古民家と地震の話 2024年版 vol.2
はい、後編です。
前編および必読の特集記事はぜひ読んどいてください。
さて本題……
に入る前に、前回投稿してから二つの出来事があったので先にそれを紹介させてください。
まず一つ目は、インスタの方でとても貴重な地震の体験談を頂いたことです。
転載許可をお願いしてみたんですが間に合わなかったので、僕の方で話を要約してご紹介しますと、2011年東北で被災された方から、前回のブログ内容にとても共感したというお声が届いたのでした。
その方は、新築も古民家も地区ごと全部津波で流されてしまったそうで、「逃げてこそ防災」だと仰ってました。
いつどんな地震がどのように襲ってくるか分からない。
だからとにかく「逃げる」ということを中心に考えないといけない。
被災経験のある方からの金言、皆さんもしっかり心に留めておいてください。
もう一つは、こないだ能登半島地震のどなたかの体験談がTwitterでバズったのご存じですか?
「倒れてる家、マジでほぼ全部古民家」ってやつ。
「被災地を見てると憧れだけで古民家に住むのはよくないなとしみじみ思う」ってやつ。
これまでいろんな体験談や専門家の話を聞いてた僕はそれ見て「いやそんなことは無いやろ」と反射的に思ったんですが、でもその人はきっと嘘はついてないし、実際そういう光景を見てるわけだし…
つまりどういうことなんだってばよ…
とモヤモヤ考えてて、あっ、と気付いたんですよ。
たぶんこれじゃないか?
と思ってポストした内容が下記になります。
ようするに、1951年から建てられ始めた、瓦屋根で、土壁で、めちゃくちゃ古民家に似てるけど実は在来工法の「古家」が倒壊してたんじゃないのか?
と。
特集記事でも詳しく書いてるように、僕は1951年~1980年の日本家屋はこの国の中でもっとも危険な建物だと思ってます。
でもそれってぱっと見は古民家なんですよね。
たぶん普通の人なら区別は付かないと思います。
でもよく見ると基礎があって、建て方も免震性のある伝統構法ではなく「耐震」の方の「在来工法」になってる。
伝統構法から在来工法に変わったのが1951年。そこから「あ、やっぱこれ危ないわ」と思った国がもっと厳しい耐震基準を定めたのが1981年なんで、その間の30年というのがデンジャラスゾーンなわけです。
その時代はまだサイディングもカラーベストもそんなに普及してなかったので、「見た目は古民家」な家がたくさん建ったんですよね。
だからそっちと勘違いしてんじゃないの?と。
いや、実際のところは分かんないですよ。
ほんとにガチの古民家も一緒に潰れてたかも知れないし。
でも少なくとも「古民家ばっかり潰れてた」ってツイートしたその人が「工法の違い」まで確認してたかというと、まずその可能性は薄いと思うので、とりあえずそのツイートの内容は正確ではないと僕は考えます。
でね、仮に「古民家を含む古い家ばっか潰れてた」としたら、その原因は何なのか?
と考えていくと、それはもう様々な理由が考えられます。
一つはツイートにも書いたようにメンテナンスの有無。古民家だろうが在来だろうが雨漏り放置してたりシロアリわいてたり湿気で柱が腐ってたりしたらアウト。
次に無理な増改築。
長男が家を継いだけど嫁が同居は嫌だと言うので親が渋々金を出して洋風の家をドッキングしたり、今風の広々LDKにしたいからと邪魔な柱を抜いたり、あるいはおじいちゃんの部屋が欲しいからと平屋の上に屋根裏部屋をつくったり(うちの話や)、あるいは土地を分筆して一部を売りたいからとその上に建ってる長屋を半分に切ったり、そういう建物の剛性とバランスがめちゃくちゃになってる系。
という具合に考えてみると、そりゃ「築浅は倒れてなかった」になるわけです。
築浅は築浅というだけでそういうリスクが少ないからね。
そう、クロニカさんは何も今の家が弱いって言いたいんじゃないのよ。
今の家は強いに決まってる。
耐震等級3の家が地震に耐えられるかどうかは知らんが(これまじ)、少なくとも腐朽や無理な増改築の心配は無いので、より安心できるのは間違いない。
ただ!
「古民家は危険」ってのは違うぞと!
僕は何度でも声を大にして言い続けよう!
ってアジテーションする人ってちょっとやばいですよね。
分かります。
こういう何かの主義主張を大声で言う人には関わるなってうちの死んだばっちゃも言ってました。
僕も正直、自分が研究してるわけでも、目で見て体験したわけでもない話を、こんなに大声で言い続けていいのかなって、1ヶ月に3秒くらいは思います。
でも聞いて。
これも偶然なんですけど、ついこの間、石川県の工務店「クロダハウス」の社長さんにインタビューさせて頂いたんですよ。
被災真っ最中のこんなタイミングでインタビューなんか大丈夫なのかと思いましたけど、ご快諾頂いたので遠慮なくいろんなことをお伺いしたんですが、もちろん僕、地震のことを聞きましたよ。
古民家がたくさん潰れてるって話を耳にしてるんですけど、実際はどうなんですか?
と。
そしたらね、
「古民家だけがダメなんじゃなくて、去年建てた家でも倒れてますからね」
「耐震補強してもダメだったっていう家も結構あります」
「昨日も七尾市に行ってましたけど、ほんとに築30~40年くらいの旧耐震の家は全然ダメですね。それを古民家って言ってるんじゃないかと思う」
とのことでした!!
ほら!!!
おんなじやん!!おんなじこと言うてはるやん!!!
という。
はーすっきり。
こんな証言、テレビでは流れませんよね。ここ読んでる皆さんまじラッキーちゃんですよ。ほんとに。
このインタビュー記事は来月前半にアップされると思いますので、ぜひ皆さん全部読んでみてくださいね。
まー、疑問も異論もあると思いますけど、でもさー、能登半島地震の二週間後にさー、現地のプロの工務店社長さんが言ってることをさー、信用しなくてどうすんのと。
思いますよね。
てことで地震の件については今回の能登地震でもやっぱり僕の結論は変わらないな、と思っておりますよ。
以上、ここまで読んで頂いた読者の方々はとっくにお気づきでしょうが、今回語ると言ってた僕の自宅の耐震補強の話はどう考えても入る余地がないため、次の機会に持ち越しとさせて頂きます。
ほんますいません。
地震のこと書くとクッソ長くなるし冗談も言えないしで、これがもし2回目のデートなら確実にLINEが未読になってそのままフラれると思いますが、皆さんにはフラれることはないと僕は信じていますので、3回目も懲りずにデートして…じゃなくて、ぜひお読み頂き、既読をつけて頂ければと思います。
つづく。