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古民家の選び方6 地域編

「古民家の選び方」、最終回は「地域編」をお送りします。
地域って古民家と何か関係あんの?
と思ったそこのあなた。
まさか地域を軽んじてませんよね?
地域って家より大事かも知れませんよ。


その辺のおしゃれな建築雑誌やインテリア雑誌では、一級建築士のキレッキレのデザインや、インテリアや、幸せいっぱいの三十代子連れの笑顔ばかりがクローズアップされがちです。
しかしそのおしゃれな家のすぐ周りには、たくさんの生き物がいることを忘れてはいけません。
そう、
すなわち、近所のおっさんとおばはんの存在です。
彼らを抜きにして「家」は語れません。


家づくり雑誌ではほぼ触れられることのない近所のおっさんとおばはん。
常に周りをうろうろしているにも関わらず、雑誌の写真には決して写り込まない近所のおっさんとおばはん。
しかし新居の引き渡しが済み、憧れの新生活が始まったと同時に、外からめっちゃ覗き込んでくる近所のおっさんとおばはん。
彼らの生態は地域によって全く違います。
うちなんかあれですよ、すごいですよ。
引き渡しが済んだ初日に、知らんおじいちゃんが家の中にいましたからね。
敷地内ちゃいますよ。「家の中」ですよ。
そのおじいちゃんは家の中をじっくり見回した後、完全にフリーズした僕の顔を見て、開口一番言いました。
「こりゃ工事大変やでェ…」(原文ママ)


僕の住む地域は、「外」と「中」がゆるふわでつながった、時代で言うと昭和初期クラスの感覚が続いている地域です。
みなさん、玄関、あんまり鍵かけません。
人が入ってきます。
泥棒も入ってきます。
泥棒は、お歳暮のビールとか、魚とかを盗っていくそうです。
「腹立つわぁ」とか言いながらそれでも鍵をかけません。それ絶対知ってるやつやろと思いながら僕は相槌を打ちます。
野犬もいます。
個人情報がダダ漏れで、道ですれ違った全然知らん人がなぜか僕の職業を知ってます。
そしてなぜかその場で大量の野菜をくれます。
近所のおばあちゃんが息を切らしてドアを叩くのでびっくりして表に出ていくと「あんた、車の電気ついてるで!!」と教えてくれたこともありました。
つまりそういう地域です。
最初はノーリードでまっすぐこっちに走ってくる野犬に衝撃を受けましたが、今では僕も地域に多少は馴染みました。
道ですれ違った全然知らん人に「もう家できたんか?」って声をかけられたくらいじゃ動じません。
自転車を停めてまで家の中を覗いてくるジジイと目が合っても負けません。
つまり、個々のセキュリティが甘いのは、このように地域社会が機能してるからなんですね。
村の人たちは全員顔見知りなので、知らん人が歩いてたら目立ちます。余所から来てわざわざ古民家に住んだ僕なんか超目立ってたんだと思います。金髪のロシア人が近所に引っ越してきたみたいなレベルです。
だから中を覗いてくるジジイも悪気はないんです。
めっちゃ興味があるだけなんです。
まあそれはいいとして。
地域社会が機能しているので、中も外も自然につながってるし、通りに面して縁側を持つ古民家もそういう造りになっているのです。
それが昔ながらの日本の風景なんですね。
この村は古民家暮らしに相応しい、いい地域です。
僕のような性格の人にぴったりの、ほんと、いいところだと思います。


僕はこの村に来る前、数年間を某都市部で過ごしていました。
都会のボロマンション住まいです。
そこは都会だったので、住人同士の会話など無く、店に行ってもマニュアルリピート再生ボイスみたいな接客で、基本的に誰もが「我関せず」というスタイルでした。
もちろんそういう方が好きだという人もたくさんいるでしょう。
プライバシーが守られて気楽だと。
でも僕には全然合わなかったので、毎日が苦痛でした。
嫁にも「毎日文句言ってる」と愚痴られたものです。
ところがこの村にやって来てからというもの、明らかに笑顔が増えました。
毎日ネタだらけなので、毎日嫁と「本日のおもろい話」になります。
ちなみに去年の夏のベストはこれ。

スイカ

朝、土間の戸を開けるとスイカが落ちてました。
土間とは言え、家の中です。
スイカが。
土間に。
その後、どうやら近所のおっちゃんがスイカをボウリングみたいに転がして家に放り込んでくれたことが判明したんですが、僕はあの戸を開けた時の衝撃を今でも忘れることができません。
ちなみにスイカはスタッフがおいしく頂きました。


たとえば「夫婦間でもプライバシーを尊重したいんです」みたいな人がうちの村に引っ越してきたら、夫婦どころか知らんおっさんが夫婦の間に入ってくるのでたぶん心の病気になると思います。でも僕みたいな人間は逆に心の病気が治るくらいハッピーな毎日です。
相性ってのはこれくらい個人差があるんですが、そんな話はどの雑誌にも載ってないし、誰も正解を教えてくれません。
自分で触れて、感じるしかないです。
物件探しの際、つい家にばかり注目しがちですが、その辺を散歩して、歩いてるおっさんおばはんに挨拶してみるといいと思います。
できれば少し話し込んで、その地域の風習やら、考え方やら、聞いてもない近所の悪口を聞かされつつ。
地域性、とっても重要なファクターです。

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