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古民家の選び方4 壁と建具編

古建具
(古民家、それは格子戸)

今回は「壁と建具」についての見方、考え方をご紹介します。
あ、「建具」っていうのは窓や戸やドアのことです。このサイトのアイコンも格子の建具をイメージしてるんですが、優れたデザインの格子は古民家のアイコンとしてよくあちこちで使われてますね。
だがしかし。そんな癒しのほっこりイメージは物件内覧時にだいたい崩れ落ちます。
なぜか。
だってみんなアルミサッシに変えてるんだもん。
ファッ○!!

でも安心してください。
また変えりゃいいんです。
窓や戸に関しては大体元通りに戻せます。
たとえば冒頭の写真も、内覧時はこんなんでしたから。↓

ビフォー

ね?
なんとでもなりますよ。土壁だし。
そこだけ壊して、窓枠つければいいんです。
古建具見つけてきて、大工さんに「これに変えて☆」って丸投げすればいいんです。
うちの大工さんは「えぇ~…」とか言いながらも、ご覧の通りきっちりやってくれましたよ。

ただ、木製の建具は隙間があります。
超隙間があります。
つまり寒いんです。
経験上、冬の寒さの原因の95%(適当)は木製の引き違い戸にあると思います。
だからみんなアルミサッシに変えるんですよ。
しょうがないすよ。
なのでまあ、イメージを優先するか、実用性をとるか、どっちかになるんですが、僕の場合は「直接外気に触れる部分かつ重要な生活空間はアルミ、それ以外は木製の古建具」というルールでやってます。
例えばこの写真は土間ですが、土間の向こうはお外です。よって土間につける窓は直接外気に触れてます。しかし土間は生活空間ではないので、寒くてもそんなに困らない、じゃあ木製建具でいこっと。
みたいな感じ。
逆に土間の隣にある居間は、真冬も家族がごろごろする場所なので、外気に触れる部分はアルミ。でも土間側の室内窓は木製。
そうやって工夫すると寒さがかなりマシ、いやだいぶマシになるんです。
冬の寒さを和らげつつ、格子戸の美しさを楽しむことができる。これぞ論理的思考の勝利です。

次に「壁」ですが、これも建具と似たようなもので、土壁なんで、基本壊せます。
空間の仕切りがスーパーフレキシブルなのも古民家の魅力のひとつ。
普通の中古住宅のように、せっかく見つけた物件でも間取りが気に入らない…と諦めるようなケースはありません。むしろ自由度高すぎて困惑します。
ただこれも注意するポイントがあります。
地震の際、古民家はその揺れに対して耐えるのではなく、ある程度ずれながら、壊れながら、地震の力をごまかす「免震」構造になっています。
その免震の一つを担うのが土壁。
土壁は家を面で支えつつ、崩れながら地震の力を吸収する役割があります。
なのでバッカバカ壊しまくっても問題ありなので、そこはほどほどに。

ちなみにこの「免震」の考え方は、現在の耐震基準の項目にありません。
なので耐震診断を受けると100パー「0点」になるんです。
おかしいでしょ。
でもそれを「不安要素」として捉える、古民家の構造について知識のない方々がたくさんいらっしゃいます。
僕自身、知り合いの設計士さんに最初に見てもらったんですが、「壁がなさすぎる」という理由で壁だらけのプランが出てきましたからね。
「耐震」の考え方だと縁側とかも全部壁にしないといけないんです。
そんなん古民家の意味ないでしょ。
でも現実には、そういう考え方の人たちが「古民家再生」の際に壁だらけにして古民家の良さを潰していっているケースがたくさんあります。

とはいうものの、地震についての考え方はかなり難しく、いろんな人たちがいろんなことを言ってます。
僕だって「こうすれば絶対大丈夫!」という方法論は持っていません。
実際壁だらけにして耐震性を高めた方が安全なのかも知れません。
でもそれは果たして「古民家再生」と呼べるでしょうか。
僕はそういったバランスを考慮して、時間をかけて調べて「これは間違ってる」「これもたぶん違う」という消去法的取捨選択を行った結果、一つの結論に至りました。
この話は追々、きっちり書きます。

以上、「壁・建具編」いかがでしたでしょうか。
結論としては「なんとでもなるから細けぇことは気にすんな」ってことです。
おわり。

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