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古民家の内覧に持っていくべき道具とは?

縁側

リアルタイムでここを読まれている皆様、10日間お待たせしました。
今回は古民家を見学する時の注意点、道具編でございます。
前回の失敗編では精神論をやりましたので、今回はめちゃくちゃ具体的にいきたいと思います。

ではまずは持っていくべきアイテムから!
絶対にマストなのは、【カメラ】【ライト】です。
この二つがあればおおむね大丈夫。
カメラはiPhoneでも何でもいいです。とにかく写真。写真撮ること。
気になったところだけじゃなくて、気にならないところもしっかり撮るようにしてください。
なぜなら舞い上がって内覧してる時の自分の記憶力なんかゴミだからです。
なのでパシャパシャ取れるカメラは絶対いる。
あと強力なライト。
空き家とかは電気も止まってるし、古民家は暗い部屋も多いので、ライトがないとよく分からないというケースが多発します。
もちろん屋根裏や床下を見る時も絶対必要。
え、ライトだったらiPhoneにも付いてるしそれでいんじゃね? と思うかも知れませんがスマホのライトごときが古民家の無限の暗闇に対抗するなど100年早いです。
僕はもちろんアメリカ製の手の中にすっぽり収まるガチのライト(真っ暗な倉庫のドアを開けたFBI捜査官がピストル構えながらカッコよく片手で照らすアレ)を持っていきますがまあ普通はその辺に売ってるLEDのハンディライトでOK。
とにかくスマホ以外のライトを持っていってください。

あとは、持ち物じゃないですけどあればいいのが【それっぽい友達】です。
ちょっとパリッとした格好をさせて、手を後ろに組んで、なんかめっちゃ分かってる感じで肯きながら部屋をうろうろしてもらえば、不動産屋や家主が嘘をつく確率が15%減少します。
別にそれっぽくなくても、単純に自分以外のもう一人にも見てもらえば、自分が見れてなかったところを見てくれてたり、自分とは違った視点で内覧の感想をもらえたりするのでGOODです。
ご夫婦で内覧される人も多いと思いますけど、夫婦って長年の付き合いで感覚が似たような感じになってたりしません?
なので利害関係や価値観が異なる、完全な他者である「友達」に見てもらうってのはセカンドオピニオン的に大切かなと思います。
まーそれでなんやかやと勝手なこと言われると思いますけど、それを鵜呑みにするのか、無視するのかはこっちの自由なわけで。
自分の価値基準を明確にするためにも、参考とする意見のサンプルはいくつかあった方がいいと僕は思います。

前回書いたように、古民家の内覧においては「冷静な視点」というのはとても大事です。
なんでそんなことを口うるさく言うかっていうとですね、古民家の購入って、誰も責任取ってくれんからですよ。
分譲の新築は業者が作って売る商品なわけだから何かあっても責任の所在はその業者にありますよね。
でも古民家、ってか中古物件は不動産屋さん、工務店さん、家主さんはいても、そのリノベーションをトータルで取り仕切ってるプロデューサーは自分自身なんですよ。
すなわち、海のものとも山のものともつかぬその物件を選び、買うという、そのことにおいての責任が自分にあるということ。
誰の口車に乗せられてもそれは自己責任なのです。
なのでテンション上がって夢が広がるという感覚も大事ですけど、それと同じくらい、総合Pとしての冷徹な視線も必要なんだぜ、ということです。

え?
なんかさっきから不動産屋に対して警戒しすぎてないかって?
まあねえ。
僕、不動産屋と家主に軽い嘘つかれてるからねえ。
思いっきり雨漏りの跡があるのに「雨漏りはしたことがない」って言われてそれを信じちゃってたからねえ。
今の僕なら「は?」と言って雨漏り跡を指さしてからもう一度「は?」って言えるのに、当時の僕は何も分からず、「そうなんですかぁ~やっぱりしっかり建てられてるんですねぇ~フヒッ」みたいに愛想笑いまでしてましたからね。
そんな悔しい体験を通じて僕は皆様に注意点をお伝えしているのですよ。

ちなみに、絶対に嘘をつかれたくない! と思う人は胸に「〇〇工務店」と刺繍された作業服を着ていってレーザー水準器で柱の傾きをチェックしてみてください。
にこやかだった現場の空気が一瞬で変わって誰も嘘をつかなくなります。
ただしこの方法は不動産屋さんに売買取引を拒否されるという最大のデメリットがあるので、おすすめはできません。

さて話を戻しますと。
内覧時の服装についての注意点も書いときます。
「物件の内覧」と聞くとつい普通にお出かけする時の格好で行きがちですが、古民家の場合は事情が異なります。
同じ内覧でも新築の内覧は「あこがれの生活を体験する」みたいなノリですが、古民家は「自衛隊の現地入り」みたいなイメージで服を選んでください。
具体的に言うと「腐った階段を踏み抜いて2mほど落下しても大丈夫な服装」です。
家主さんが現状住まわれてるみたいな状態のいい古民家ならいいんですが、中には数年間空き家で、崩落寸前になってる物件も普通にあります。
そんな物件は完全に暗闇だったり、床に何が落ちてるか分からなかったり、階段が腐ってたりします。
もちろん内覧も全部土足です。
そんな時、たとえば女性の方がかわいいひらひらのスカートにヒールで行くとどうなるでしょうか。
まず家に上がる前に前日の雨で生まれた庭のぬかるみに足を取られて派手にすっころびパンツが丸出しになります。そして次に家に靴のまま上がった瞬間にヒールが柔らかくなった古畳を踏み抜いて派手にすっころび踵が折れてパンツが丸出しになります。
なので靴はスニーカー1択。
それに、常に家の中と外を行ったり来たりするので、脱いだり履いたりしやすい靴がいいですよ。
当然ながら服もラフな格好の方がいいですね。

以上、内覧時の持ち物と服装について書いてみましたがいかがでしたでしょうか。
夢が広がりんぐな気持ちにブレーキをかけるようなことも書きました。
実際、新築分譲の友達が空調の効いた部屋でフリードリンク飲みながら優雅に内覧を行っている時、あなたは自衛隊とか2m落下みたいな世界で内覧するわけです。
そりゃ心が折れそうになります。
僕もそうでした。
でもね。しんどい時期ってたかだか1年とか2年とかなんですよね。
その時期を通り抜けて、オンリーワンの唯一無二の古民家を手に入れた暁には、そこから何十年も最高の暮らしが味わえるのです。
僕はいろんな目に遭いましたけども、今となってはもうなんか全然覚えてないし、ただただ目の前に素晴らしい家があるっていう状態です。
なのでたとえ2m落下しようとも、いつかやって来るその日を信じて、古民家探しをがんばってほしいなと思います。

……また長くなっちゃったよ。
まさかの次回に続くだよ。
次回こそは具体的なチェックポイントを書きます。
リアルタイムで内覧に行ってる人、ほんとすみません。つづきます。ごめん。

category:古民家リノベーションブログ,随筆  |  tags:,   |  2022.04.25

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