なぜか。
天井を高くするメリットはただ一つ。
なんかカッコいいからです。
これは言葉にするとアホっぽいですが、実は国や人種や時代を問わず、地球上のあらゆる人類がなんかそう感じてしまう抗えない事実なのです。
ヨーロッパの教会に世界中の人々が訪れるのは教会の天井が高いからです。もしその天井が2mしかなかったらキリスト教は世界に広まっていないでしょう。
ヴェルサイユ宮殿が荘厳なのも天井が高いからです。もし宮殿のエントランスの天井が2mしかなかったら、玄関入った瞬間になんか友達の家に来たみたいな感じになって思わず「ごめんください」と言ってしまうでしょう。
そうです。
土足で靴のまま立っている状態においては、人はその空間の天井が低ければ低いほどショボく、逆に高ければ高いほど「なんかすごくいい…」と感じるようにできているんですよ。
という理由で、
僕はお客さんにとっての第一印象の決め手となるこの土間玄関の天井を、利便性を無視して、抜くことにしたのでした。

あれ? 気付けば真面目に説明してしまったぞ。
まあよい。
次回は壁について解説しまーす。
つづく。

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