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古民家と地震の話 2024年版 vol.3

はい、後編の後編です。
これまでの記事と、基礎的な知識はこちら。

これまでは今回の能登半島地震を受けて、改めて古民家の構造や、分類、いくつかの体験談をご紹介してきましたが、それらを全部ふまえて、じゃあお前は実際どーすんだ、というところを説明していこうかなと思います。

が!
その前にまたまたインスタフォロワーの方から貴重な現地レポが届きましたので冒頭でご紹介させて頂きます。
なんでもその方は地震発生から5日後に輪島市と七尾市に行かれたそうですが、ざっと見た感想が「布基礎がいっぱい壊れてる」という感じだったそうです。
そして地域的に海沿いの塩害対策としてサイディングではなく板張りの家が多く、そういった建物がたくさん潰れているということで「古民家が潰れてる!」となったんじゃないか、ということでした。
さらに現地は地割れが起きているところも多く、そうなるとベタ基礎でも倒壊していたそうです。
いやあ、ほんとに貴重かつ重要な情報、感謝いたします。
その方も仰ってましたが、やっぱ基本は「逃げる」でいいと思います。

さてそれを受けて今回の話。
まずうちは、全国古民家再生協会さんが実施してる「伝統耐震診断」を受けています。これは免震構造を持つ古民家の強さを計算に入れた、古民家にふさわしい耐震診断です。
普通のその辺でやってるような耐震診断は伝統構法ではなく在来工法用なので、基礎の無い古民家がその辺の耐震診断を受けるとまず0点、超危険です、今すぐ倒壊します離れてぇぇぇぇ!!!みたいな結果が出るんですが、この伝統耐震診断はそこに免震の強さも加味してくれるので、少なくとも耐震しか見ない一般のものよりは信憑性は高いのではないかと思い、僕もやってもらいました。
その時の様子はYouTubeで公開しております。

で、その診断結果がこちら。

伝統耐震診断を受けると、このようにしっかりした報告書が送られてきます。
測定結果によると、我が家は「補強対策が必要」とのこと。動画の通り、まあまあ大丈夫っぽいんですが、短辺方向が弱いということで、そこを補強する必要がある。
で、
その結果をうけて僕は、
何もしませんでした。
だっふんだ。
いや、やれよと。
おまえここまで耐震耐震言うてきて何やっとんねんと。
そんなお怒りの声が届きそうですが、でもさーーーー。お金かかんじゃーーーん。いつ来るか分かんないのにさーーーー。
それより目の前のAmazonの買い物にお金使いたいじゃーーーーーん。
という、被災してから泣きを見るやつの典型的な思考パターンに陥っていた僕は、耐震工事のことなどサクッと忘れてAmazonでマンガや家電製品などのショッピングを楽しんでおりました。
と、
そういうところへ今回の地震。
さっと真顔になるぼく。
そして慌てて引っ張り出してきた診断結果。
おい、耐震補強いるって書いてるやんけ。
「するか……耐震補強……」

ということで具体的なプランを考えたんですが、実はYouTube撮影時に、出演されている鶴谷さん(耐震関係のえらいひと)にあれこれ聞いて、どうしたらいいかを教えてもらってたんですね。
うちの場合、もう既にリノベしちゃってるので、目に見える部分の構造を変えることは難しい。
それはつまり、壁を増やしたり、制震ダンパーを入れたりといった工事です。
まあできないこともないけど、金かかるし、ダルい。
ので却下。
まあ僕も元々、古民家の良さをスポイルしてしまう壁を増やすつもりは無かったのでべつにいいんですが、じゃあ他にどんな方法があるんですかと訊くと、水平剛性を高めればよろしいと。
うん、分からん。
で、さらに詳しく教えてもらったところ、つまり柱とかじゃなく、水平の固さってことなんですね。一階の床の平面としての固さ。二階があれば二階の床面の水平の歪まなさ。
うちの場合は平屋なので、具体的には根がらみと小屋裏に火打梁を入れるといいよと。
うん、分からん。
で、さらにさらに詳しく教えてもらったところ、つまりこういうことだ!!

はい。
まったく俺の画力には驚かされるぜ。
てことで赤い部分のうち小屋裏(屋根の下)のやつが「火打梁」、下の土台のやつが「根がらみ」ってやつです。
ようするに、水平がグニャグニャしないように、つっかえ棒を入れたり、お互いをガッチリつなげたりするってことですね。
基本的に古民家は複雑な木組みで家を支え、それらがグニャグニャすることで地震のエネルギーをごまかしているので、あんまり固めない方がいいんですが、なんか壁はやっぱりあった方がいいらしいし、水平も固めた方がいいらしいんですよね。
この辺のことについては超専門的な世界なので僕もヘタに適当なこと言えませんが、なんせ水平は固めましょうというお話になったのでした。
で、これだと僕らの生活空間に関係ないじゃないですか。
大工さんがクソ暑い屋根裏部屋で汗まみれになって作業したり、クソ狭くカビ臭い床下を這いずり回って作業してる間、僕らは優雅にアフタヌーンティーを楽しめるじゃないですか。
よっしこれでいこう!!
決まり!!
となって早速大工さんにこの絵を見せてみたところ、人は心の底から嫌な気持ちになるとこんな顔をするんだ……というような顔をされたんですが、近々この工事を実施する予定なので、その時はまた詳しくレポしますね。
てか今回は絶対に工事手伝わんからな!!
絶対にだ!!!

ということで全3回となってしまいました古民家と地震の話、これにて一旦完結です。
ご清聴ありがとうございました。

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