続々・民家サミット2023に参加してきました
前回までのあらすじ:明太子クリームパスタ
愛知県新城市で開催された「民家サミット2023」レポ、最終回です。
前回、前々回の投稿はこちら。
最終日である3日目は朝からサミットの協賛である全国古民家再生協会愛知第一支部、戸田工務店さんのショールームを見学させて頂きました。
中央に仁王立ちで解説しまくる戸田社長。
このショールームは前に戸田さんが古民家をアメリカに移築するという動画で対談させて頂いた場所でもありますが、いつ見ても圧巻です。
ここでも外国人の方々からマニアックな質問が次々に飛んできてました。
それから何か自由行動みたいになって、なんか流れでこの3人の車に同乗することになって、なんか街を散策しました。
左から、スロバキア出身の設計士Mさん、ライターをされてるハワイ出身のJさん、スイスの巨匠建築科に師事しているオーストリア出身の設計士Bさん。
たまたまご一緒させて頂いたこの3人ですが、全員英語ペラペラだし、ていうか日本の建築と文化に死ぬほど造形が深いし、スロバキア出身Mさんに至っては古民家における耐震の考え方、たとえば「中国ではお寺でも震度11くらいまで耐える設計をしてるから伝統構法という手法は信頼できると思う」「日本の伝統構法の耐震性能は計算で出そうとするとめちゃくちゃ難しくて、どこかに手を加えると全体への力の伝わり方が変わってしまうので正しい方法を確定させることが大変だ」みたいなことを教えてもらいましたよ。
流暢な日本語でな。
初日に続きまたまた立ち寄った「かふぇ このはずく」さんでパシャリ。
僕にもぼかしがかかってるのは体重増加と広角レンズの歪みによってYahoo!にセンシティブ判定を食らうのを避けるためです。
笑ってますけどこの時の僕は有能すぎる3人に囲まれて自尊心が地の底まで落ち込んでおり自分のことをほぼ黄色いウンコだと思ってたのでなんでウンコが笑って写真に収まってんねんと思いながらカメラに目線向けてました。
その後は会場に戻って講義。
全集中・リスニングの呼吸でなんとか内容の30%くらいは把握できたんですが、あのね、外国人の皆さんが何を喋ってるのかというとね、
「日本の素晴らしい建築をどうやって残していけばいいか」
「国からの保護や補助は難しいから別の手段を考えるべき」
「こういう風に活用すればいいのでは」
「一つの事例が住民の意識を少しずつ変えていくと思う」
「どうやって価値を知ってもらえるのか」
みたいなことをね、熱気ムンムンで話してるっぽいんよね。
ほんとに、めっちゃありがたいと同時に、僕は日本人として、めちゃくちゃ恥ずかしかったよ。
この場から逃げ出したい思いに駆られましたよ。
外人さんに何言わせとんねんと。
日本人何してんのよと。
岡目八目で海外の人たちの方がその価値に気付きやすいとは言え、わざわざ皆さん、国内外の遠いところからお越しになって、この日本の文化を守ろうとしてくださっているわけですよ。
その傍らではピカピカのマイホーム(法定耐用年数22年)に憧れる日本人が片っ端から古民家を潰しまくってるという状況。
これ、どうにかしないといけませんよね。
ほんとにね。
そうして最後は記念写真を撮影して解散…
と思いきや、自由すぎるオーストリア人Bさんが「今思いついたけど大阪に行きたいから乗せてって」と言ってきたので一緒に大阪まで3時間ドライブしました。
そこで聞いたのがまたほんと衝撃的な話で(Bさんは親切にこっちの英会話レベルに合わせてくれるめっちゃいい子やで)。
皆さんオーストリアって聞いたらまずウィーンだって思うじゃないですか。
ウィーンっていうとまず宮殿とか劇場とか礼拝堂とかがあってなんかみんな街でバイオリンとか弾いてて森のどうぶつたちがその後ろに連なって歩いてる(偏見)みたいな絵を想像するじゃないですか。
でも実際はそうじゃないんだって。
しょうもない建売が建ち並んで街の景観が崩れていってて、それがすごく問題になってるんだってさ!
何だそれ日本かよ!!
ビッくらポンだよ!!
てか、どうせしょうもない建売とか言いながらあれでしょ、日本とは比べもんにならんくらいオサレなんでしょ? と思ってたらBさんが建売が建ち並ぶ写真を見せてくれたんですが、それを見た僕は「ワーオ…」と薄く呟いてしまいました。
そうなんです。
ダサかったんです。
マジかと思いました。
だからBさんはウィーンが好きじゃなくて、日本の古民家が好きで、いつか日本に住みたいんだって。
なるほどなー。
ひょっとしたらこういう美的偏差値の低下っちゅうか、文化の崩壊というのは、程度の差こそあれわりと世界的なレベルで進行しているのかも知れませんね。
とにかく、Bさんはすごくセンスがあってインスタの写真もほんとにカッコ良くて巨匠の元から独立して設計事務所を立ち上げたばかりらしいんですが、そんな人が、日本の古民家が素晴らしい、住みたい、と仰っているわけですよ。
そういう事実を僕はもっともっといろんな方々、特に古民家を「古家」と呼んで忌み嫌ってる大勢の方々に届けないといけないなと、強く心に刻み込んだ3日間でした。
ということで全3回にわたりお送りしました民家サミットレポ、いかがでしたでしょうか。
古民家に住みたいと思ってる方々にこんな話が必要とされてるのかどうか分かりませんが、少なくとも僕はめちゃくちゃ勉強になったし、全然知らない世界を見ることができてバキバキに刺激を受けました。
そんなイベントを企画してくれたアンドレアさんはじめKominka Japanの皆さんと戸田工務店さんには心の底から感謝いたします。
来年は必ず英語がペラッペラになって軽々とアメリカンジョークを飛ばし、ものを落とすたびに「Oops!」とナチュラルに呟くような人間に生まれ変わって参加することをここに誓います。
待ってろよ民家サミット2024!!
おわり