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古民家リノベーション体験談54 脱衣所とクレーム

【前回までのあらすじ】天井に無限に吸い込まれていく湿気


古民家再生情報を求めていらっしゃる読者様の期待を常に裏切り続けている新築シリーズ、今回は「脱衣所」とそれにまつわるお話です。
は?
脱衣所は完成したんじゃないの?
まだ何かあるの?
とお思いの方、「古民家リノベーション体験談49 窓とドアとインテリア」を読み返してみてください。
僕は脱衣所について、完成写真は掲載しましたが、そこに至るまでの道のりを全く書いておりません。
こんなスローな進行ですみません。
これでも飛ばしてるつもりなんです。
ましてやこれは新築の話なので、カットしまくって、端折って、できるだけ本編の古民家再生を早く話そうと思っているんですが、それでもこのペースになってしまうのです。
書きたいことが山ほどあるんです。
よく「新築は決めなきゃいけないことが1000個ある」と言われますが、なんかそれって小学生の「おれのほうが10000倍つよいわ!!」みたいなざっくりした数値でピンとこないですよね。
僕の体験を言いますと、
正直3000個くらいありました。
だっふんだ。
だからほんとに喋ることなんかいくらでもあるんですよ。
たとえば以前にアップした脱衣所の写真。
たとえばこの、ここの部分!

窓枠

上げ下げ窓にふさわしい、いい感じの窓枠!
これどこで手に入るか知ってますか??
僕知らなかったですよ!
大工さんも知りませんよ!
届いた海外の上げ下げ窓を目の前にして、二人で首を傾げましたよ!
洋館風インテリアの飲食店とか、ガチの洋館とかでよく目にする、いい感じの凸凹がついた太い窓枠。言うときますけどGoogleで「窓枠 洋館 いい感じ」とか入れてもヒットしませんからね。
もちろんちょっと心得のある工務店さんとか設計事務所さんなら普通に知ってますが、地元の工務店さんが運良くそのタイプだとは限りません。
そういう部分を一つ一つ数えていくと、トータル3000個くらいあったと思います。脱衣所だけなら190個くらいです。
ほんと大変だったんです。

さて本題に入りますと。
先ほどの写真、一見すると普通の洋館みたいな内装ですが、ここでまた親方とモメました。
最終的に「どうなっても知らんぞ」とまで言われたんですが、一体どこにそんなモメる要素があったのか?
分かんないですよね。
だって普通に生きてて誰かに「どうなっても知らんぞ」って真顔で言われるシーンなんかあります?
そんなセリフ、ハリウッドアクション映画の後半付近でしか聞いたことないですよ。
親方、一体どこにそこまで引っかかったのか?
その答えはこちら!

脱衣所のモメ部分

あのねー、なんかねー、木製のドアと木製の框がねー、NGだったみたい。
腐るぞ、と言うんです。
腐るし、その前に反るぞと。
ドアも框も木を使うのはやめとけと全力で言われました。
でもさ。
以前書いたように僕はわざわざ木製ドアを使える風呂を選んだわけで、そこは絶対に譲れません。風呂のドアを自由にデザインしたいんです。
でも、親方だけじゃなく周りの職人さんにも反対されて、僕はショボーンとなりました。
そうか…これはダメなのか…
しょぼーん……
などと落ち込むタイプの人間ではないので、じゃあ、なんでダメなのか? をきちんと考えてみたのです。
そしたら、え、べつに良くない???ってことに気付きました。
だってさ、
反ったり腐ったりしたら、また作ればよくない?
これはもう無理だと思うほど反ったり、腐ったりするのって何年後よ?
風呂のドアは家具デザインをやってる友達に作ってもらいましたが、確か制作費は5万円くらいだったはず。
んじゃ仮に10年後ダメになったとして、10年後にまた5万円かかる、だからやめましょう、アルミにしましょう、っていう理屈はおかしくない?
5万払って10年もったら充分じゃない?
みんなiPhoneとか10万払ってるのに普通に2~3年で買い替えてない?
え、これなんなん?

こういう言い回しというか、理屈は、親方だけじゃなく住宅業界全般に言えることだと思います。
さらに、ではなぜこの種のなんかヘンな理屈がはびこっているのかと考えていくと、一つ思い当たるところがありました。
それは施主からのクレームです。

クレーム産業と呼ばれる住宅建設業界。一人の人間が、人生をかけた買い物をするわけです。
スーパーで無料で配ってる氷に対して「氷が小さすぎてすぐ溶けて困っています、もっと消費者のことを考えて欲しい」みたいに即クレームが付くこのご時世、そんな人が数千万円の買い物をした日にゃあ……えらいことになるに決まってます。
そう。
この現代のクレーム発生率が、工務店さんの抱える大問題となり、結果として施主が「1000%大丈夫な選択肢」しか選ばせてもらえない、今のこの現状になっているわけですね。
だってよく考えてみれば昭和の時代くらいまで普通に風呂は木製戸でしたからね。
絶対ダメなんてことは無いんです。
でも現代になって反ったとか割れたとかが光の速さでクレームになるので、禁止せざるを得ない。 つまりクレーム気質の施主が自分で自分の首を絞めてるんですよ。
現代の工務店が木製ドアなんか選ばせるわけないっすよ。
施主が100人いたとして、そのうち99人が普通でも、たった1人が「お風呂のドアが腐りました。驚きを通り越して呆れています。迷いましたが今後被害者を増やさないため施工業者の実名公開に踏み切りました』みたいなツイートをされた瞬間もうアウトなわけです。
だから最初から選ばせませんよと。
建売住宅や大手さんの家なんか絶対そういうところは完璧にしてます。リスクは事前に潰しまくってますよ。
僕が工務店の社長ならそうします。
当然です。

なのでこれはもう誰が悪いとか言ってもしょうがないんですが、この問題については、施主が自分で正しい知識をもって、正しく判断して、ちゃんと工務店に説明すれば、クリアできる話です。
僕は親方に「どうなっても知らんぞ」と言われて「どうなってもええよべつに」と答えました。
すると親方は普通に木製ドアを付けてくれました。
工務店さんは基本的にそういう倫理で動きます。提案にも当然そういう側面が含まれます。
もちろんクレーム回避ではなく本当に親切心から「やめといた方がいいですよ」と言ってくれてる場合も多々ありますが、もし自分がどうしてもやりたいことがあって、それに反対されてしまったら、諦める前に一度本当にダメなのか、なぜダメなのかを考えてみると良いと思います。
ちなみに框はビビってプラスチックにしたんですが、見た目と、脅しに屈した当時の自分が激しくダサいので、いつか剥がす予定です。

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