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古民家リノベーション体験談105 土間玄関づくり・床編

【前回までのあらすじ】めちゃくちゃ今さらやけどここのあらすじ文いる?

大谷石のポーチが完成し、土間にコンクリを流し込んでどうにか床らしきものが生まれたわけですが、今回はこのコンクリ丸出しの床に板を張っていくということについてお話したいと思います。
あ、最初に言っときますけどDIYとかじゃないですよ。
ぼく繰り返し言いますけどDIY大っ嫌いなんで。
「床の板を張る」とかもう「冷蔵庫の隙間にカッサカサになって死んでるのがチラ見えしてるGをティッシュで回収する」くらい嫌だと思ってる人間です。
それに床の板張りって大変なんですよ。水平出すのが難しいんですよ。
だからDIYしません。ぜったいDIYしない宣言。
と、
こうしてDIYという単語を使えば使うほどこのブログが「DIY 床板張り」で検索にヒットしてしまうというこのアンビバレンス(二律背反)…!!
検索で飛んできた人すみません。
この記事、たぶん何も得るものないです。ぴえん。

土間の壁

さて土間の現状ですが。
このように壁が剥がされて昔の壁が剥き出しになっており、床が土だったところにコンクリを打った状態。
リノベーション工事が始まる前はどこを見てもこのボロボロの古い壁しかなかったのに、今はもうここしか残ってなくて、ああ、こんな壁ももう見納めか…と思って撮った一枚です。
これはこれで寂しいという、不思議な施主心理。

そんでこのコンクリの上にほっそい根太みたいなのをかまして、その上に床板を張っていくわけですが、その際に悩んだのが床材。
僕は「よくあるちょっと小洒落たショップのいい感じに風合いが出たいい感じ色の床板」が欲しかったんですが、「床板 ショップ いい感じ」と検索してもまったく情報が見つかりません。
しょうがないのでそういうショップを回ってオーナーさんたちに聞き込んだところ、足場板率が高かったんですよね。
だから足場板にすることにしました。
足場板自体は、このリノベーション工事中に何度も歩かされているのでよく知ってました。
めっちゃ使い込んで古くなった足場板がたわんでる上をだゆんだゆんと揺れながら歩かされたおかげで、そのエイジングの風合いも、その堅牢性も知ってました。
自分の調べた中では土足OKのオシャレな床材も色々ありましたが、高いし、土足で使った時にどうなるかのサンプルもなかったので、まあ、足場板でいいかなと。
ただ、エイジングはやっぱりかかっておいて欲しい!
新品の木の床材なんてどう考えてもこの野性味あふれる土間に合わない!
そう思って古い足場板をネットで探してみたんですが、こっちはこっちでお値段が高い。
ふぁっ〇。
どうしようかと悩んで、僕は親方に相談しました。
古い足場板が欲しいが、古い足場板は高いのだと。
そしたら親方「わかった。用意したる」と。
え、マジで!?
ヤッター!!

新品の足場板

僕は忘れません。
ピンッピンの新品の足場板を大量に積んだトラックが目の前に停まり、「安いやつ手に入ったぞ!」と満面の笑みで親方が運転席から降りてきたあのシーンを。
硬直した僕を尻目に、大工さんが次々にその足場板を運んでいき、サクッと床が完成しました…

新品の足場板

僕は「古い足場板が欲しい」という話をしたつもりだったんですが、親方は「足場板が高いから困ってる」というところを拾ってくれたんですよね。
だから「安い足場板」を探してきてくれたと。
これはもう、しゃーない。
ありがとうですわ。
昔、知り合いの家で料理が得意なおじいちゃんが住んでいて、僕に晩ご飯を作ってくれると言うので、「いや、今夜は記念日で家にごちそうがあるので、遠慮しときます」ってお断りして、夕食の時間になったから帰ろうとした瞬間、ドアが開いて、ホッカホカの大盛りの親子丼とお茶をトレイに乗せて両手で持っている腰の曲がったおじいちゃんを見た時も、僕は、
いただきます!!
と叫んでそれを口にかき込んだものでした。
何の話や。
とにかく親方としてはエイジングとかよう分からん、ようするに安い足場板が欲しいんやろ? ということだったと思うんですが、今、僕は皆さんに言いたい。
足場板にしろ、板塀にしろ、床板にしろ、木材なんか一瞬でエイジングすると。
親方にエイジングの概念がないのも当然です。
まあうちの柱のように100年分くらいのエイジングとなると話は別ですが。100年経った木材ってやっぱすべての表面が削れて、丸くなって、なんかもう全然違いますからね。
でも「新材がイヤだ」みたいなレベルであれば、心配しなくても一瞬で新材じゃなくなるということです。

しかし当時の僕は「エイジング」という単語がまるで何か特別な付加価値のように思ってました。
それが欲しければ特別に何かをしないといけないと。
で、
ピンッピンの足場板に対して、そうだ、茶色い色を塗ればいいのだ! という発想に至ったのです。

足場板の塗装サンプル

てことで久々に着色テスト。
今回は床材なので浸透系、つまりオイル系で色を探していきます。
いろんな色をぬりぬり。
そして決定。
いざ! 塗り塗り!!

床の足場板を着色

簡単に書いてますがこれ自分でやる人は塗っていく順番をよく考えてくださいね。
適当に塗ってたら簡単に陸の孤島になって僕みたいに詰みかけますからね。

床板を着色

完成!!
おお! いい感じじゃーん!
と思ったのも束の間。乾いたら別の色になりました。

床板を着色

えぇ…
なんか思ってたのとちがう……
そうなんですよ。
オイルステインって、当たり前ですけど木の種類によって浸透の仕方が違うというか、発色が全然違うのですね。
この壁に立てかけた額縁あるじゃないですか。
実はこの額縁のベニヤ板も同じオイルステインで塗ってるんですよ。
全然違う色じゃない?
額縁の方が、本来想定していた色でした。
足場板はスギなんですが、このベニヤはたぶんラワンです。
きれいに発色したラワンに比べて、スギの足場板はなんというかこう…油のギトギト感が出て汚らしいというか…むしろ水で洗い流したいというか…
やっちまった…
いや…でもピンッピンの新材よりははるかに良い…
足元が暗くなって落ち着きを見せている…
そう思った僕は嫁に意見を求めたのですが、家のことに興味のない嫁は、床板の色が変わったことすら気付かず、何の役にも立ちませんでした。
(この辺の話は「古民家リノベーション体験談53 二人三脚の家づくり」参照)

そして3年の月日が経ち…
あれから床がどうなったのかと言いますと。

経年変化した足場板
経年変化した足場板

なんかもう水こぼしまくったり砂が入ってきたり子供らが自転車乗り回したりしてエイジングしすぎててなんかもう色塗ったとか塗ってないとかようわからん。
という状態に仕上がりましたとさ。
土足で歩く床板なんかそんなもんですよ。
親方、安いやつ買ってきてくれてありがとー。

というお話でした。
ちなみに土足で歩く床板は控えめに言って最高です。
特にソールの硬い革靴なんかで歩くと「ゴッ、ゴッ」という音が響いてなお最高です。
何を言ってるんだお前はと思う方はスルーしてください。
それわかる~わかりみ~と思う方はぜひ土足で床板を!
最高なので!(語彙力)

あ、今気付いたけど結局塗装でDIYしてもーてるやん…
くっそ…
貧乏が憎い……

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