古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

ヨドコウ迎賓館に行ってきた・その3

さてこのシリーズも3回目を迎え、いよいよ佳境に入ってまいりまし……
え?
佳境に入ってない?
佳境っていうかまだ玄関からリビングにお邪魔しただけだって?
うるせえ!
じゃあそのリビングの部屋の名前が「佳境」って言うんだよ!
てことで佳境に入ったよー!!

ということでこちらが佳境に設置された小窓の拡大写真です。
どんな開閉構造になってるのか分かりませんが、ちゃんと網戸が付いてて、上にカーテンレールもありますね。いくらゴージャスでもこういうところがきっちり「住宅」って感じで素晴らしい。
真鍮の取っ手が両側に付いてるから、たぶん網戸はバコッて外れるんでしょうね。
皆さんこういう豪邸を見学したら「わ~」て思って内観を「引き」の視点で見学して終わると思いますけど、実際は良い建物ほど細部がしっかりしているので「寄り」の視点で見た方がいいです。この網戸やカーテンレールの仕様も、古民家にこういう小窓を採り入れる時の参考になるんですよ。

芦屋の金持ちの家、をさらに見下ろす高台に建つ家。
何度かブログで言ってますが、家ってのはぶっちゃけロケーションが7割。
こんな高台の土地を買った時点で勝ち確定なんですよ。
というか、こんな芦屋の高台を買える時点で勝ち確なんですよ。
てことは、芦屋の高台を買えないぼくらは負け確ってことなのか!
なんだよ畜生!!
金持ちからもっと税金とれバカやろう!!!
という主旨のブログではないので話を元に戻しますと、ロケーションって大事ですよと。
古民家にこだわって、かつロケーションにもこだわれって、なかなか無茶なこと言ってますけど、正直古民家はお金の力でどうにでもなる。でも窓の外の風景は、たとえあなたが前澤さんだったとしてもどうにもできないのですよ。
なので、これは結構難しいかも知れませんが、物件の内覧時には、建物よりも周辺の環境に意識を向け、好きなところがあるか、またはNGポイントがないかチェックしてみてくださいね。

はあ、やっと外に出れた。佳境から出ました。
これはその隣にある炊事場? なんだろう、たぶん来客用にお茶とか煎れたりする場所っぽいです。
流しがあって、蛇口があって、棚がたくさんある。
もちろんそのどれもが素晴らしく素敵なんですが、ここで注目して欲しいのは天井付近。
部屋の真ん中に棚があって、それがこんな感じで空間を仕切ってて、でも天井まではつながってなくて、天井の下で空間を分けているんです。
こんなちょっとしたところでも遊び心や工夫があるんですね。
これ壁になってたらたぶん普通の印象ですよね。
でも頭の上の空間がつながってるだけで、何か全然違った印象になる。
こういうのもいつかどっかでやりたいなあ。

流し。
この時代のシンクはだいたい銅っすね。
どういうわけか銅。
どうも昔は身近で、鉄よりも錆びにくいということから多用されたみたいですけど。
どう考えても現代のステンレスよりかわいい。
どうしたら銅製シンクが手に入るか調べてみたら、
どうも現代では作ってるところがあまりないようでしたが、それでもいくつか見つけたので、
どうぞお好きな方はオーダーメイドで銅製シンクを…
(…ダレカ…ハヤクトメテ……)

なんかもう僕が黙って何も書かず、ひたすら写真をペタペタ貼っていった方が人類のためだという気がしてきたんですが、懲りずに書きます。
炊事場からさらに階段を上がる。
この階段に落ちている光、すごく良くないですか?
これなんで良いんだと思います?
この質問に即答で答えられるようであれば、和洋折衷検定(今作った)1級合格です。
あのねー、これはねー、光源の高さなんですね。
部屋とは思えないほど高いところからの光が室内に射し込むことによって、こんな木漏れ日みたいな光が床に落ちることになるのです。
それこそが天井高い好きな西洋の美意識。
写真をご覧のように、本来の西洋建築の見せ所は、たっかい天井付近に取り付けられた縦長の窓からの、この垂直に近い角度の光、そして影である。

階段を上るとこのように窓に沿って廊下が続きます。
相変わらず頭から足下までの連続した縦長窓が廊下にすばらしい模様を描いていますね。
こういう西洋の、光と影の演出を経て……
いいですか皆さん……
この廊下の右手に小さい階段あるでしょ……
そこをちょっと上がるとどうなるかというと!!

ぎょえええーーーー!!!
和室ゥーーーーー!!!
素敵すぎるゥゥゥーーーーーッ!!!
と思わず純文学作家らしからぬ奇声を上げてしまいますが、そう、そこは和室。
すなわち、
この縦長の窓が並ぶ廊下は「縁側」という解釈も可能な空間なんでした。

素晴らしい西洋建築の豪邸に、オリジナルデザインが施されまくった純和室。
こんなんもう建築界の大谷やん。
サヨナラ満塁ホームラン建築やん。
ということで、なぜ僕がこの建築に固執し、古民家ブログで長々と紹介してきたのかという理由が、この和室なんですね。

僕は自分でも和洋折衷の家をつくったり、自宅も和洋折衷だと言ってますが、それは何も特別なことじゃなく、実際やってみれば分かりますが、「古民家リノベーション」と「和洋折衷」は切っても切り離せない縁があります。
だって水回りなんか100パー洋風になるんですよ。
リビングだってソファ置きたいでしょ。寝室だってベッドでしょ。じゃあ床は板間になるじゃないですか。
電灯だってつけるでしょ。提灯と蝋燭なわけないでしょ。
そうなると、古民家という純和風の空間に、どうやってそれらを存在させるのか、というデザイン的な問題が発生するのですよ。
このヨドコウ迎賓館は逆で、洋館という純洋風の空間に、和の空間を融合させた素晴らしいサンプルですが、もちろん我々の古民家リノベの大いなるヒントがあちこちにあるわけです。
まあどちらにも言えることは、「日和んな」ということですね。
和風を洋風モダンに寄せるなと。
洋風を日本風にアレンジすんなと。
どっちもきっちり伝統スタイルを守って、堂々とやれと。
そう、このヨドコウ迎賓館のように…

次はまさかの4回目か。
もはや悟りの境地。はっはっは。
つづきます。

pagetop