古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

インターネットの海は広大だが深さが3センチしかない

今日はちょっと主旨を変えて、「情報」について僕が考えていることを書いてみようかなと思います。
最初に言っときますが古民家関係ないです。
いや、関係あります。
なぜなら古民家ほど「情報戦」になってるものはないからです。
古民家暮らしを実現するために最も重要なもの、それは溢れる情熱ではなく、強い憧れでもなく、太い親からの支援でもなく、「情報」です。
古民家についての正しい知識は基本的に誰も知りません。
知ってるのは代々古民家を扱ってきた熟練の大工さん、古民家の構造を積極的に勉強している設計士さんだけです。
それ以外の人はたとえプロでも知りません。
いわんや施主をや。
古民家ってそもそも実際に住んでる人がまだ少ないんですよね。なので経験に基づく情報がまだまだ出回りにくい。
そんな風に情報が不足しているところに情報戦は勃発します。
ウワサ、偏見、間違った知識…
古民家リノベーションはそんなものをかいくぐってゴールにたどり着かないといけないのです。

でね、
正しい知識はこのサイトに載ってるんですよ。
なのでこのサイトにたどり着いてここを読んでる皆さんはもうゴールしてるラッキーボーイ&ラッキーガールです。
おめでとうございます。
とはいえ、家づくりのためにはまだまだ情報を検索して、調べていくでしょう。
今回はそんな「ネットに転がってる情報」の真偽について解説していこうと思います。
なぜそんなことを解説するのかというと、僕、そういう仕事もしてるんですよ。
webデザインやらマーケティングやら、広告全般を仕事としてやってきたので、そっち方面の知識も皆さまのお役に立つかなと思いまして。

まず基本的な知識として頭に叩き込んで頂きたい事実は、今回の記事のタイトルである「インターネットの海は広大だが深さが3センチしかない」ということです。
この言葉をネットで見かけた時は笑ったんですが、事実です。
特に最近のGoogleやYahoo!はびっくりするくらい初歩的な情報しか出てきません。
どれくらい初歩的かというと急にテレビが点かなくなった時に慌ててマニュアルを確認した時に出てくる

「電源プラグは差し込まれていますか?」
「アンテナの向きは正しいですか?」
「B-CASカードは差し込まれていますか?」

みたいなレベルです。
昔はそうじゃなかったんですよ。
昔は本当に詳しい人たちが夜な夜なホームページビルダーで作った自家製ホームページ(ほぼ文字)を更新して、圧倒的な情報を我々に提供してくれていました。
自分でホームページを作れない人も、「Yahoo!ジオシティーズ」という無料ホームページサービスを使ってガンガン発信していました。
その時のインターネットの海の深さはたぶんマリアナ海溝くらいありました。
それがおそらく2000年~2010年あたりの話です。
それから時は流れ2019年3月、Yahoo!ジオシティーズはサービスを終了します。
それに伴い星の数ほどあった「めちゃくちゃ詳しい個人サイト」のほとんどが姿を消すことになりました。
まずこれが原因の1つ目。

次に原因の2つ目。
個人サイトによるネット文化が花開き、ネットサーフィンがめちゃくちゃ面白かった時代の2003年12月、Google社は「Googleアドセンス」という広告収入をモデル化したサービスをひっそり開始します。
これは「広告主を募り、サイトにアクセスした人に広告を見せ、そのサイト運営者に成果報酬を与える」というビジネスモデルです。
簡単に言うと、それまで無償でやっていた平和な世界に「お金」がなだれ込んできたのです。
それはサイト運営者の最優先事項が「情報の質」から「お金」にすり替わった瞬間でした。
これが今の惨状を招いた決定的な原因です。
それから20年近く経った現在、インターネットの世界がどう変わったかというと、皆さんご存じの通り。
「人にどんな情報を届けるか」ではなく「どうすれば多くのアクセス数を稼げるか」という倫理でつくられたサイトだらけになってしまいました。
たとえば今、

「糖質制限 効果」

で調べてみると、昔は実際に糖質制限を10年続けてる人のブログとかがたくさんヒットしたものですが、今はたぶん検索結果の1~30位くらいまでが

「糖質制限の効果って? 効果的なダイエットの方法とは?」
「糖質制限の注意点は何? そのメリットは?」
「みんなが間違えている糖質制限! 糖質制限は本当に痩せる?」

というクソみたいな検索結果しか出てきません。
もちろん中身はバナー広告とコピペ記事の嵐です。
まず「1. 糖質制限とは?」から始まり、誰も聞いてない「糖質制限の歴史」(コピペ)をとうとうと語りはじめます。
なぜ誰も聞いてない記事が載ってるのかというと文章量があればあるほど検索順位が上がるからです。
そして次に誰も聞いてない「2. 糖質制限のメリット・デメリット」をたっぷり語り(コピペ)、続く「3.糖質制限の目安」(コピペ)、「4.糖質制限の注意点」(コピペ)でさらに文字数を稼ぎ、
最終的に「糖質制限の効果は人それぞれですが、やってみて損はないはず!」みたいな膝から崩れ落ちるようなしょうもない結論で終わる、というところまでが様式美となっています。

ちなみに僕が体験した糖質制限の効果をお伝えしておくと、最初は面白いように効果が出て「え、ダイエット簡単すぎwww」と調子に乗ってしまい「まあこのティラミス喰っても糖質抜けばすぐ痩せるやろw」という「喰ってもOKマインド」がセットされてしまい知らないうちに魔法のように太るのであまりおすすめはできません。

そんな感じでGoogleとYahoo!の現状はひどいもんですが、じゃあYouTubeはどうなのか? というと、結局同じなんです。
YouTubeも結局「再生回数」というお金が最優先事項なので、たとえば買ったカメラがイマイチでも「神機降臨!! これまでの常識が覆る最速レビュー!」みたいなアオリでめちゃくちゃテンション高く紹介して、概要欄にアフィリエイトリンクを貼ってそこから買わせようとするのが様式美です。
なのでもう正直、ネットでまともな情報を得るのは無理かも、と思って頂いて結構です。
どこもかしこも深さ3センチです。
ただ逆に、深さ3センチまででよければ、どんな情報も手に入ると思います。
たとえば「最近の若者はジーンズを穿かない」という噂にうろたえた僕が「ジーンズ 若者 はかない」と検索すれば大体の事実は掴めると思いますし、「最近の若者はLINEを使ってない」という噂にうろたえた僕が「LINE 若者」と検索すればSNSツールのシェア率は出てくると思います。
ですが、
マリアナ海溝くらい奥が深い古民家のことについては、深さ3センチではどうにもこうにも対応できません。

じゃあどうすればいいのよってことですが、結論を言うと、本を読む。人に聞く。自分で見る。この三つです。
まず本。
本はその辺のネットの情報よりはちゃんとしてる確率が高いです。
ちゃんとした人が、ちゃんとした編集者と一緒に、ちゃんと出版しています。
そしてその中にはかつてのマリアナ海溝レベルの著者ももちろんたくさんいらっしゃいます。
なのでエッセイでも専門書でも建築家の本でもいいので、いろんな本をたくさん読みましょう。

そして次に「人に聞く」。
相手は誰でもいいというわけじゃなく、できればこのサイトで紹介しているような、毎日古民家の現場に出ているプロの人たちに聞いてください。
少なくとも古民家に関しては経験がすべてです。
ていうかウチに載ってるインタビュー全員分読んでください。

最後は「自分で見る」。ちゃんと自分の足を使い、いろんな家に行って、手で触れ、空気を感じること。
よく分からないままで大丈夫です。
とにかく数を見ること。
そうすれば不思議なもので、無意識に目が肥えて、自分の心配事も、自分の好みも、具体的に立ち上がってくると思います。

ということで今回はインターネットで得られる情報について書いてみました。
これ結構前から書きたかった記事なので、すっきりです。
しかしまあ、Googleとかこれからどうするんでしょうかね。このままだとユーザー離れていくよね。
なんとかインターネットを元の世界に戻して欲しいものです。
おわり。

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