家づくりの知識はあればあるほどいいぞ
さて一連の納戸工事のお話が終わり、今回は久々のエッセイ回です。
エッセイって死語なんですかね?
皆様、もしこのブログ内で「ネタではない死語」を見かけた場合は、お手数ですが速やかに「お問い合わせ」ページよりご連絡頂ければと思います。
何の話や。
えっとですね今回は「家づくりの知識はあればあるほどいいぞ」ということで、古民家の知識についてお話しようと思うんですが、ちょっとその前に話聞いて。
あのさ、ぼくね、車に関してウルトラ興味ないタイプなんです。
どれくらい興味ないかというと自分の車のメーカーもナンバープレートもはっきり覚えてないし最近まで「SUBARU」がトヨタの車の名前だと思ってたし突然時空が歪んで全世界の車が牛車に変わってしまったとしてもおそらくスピード以外は不満を感じないというレベルなんです。
そんな僕がね、車のオイル交換をしに、某全国チェーンのカーショップに行ったんですよ。
なんかDMに「オイル交換無料の期限が近づいています!」って書いてたんでね、えっオイル交換無料でやってくれるの? そしてその期限が近づいているの?? それって早くしないとお金がかかっちゃう! と思って行ったんですよ。
そしたらね、「見積が終わりましたらお呼びします」って言われたんですよ。レジで。
意味分かりませんよね。
「え? 無料じゃないんですか?」って聞いたら「工賃は無料ですけどオイルは有料です」って言われたんですよ。
えぇ…
そんなの聞いてない…
いやでもそういうものなのかも知れない…
と思って黙りますよね。
そしたら「20番の方~」て呼ばれて、フィルターがもう交換時期だとかこっちのオイルの方が長持ちするとか色々説明されて「じゃあそれで」「じゃあそっちの方で」とか言っちゃうじゃないですか。
だってプロがそう言ってんだからさ。
そんで最後にレジで「8,558円になります」って言われて、ええっ…て動揺しつつも、いやでも、そういうものなのかも知れない…って思ってお金払うじゃないですか。
そんで家に帰ってきて、30分くらいして、さっきは言われるままに払ったけど、それは本当に正しかったのか? 交換しなくて良かったんじゃないか? オイルも高いんじゃないのか? って段々不安になってきて、めちゃめちゃネットで検索したら「僕の場合はフィルター交換込みで4,000円でした」とか「ディーラーでやったらなぜか2,000円でしたラッキー」とか色々出てきて液晶が割れそうなくらいスマホを握りしめたという、これつい10分前の話なんですけどね。
さて、
この話のようにですね、「その世界に詳しくない人は、その世界で自分が支払ったお金が本当に必要だったのか、あるいは金額が適正なのかどうか分かんなくてすっごいモヤモヤする」ということが多々あるわけです。
そしてもちろん、詳しい人から見れば「いや~そのオイルはあんまり意味ないよ」とか「フィルター交換なんか自分で簡単にできるのに…」とかね、知らんけどさ、そういう感じで無駄なお金を払わされてるケースもありますよね。
でも、その分野にあまりに素人だと、僕みたいに世の中のそういう構造を知ってても、目の前で「もうフィルター交換時期です」と断言するお姉さんに「いやいやwwwまだ余裕ですからwww」なんて言えるわけないし、それどころか何も言えず「じゃあそれで…」と目を伏せるしかないんですよね。
何の話かというともちろんこれは古民家の話。
こっちの世界は8,558円どころじゃないです。
30,000,000円とか40,000,000円とかの世界です。
知ってると知らないとでエグい金額差が出るんです。
僕は古民家を買うずっと前から思ってました。
「工務店さんとか設計士さんとかは、他の職種に比べて人生にかかるお金をめちゃくちゃ浮かせることができていいなぁ」と。
これを読まれている皆さんも、仕事で趣味で、それぞれに詳しい分野をお持ちかと思います。
でも例えばクワガタの生態に詳しくてもあんまお金の節約にはならんやん。
それどころか幻のクワガタを探しにエチオピアに行っちゃったりしてすごいお金かかるやん。
ところが工務店さんと設計士さんはその逆で、人生で一番お金のかかる「家」について、自分に必要な部分と不要な部分、コスパがいい仕様と悪い仕様など全てを知ってるので、一生を通じてすんごい額のお金をセーブできるんですよね。
そういえばちょうど先日、こんな話もありました。
東京からうちに遊びに来た友人が「今年は家のメンテにすごいお金がかかって大変だった」というんです。
でもその友人、7年前に新築したばかりなんですよ。
なので「え? なんで? まだ新築じゃないの?」と聞くと「いやもう7年も経ってるから、壁も屋根も傷んでるし…」とのこと。
いくらかかったか聞いたら「なんやかやで300万円」と。
このブログをいつもご覧の皆さまには原因が充分お分かりかと思いますが、これが現代の一般的な住宅なんですよね。まあ7年は早いとしても10年とかでこうなりがちだそうです。
これまでいろんな工務店さんから噂には聞いてましたが、実際友達の口から聞くと「うわマジか」ってびっくりしましたよ。
ちなみにうちの瓦屋根と土壁漆喰塗りの母屋はたぶん僕が生きてる間はノーメンテじゃないかなと思いますし、汚れてもべつに漆喰くらい自分で塗りますし、瓦が割れても大工さんがひょいっと新しい瓦を入れてくれるし。日常的な点検だけやっていれば大丈夫かなと思ってます。
でもその友人はまた同じ仕様で直したというので、また7年後に300万円払わされるわけです。
35年住むとしても、300万円×5回=1500万円ですね。
家の知識の有無で、一生でこれくらいの金額が動くのです。
たとえばいかついコワモテの工務店社長に「古民家は基礎が無いからジャッキアップして基礎を作らんとなぁ」
と言われたら皆さんどうでしょうか。
「えっ、そうなんですか…じゃあそれで…」ってなるじゃないですか。
でも古民家の知識があると
「いやそうすると壁量も増やさないといけなくなり縁側が壁で塞がれ古民家の良さがスポイルされますしこの家は傷みも少なく倒壊リスクの少ない平屋なので私は柔構造のままでいいです(早口)」
と答えることができるのです。
これを身につければ1000万円レベルのお金が浮いたりしますし、内容的にも自分に最適な選択肢を選ぶことができます。
もちろんこの場合は悪意ではなく親切にプロが提案してくれるケースなので、お金がかかる=騙されてる、では絶対ありませんが、いくつかの選択肢を自分が納得して選べるというこのスッキリ感はプライスレス。
なので皆さん、面倒くさがらずに、ぜひがんばって「家の知識」「古民家の知識」をつけてください。
その知識は一生あなたの生活を助け続けてくれるでしょう。