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古民家リノベーション体験談77 玄関デストロイ(破壊)

【前回までのあらすじ】おお売主よ、縁側を潰すとはなにごとだ!

応接間をデストロイした話のお次は、玄関デストロイのその後について書いておきます。
以前のこの記事とかこの記事とかで、玄関をぶち抜いて3tダンプが走った話は書きましたが、この記事の時間軸では、その解体の時から既に半年が経過しています。
さて、ぶち抜かれた玄関はその後どうなったのかというと…

玄関

どうにもなってなかった。
これはまずい。
今や1~2ヶ月で家が建ってしまう時代に、半年間このままの姿で放置ですよ。
しかも我が家は村のメインストリートに面しているので、村の人たちの大多数がこの状態の前を行き来します。
きっと行き交う村人の皆さんはこう思ったでしょう。
「壊すんかいな」
「直すんかいな」
「どっちやねんな」
と。
以前にも書きましたが、村人の皆さんは僕がこの家を買った時に、100%古民家を潰して、築30年の裏の離れに住むものだと思っていたそうです。
ところが僕が裏の離れを壊すつもりだと知り、え、どゆこと? となっていたはず。
そして工事が始まってみると、古民家の方ぶっ壊しとる!
と思ったら途中で止まっとる!
What the hell!? (もうわけがわからないぜ!)
と思われたことでしょう。

実際、工事途中の家というのは、周囲の住人たちにとっては落ち着かないものです。
きれいに区画整理されたエリアではそんな風景はめったに見られませんが、こういう村なかではわりとよくある風景。
新築なのにいつまで経っても作りかけの家、瓦があちこち落ちかかってるのに直してない家、ずっとブルーシートを張ってる家。
そういうのはなんか、本能的に落ち着きません。
いつまでも終わらない紳士服の閉店セールのように、人の心に釈然としない気持ちを生んでしまうのです。

ということで、取りあえず出来る範囲でどうにかすることにしたんですが、なんせここは僕も大工も親方もノープラン。
元々ここには立派な入母屋屋根の20畳くらいの玄関っていうか店舗スペースがあったんですが、それが実は80年前の増築で造られたものでして、その増築の時に、当時の大工さんが粋なことをして、表通りの道に沿わせてちょっとだけ角度をつけて建物を建てたんですね。
その影響で、その増築店舗と母屋の合体部分がすんごい複雑なことになってたらしく、それを丁寧に解体・修繕するとすごい時間とお金がかかるので、もうぶった切った方が早いやろということで、ぶった切ったのです。
こんな感じに。

玄関ぶったぎり

どうですかこのぶった切りっぷり。
昭和のギャグマンガで家真っ二つとかよくありますけど、ほんとに家をぶった切るとこんな感じになるんですね。
で、
切ったはいいけど、ここからどうするんだと。
この時点でその場の全員が「う~ん…」みたいな感じでした。
デザインに口うるさい僕も、自分なりに本屋やネットで資料を探しましたが、入母屋をぶった切った家なんか他に例が無いので、先人のデザインソースも見つからず。
とりあえず瓦は葺かないといけないから、じゃあ、ここに破風つける…?

破風

ついた。
ちなみに「破風(はふ)」とは屋根の縁につけられる「へ」の字の板のことですが、
う~ん…
なんかちがう…
どうしてもしっくりこなかった僕はパソコンを使い、玄関のデザインをどうすればいいかラフでいろいろ描いてみました。

うどん屋
うどん屋

何だろう…
何だろう…この…
全体から醸し出される…
うどん屋感は。
いろんなパターンを描いたものの、なぜかどうしてもうどん屋感が拭えません。
一体どこがうどん屋ぽいのか。どこを触ればうどん屋じゃなくなるのか。逆にうどん屋をうどん屋たらしめているものは何なのか。
僕は頭を抱え、そして判断を保留することに決めました。
とりあえず今は置いておこう。
他の工事が終わってから考えよう。
そう軽く考えたのですが、まさか途中でお金が底をつき、玄関工事がさらに1年も後になるという運命が僕を襲うことになるとは…
その時「うどん屋 外観」で画像検索かけていた僕には、知る由もなかったのです。

ということで今回は玄関の途中報告でした。

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