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古民家って網戸をつけられるの?

先日、インスタで網戸についてのご質問を頂きました。
それでわたくし、ブログに詳しく書いてるのでよかったらそれを読んでください~と書こうとして、はたと気付きました。
そういえば書いて…ない。
書いた記憶がないぞ!
網戸付けたときにちゃんと記事にしようと思って何枚か写真撮ってちゃんとフォルダに「網戸」ってつけてそこに保存してたのに書いてなかった!!
えっとあのフォルダっていつ作ったっけ?
去年の夏やっけ?

ということで、3年前のフォルダから発見されました。
おっさんが「去年くらい?」と思った時はまあ大体3年前やからね。
3年前て。
ごめんなさい。
この写真は建具屋さんにお願いして、前栽の方の縁側に2箇所、渡り廊下に1箇所、ちゃんとした網戸を作ってもらった時のものです。

あ、以前に「DIYで網戸を作ってみた」的な僕制作のカスみたいな網戸の記事がありますが今回はプロの仕事ですからね。まさに手作りの木製建具! って感じの網戸です。

でもさ、プロが作るってことは、5秒で終わるってことなんですよ。
サッと来て、既に作ってある網戸をパパッと入れて調整して、シュッと帰って行かはったからね、なんも書くことないんですよ。
はっはっは。

なので今回のメインの話は、建具をどうやって作ったのか、じゃなくて、古民家に網戸が簡単につくんだぜってことを、お伝えしたいと思います。
言われて思い出したんですけど、そういえば最初、僕も網戸がつけられるのかどうか知りませんでした。
今じゃ当たり前に色々知ってるけど、そういう初期状態って自分ですっかり忘れてるから、読者の方々に気付かせてもらってる次第です。

さて網戸なんですけど、なんで僕が網戸をつけられるかどうか疑問だったかというと、まず網戸がついてる例を見たことがないから。
なぜ見たことがないかというと、一般市民である僕らがふだん古民家に触れるのってなんちゃら家住宅とか旧なんちゃら邸とかそういう文化財じゃないですか。
網戸付いてる文化財ってなくない?
なくなくない?
文化財って網戸ついてないし、カーテンもないし、Amazonの空箱もないし、親戚からもらった大量の大根もないし、誰がいつ開けたのか不明で飲みたいけど飲んでいけるのかどうか微妙なペットボトルもないし、それはズルいわと、そらカッコええですわと、思うじゃないですか。
だから網戸みたいな具体的な生活のことになると、あんまり参考にならないんですよね。
なので僕もいちいちこういうところにハテナマークが点灯して、そのたびに調べたり親方に聞いたりしてたなあと、懐かしい思いでこれを書いています。

で、網戸は簡単につきますよということなんですが、なぜ簡単につくのか。
今はみんなアルミサッシだから、網戸用のレールがあらかじめ付いてますよね。でも古民家の縁側の敷居には基本そんなもんは無い。
そんなところにどうやって網戸のレールをつけるかというと…
つけない。
のです。
ちょっとこれ見て。

木製建具の構造

久々に僕の天賦の画力が炸裂してますがそれはちょっと置いといて。
木製建具ってこういう感じで4枚並んでるんです。
で、敷居を上から見るとこんな感じで、互い違いに重なって、それぞれスライドしてるんですね。
本来ならここに網戸用のレールなり溝なりを追加する必要があるんですが、網戸ごときでそんないちいち敷居を交換したり加工したりするのもお金がかかるしメンディーので、そんな人はどうするかというと、こうすればよい!

網戸の付ける位置

なんということでしょう。
実際やってみると、なるほどこれでOKなんです。
網戸を作って、それを外からよっこらせとはめ込んで、それで終了なんですよ奥さん!
すごいよね。
デメリットとしては、真ん中の2枚をフルオープンできない(片方どっちかに網戸が残る)という点ですが、文化財じゃあるまいし、蚊が出てくる季節に真ん中の2枚をフルオープンすることなんか、雑誌の取材を受けて撮影時にイキる時くらいしか無いですよ。
なのでこれで全然OK。

網戸を入れた

で、こんな感じになります。
何か分かんないけど、木製建具の網戸って、めっちゃいいです。
何かエモい。
雰囲気あります。
さらに木製建具ってことは、自由にデザインできるから、こんな網戸だって作れちゃう。

これはガラス戸のデザインに合わせて、同じ感じで作ってもらいました。
いいでしょ?
これぞ木製建具と建具屋さんの真骨頂ですよ。
網戸一つとっても、こうして自由にデザインできるし、遊べるんですよね。
ちなみに3年経った現在はどうなっているかというと…

古民家の網戸
古民家の網戸

なかなかいい感じに日焼けしてエイジングがかかりつつあります。
建具は最初は無塗装で、塗るかどうしようか迷ったんですが、やっぱり塗るのめんどくさ塗るよりも自然なエイジングの方が美しくなると思い、そのままにしてあります。

職人さんの仕事って、今や絶滅しつつあって、この辺りでも大工や左官屋さん、建具屋さんが廃業に追い込まれています。
僕だって古民家に住む前は「建具屋」なんて職業があることすら知りませんでした。でも本当はこんな素晴らしい仕事ができる人々がいて、こんな素敵な建具が家に取り付けられるんですよ。
工場でつくられた既製品にはまったく感じられない、人の手の仕事が作り出す文化、豊かさ、楽しさ、そんなものを僕は毎日享受できて幸せだなあと思います。
その受け皿となるのが古民家という大きな容れ物なんですね。
古民家はやっぱり残さないといけない。
僕は改めてそう思います。

という綺麗な流れを読まされた後にはオチがくることを賢明な読者の方々はお気づきでしょう。
それではご覧ください。
今回のオチはこちらです。

元の建具をコピーして作ったら枠の分だけセンターがずれたよぉぉぉぉぉ!!
そりゃそうだよぉぉぉぉぉ!!!
俺と大工と建具屋で中年のおっさんが3人もいるんだから誰か気付けよォォォォォォォ

おわり

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