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幸福感と虚無感について

皆さまあけましておめでとうございます。
我が家は年末から風邪で全滅して一家全員ゾンビのような状態で新年を迎え、初日の出を浴びてめでたいどころか成仏しそうになりましたが、そんなことはともかくあけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

さて本日は1月5日です。
寒い寒いと言われる古民家、この季節になると必ず寒さについて投稿してきましたが、今回は寒さに絡めて古民家の損得勘定についてお話したいと思います。
寒さ対策などの過去回は下記をご覧ください。

今日も隙間だらけの我が家は寒い。
古い天井板の合わせ目のあちこちに1cmくらいの隙間があるので、いくら暖房をつけても暖気がそこから無限に屋根裏に逃げていきます。そしてその暖気は屋根裏にたまるのかと思いきやガラスのない虫籠窓が常にフルオープンなのでそこから無限にお外に逃げていきます。
つまりマンションなどに比べて非常に熱効率が悪くそのせいで光熱費がかかるし部屋も暖まりにくい、居間でもヒートテック+シャツ+セーターは必須だし、映画を観たり昼寝をしたいならそこにブランケットも必要な、「快適」とはほど遠い暮らしをしているわけです。
が、
べつに僕たちは不幸ではないし、特別困ってるわけではないし、損もしてないと思います。
というかむしろ損得でいうとちょっと得してるんじゃないかとすら思います。
今回はそういうお話です。

まずですね、損得というのが何を基準にしているのかというと、まあ大体「お金」です。
それでいうと確実に損してると思います。だって余計な灯油代やら電気代やら、マンションに比べてずいぶん払ってると思うので。
でもそれだけでは一概に「損してる」って言えませんよね。
なぜならお金はただの手段であり、目的ではないからです。
べつにお金を失っても代わりの手段によって目的を達成できればOKなわけです。
じゃあ人間の目的ってなんなのかというと、これ前にも書きましたが、「幸福感」だと思うんです。
結局それを得るための手段の一つとしてお金がある、というだけです。
てことで、手段はひとまず置いといて、「幸福感」について考えてみましょう。

結論から言うと、真の「幸福感」というのは「不快感」からしか生まれない。
これマジです。
どういうことかというと、幸福を感じるためには、落差が必要なんですよ。
僕はいつも言ってますけど、部屋が寒いと、鍋が美味いんです。
身体が冷えていると、お風呂が超気持ちいいんです。
これはつまり、寒いという不快感があるからこそ、それが一気に解消されるお風呂に快感を覚えるということ。
実際、お風呂を沸かすボタンを押した時からワクワクするんです。
これが冬の古民家で得られる僕の「幸福感」です。

いやいや、どう考えても部屋があったかい方が幸せでしょ、とお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、本当にそうでしょうか。
あなたがあったかい部屋にいる時、本当に幸福感を味わってると言えるでしょうか。
僕、お風呂に入った瞬間、「あっふぅ~~~♨」って上ずった恍惚の声が出ますけど、エアコンで26℃にキープされた部屋に入って「あっふぅ~~~♨」て声出ますか?
出やんよね?
それもそのはず。室温26℃というのは「快楽」ではなく、「快も不快もない」状態、すなわち「虚無」なのです。
この状態を「快適」とか「幸福」だと思いがちですがそうではありません。
不満がない状態っていうのはプラスでもマイナスでもないんです。何も感じてないんです。
だからべつに幸せでもない。
たとえばロマンティックな夕暮れ時の海辺で隣に片思いの人が座ってるとしましょう。
あなたはもうガチガチに緊張して、喉もカラカラになって、次の一言が出てきません。
それって「不快」な状態ですよね。
でも勇気を振り絞って口を開いた先に、片思いの人のとてもいい感じの返事が返ってきたなら、その瞬間天にも昇る気分を味わえるじゃないですか。
しかし、仮に隣に座ってるのが片思いの人ではなくペッパー君だとしたら。
全く緊張もせず、喉もカラカラになりませんが、そのかわりペッパー君にいい感じの返事を返されても天に昇るどころかちょっとイラッてなりますよね。
つまりそういうことです。
同じように、登山なんかもそうですね。しんどい先に、見たこともない景色が広がっている。
四国八十八箇所をどこでもドアで2秒で回っても意味ないんですよ。あれは辛い歩みを経るからこそ御利益が身につくわけです。
つまりエアコン室温26℃の世界というのは、不快感が消えたのと同時に、そういう感動とか幸福も一緒に消えてしまったあとの虚無空間なんですね。

話が飛躍しましたが、僕が言いたいのはそういうことです。
寒いから不幸だとか、光熱費がかかるから損だとか、そういう上辺だけの損得勘定で物事を判断してると、知らないうちにこの現代の虚無空間に飲み込まれ、本当の気持ちよさや快楽や幸福感を知らないまま死んでいくことになるかもよ、というお話でした。
寒すぎるのは嫌だし、お金がかかりすぎるのも嫌ですが、そういった不快感を超えてそれ以上の快感を得られるのであれば、それは「得」してるんじゃん、ということです。
てか、損とか得とか、どうでもいいんですけどね。ほんとはね。
そこから抜け出した人がきっと一番「幸福」でしょうね。
おわり。

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