古民家に住んでますvol.15 古民家の冬の寒さについて改めて語る
古民家の冬の寒さ対策について調べている人、どうもこんにちは。
古民家に住み始めて早6年、いいかげん冬の寒さに慣れてしまって普通の人の感覚を失ったクロニカ大原です。
こんな僕が古民家の寒さについて喋ったところで信憑性も何もあったもんじゃねえなと自分で思いますが、まあ真冬ですので、6年経った【2022年】バージョンの、嘘偽りのない僕の感覚を、できるだけ丁寧に説明していこうと思います。
とは言っても寒さ対策については過去にめっちゃきっちり書いてるのよ。
断熱のこと、建具のこと、暖房器具のこと、熱源のこと。
その辺の詳しい話を知りたい人は過去記事をどうぞ。
さてここから本題です。
今回は、上で紹介してるような古民家全体の話じゃなくて、もっとミニマムな視点で、「実際、真冬にどんな感じで暮らしてるんですか?」という疑問に、勝手にお答えしようと思います。
実際、ということでターゲットは居間と、それに連なるキッチンと子供スペース。
僕たちは起きてる時間のほとんどをこの空間で過ごしています。
つまり、この空間における寒さの感想が、僕たちの古民家ライフにおける真冬の感想になるわけです。
てことで改めて間取りを紹介します。
これが僕たちのいつもいる空間。
広さ的には、広いんか? 現在の普通の家の平均値が分かりませんが、まあLDK+子供スペースで24畳っていうのはそんなに広くないのかな。
とにかくこれくらいの広さです。
元々3つの部屋をリノベーションによってワンフロアにしたんですが、なぜこんな端数の数字なのかというと、畳が今の畳じゃなくて「本間」と呼ばれる一回りでっかいやつなので、「8畳間」の広さが一回り違うんですね。
で、約24畳。
普通はこれに対して、24畳用の暖房器具があって、天井も壁も床もきっちり断熱されてあって、なんなら薪ストーブまで完備されてて、建築雑誌のインタビューで「冬はこれ一台で家の中すべてが暖まるんです。燃える火を眺めていて、気付けばうたた寝してしまうことも。」みたいな優雅なセリフがセットで付いてくるところですが、我が家はうたた寝どころか寝ると凍死するレベルなので、絶対に起きてます。
じゃあ僕はすごくかわいそうで冬になると常にガチガチ震えて家で死にかけているのか?
と聞かれると答えはNOです。
普通に暮らしてます。
これは今回の結論ですが、べつに薪ストーブが無くても、断熱しなくても、大阪くらいの気候であればわりと古民家に普通に暮らせるんだということを言いたいのです。
確かに条件は全然ちがう。
さっきの建築雑誌に紹介されてるような、高気密高断熱で、薪ストーブがあってリビングが吹き抜けで…みたいな家と、我が家は、全然ちがいます。
どれだけ違うかというと、まず壁が違う。
立体図を描いてみたのでご覧ください。
壁っていうか、
ほぼ窓やん。
改めてこうしてみるとひどいなこの部屋。
皆さん知ってますか。家の寒さって、ほとんどが窓が原因なんですよ。
隙間ということじゃなくて、めちゃくちゃ冷えるのよ。窓ガラスが。
ペアガラスとか言ってるけどあんなもん一緒。
体感一緒。
そこが壁なのかガラスなのかの違いに比べたら、ペアガラスの効果は微々たるもの。
もちろんうちはほぼシングル。その微々たるものすら無い。
かつ、この窓の量である。
暖かい季節はいいよ。開放感がハンパないから。でも真冬はもう、こんなの絶望的じゃないですか。
さらにもっと言うと我が家はこんな劣悪な条件です。
・屋根断熱 なし
・天井断熱 なし
・壁断熱 なし
・床断熱 ちょっとだけ断熱材入れた
・気密性 ゼロ(穴開いてる)
・暖房器具 9畳用の石油ファンヒーター+臨時用コロナストーブのみ
どうでしょう。
寒さ対策を考えるより引っ越した方が早いって思うやん。
でも実際、僕たちがどんな風にこの空間に住んでいるのかというと!
基本9畳用の石油ファンヒーターだけでどうにかなってしまっているのだよ!
びっくり!
この子が我が家の暖房をほとんど一人で担ってくれている石油ファンヒーターちゃん。
この部屋が24畳あるということも知らず、設定した室温に全然ならないのは自分の力不足だと言わんばかりに、いつも身を削って全力フルパワーで働いてくれているけなげな子です。
まあ実際おめーの力不足なんだけどな!(鬼)
とはいえ普段はこいつで充分。
そして、真冬に何度かやってくる寒い日には、朝晩にこの方のお世話になります。
泣く子も黙るコロナストーブ様。
今となっては名前がアレなこのストーブについては前述の過去記事などに詳しく書いてますので参照してください。
それでね、実際こないだちょっと測ってみたんです。
とある寒い日の夕方。
僕は石油ファンヒーターつけっぱなしで、この部屋でいつものようにゼルダの伝説ブレスオブザワイルド(マスターモード3周目)をプレイしていました。
1時間くらいプレイしてから、ふと気が付くとなんか指が冷たくなってるので、台所にいた嫁に「今日寒ない?」と訊いたら「今日は外1℃やで」とのこと。
それで部屋の室温を測ってみたら15℃でした。
あ、これちょっと寒いな、じゃあコロナストーブつけよっか、となってストーブつけると一瞬であったかくなったので、僕は再びハイラルの大地に戻っていきましたとさ。
めでたしめでたし。
いかがでしょうか。
この話のポイントは「室温15℃」で「今日寒ない?」というリアクションだというところです。
9畳用石油ファンヒーターの設定温度は22℃。
でも悲しいかなその子が全力でがんばっても15℃が限界。
でもご主人様はわりと平気そう。
ちなみにその時の僕の服装は、ヒートテックに薄いシャツを着て、その上に普通のカーディガンを羽織っただけ。
なぜ平気なのか。
それは古民家に6年住んで身体が慣れたからである。
まあ正確に言えば3年目くらいでもう慣れてた感じするけどね。
慣れるんですよ。これくらいは。
このブログでもさんざん書いてきた「慣れ」という要素は古民家のあらゆる問題をだいたい解決していまいますが、じゃあなんでそんな現象が起きるのかというと、人間のセンサーはわりと適当で絶対値を判断できないからだと思うんですよね。
人間が絶対値で判断してると思ってるのは結構な割合で相対値だったりするのよ。
つまり僕が平気なのも「去年と比べてべつに寒くないから」×5回を繰り返してきた結果、「べつに寒くない」という感覚が知らずのうちに自分の初期値としてセットされたのではないか。
てことで僕は何度でも言おう!
寒さは相対的なものであると!
思い出してみてください。
10月とか11月に、シャツに薄手のカーディガン着ててぼけーとしてる時に突然到来する「本格的な冬の寒さ」を。
あれ、毎年めちゃくちゃ寒く感じませんか?
そんで焦って冬服出してきて、すごい着込んで、寒い寒いって言ってるんだけど、よく考えてみたら本格的な冬の寒さとは言うもののそこまで本格的じゃない場合が多い。
あの時の寒さより、本物の真冬の方が絶対に寒い。
ちなみにこれを書いているのは1月24日、ザ・真冬ですが、寒さに震えているかというとそうでもなく、まあ寒いよ、寒いけど、べつに騒ぐほどじゃねえよな、ってなってませんか皆さん!
それがすなわち相対的感覚!
日本を観光してるアメリカ人が春夏秋冬どの季節でもTシャツ一枚なのはきっとそれが原因!
イギリス短期留学中、秋の肌寒い季節だったのでロンTの上に長袖のパーカーを羽織って、ポケットに手を突っ込んで冷たい風が吹きつける海沿いを歩いてる僕のすぐ近くで複数のイギリス人家族が水着でキャッキャと海水浴を楽しんでたのもきっとそれが原因なんだぜ!
知らんけど!
ということで、人間の感覚なんざアテにならんのですよ。
15℃は寒いけど、まあ18℃くらいありゃ充分です。動いてれば暖かいし、映画観る時はブランケット使って、それでもう全然不満なく生活できてます。
「冬が来るのは嫌だなあ」みたいな感じもないし、「早く春が来て欲しい…」とも別に思わない。
省エネ住宅に比べりゃ灯油代はかかるけど、そこまでじゃない。
ウチの場合は2022年現在の原油高の状況で月にだいたい1万円(18L×6缶)。それが12月、1月、2月。で合計3万円。
ワンシーズン3万円の出費を、ほらやっぱり古民家って寒いのよ、お金がかかるのよ、合理的じゃないのよ、と取るか、こんなに条件悪くてもそれくらいで済むのか、と取るかはあなたの自由です。
以上、今回は2022年の僕がろくに断熱してない真冬の居間で過ごしている実感を、リアルタイムでお届けしてみました。
古民家暮らしをしたいけど冬の寒さが気になるわ~、という方々の参考になれば幸いです。