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僕はどうやって古民家をリノベしたか・その5「理想の古民家が見つかった時の具体的なチェックポイント」

過去に一度書いたからもう書かなくてもいいだろう、と思ってたら案外膨大な過去記事に埋もれて誰も見つけることができない状態になってるのであなたもう一度書きなさいよ、というシリーズの5回目。
前回は理想の古民家が見つかったら次にどうすればいいか、について語ろうとして失敗したので、今回はリベンジです。
前回の記事はこちら。

はい。ちゃんと喋ります。
理想の古民家が見つかった。もうここしかない。思い込みでも一時の気の迷いでもない。
まじでここ。
買う!!!!!
という状況になったら、次にどうすればいいか。
まず落ち着け。
です。
とりあえずそっから。落ち着こう。まだあわてるような時間じゃない。
で、落ち着いたら何をするか。
もう一度内覧予約して、今度はじっくり家を見に行ってください。
普通の人が一度目に家をちゃんと「見れる」ことなんてまあ無いです。
だいたいテンション上がってキョロキョロして素敵ポイントとがっかりポイントを探すだけに終わりますから。
まあその時に直感で見つけた素敵ポイントというのが実は一番大事だったりするのですが、二番目三番目に大事なのがその家のコンディション。
以前、古民家を内覧するから付いてきて欲しいと友達夫婦に頼まれたことがあったんです。
その時に僕、試しに二人に写真を撮ってもらったんですよ。
普通の人ってどこ見てんのかなって。
そんで内覧が終わって答え合わせをしてみたら、まあやっぱり、予想通り、二人とも僕とは全然違った場所を見てたんですよね。
二人が見ていたのは部屋。つまりその家の雰囲気とか、ざっくりとした家の感じ。あ!この部屋いい感じ! とか、なんかここ、いやな感じ……とか、そういうやつです。
それは当然そうだというか、それでいいんですよ。そこでピンと来なかったら次は無いわけですから。
でもそれだけで古民家の購入を決めてはいけない。
家も結婚も勢いで決めてしまってはだめです。
いや、結婚は勢いでもいいか……
え、じゃあ家も勢いでいいの……?
あれ?
??????

すみません、一瞬持論がおかしくなりましたが無視してください。
この写真は実際に僕が今の家を買った直後に撮ったものです。
普通はこんな感じですよね。家見に行ったら。
「うわ~すご~い! めっちゃ古民家って感じじゃ~ん!!」
とか言いながらパシャパシャ撮りますよね。
でも内覧のプロは違います。
テンションが違うのです。
語尾に「じゃん」とか付かないです。
たとえば僕が今、新しく古民家を買おうと思ってはじめて内覧した時に、まず最初に撮るであろう写真がこちらです。

これ。
「じゃん」とか絶対に出ない絵です。
古民家を知ってる人はまずこういうのを見たがるので、内覧といってもすぐには中に入りません。
実際その友達と見に行った時も、彼らは「おお~」とか言いながらすぐに玄関に入っていったんですが、僕は中に入らず外をウロウロしてました。
実際、「屋根」と「床下」の状態によってリノベ費用が数百万以上変わってくるのです。
普通に文化財を見学したり、友達の家を見るんなら全然いいんですけど、自分がこれから買って、ローン組んで、直して、という対象を見る時は、見るっていうより「調査」という感覚の方が良いと思います。

見るべきは屋根瓦の状態、床下の通気や臭い、できれば蟻道の有無、湿気、腐りの有無。
次に家の傾き(建具を見れば分かりやすいです)。
次に雨漏りの有無。
次に家自体の通気、湿気やカビの有無。
次に増改築の有無。増築があればその周辺の雨漏りチェック。

とりあえずざっとそれくらいを見てから、建具がオシャレとか、縁側が素敵とか、そういう話になるのです。
こういうチェックは、実はわりと誰もやってくれなかったりします。
僕はこの世界に入ってびっくりしたんですが、住んでる施主はもちろん、不動産屋さんですら、さらに工務店さんですら、そういう知識があんまり無いのだということ。
施主は住み手ですが売り手でもあるので、過去にシロアリ被害はあるか、雨漏りはあるか、どこか腐っている部分はあるか、と訊いたところで目を泳がせながら「さあ……」とはぐらかされることが多いと思います。
また不動産屋さんは建物のプロではなくて土地のプロなので、建物のことを詳しく訊いても「さあ……(ごちゃごちゃ言わんとはよ買えや)」とはぐらかされることが多いと思います(偏見)。
そして工務店さんは建物のプロですが、古民家のプロではないので、この柱は根継ぎできますか? この鴨居って腐ってても大丈夫なんですか? などと訊いても「さあ……(どうしよう俺そんなん知らんし)」とはぐらかされることが多いと思うのです。
つまり、
古民家の購入というものはまったくの自己責任であり、誰も味方はいない、と考えるのが妥当です。
まじで。

なので、さっき上げたような業者並みのセルフチェックを、自分でできた方がいいんですよね。
ご自身でできる自信がない人は、クロニカに載ってるような古民家に詳しい工務店さんや設計事務所さんを頼りましょう。
うちが紹介している皆さんは、古民家のことなら嫌がらずに相談に乗ってくれるはず。
べつにそこに仕事を頼むことが決まってない状態でも、行ける範囲なら一緒に見てくれると思います。
正直、古民家購入を失敗しない手としてはそれがベストです。

とはいえ、これも何度も言ってますけど、べつに「失敗した」みたいなのはその人の心の持ちようなんで、失敗するかも……と不安になる必要はないですよ。
人生「絶対にやってはいけない」みたいなこともそうそうないですからね。
古民家は金かければどんなものでも直るし。
そもそも失敗したと感じる結婚だって金さえあれば……
いや、なんでもないです。

ということで、今回は古民家のチェックポイントのお話でした!

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