古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

地元の工務店さんに指示を出そう・その3

3回もやる内容なのかどうなのか、ということを何も考えないまま3回続いてしまったこのシリーズ、今回で最終回です。

地元系の工務店さんへの指示の出し方。
僕みたいな体験をする人たちが世の中に何人いるのか、もしかして誰もいないのではないか、みんなすごく理解もセンスもある工務店さんを見つけて悠々自適に古民家ライフを満喫しているのではないか、と不安になっていましたが、「こういうのを知りたかった」「めっちゃ助かりました!」と幾人かの読者様からのお声を頂きましたので、不安は消し飛び、胸を張って3回目の記事を書かせて頂きます。

前回はとにかく「新建材はできるだけ使わないでね」という指示を出しておけばひどいことにはならない、というお話でしたが、今回はさらに欲張って、オシャレを目指していこうではありませんか!
と、
テンション上げていきたいところなんですが、オシャレっていうのも人それぞれじゃないですか。
シャツの裾をインしてる大人たちを見てダッサwwwと思ってシャツの裾を出して街を歩いてたのに気付けば知らないうちにシャツの裾をインするのがオシャレになってて若者たちにあのおっさんシャツの裾出してるダッサwwwと思われてたりするじゃないですか。
なのでここは基本的にはすごく難しいところです。
しかし、我々が扱うのはシャツではなく古民家。
ここには不変のオシャレさがある。
つまり、ひたすら元の感じに寄せていけば良いのです。
だって元々オシャレなんだから!
これは実はすんごいありがたい話なんですよ。
ここ100年くらいで新しく出てきたものっていうのは、時の洗礼を受けていないので、オシャレの進路がブレブレにブレます。
自分の好みを入れまくってフルオーダーしたスーツも、悩みに悩んで購入した超カッコいい車も、このブランドなら一生自慢できると思って買ったバッグも、そういった100年未満のものたちはすべていつか、オシャレではなくなります。
しかし古民家のオシャレは不変!!
400年くらい遡っても変わんない!!
てことで、ようするにオシャレを目指すなら「元に戻す」、つまり古い感じをキープしていけばいいってことです。

じゃ具体的に何をどうするかというと、まずは建具。
これ。
建具は一番目立つところであり、一番元の状態から変わってしまってるところである。
ここをできるだけ元の状態に戻す。
つまり、古建具を用意して、建具屋さんに頼んで取り付けてもらうのです。
アルミサッシに換えられている場所は、自分がどこまで寒さや虫さんたちを許容できるか相談しつつ、可能な範囲で元の木製建具に戻していきましょう。
あ、「古建具使って」という時はちゃんと建具を古建具屋さんやネットで買って、自分で用意してくださいね。ただ「古建具使って」だけじゃその工務店さんが5年前の解体の現場で「高そうやし、きれいやし、捨てるのは何となくもったいない」という理由で拾ってきたまま倉庫に放ったらかしになってた30年前くらいのべつにオシャレでもない中途半端な木製建具を使われたりしますからね。

そしたら次は塗装。
リノベした部分はみんなピンピンの真っ白な木部になります。
それも次第に日焼けしていって良い感じになるんですが、気になるところは塗っちゃいましょう。
今は古い木材の感じが出せる浸透系の自然塗料がいろいろあります。
お好みで色々試してみましょう。
あ、「塗って」という時はちゃんと塗料を指定してくださいね。ただ「塗って」だけじゃその工務店さんがいつも使ってるペンキ屋さんに「なんか施主が木を茶色に塗ってくれと言うとるんや」と電話をかけてそれを聞いたペンキ屋さんが自分の軽トラにたまたま載ってた茶色のペンキを持ってきて「これでええですか」「おう、それで塗ったってくれ」「そやけど新しい木をわざわざ塗れちゅうのは、えらい変わった施主さんですねえ」「おう、わしもな、そんなもん塗るもんやない、このままの方がええっちゅうたんやが、塗れ塗れ言いよるさかい、もう塗ったってくれ」とか言ってホームセンターで一番最初に目に付く位置に置かれてる何の変哲もない茶色のペンキを塗られたりしますからね。

はい。
話が少し脱線しましたが、大雑把に言うと、こんだけです。
簡単じゃね?
つまりまとめると、「新建材をできるだけ使わず、自然素材を使い、古建具を入れたり塗装したりしつつ、元の状態に近づけていく」
という形が一番いいんじゃないかということです。
言葉にしてみれば単純なんですが、果たして工務店さんに「新建材をできるだけ使わず、古建具を入れて、あと新しい木の部分は塗装してください」といきなり言える人がどれほどいるだろうか。
実際はインスタの写真を見せながら「こういう感じで~、なんかすごいオシャレな感じにしたいんですけど~」みたいになっちゃうんじゃないか。
そういう指示を出してしまうとお互いが不幸になってしまう確率が高いので、今回、改めて書いてみた次第です。
と言いつつ僕もアルミサッシのままの部分も多いし、けっこうあちこち塗装してないし、これが絶対ってことでもないんですけどね。
ただ一番簡単な指示の出し方ということであれば、こうなるかなという感じです。

これらのルールさえ基本に据えていれば、まあ、変なリノベになることはないですよ。
「まあ変なことにはならない」
このマインドは大事です。
なぜならリノベに100点満点は無いので、どんな工事でもあちこちに不満は出るからです。
でも基本がしっかりしていれば、あとは家具とか照明とか、それこそ「雑誌で見たやつと同じソファ」とか「インスタで見かけためっちゃいい照明」とかそういうのを集めていけば、充分にオシャレな雰囲気は出していけると思います。

ということで全3回に渡ってご説明しました「地元系工務店さんに指示を出そう」シリーズ、いかがでしたでしょうか。
なかなかイメージを共有できない地元系工務店さんですが、もちろん良いところはたくさんあって、営業広告費がない分工事費用が安かったり、親身になって家を見てくれたり、何かあればすぐに駆けつけてくれたり、家をつくった後もながーいお付き合いをしてくれるので、僕は地元系工務店さんにお願いしてほんとに良かったと思う日々です。
なので地元系ならではの問題にリアルタイムで頭を抱えている皆さんが、この記事でうまく軟着陸を果たし、幸せな古民家ライフを送れるようになることを、全力で願っておりますよ。
おしまい。

pagetop