クロニカについて
はじめまして。クロニカ代表の大原と申します。
このサイトは古民家を店舗ではなく自宅として再生、活用していこうとされる方々のための情報サイトです。
かくいう僕もその一人で、自宅として古民家を購入し、数年かけて再生しました。
その際にものっすごい苦労したのが情報の少なさです。店舗利用ならいろいろなケースがあるんですが、住居とする場合の古民家をどう選べばいいか、どこまでをどう直せばいいか、誰に頼めばいいか、右も左も分からないまま完全に手探りでスタートしました。
苦労しただけあって、現在ではとても満足のいく古民家ライフを送っているんですが、そのノウハウや体験を一人で黙って抱えてるだけじゃもったいないと思い、このサイトを立ち上げた次第です。
元々、古民家に住むつもりはありませんでした。新築しようと思って土地を探していたんです。それがなぜ古民家を選ぶに至ったのか。
古民家は普通に好きでしたが、住もうと思うほど大好きというわけでもありませんでした。
でも現代日本の至るところで建てられてる一般的な家、あれがどうしても最高の選択肢だとは思えなかった。
数千万の借金をこさえて、一生をあれのために働くということがうまくイメージできませんでした。
そうしてモヤモヤしたままモデルハウスを巡っていた時に、突如「古民家」という選択肢が閃きました。その辺りのことはここに書いていますが、その後、本腰を入れて古民家について調べ始めた僕は早々に最初の壁にぶちあたります。
物件がないんです。
古民家はあちこちにある。でも売り物件が見つからない。
なぜか。
理由は色々ありますが、基本的に、潰されるんです。
日本では、古い家には価値がないんです。
一方、西洋では古い家ほど価格が上がりますよね。
余談ですが100年以上前は日本もそうだったんですよ。
実際に僕が購入した築90年の家も、聞いたところによると90年前の時点で古くから建っていた家を買って、それをわざわざ移築したそうな。昔は日本でも古い家ほど良いとされていたからです。
だからうちも材自体は90年どころかもっと古いはずですが、僕がお世話になっている親方曰く、木は100年以上経ってから強度が増してくると。なるほど理にかなってるわけです。
ん?
じゃあよく言われる「家の寿命」って何やねんと。25年で建て替え?
え、なんで?
家のことを調べれば調べるほど、現在の新築住宅にまつわる状況がいびつなものに思えてきました。
なぜ古民家が住み継がれないのか。
なぜ新築が建ち続けるのか。
この国の大多数の家は、いわば大量生産される「商品」です。
商品である以上、あの手この手でそれを販売しようとする広告が入りますが、僕は広告・制作業界の人間なので、広告に踊らされる危険性をよーーーく知っています。
でも建築に関しては素人なので、踊らされるしかありません。
広告の嵐の中に混ざっている、良心的なメーカーや設計事務所や工務店を見抜く力がないんです。
じゃあいっそ「商品」になる前の住宅を買えばいいのでは…?
そんないきさつで、自宅の選択としては消去法的に古民家に決定したわけです。
ところが、プランを進めていくうちに、徐々に古民家が持つポテンシャルの高さが見えてきました。伝統工法がもたらす空間の美しさ。木と石の自然そのままのマテリアル。心が休まる空気感。「耐震性ゼロ」という大きな誤解。作られた商品ではなく、生きた家であるという実感。ついでに税金の安さ。笑
何これ、めっちゃええんちゃうん?
気付けば古民家という選択肢しか考えられなくなっていました。
当サイトの名前「クロニカ」は、ラテン語で「年代記」を意味します。
何世代にもわたって人々に住み継がれていく古民家。
ところが現代の日本では、その伝統建築に住むためのハードルが高い。最初の「物件が見つからない」という壁。その次にくる「住めるどうか判断できない」という壁。さらに次の「直し方」の壁…クロニカはそんな部分の情報を提供し、お手伝いできればと思います。
今では二度と建てられない貴重な古民家を、この国に一軒でも多く残すことができれば。そして僕と同じように古民家生活を楽しむ人が一人でも多く増えてくれれば。
それが当サイトの願いです。