続・内覧じゃなくて一般公開されてる古民家の見学方法
おはようございます。ただいま朝の5時です。
長年夜型を自称しており「え、毎日5時に起きてるの? 何のために? てか外真っ暗やんw」とか言っておりましたが、このたび加齢につき自分も朝型になったことをこの場を借りて皆様にご報告いたします。
朝って爽やかだよね!!
さて本題。
一般公開されてる〇〇家住宅とか旧〇〇邸とかに行った時には! ステキ~とかだけじゃなくてちゃんと細部を見れ!! 細部を知らないと自分の家をつくる時に工務店さん設計士さんに自分の好みを具体的に伝えられないからだ!!!
というお話を前回しました。
ふんわりと「古民家が好き」で、そのままふんわりと内覧して、ふんわりと工務店に頼んだ場合、その結果が最初にイメージしてた雰囲気になる確率もまた、ふんわりしているのです。
なので工務店や設計士さんには自分の好みのポイントをピシッと伝えたい。
それすなわち、細部である。
神は細部に宿る。
どれくらい宿ってるかというともうフジツボのように宿りまくってる。
具体的に見てみよう。
はいこちら。東京は駒場にある「旧前田家本邸」という素敵建築物。
日本におけるライト建築やヴォーリズ建築ばりに和洋折衷が施された素晴らしい建物です。
中に入るともう絢爛豪華、今では考えられないレベルの贅を尽くして建てられた上流階級の空間に圧倒されます。
そして懐からiPhoneを取り出し、口半開きで巨大な空間を見上げ、「ほえ~すごいな~」と言いながらこういう写真をパシャパシャと撮ります。
が!
古民家ガチ勢の皆さんはここで終わってはいけないのです。
その時僕がどういう写真を撮っていたかというと…
見学者の皆さんがいろんな空間に目移りしている中、一人だけ執拗にコンセントプレート撮ってました。
完全に不審者です。
でもこの写真があるからこそ、僕はこういうお屋敷のコンセントプレートがどうなってるかを知ることができるし、自分が家づくりする際にも、こういうスイッチやプレートを探すことができるのです。
こんなん写真なけりゃいちいち覚えてないですからね。
これは何をやってるかというと、幅木の高さを調べています。
スケール(メジャー)を持ってなかったのでその辺のスリッパを立てかけて目安にしました。
大勢の人が行き交う邸宅で床にしゃがみこんでこんなことをやってるともちろん「あの……何されてるんですか……」と声をかけられます。
そんな時はぜひ満面の笑みで「なんでもないっす!」と返してあげてください。
こちらは警察が撮影した犯行現場の指さし写真……ではありません。
スケールの代わりに自分の指を使って幅木のチリ(出っ張りの寸法)を示した写真です。
当時はチリとか知りませんでしたけど、とにかくこういう邸宅の幅木ってこんな風になってるのか…ということを少しでも客観的に記録しておこうとしたんだと思います。
ということでもうお気づきかと思いますが、こういうお家を見学する時のポイントは、不審者扱いされても笑ってごまかす……ではなく、スケールを持っていこうぜ! ということです。
まあぶっちゃけスケールで採寸し始めるともう不審者っていうか完全に何かしらの犯罪者ですけどね。
捕まってからも「『出っ張りのサイズに興味があった』などと意味不明な供述を繰り返し……」って書かれますけどね。
でもそれくらい細部に興味を持っといた方がいいです。
でないと見学がもったいないですよ。
こちらは所変わって江戸東京たてもの園の高橋是清邸。
みんながスマホかざしてこんな写真を撮りまくってバエル~とか言ってる横で僕はこんな写真を撮っていました。
スノコ。
ちなみにこの時にスノコの写真を撮った理由は覚えてません。
上はさっきの旧前田家本邸の和室、の入口にある「段差」の写真。
下は江戸東京たてもの園の万世橋交番、の窓枠の「ペンキの剥げ方」と「蝶番」の写真。
いやー勉強になりますねぇ。
段差はこれくらいがオシャレですなーとか。
変わった蝶番やなーとか。
蝶番までペンキ塗っとんなーアホやなー。
とか。
和室もね、パッと見ても分かんないんですよ。なぜこれが好ましいと思ったのか。
でもこのように壁をじーっと見ていると、あれっ、これ柱の見えてる部分が細くない?
長押もなんか細くないですか?
と色々気付けるんですね。
ただしこれも周囲の見学者さんからすれば「何も無い壁を見つめたまま動かない人」になって普通に管理スタッフに「お客様すいません」て声かけられて連れて行かれた取り調べ室で「柱の見えてる部分の少なさに興味があって……」と意味不明な供述をするはめになるのでやりすぎには注意です。
以上長々と説明しましたがいかがだったでしょうか?
これ実はめちゃくちゃ大事な話をしたなーと自分では思ってるんですよ。
ありがたいことに僕「センスいいですね」とか「部屋が素敵です」とかよくお褒め頂くんですけど、正直それは僕の才能とかセンスとかよりもむしろ、こういう細部の調査・研究の積み重ねだと思ってます。
なのでとにかく、どれだけ良い建物を見るか。
そしてどれだけその細部に目を光らせるか。
古民家リノベーションに限らず、住宅デザインの勝利のカギは、その辺にあると思います。
おわり。