古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

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【前回までのあらすじ】慣れって怖いわねぇ


はい。第4回目を迎えました「リノベーション費用」シリーズ。
もういい加減にしてくれという励ましの声が聞こえてきそうですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
大丈夫です。
今回で終わります。
ただこれだけ言っておきたいということを思い出したのです。


前回僕は「慣れる」という話をしました。
今回もそういった話なのですが、危険度が違います。
人間は「これだけは決して慣れてはいけない」というものにもあっさり慣れてしまうのです。
もうお察しの読者様もいらっしゃるでしょう。
そう。
それは気軽に借りれるカードローン…
じゃなくて、「金額の桁」です。


これは古民家リノベーションに限らない話で、一度でも家を建てたことのある方なら誰でも経験済みだと思います。
エクセルに並ぶ工事内容と見積金額。
そこに並ぶ「0」が引き起こす数字マジック。
どういうことか、実際に体験して頂きましょう。
下記の見積例をご覧ください。

屋根   4,000,000円
内装   2,500,000円
基礎   3,000,000円
電気      500,000円
水道      500,000円
左官   1,000,000円
外構   2,000,000円
合計13,500,000円

はい。
既にゼロが多すぎて何かの模様みたいに感じますね。
適当ですけど、例えばこんな見積が上がってきたとします。
この1350万円に対して、予算オーバーだとしましょう。もっと安くならないかと工務店に相談すると、「屋根瓦を安物にしたら20万円安くなる」という返事がありました。
すると人はこう思うのです。
20万円ぽっち安くなったところで意味ないと。
たった20万円のためにグレードを落とすのは絶対嫌だと。
いかがでしょうか。
そのような人はすでに「施主ゾーン」(大原命名)に入っているのです…


説明しよう!
「施主ゾーン」とは、人間が一生のうちに何度か迷い込む恐ろしいゾーンである!
そのゾーンに入った人間には、200,000円が20,000円くらいに、2,000,000円が200,000円くらいに感じられるのだ!
こわいね!


似たところでは「新郎新婦ゾーン」とかがありますね。
つまり大金に慣れちゃうんですよね。
考えてみてください、ある日家でゴロゴロしてると突然知らない人が訪ねてきて「あなたのおばあさまに生前助けて頂いた者です、やっとお礼ができるようになったのでこうして参りました、心ばかりですがどうか何も言わずにこれを受け取ってくださいませ」とか言われて20万円入った封筒を渡されたとしましょう。
えっ、ちょっ、いや、これもらっていいの? えっホントに? えっ、まじで? まじで? え、こういうの警察とか関係ないっけ? ほんとにもらっていいんだっけ? こっ、今夜は焼肉やー!!
とかパニックになりませんか?
当然、20万円というのは大金です。
ところがひとたび「施主ゾーン」に入れば、20万円なんか2~3回の飲み代くらいにしか感じられなくなってしまうのです。


そういう「20万円」を蔑ろにすると、徐々にそれが積み重なっていきます。
そしていつの間にやらブクブクとよく肥えた見積額が目の前にどーんと現れます。
でもその時には既に、何が悪いのか、どこを削ればいいのか分からなくなっているのです。
まさにダイエットと一緒ですね。
夜中に一杯ラーメンくらい喰ったところでどうってことねぇだろ、というアレです。
ラーメンどうこうじゃなくてそのお前の心の持ちようが問題なんだよバカー!
と、過去の自分に叫びたい気分です。


施主ゾーンから抜け出た今、僕はこの目の前にある唐揚げに使った油を残そうか捨てようか迷いながら、ふと思い出します。
果たしてあの世界は何だったのだろうと。
なんかすごい勢いで50万円とか100万円とかがあっちに行ったりこっちに来たりしていたぞと。
自分の一声で30万円増えたり、アイデア一つで80万円減ったりしていたぞと。
今こうして「唐揚げ 油 いつまで」と検索している今の自分からは考えられない、恐ろしい日々でした。
逆に、施主ゾーンに入らないととても戦い続けることはできなかったと思います。
その結果、素晴らしい暮らしが手に入ったので良かったのですが、同時に素晴らしい額のローンも残りました。


お金の話は難しいですね。
じゃあ色々ケチったら良かったのかと問われれば、そうではないと答えるでしょう。
僕の言いたいことはつまり「荒ぶる世俗に囚われず、心を鎮め、己に目を向けよ」ということです。お寺の掲示板に貼ってるやつぽいですが気にしないでください。
真実は己の心にあり。
これは冗談のようですがわりと本気で大事なところです。あらゆる手段を使って「施主ゾーン」を客観視し、目の前の数字を客観視することをおすすめします。
これからリノベーションをする皆様、がんばってください。
僕は座敷で座禅を組みながら、皆様の行く末をいつでもお祈りしております。


ちーん

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