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工務店の言うことは聞いといた方がいいって話

おはようございます。
これを書いているのは朝の8時です。
隣で寝てる幼稚園児に腹を蹴られたのでこんな早朝に起きました。
おかげさまで文章が落ち着いており、頭の中もクリアです。
朝っていいよね!

道具小屋

さて今回はこちらの道具小屋にまつわるエピソードを一つご紹介します。
まずはこの写真を見てください。

これ、小屋の足元なんですけど。なんか金物がついてますよね。
これはホールダウン金物と言って、基礎部分のコンクリと、この柱を、ガッチリ緊結させるための金物なんです。
アンカーボルトという金物をあらかじめコンクリに埋め込んでおいて、そこと繋いでるわけですが、当時は素人の目から見たらなんかすごい大げさなことをやってるように思えました。
だから僕、そこまでしなくてええよーと言ったんですね。
こんなのただの木組の小屋なんだから、耐震性とかどうでもいいし、柱がコンクリの上に乗ってるだけでいいんじゃないのと。
しかし親方はこれをしておかないと怖い、といって譲りませんでした。
まあ僕もべつに大きく金額が変わるところじゃなかったので、ふーん、じゃあなんか分からんけどそれつけといて、と返事しといたのですが。
その2年後。
前回の記事の通り、大阪に21号さんがいらっしゃったのです。

台風が過ぎ去った時、僕は思いました。
親方の言うこと聞いといて良かった…と。
もし金物がついてなかったら2秒で小屋の天井がめくれあがって3秒で小屋全体が吹き飛ばされて5秒でこのすぐ裏手にあるお隣の家のリビングの窓に突っ込んで900秒で救急車が到着して604,800秒で家を売って引っ越しすることになっていたでしょう。
マジで。
これはほんとにマジでそう思いました。

古民家リノベーション体験談であれほど親方や大工さんの言うことを無視したりケンカしたりした僕ですが、ほんとに偶然、この点には首を縦に振ったのです。
それが生死を分けました。
よくよく考えてみれば、自分の家を一軒リノベーションしただけでこんなふうにブログ立ち上げるレベルで様々な体験をするわけです。
ましてそれを仕事にしてる工務店さん、それを何十年もやってきた親方なんか、一体どれほどいろんな目に遭ってきたのか想像もつきません。
つまりそういうことです。
経験が正しい判断を生むのです。
親方が「ダメ」という時、そこには僕らなんか想像もつかない、21号レベルの経験や知識が隠されているのでしょう。

あ、もひとつ思い出したわ。
僕が「親方の経験値えぐいな」と思った出来事が。
ちょっとこちらの写真ご覧ください。

砂利と枕木

これ何かというと、駐車場に敷いた砂利ですね。
ほんとは石張りにしたかったんですけど予算なくて、近所で適当な砂利を買ってきて自分で撒いたんです。
そしたら、ある日ふらっと現場に現れた親方が「おっ、砂利敷いたんか」と。
そしてじっと砂利を見たあとで一言、「……ちょっと小さいなあ」と。
一瞬何のことか分かりませんでした。
何が小さいの?
僕の人としての器が?
失敬な!!
とか思ってたら親方が教えてくれました。
「これくらいの大きさの砂利はタイヤの溝にはまるやろ。溝にはまった砂利が高速乗ってる時に外れて後ろのヤ〇ザの車に当たるんや。もう少し大きかったらええんやけどな」
……何……だと……
親方の口ぶりは確信に満ちていました。それはもう完全に昔溝にはまった砂利が高速乗ってる時に外れて後ろのヤ〇ザの車に当てたことがある人の口ぶりでした。
なるほど…と僕はうなりました。
砂利の大きさ一つとってもいろんな可能性があるもんです。
それを無数に知ってるプロってすごいよねえ。

ただし!
じゃあ何でもイエスマンになってプロの言いなりになればいいのかというと、そうでもない。
べつに工務店さんに限らず何でもそうですけど、誰かの舟にどんぶらこと乗ってるだけじゃ、自分の行きたいとこには行けません。
その舟は基本的にその船頭さんが行きたい方角に行ってしまいます。
経験値は高くても、「家」というのは「好み」によって構成され、それが住人の満足度に直結します。
その「好み」っていう部分には経験とか知識って全然関係ないんですよね。
だから家づくりは面白い。
なので僕からのアドバイスとしては、「好み」は譲るな! それ以外は言うこと聞こうぜ!! ということです。
特に「安全性」についてはイエスマンになっといた方がいいですね。
事故ってだいたいにおいて「予想もつかなかった」時に起きますからね。
その我々の未熟な予想をフォローしてくれるもの、それがプロの経験値なのです。
おわり。

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