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「古民家リノベーションしたら新築くらいかかる」というのは本当か

キッチンから座敷

はい。
今回は人に「古民家リノベして住んでるんです」って言うと「いいわねぇ~」ってリアクションされたあと78%の確率で言われる「……でも、新築くらいお金かかったんじゃない?」という定番のセリフに対して、クロニカとして一度ここでビシッとお答えしようと思います。
いやこれほんとよく聞かれるんですよ。
ただ聞かれるだけならいいんですが、その言葉にはだいたい「かわいそうに…」みたいなニュアンスがね、ごくごくわずかに、ミートソースパスタのパセリくらいほんの少し振りかかってるわけです。
今、僕はそんな古民家買った人を哀れみたい方々に大声で答えよう。
新築くらいかかったわ!!!!
どうだオラ!!!!
これで満足かコラ!!!!!

とまあ怒ったふりをしてみましたが、べつに僕は怒ってません。キレてないっす。全然キレてないっすよ。
むしろ「新築くらいかかってかわいそう」って思ってる人がマジでかわいそう。
そんなことを言うと、いや、実際新築くらいかかったくせに強がってるんじゃねーよ、と思われるかも知れませんが、説明します。
実はこの「古民家リノベーションしたら新築くらいかかる」という言葉には一つだけ重要な齟齬があるのです。
それは何かと言うと。
「リノベーションした古民家」と「新築」は、同じ建物ではないということだ!!!
意味分かりますか皆さん!
そんなん当たり前やんけと思うじゃないですか!
でも違うんです!
「古民家リノベしたら新築くらいかかるのか」と人が言う時にその人の頭の中ではなぜかリノベされた古民家と新築が同じ建物みたいにイメージされてるんですよ!
そしてそれを「中古品」と「新品」みたいに簡単にカテゴライズしちゃってるんですよ!!
つまりそういう人たちの頭では「中古のiPhoneを買ってすごいお金かけて直したけど結局新品のiPhoneが買えるくらいお金かかったマヌケなやつ」みたいに思われてるんです!!
で、
それと同じ話なわけないやろ…っていうね。
まあ家をiPhoneみたいに思ってる時点でその人が家のことを何も知らないのは確定してると思うので、そういう人たちの声はオール無視でいいと思いますよ。
古民家ったって色々あるし、
新築ったって色々ありますよね。
古民家も崩壊しかけの小屋みたいなやつから大地主が手放した嘘みたいな豪邸まであるし。新築も売れずに値段が下がり続けてる建売狭小住宅からHMの1億越えのフル仕様モデルハウスまであるわけです。
あんたら、何をもって「古民家」やら「新築」やら言ってんのと。
うちの家をちゃんと見たんかと。
見てないよね。
うちがどんな家か知らないのに「古民家=中古品」みたいなざっくりすぎるカテゴリーに放り込んで「新築=新品=どんなものでも素晴らしいもの」と比べてはるよねと。
たとえばうちがアホみたいに豪邸だったとして、「新築」というのが平均的な注文住宅だったとしたら、同じお金で平均的な注文住宅を買うかわりにアホみたいな豪邸に住めてることになるんだがそれはいいのか!?
というね。
んで実際その通りですから。
僕、注文住宅建てるくらいの金額でアホみたいな豪邸に住んでますから。

てことで、今から古民家を検討しようとしている皆さんは、そんな方々の意見は聞かなくてもいいですよ。
そういう方々に限って声大きいですけどね。
ぐいぐい言ってきますけど。
でも経験上、ぐいぐい言ってくる圧力の強さと、家についての知識量は、まったく比例しません。
むしろ反比例してるかも。

ついでに言っておくと、他の場面で使われる「新築」にも結構な幅があるなあ、と感じることがあります。
たとえば「移築」。
最近YouTubeで古民家の移築の話をよくさせて頂いてまして、反響もたくさんあるんですが、その中で「新築と同じくらいでできる」みたいな言い方をね、便宜上分かりやすいので使ってますが、その時の「新築」もやっぱり、同じグレードのものを指してはいません。
移築は乱暴な言い方ですが坪単価50万とか60万ではできないので、でっかい古民家をそのまま移築するというよりは減築してコンパクトにするケースが多いんじゃないかと思います。
かたや僕がお世話になった工務店さんの新築の平均は50万~60万くらいですし、この辺は土地も安いので、その工務店さんに「新築」を頼んだら同じ予算でなかなか立派な家が建つと思います。
でも移築の方は今では手に入らない立派な梁、味のある柱、瓦葺き、凝った細工の木製建具など本当にそのまま古民家の味わいを楽しめて50年でも100年でも住める家で、かたや2,000万円の新築は合板やらビニールクロスやら新建材バリバリで30年で劣化してボロっちくなる家だったりするんですよね。
だから、
新築とか、坪単価とか、他のものとの比較なんて意味ないっすよ。
全部雑音ですわ。

あと一点。
これまで書いてきたように、新築やら中古やらという概念は捨てた方がいいんですが、ついでに「グレード」という概念も捨てた方がいいです。
グレードよかったら良い家なのかといったら、べつにそうでもないですからね。
グレードとか関係なく、自分に合ってる家が一番ですよ。
そういう意味では、生活しながら自分に合ってる形にしていきやすい古民家に軍配が上がります。
古民家は木と土と石でできています。
だから触れるんです。
形を変えられるんですね。
これは一番最初に形を決めたらそこからなかなか変えられない「新築」と全然違うところです。
まあ他にも数え切れないほどたくさんの違いがありますが、そういうのは僕のように新築と古民家の両方に実際に住んでみないと分からないかも知れません。
なので皆さんはぜひ中古とか新品とかグレードとかに惑わされず、僕みたいに「実際に住んでる人」からの意見を重視して、悩んで頂ければと思います。

以上、今回は古民家リノベーションしたら新築くらいかかるのかどうか? という疑問におけるクロニカのアンサーでした。
おわり。

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