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古民家リノベーション体験談83 床ができた日のこと

【前回までのあらすじ】うちの風呂場を解体した時にワラワラと逃げていったシロアリさんたちが今どこにいるのかは深く考えないでおこう


紆余曲折を経て、遂に床ができました。
ああ、長かった…
床ができた途端、親方の予言した通りカビの臭いも止まりまして、この2年にわたるカビ臭との戦いに終止符が打たれました。
ちなみにカビバトルの軌跡はこの辺をご覧ください。

古民家リノベーション体験談8 カビ臭との戦い その1
古民家リノベーション体験談9 カビ臭との戦い その2
古民家リノベーション体験談10 カビ臭との戦い その3
古民家リノベーション体験談11 カビ臭との戦い その4

で、まだ工事が残っているのでベニヤで養生をして封印したんですが、もう床ができたというだけで、ソワソワしてしまって、座敷に逃がしていたテーブルと椅子を試しに置いてみることにしました。
それがこちらの写真。

床に家具を置いた

何気ないこの写真、実は僕にとってはものすごく感慨深いのです。
テーブルと椅子を置いて、ちょっと離れて見てみた時のこと。
しばらく眺めてみて、うおお! と僕は叫びました。
いける! いけるぞ!
古民家に住めるぞ!! と。

いや、おまえは何を言ってるんだ? と言われそうですが、それが嘘偽りのない僕の感情でした。
僕はずっと不安だったのです。
自分が本当に古民家に住めるのかどうか。
電話帳で不動産屋に電話かけまくって、借金して古民家を買って、玄関と離れを潰して、間取り考えてデザインして現場監督して、職人さんたちと現場に入り続けて、弁当食って、誰がどう見ても自信満々にやってるように思われてたでしょうが、それでも、それでも僕はずーーーーーーーっと不安でした。
本当に古民家なんてものに住めるのだろうか?
だって僕の周りでそんなこと誰もやってなかったし、全員に反対されてたし、自分に知識も経験もなく、何の後ろ盾もなかったし。
今なら「いや、住めるよ」って笑い飛ばせますけどね。
とにかく、このテーブルと椅子を置いた瞬間、僕はこの家で本当に暮らしている自分の姿が見えて、やっと心の底から安心できて、震えるほど感動したのでした。

それから二ヶ月後。キッチンやら内装やらの工事が終わり、いよいよ養生を剥がす時がやってきました。
えいっ。
ベリベリベリ!

床の養生はがした 床の養生はがした

見てくださいこの笑顔(ぼかし加工済)。この輝き。
ここからですよ、僕らが本当に明るくなれたのは。
まあ実際ヒノキの新材と漆喰塗り直しで物理的に明るかったですけども。
あ、ビフォーと比べてみましょうか。

カビ臭 ビフォー

これちょうど嫁が寝転がってる辺りだと思うんですが。
古畳を捨てて床板を剥いだ直後の写真ですね。
なかなか写真と文章でこの禍々しいスメルをお伝えするのは難しいですが、僕なんかもうこの写真見た瞬間にウボェッてなりますね。
仮に僕がぐるぐる巻きにされてマーロンブランドみたいなマフィアのボスに「dead or lie down?」(訳:床に寝転がるか、さもなくば死か)って言われたらたぶん死を選んでますね。
それくらいムリめな床だったんですが、まさかそんな床に、赤子と一緒にごろんってなる日が来るとは…

で、僕思うんですけど、施主は空間がこのレベルで変わることを知らないじゃないですか。
だから不安なんじゃないですかね。
物件を選ぶ時も、工務店を選ぶ時も。
リノベーションってこれくらい変わるんですよ。
特に「床ができる」っていうのはなんかめちゃくちゃ安心します。
よく長い船旅でやっと陸地を踏みしめた時に地面のありがたさを感じる、みたいな話がありますよね。ちょうどあんな感じだと思います。
人間の五感って、本能的に「自分が身を置ける水平の場所」を欲しがってるんですよきっと。
そんなことにも気付かされた床作りでした。

僕が不安で不安でしょうがなかったこと、忘れてました。古民家再生の「不安」について、心構えや考え方を書きました。
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