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古民家と新築をカメラに置き換えて説明してみる

今回はタイトルの通り、古民家と新築について喋ってみようと思います。
が、いつものようにそのまんま語るのではなく、何か別のものに置き換えるとさらに分かりやすいんじゃないかなと思ったので、今回は家をカメラに置き換えて説明するという試みです。
いやべつにカメラじゃなくてもいいんですよ。ステレオとか電車とか調理器具とかゲーム機とか何でもいいんですけど、手元にサンプルがすぐ用意できるのがカメラなんです。
ちなみに今回は話の構成上どうしても「中年の腹の出たおっさんが嬉しそうにカメラの詳しい話を長々と語る」という展開になるので、途中気分の悪くなった方は我慢せず手を挙げて速やかに退出してくださいね。

X-T4

さてこちら。今僕が使ってるカメラです。
2020年発売のFujifilmの最新機種、X-T4。
価格をぐぐってもらえれば分かりますが普通の人ならドン引きするお値段の、「最新型のええカメラ」です。
僕はYouTubeも写真もこいつで撮ってるんですが、最新型なのでもちろん機能がアホみたいに付いてます。
こいつの機能はざっとこんな感じ。
あ、興味無い人はこの部分を「機能いっぱい!」という日本語に置き換えて読み飛ばしてください。

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有効画素数2610万画素。
撮影感度は最大ISO51200。
測光方式はTTL256分割測光 マルチ/スポット/アベレージ/中央重点。
ボディ内手ぶれ補正はセンサーシフト方式5軸補正。
連写速度は1秒間に約30コマ。
フォーカスはインテリジェントハイブリッドAF。
AFフレーム選択はシングルポイントAF、ゾーンAF、ワイド/トラッキングAF、オールの4種。
背面液晶は3.0方バリアングル式タッチパネルTFTカラー液晶モニター。
動画記録方式はMOV/MP4、4Kでのlog撮影も可能。
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はい。
ここで読者様の実に9割の方が早くも退出されたかと思いますが、気にせずに続けますと、とにかくたくさんの便利な機能がついた良いカメラなんですね。
オートフォーカス(ピントを自動で合わせる機能)はまあまあ速いし、迷うこともそんなに無いし、露出制御(写真の明るさを決める機能)も簡単だし、何よりフィルムシミュレーション(インスタのフィルタみたいなやつ)が素晴らしい。
フィルムシミュレーションとはその名の通り、往年のFujifilmのいろんなフィルムの色合いを、デジタルで再現するという機能。
これがすごい。
こいつで撮った写真や動画には、フィルム写真のようなえもいわれぬムードがあり、色気があります。
写真歴20年の僕でも大満足する、買ってよかった~と思えるカメラです。

でね、
皆さんもうお気づきの通り、これは壮大な前フリですね。
「最新機種がすごい」みたいな情報だったらYouTubeや価格コム行けばいいんで。
そうじゃねえんだよ。このブログはよ。
僕が本当に愛してやまないのは、日常や、旅先の風景や、子供たちを撮るのは、このカメラなんだぜ!!

二眼レフ

こういうの見たことあります?
街ではよく昭和のアンティークな雰囲気の喫茶店なんかに、アンティークな雰囲気を出すために飾られてたりしますけど。
「えっ、こんな古いカメラ、使えるの?」
と思った皆さん!!
それこそまさに古民家を見た人が「えっ、こんな古い家、住めるの?」って思うのと同じやつや!!!
そうです。
使えるんです。
これ1954年製なんでざっくり70年くらい前の機種ですけど。
使えるどころかさっきの最新機種よりもいい絵が撮れるからこっち使ってるんです。
論より証拠。実際に撮った写真見てみてください。

二眼レフの作例

二眼レフの作例
二眼レフの作例

いかがでしょうか。
ちなみにこの70年前のカメラ、さっき挙げたいろんな機能がいっこも無いです。
ていうか電池入れるとこないからね。
電気通ってないから。
歯車とネジだけの機械のハコですから。
全部手動ですから。
でも自分がちょっと勉強したら普通に使えるし、撮った写真は最新カメラでは味わえない唯一無二のムードがあります。
Fujifilmが売りにしてる素晴らしい機能「フィルムシミュレーション」もついてないですけど、これ、その機能の元ネタであるフィルムそのものですからね。
「フィルム風」と「本物のフィルム」、どっちが雰囲気あるかというと、言うまでもないですね。

というように、「新しい」=「最高」ではないし、「多機能」=「いいもの」でもないわけですよ。
これとまったく同じことが、住宅でも言えるわけです。

思うに、「家」に何を求めるかでしょうね。
とにかく寝られればそれでいい、会社に近ければそれでいい、という人は駅近マンション。
「住まい」というものを大切にしたい、家でずっと快適に過ごしたい、という人は古民家。みたいな。
カメラも仕事で効率重視するとどうしてもデジタルの最新機種という選択肢になりますが、やっぱり撮影そのものを楽しみたい時は、不便なアナログのカメラの方が、情緒豊かな、味わい深い撮影が楽しめます。
道具やプロダクトはそういう観点で選んだ方がいいと思うんですよね。
でもなんか世間では「新しい」=「良い」という固定観念が先行している気がします。
僕の中では「新しい」=「新しい」くらいにしか思ってません。
良いとか悪いとかじゃなくてそういうジャンルってだけです。
なので「新しいもの」と「古いもの」、それを同じテーブルの上に並べて、自分の好きな組み合わせを選ぶことができれば、住まいもカメラも自分に本当に相応しいものが手に入るんじゃないかなと思いますよ。

カメラも家もそうですけど、効率と味わいは反比例するというのが僕の感覚です。
バッキバキに断熱してエアコン一台で全館暖房できる家は、光熱費が安くなる代わりに、お風呂の気持ちよさが減る気がします。
駅徒歩1分の物件は、通勤時間が減る代わりに、思い出も減ると思います。
でもこれはどっちが良いとか悪いとかじゃないです。
TPOに合わせて選んで「どっちもいいよね」っていうのが最強じゃないですか?
一番ダサいのは「俺は洋楽しか聴かないから」みたいなやつじゃないですか?
何の話や。
とにかく僕は古民家という最高に効率の悪い家に住み続け、家族の思い出をたくさん作り、日々暮らしを味わって生活しています。
それと同時に新築の離れで、効率の良さをも享受しています。
新しいものも素敵やん。古いものも素敵やん。みんな違って、みんなええやん。
そんな両者のええとこ取りしたら最強やん。
というのが、新築と古民家を往復して暮らす僕の変わらない実感です。

最後に余談ですが、最初に紹介したアンティークなカメラ、ほんとにしょっちゅう「おしゃれアイテム」として喫茶店やギャラリーに飾られてるんですが、実は普通に動作したり、壊れてても修理したらちゃんと使えるものも多いんですよ。
僕は「おしゃれアイテム」みたいに飾られてる、本当は使えるカメラを見るたびに、ものすごく悲しい気分になります。
これはたとえるなら「田んぼのカラス避けに使われてるビートルズの名盤」とか「ビンゴで当たったけど誰も使わないのでおばあちゃんの部屋のブックエンドになってるPS4」とかを目にした時に感じる悲しさと同じですね。
なので皆さんぜひ全国のおしゃれ空間でディスプレイされてる古いカメラを見た時は、
「それはそう使うもんじゃねえ!!」
という僕の叫びを思い出してくださいね。

おわり。

category:古民家リノベーションブログ,随筆  |  tags:,   |  2021.10.25

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