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田舎暮らしのご近所トラブルについて

今回は書いてそうで書いてなかった「ご近所トラブル」の実感についてお届けします。
タイトルには「田舎暮らし」と書きましたが厳密には大阪郊外の暮らしです。
まあでもここは江戸時代より続く集落のど真ん中で、縁もゆかりもないそんなところに突然引っ越してきた僕たち、という意味では、いわゆる田舎暮らし、Iターンなどにおける一つのサンプルになるかなと思います。

当時の僕はとにかく古民家を必死で探していたので、地域のこととかは考えるヒマがありませんでした。どこに住むか、という問題よりも「好みの古民家が見つかるかどうか」が最重要でした。
なのでそこが100年200年続く集落で、近所に引っ越しの挨拶に回ってみたら次もその次も同じ名字で、というかこの村の住民の名字って6種類くらいじゃない?という恐るべき事実に気付いたのは古民家を買った後。
能天気な僕もさすがにそういうところによそ者が飛び込んで大丈夫なのか…?という気がしましたが、結論から言いますと住んで10年経ちますが大丈夫でした。
以下その理由を紹介していきます。

ちなみに繰り返しますが村といってもこれは大阪郊外の話です。
あちこちに謎の物見櫓があって封じられた祠の奥から旅人のうめき声が聞こえてくる山奥の雪深い因習村とかは知りません。
あくまで大阪郊外の村の話です。

この村に引っ越してきていろんな人と話しましたが、ほんとによく訊かれたのは「なんでわざわざこんなところに来たのか」ということでした。
これは嫌味とかじゃなくてほんとに皆さん意味が分からんという顔をされていたので、本気で疑問なんだろうと思います。
さらにはちょっと開けた隣町の一部の人の中には「あの村に嫁に行った人はかわいそう」という共通認識があることも分かり、実際にそういうセリフも耳にしました。
たぶんすんごいしがらみがあって、面倒で、いぢわるされたりするってことなんでしょうね。
古民家暮らしを希望して余所から引っ越そうと思ってる人がそんな話聞いたら、そんな地域、絶対にやめておこうと思うじゃないですか。
でもね。
問題ないんですよこれが。
なぜか。
僕らが縁もゆかりもない余所者だからである。

意味分かりませんよね。
でも考えてみてください。
「しがらみ」ってどうやって発生するでしょうか。
それは親子関係だったり、親族など血縁関係のいざこざだったり、子供時代からの因縁だったり、親同士の仲だったり、代々引き継がれてきた家同士の付き合いだったりするわけです。
しかし!
僕らそんなんぜんぜん無いのよ!!
まったくのニューフェイスなんですよ!
ドロドロどころか、ツルッツル。新品未開封。
お分かりでしょうか。
まったく縁もゆかりも無い土地に引っ越してきた知らん人たちと村人との間には「しがらみ」なんて発生する余地がないのである。
これ、みんなあんまり言ってない気がします。
だから僕らはどの家の人にもしがらみゼロで話ができるし、別に向こうも恨みとか妬みとかを僕たちに感じようがないので、べつに普通です。

まあそうは言っても、地域によったら余所者がいぢめられて追い出される、というケースもあると思いますし、最初は歓待してくれたけど徐々に雰囲気が怪しくなってきて最終的に祠の隠し階段の先の地下牢に監禁されるケースもあるでしょう(ない)。
でもそれってかなり能動的な排除というか、向こうが最初から排除にやる気出してたり、余所者側に問題があったり、何か明確な原因がある場合が多いんじゃないかと思います。
ちなみにうちはクソ高い入会費が理由で町内会にも入ってないし、祭りにもべつに積極的に参加してないですが、べつに嫌がらせされることもなく、べつに普通です。
なんだろう、きっかけがない、ということも理由の一つですかね。
きっかけ。
それはたとえば騒音トラブルだったり、越境トラブルだったり。
でもうちもお隣さんもお向かいさんもでっかい家で、しかも距離としては普通の家の数軒分くらい離れてるので、お互いの生活音なんかまったく聞こえないんですよね。
そして隣地の境界も、お互い土地が広すぎて、境界とか越境とかまじでどうでもいいっていうか考えたこともないんですよね。
まさに金持ちケンカせず。
僕だけ金持ちじゃないですけど、そういう大きな家に住む方々は、敷地だけではなくお心も広いです。まじで。

そういう理由によって、10年経ちますがご近所トラブルは発生していません。
地元で商売するならご近所付き合いは大事だけど、僕みたいに自宅で仕事してたり、どっかに通勤するような人は、まあべつに、無理にご近所と付き合う必要もないよなあ、という感想です。
だって物理的に会わへんからね。
隣人と。
たとえるなら大きなマンションの同じ階に3家族しか住んでないみたいな感じでしょうか。
お互い誰か知らない状態で、物理的距離があると、恨みを買いようがないという。

ということで、以上が僕の「田舎暮らしのご近所付き合い」の体験談でした。
とはいえ東日本と西日本とか、北国と南国とか、そういうでっかい属性の違いもあると思います。
なので可能であれば、やっぱり以前にも書きましたが、引っ越す前にその地域の人たちを捕まえて地元の話を聞くのが一番ですね。
それだけでもちょっと雰囲気とかノリとか分かるので。
ちなみに声をかけた人が顔を真っ青にして「私は何も知らないんです…!」と言って逃げていったら地下牢確定なのでそこだけは気をつけてください。

それではまた!

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