古民家リノベーション体験談その後 納戸から屋根裏に登れるようにした話・その3
前回、前々回に引き続き、今回も納戸の工事のお話です。
前回の終わりに「そうして4面の漆喰を塗り終えた僕だったが…」みたいに端折ってますが、4面塗るのほんと大変でした。
途中で何度も壁を破壊して通気性最高にしたろかなと考えましたよ。
でも僕はがんばりました。
そうして漆喰をすべて塗り終えた時、これでもう施主としてはすべての仕事が終わったのだと、あとは大工がヒィヒィ言いながら汗ダラダラで仕事するのをワインを傾けながら眺めていればいいのだと、そう思っていたんですが、そんなことはなかったぜ。
さてこちら、納戸の天井です。
既に出来上がっております。
フタを上につけるとか下につけるとかで揉めてた件、結局上につけることになったんですが、そうと決まれば大工さんが一瞬で付けてくれたのです。
大工さんってすごいね!
ピッタリ!!
いやでも……あれ? これ階段かける前にピッタリでいいの?
「僕も今同じこと思いました」
「え、どうすんの」
「どうしましょう」
「……」
(以下10秒ほど時間停止)
はい!
ということで気を取り直してこちら、これは僕が漆喰塗ってる間に大工さんがつくった階段です。
まあフタの問題はおいといて、とりあえず階段運ぼっかと。
実はこの階段、前もって段数とか角度とかをああでもないこうでもないと二人で現場で確認してたんですが、いったん寸法が決まったら大工さんが一瞬で作ってくれたのです。
大工さんってすごいね!
なんて立派な階段!
いやでも……あれ? これめっちゃ幅広じゃない?
「え、大原さん開口に合わせたサイズでって言うてましたやん」
「いや、言うてないけど」
「えっ」
「えっ」
(以下10秒ほど時間停止)
はい!
ということで気を取り直してこちら、これは階段のアップですが、ご覧の通りビス留めです。
今回もいつも通りお金がないので、大工さんには「限界まで安さに挑戦してほしい」と伝えてありました。
すると使う材料、使う技術が最低ランクのものになるのです。
でもいいの。
納戸なんてどうせ誰も見ねえから。
とはいえさすがは古民家を触れる大工さん、集成材を使うにしても天然のヒノキの集成材。いい香りがします。
ちなみにこの写真撮りながら「『これが大工の伝統的な匠の技です』って書いてブログに載せていい?」と大工さんに訊いたところ「まじでカンベンしてくださいよ~大原さんビス留めでいいって言いましたやんか~」と泣きが入ったのでこの写真はブログには載せないでおきますね。
作業場で階段を確認したあとは、トラックに載せて僕の家まで運びました。
もちろん積み込みと積み下ろしを手伝わされて、階段の取付も手伝わされて、しっかり持っとけだのもうちょっと前だの言われながら、なんとか取付完了。
おお!
すごい! フタの部分ミスったはずなのになぜかちゃんと付いてる!
すごいぞ!
幅広すぎるけど!!
よっしゃあああ完成じゃああああ!!
と叫びながら思わず階段を駆け上がろうとしましたが、本当にそれをやってしまうと階段を登ったあとすぐ地面に落下してまさに「Stairway to heaven(天国への階段)」になるところでした。
危ない危ない。
まだ床がないんでした。
床も無いし、道も無い。
これは屋根裏にひょっこり顔を出したくらいの高さから屋根裏部屋への入口を撮ったものです。
ご覧のように、階段を登ったとしても屋根裏部屋への入口へはさらにこれくらいの傾斜があるのです。
これくらい余裕じゃね? とお思いかもしれませんが人間って実はちょっとの段差、ちょっとの傾斜にすごい敏感なんですよね。
たとえば90°の垂直に対して、角度がその半分の45°って言われたらすごい急斜面だなって思うじゃないですか。ちょっと立ってられないみたいな。
で、30°くらいになると、一般的な家の屋根くらいの傾斜で、まあまあ余裕っていうか、たとえば昭和のマンガみたいに屋根に寝っ転がって星を見上げるみたいな、そんなイメージじゃないですか。
この写真、階段を登り切ったポイントから屋根裏小屋まで直線で結ぶと、ちょうどそれくらいだったんですね。
だから余裕で歩けると思うでしょ?
その考えは甘い。
ちょっとこれ見てください。
45°、30°、そして現代の一般的な屋根勾配である2.5寸勾配(約14°)。
(大)とか(小)とか書いてるのはその屋根の上に立った場合に人が漏らす排泄物の種類です。
たとえばうちのような入母屋屋根の傾斜は「五寸勾配」(=約26.5°)なんですけど、はっきり言って立てません。ちびります。僕、かつて一度アンテナの様子を見に行こうと屋根に登ったことがありますが、立ったらその瞬間に小を漏らすと確信したので立ちませんでした。
それくらい人間は傾斜にはシビアです。
なのでさっきの図示のようにストレートでつなぐのではなく、3段階に分けて床を作ることにしました。
このように。
真ん中の段だけ20°くらいの傾斜を付けて、あとは階段方式にして、通路が完成!
通路つっても合板張っただけですけどね。
まあ簡単ながら手すりもあることだし、これで落ちないでしょう。
階段がつくやいなや、真っ先に落ちそうなやつが登っていったぞ。
まあいい。
よーしこれで屋根裏部屋に荷物を運ぶのだ!
と言いたいところですが、まだまだそうもいかんのです。
ほら、意気揚々と屋根裏部屋に入っていったはずの次男が、一分も経たないうちにすごいテンション下がって戻ってきたじゃありませんか。
そうです。
長年放置されていた屋根裏部屋は、100年前の土壁から無限に出る土埃によって、「腐海に飲まれた村」みたいになっていたのです…
つづきます…